【コント】妖精のオキテ

舞台設定

若い妖精が旅に出ようとしている


コント


テック:オイラの名前はテック!妖精さ!
    オイラも、とうとう15歳!一人前の妖精になるために
    人間界を旅して、困っている人々の願いを叶えないといけない!
    妖精の魔法の力で、困っている人を助けるぞ!
    でも、決して叶えてはいけない願いがあるんだって!

ジル王:テックよ……

テック:ジル王さま!

ジル王:よいか、テック……。人々の願いを叶え、
    一人前の妖精になるまでは、妖精の里には帰っては来られん
    人々を幸せにするのじゃ……

テック:はい!任せてください!どんな願いだって叶えてやります!

ジル王:よい心がけじゃ……。だがテックよ……
    この世には、決して叶えてはならない願いがあるのじゃ……

テック:どうしてですか!?
    願いを叶えれば、絶対に幸せになってくれるはずです!

ジル王:そうではない。そうではないのだよ。

テック:…………。

ジル王:テックよ。孤独は、辛いものだと思うか?

テック:はい!辛いものです!

ジル王:家族と離れ離れは辛いか!?

テック:はい!

ジル王:だが決して……両親が海外出張で一人暮らしの高校生のところに
    家族を出張先から戻しては行けないぃ――――
   (スーー)
    ≪徐々に姿がフェードアウトするジル王≫

テック:ッ!?

ジル王:隣に異性の幼なじみがいたら、なおさらじゃぁ――――――
   (スーー)

テック:待ってください!ジル王さま!何故ですか!?

ジル王:きっと何かが……何かが始まるからじゃあ――――
   (スーー)

テック:な、何かって、一体……

ジル王:フラグは折ってはいけない!(スンッ!)
    ≪消えるジル王≫

テック:ジ、ジル王さまッ!?
    ダメだ、半人前の妖精のオイラには、何が何だかわからない!!
    わからないよ!!

ジル王:(パッ!)
    ≪姿を現すジル王≫

テック:ジル王さま!!

ジル王:テックよ。自分の身体にコンプレックスを抱えるのは辛いか?

テック:はい!

ジル王:だが決して……
    ボーイッシュキャラの女子の、胸を大きくしてはいけない――――  
    (スーー)

テック:ッ!?ジル王さま??

ジル王:あれは、
    少し膨らみがある程度がちょうどいいのじゃあ――――――
   (スーー)

テック:ジ、ジル王さまーー!!

ジル王:属性を付けすぎると、逆にキャラの個性が死ぬぞ――――
   (スーー)

テック:ジ、ジル王さまッ!

ジル王:巨乳は……メガネキャラに与えるといい!(スンッ!)

テック:あっ!ジル王さま!!
    ……な、なんて深い言葉なんだっ!?
    ただ、欲望のままにキャラを付け足してはいけないだなんて……
    オイラにそんなことが出来るだろうか……

ジル王:(パッ!)

テック:わ!ジル王さま!

ジル王:ボーイッシュキャラは、脚じゃ

テック:わかります

ジル王:テックよ、
    人々が国境や性別の垣根を越えて愛しあうことは尊いか……

テック:はい!

ジル王:腐女子の購買力を狙いたいか……

テック:はい??

ジル王:だが決して、公式の方からBLに寄せてはいけない――――――
   (スーー)

テック:ジ、ジル王さまッ!?

ジル王:一般層が離れ、結果コンテンツの寿命が縮まる――――――
   (スーー)

テック:ジル王さま!?

ジル王:匂わせ程度にとどめ、あとは2次創作にまかせておけ!
    (スンッ!)

テック:ジル王さまッ!!

ジル王:(パッ!)

テック:わあッ!?……わざわざ消えなきゃいいのに……

ジル王:以前にどっかで出したワードを後々拾った程度で、
    伏線回収と言ってはいけない!

テック:もうやめてくださいジル王さま!

ジル王:よい伏線は、後から見直したときに、
    その時のシーンが全く別の景色に見えたり!
    予想外の驚きを伴うものじゃ!

テック:ああ、ダメだ

ジル王:雑な回収は困ったときに安易に逃げるときの小技だ!

テック:ジル王さま、なんか伏線回収系の作品、
    過去に作ってたりしました??

ジル王:原作のあるアニメで、監督が我を出してはいけない!
    ちょっと鬱展開で評価されたからって、こすり続けてはいけない!
    変な語尾でキャラ付けしようとしてはいけない!

テック:ヒートアップがすごい!全然フェードアウトしないし!
    落ち着いてください!ジル王さま!

ジル王:……すまない。どうかしていたようじゃ

テック:はい……どうかしてると思います

ジル王:……主人公が手も足も出ない師匠ポジのお姉さんキャラが
    ポッと出の野郎にボコボコにされる展開はいけない
   (スーー)

テック:…………

ジル王:あれで性癖が歪んだーッ!!(スンッ!)

テック:…………うん、とりあえず…………
    オタク界隈には近づかないでおこう…………

――――END――――(【コント】妖精のオキテ)









あとがき



フォーマットを思いついてから、出来上がるまでに、結構時間を要しました。2,3日だけど
なんというか、フォーマットに沿う内容の大喜利を当てはめるようなネタなので
大喜利は苦手だと自負しているので、そこが苦労しました


ちなみに一番最初に思いついたのは
『決して、ハゲに毛を与えてはいけないよ』でした。

・設定

 妖精が魔法で、人間の願いを叶える旅に出るという設定
 定番の物語の設定のような気はするけど、
 実際にそんな物語を読んだことがあるかと問われると、無いような気がする。
 ルーツはなんなんだろう

 死者を蘇らせてはいけない……みたいな忠告でボケるというフォーマットですね
 人間が欲望として持っているけど、叶えてしまうと逆に不幸になるみたいな
 そんなお題に回答していくようなネタですね
 
 掛け合いや展開に逃げにくく、大喜利力が問われるネタかなあと思っています




・展開
 
 展開していくにあたっての軸は、オタクあるあるみたいな感じですね
 その方針が決まって『ハゲに毛を与えては行けない』は消えました
 私としてもハゲをいじめずに済んだのでWin-Winです(??)

 フォーマットに正当にボケる部分がなかなか思いつかなかったんですよね
 ボーイッシュは早かったんですけど、BLのやつは崩し過ぎだし、
 それ以降はフォーマットを無視したオタク戒めみたいなヤツなんで
 
 せめて2個は正当な感じで作らないと、崩しに持って行けないぞと
 序盤の展開作りがネックでした


・キャラ
 
 ジルとテクならテクの方が、幼い妖精っぽいんでテックとジル王にしました
 ジル王の設定は、最初はイメージ的にはスマートな体型で黒髪ロングで、黒いマントを羽織っているような
 クールイケメンみたいな、なんかそんな感じでした
 
 オタク方向にネタの軸が定まってから、じじいキャラのイメージにしています
 長年の経験から来る、金言みたいな感じになればいいなという感じですね



・最後に

 過去3作と比べると、テイストが違う感じですかね
 掛け合いで持って行けない分、フレーズ勝負な感じで
 瞬発大喜利型ではなく、熟考構成型の私なので
 うまく作れたか、ちょっと不安だったりしています

 


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