
iPad miniが383ドル、MacBook Airが749ドルとか…
2024年10月に発売されたiPad mini (A17 Pro) は、レビューでの絶賛が多かった。まだ見ぬApple Intelligenceに対応予定であることを、実際に使ってもいないのに価値あるものとして「お買い得」とされてきた。楽天の「届いてないけど期待を込めて★★★★★」と変わらないレビューを、ガジェット好きはもちろん、プロのライターも乱造していた。
そして、日本での7万8800円からという価格にも「メモリやストレージ容量アップにもかかわらず先代(の最終価格)から据え置いた」といった理由で好意的なものばかりだった。
noteを始めたころにどこかに書いた気もするが、私はWi-Fiモデルでさえ7万8800円もするiPad miniは「iPad miniらしい使い方ができない」から、そもそも目にとめなかった。重さを気にせずバッグのどんな隙間にもつっこめて、どんな場所でもささっと置けるコンパクトさは、「傷がついてリセールバリューが落ちることを気にした」使い方にマッチしないと。そして、見栄えはそっくりなAndroidタブレットならメモリ8GB、ストレージ128GBのセルラーモデルが2万円だと。
で、「米国アマゾンではそんな iPad mini (A17 Pro) が399ドル だよ」って情報をみて、マジですかとうっかり訪れたら 383.04ドル からだった。もちろん新品のお値段だ。そして、日本からは注文できない。

そもそも、最新世代のiPad miniに搭載されるA17 Proは、わりといわくつきだ。
A17 Proチップの製造はTSMCの、業界初の3nmプロセスだった「N3B」による。が、このN3BはAppleシリコンのM3シリーズとA17 Proを作っただけでその役割を終えた。不良品率が高く(歩留まりが低く)、計画していた量が生産できなかったため、TSMCからアップルに違約金が支払われたとの「噂」もある。一方で後継のプロセスであるN3Eは評判がよく、Apple M4やA18はもちろん、AMDなど超大手を一手に引き受けている。
噂はともかく、A17 Proの世代にiPhoneスタンダードモデル用のバリアントはなく、M3 MacBookでは「製造でムリしている」感が伝わってくる、不良チップを救うためかのような「目を疑うほどコア数を削減」したスペックが並んでいたし、M3 iPad Proは見送られてM4 iPad Proが謎スピードでリリースされ、歩留まりが高くないと作れないM3 Ultraはついに出なかった。
でもって、アップルは「A17 Proの不良品の処分」をプランし、iPad miniが選ばれたとされる。A17 Proを名乗りながら、iPad miniのGPUコア数はiPhone 15 Proの6コアではなく、5コアとなっているのもそのためだと。だから、iPad mini A17 Proのチップコストはタダ同然、スペックアップしても先代より利益出てるはずだと。
話戻って、(実はセール価格とはいえ)米国のようにiPad miniが400ドル未満、期待込めて1ドル150円計算の日本円で6万円であれば、またiPad miniを使いたい。本体が動作すればボロボロ箱なしでも査定額が新品同然と同じApple Trade Inのおかげで、新品2万円でも1年か2年でごみと化すAndroidミニタブと同じくらい「雑に」扱える。というか、戻りたい理由なんて「好きだから」で十分だ。
(新品価格から15%オフのApple認定整備済製品でもいいのだけど、それでも米国のセール価格よりお高い)
あとは、スクショ取り損ねたけど、同じく米国アマゾンではM2 MacBook Airのメモリ8GBモデルも749ドルだった。「8GBかよ」だけど、16GBモデルも799ドルだった。MacBook Airは世界一売れているパソコンってだけあって、本場ではやっぱりお手頃価格なのだ。
とまあ、日本でもアップルが気兼ねなく(だれに?)セールしてくれるといいなぁと。iPad miniは6から499ドルになったけど、やっぱり5までの399ドルが妥当だよなぁ。レビュアーも辻褄あわせていつも「お買い得」とかするんではなく、高いものには「高い」でいいのにね。
お値段に難癖つけるのは私のように「バリューとかエクスペリエンスってものの本質を理解できないバカ」っぽく見えるし、スマートではないかもしれない。けど、いつでも厳しい視点で「製品発表からわずか3か月後のセール価格」のような妥当な価格を提示できるのがプロのライターなんじゃないかと思う。ついでに、MacBook Proのエントリーモデルとかも「これは、Proってつければなぜか高くても買ってくれる購買担当ばかりのテック企業用SKU だから、個人はAirしか買っちゃダメ」って言いきればいいのにね。