#46.CAR-T細胞療法
2019年3月にプレリリースされた「キムリア」という薬がある。スイス製薬大手ノバルティスが開発したCAR-T(カーティー)と呼ばれる新たながん治療法の薬だ。
投与は1回で終わり、ノバルティスの試験では、若年の白血病患者で8割に治療効果が見られたそうだ。
個人的に言ってもかなりの奏功率だと思うし、白血病患者にとっては待望の薬ではないかと思う。
またCAR-T(カーティー)とは、何なのか。
簡単にいうと、それは患者の「免疫細胞」に遺伝子操作を加えて、がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻す。
上記に「免疫療法」という言葉があるが、それはどんな種類があるのか。国立がん研究センターHPから引用すると以下3つに大別される。
1) 体内の免疫(T細胞など)の活性化を持続する(ブレーキがかかるのを防ぐ)方法:免疫チェックポイント阻害薬
2) T細胞を体外に取り出してから、がん細胞の目印を見分ける遺伝子を入れて増やしてから体に戻す(アクセルを強める)方法:CAR-T療法
3) 体内の免疫を強める(アクセルを強める)方法:BCGなど
(1)は記憶にも新しい2018年ノーベル医学生理学賞受賞した京都大学 本庶佑名誉教授開発の免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)など
(2)は東京女子医科大学でも実施している(自由診療)の「自家腫瘍ワクチン」、「樹状細胞ワクチン療法」など
(3)は「免疫細胞療法」「サイトカイン療法」などが、これにあたる。
今は免疫療法の中でも注目されているものが(1)や(2)の治療法と思っている。
ただ未だ医学的なエビデンスがないものも多く、自由診療である治療法も多いので、よくネット広告で誇大な効果を謳っている民間クリニックなどには注意が必要だと思う。
「がん」と診断され治療の選択肢がなくなってくると藁にもすがる気持ちで、こういった医学的なエビデンスのない治療に目を向けてしまう。
ただその際は一旦落ち着いて、まずは主治医への相談、病院のがん相談支援センターなどから得られる情報、時にはセカンドオピニオン等を利用して検討した方が良いとは思う。また意外と冷静にネット記事を検索していくと信憑性ある情報が得られるケースもあると思う。
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現状、「がん3大治療(標準治療)」は
⒈外科手術
⒉放射線治療
⒊化学療法(抗がん剤治療)
となっており「免疫療法」は第4の治療法として研究開発が進んできた。
病変部位によっては手術ができない、放射線治療も身体へ照射する放射線量に絶対値があるので繰り返し何度も照射できない、化学療法(抗がん剤治療)も「がん細胞」は治療抵抗性があるので、使い続けると「効きづらく」なってくる。
医学的なエビデンスある免疫療法が確立され、「がん難民」「治療難民」となった方にとって「治療の選択肢」が増えることを望みたい。