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2025年にセルフホステッドを始める最高に簡単な方法
オンデバイスやローカルな生成AIに飽き始めたひとが手を出すのは自宅でのクラウド構築、いわゆる セルフホステッド(Selfhosted)だろうと思うので、マウスカチカチだけで始められる方法を記事にしてみる。
題して「2025年にセルフホステッドを始める最高に簡単な方法」。よって、だいぶ古いパソコンの活用とか、これまでにホームサーバーや自宅クラウドに取り組んできたって方々は対象ではない。手元には2025年では当たり前のはずの「Windows 11(24H2)が動いているパソコン」があり、LinuxとかDockerとか「聞いたことあるけど、実はよくわからん」くらいを想定している。
作業を始めてから、画像のようなセルフホステッドのクラウドを使えるようになるまでの想定時間は30分。パソコンはもちろん、ルーターの設定変更もいらない。つまり、これまでと変わらずWindowsを使える。削除も簡単なので、気楽に始められる。
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とはいえ、私もクラウドを作って提供する側(クラウドサービスプロバイダーという)やそのクラウドを作るためのあれこれを提供する側にいたので、「適当にカチカチしてたら動きましたよ」ではなく、見落とされがちなポイントも検証しつつ、わりとまともな仕組みだとの確信はある。あわせて、専門用語や略語はざっくり省いているので、初めての方にもおすすめできる内容だと思う。
この界隈は1990年代から自宅でサーバー構築に取り組んできた猛者も多く、うっかりスマホポチポチで質問投げるといくつもの長文で説教くらったりする。で、説教したひとが「お前だって最初は初心者だっただろ。そんな質問にも説教じゃなくて丁寧に教えてくれるひとがいたらかこそいまのお前になれたんじゃないのか?」と別の猛者に説教されるまでがお約束だ。
そう、「好きこそものの上手なれ」だ。最初こそまずは「できるヨロコビ」じゃないかい、と猫又監督も言っている(『ハイキュー!!』)。ともかく、セルフホステッドをさわってみることが大切なんだと思う。30分で始めたあと、何日も寝食忘れて没頭するかもしれないし、しないかもしれない。でも、できれば、好きになってほしい。
さて、必要なのは次のようなパソコンだ。
Windows 11 24H2 が動いていること。23H2であれば24H2に更新する。HomeかProかは、どちらでもOK。
メモリ16GB以上をおすすめ。ふだんのパソコン利用との同居が前提なので、8GBや12GBではちょいと心許ない(動くけど)。
手順は大きくはふたつ。Ubuntuのインストールと、CasaOSのインストールだ。途中でコマンド入力が必要になるけど、コピペでいける。
UbuntuをWindowsにインストールする
まずは Ubuntu をWindows 11 24H2にインストールする。ストアアプリ(Microsoft Store)で「ubuntu」を検索して、いくつか出てくるなかから「無印のUbuntu」を選んでクリック → インストール → 開く。
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Ubuntuを動かすにはWSL(Windows Subsystem for Linux:Linux用Windowsサブシステム)が必要なのだけど、入っていなくても「なにかキーをおす」ことで自動でインストールしてくれる。このあたりは、よしなに進める。
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パソコンを再起動したらUbuntuを立ち上げる。途中で、Ubuntuのユーザー名とパスワードが必要なので考えておく。
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CasaOSをUbuntuにインストールする
もはや最終段階にある。次はCasaOSのインストールに進むわけだけど、詳細は Running CasaOS on Windows 10 with WSL2 を参照するのがよい。
とはいえ、Windows 11 24H2 ではほとんどの作業がいらない。具体的には、systemd(1年前からWSLでもサポートされるようになった)の設定と再起動、WSL2へのDockerのインストールなどがいらない。Windows 11 24H2 で必要なのは次のたった一文だけだ。この一文をターミナルにコピペして、CasaOSのインストールを始める。
curl -fsSL get.casaos.io/install.sh | sudo bash
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CasaOSを立ち上げる
CasaOSは「OS」と名前はついているが、実際のところはダッシュボードのWebサイトのようなものだ。よって、同じパソコンのブラウザから、CasaOSのインストール完了時に表示されているアドレスを開く。
例では「http://172.30.251.111」で、これはUbuntuのIPアドレスと同じで、WindowsのIPアドレスとは別となる。とはいいつつも、WindowsからlocalhostでアクセスするとUbuntuにアクセスされる。そして、これはわりと重要なことなのだけど、CasaOS(Ubuntu)を動かしているWindowsからしかアクセスできない。
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あとは、ユーザー名の登録などをよしなに進めるだけだ。ダッシュボードにCPUの温度が表示されなかったり、ドライブの使用率が表示されなかったりするのは、技術的な仕組みを考えると当然ではあるのだけど、気にしないようにする。前述の「界隈」でもてはやされている複雑な方法では、ネットワークのトラフィックさえ表示されないので、むしろ「よくがんばっている」のだ。
アプリの追加は説明いらずでもできると思う。追加が失敗するアプリもわりとあるが、そんなときはググって先人の知恵をお借りするのが早道だ。
ところで、ふだんづかいのWindowsとセルフホステッドのクラウドが同居するので、わずかながら注意点もある。
まず、Windowsの再起動時などには、CasaOSのメニューからシャットダウンを選んで正常に停止させておくのがよい。 → WindowsのシャットダウンでWSLのプロセス(Ubuntu/CasaOS)も適切にシャットダウンされるので、意識しないでよい。
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また「WSLを起動することでCasaOSも起動する」ので、WSLを自動起動させるのもおすすめだ。スタートメニューでWSLを見つけたら[右クリック → 詳細 → ファイルの場所を開く]でWSLのショートカットを見つけ、そのショートカットを[スタートアップ]フォルダにコピーするのが簡単だ。
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おわりに
とまあ、ひと昔前では数十万円から数百万円かけてつくっていたような仕組みが、わずかな手間だけでつくれることに驚き、記事にしてみた。
なんといってもWindows 11 24H2でのWSL2の改善が大きくて(厳密には違うのだけど)、「セルフホステッドは余ったパソコンを活用して始めるんだよね。まずはProxなんとかをUSBにISOが? で、VMかコンテナで、DockerとKubernetes???」といった謎ワード山積みゆえ出だしで立ち往生するだろうという固定概念を改めさせてくれた。いくつものハイパーバイザーやコンテナ、いくつものセルフホステッド用アプリの組み合わせを試したうえで、長い運用をみすえての結論でもあるので、自分でも使い続けるつもりだ。
CasaOSではStable DiffusionやOllamaといった生成AIもアプリストアに並んでいて、簡単にホストできる。「少し知識をつける」ことで、ストアには並んでいない多くのビジネス用アプリなどもホストできるようになる。SlackやZoom、Googleドライブ、Notionといった世の中のほとんどのクラウドサービスの「置き換え版」をCasaOSでホストできるものの、あれ、これはGoogleにゆだねたままでもいいんじゃないとか、むしろお金を払って安定性を買うべきだなといった判断も徐々にできるようになると思う。
とはいえ、この記事の内容だけでは、iPhoneや別のパソコンからCasaOSにアクセスできないし、当然のようにいつでも、どこからでも、どんなデバイスからでもCasaOSのクラウドアプリを使いたくなると思う。そのための最高に簡単な追加設定は別の記事でまとめてみる(まあ、Tailscale を使うのだけど)。