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【契約書】どんな内容なら安心できるのか?【パフォーマー側の視点で】

先日、レイ法律事務所の代表弁護士である、佐藤大和先生の『その<出演契約>不安、ありませんか?』という勉強会に参加させていただきました!

勉強になることが沢山あったので、一部ですが感想を交えてシェアしたいと思います!

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■一体、どんな契約書を交わせると安心できるのか(パフォーマーの立場で)


コロナ後、パフォーマーさんの仕事現場で、書面で契約を交わせる機会が増えた印象です。
でも『契約を書面で交わす』のはある意味怖い面もあります。
どんな契約を交わせば安心して仕事に取り組めるのか、自分で理解していないと、納得ができる契約が交わせません。

………うーむ(*´-`)
…具体的に、何が書かれてりゃいいんだろか?

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必要最低限の事は書いてあることが多いけど、どんな点に注意が必要なのかな?
勉強になった事をピックアップしました。


■「へ~!」と思った契約書のポイント①
 【具体的な日付が書かれているか】

契約書を読んで「色々ちゃんと決まってる!」と思っても、実は『具体的な日付・数字が書かれていなくて後々困る』ということもあるそう。
例えば…

「…出演料を、本公演終了後、乙の指定する銀行口座に振り込んで支払います」

一見問題無さそうだけど、本公演の終了後の『いつまでに支払われるか』が具体的じゃないので「いつまで経っても支払われない!」などのトラブルが起きたりするそう。
なるほど…。

『具体的な日付・数字で示されているかどうか』というのは契約書の大事なポイントなんだなぁと思いました!

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個人的には、『稽古開始時期』などが「3月"中旬"から…」など曖昧な契約になっていることで、パフォーマーさんが仕事の調整をつけにくくなることが多いような気がします。
そのことで、パフォーマー・制作サイドの双方で困ることが多い気がするんですよね。
その辺りの整理は、今後の課題なのかも…。


■「へ~!」と思った契約書のポイント②
 【著作隣接権(作品の2次使用について)】


契約書の中に『著作隣接権』に関する項目があるかもしれません。
「著作隣接権、…って何?」って感じですが、実演家(パフォーマー)に認められた権利の一つで、

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などがあるそうです。
パフォーマー側に、上記等に関する権利が認められていたなんて知りませんでした!

例えば、公演のCDやDVDを出した時の『報酬』『扱い』について、事前にどのように書かれているかチェックする、なども重要なんですね。


■「へ~!」と思った契約書のポイント③
 【不可抗力】

不可抗力(人の力ではどうにもできないこと)により公演中止になった場合の項目に、『感染症の流行(コロナなど)』も記載されているかどうか、は大事なポイントだなと思いました。

また、それに関する『保証』についてきちんと書かれているか、その『保証は適切か』などしっかり見ておかなければならないですよね。


■「へ~!」と思った契約書のポイント④
 【知り合いからもらう仕事の契約について】


友人同士の繋がりでお仕事をするような『知り合い案件』の時は、契約書を作成してもらうことって難しいですよね。
そういう時でも「せめて『発注書』は作ると良い」というお話もありました。

「発注書、…って何?」と思いましたが、調べてみたら以下のようなもののようです。

発注書についてまだちゃんと理解できていませんが、やっぱり何かしらの約束の書面を残すことが大事なんですね。

知り合い案件の場合『友人関係』+『仕事の関係』=『二重関係(多重関係)』を持つことになります。
心理学の世界でも、『二重関係(多重関係)』は関係を保つのが難しくなると言われているので、お互いしこりを残さずお友達関係を崩さないためにも、『事前に約束事をはっきりさせる』というのは大切なことなのかもしれません。


■契約書をもらうタイミングについて


「契約書をもらうタイミングが遅いパターンがある」
ことについて弁護士さんに質問させていただいた所、「そういう現場が多い」という内容の返答があり、業界全体のあるあるなんだな~、ということを再認識しました。

一般的な労働者の場合、自分の給料や労働時間などがわからない状態で働き始めることはまずあり得ませんよね。
パフォーマーも「契約書を早くだしてください」と主張すること自体に全く問題は無いそう。


でも実際は「契約書を早く出して」と言うのはとても勇気のいる発言かもしれません。
しかし、パフォーマーさん達が本来当たり前である権利をちゃんと主張することで、業界の常識が変化するかもしれません。
コロナで色々常識が変化している今はチャンスかも知れません。

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契約書が早く貰えない場合、それまでのやり取りに関しては、

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との話もありました。『秘密録音』とは、吉本の契約問題で岡本社長が言ったと言われている「テープ回してないやろな」の、アレの事ですよね。
了承なしに隠れて録音することって法的にアウトなのかと思ってましたが、アウトじゃないそうです!
…そうなんだ(@_@)!

もちろん、クリーンでパフォーマーの権利を守ってくれる現場もたくさんあると思います!
しかし「何か怪しい」「怖い」と思う現場の時は、そういった『証拠』を出せる準備をちゃんとすることが大事なようです。



■「私たち労働者じゃないから…」


パフォーマーさん達とお話ししていると、「ほら、私たちって労働者じゃないから…」と、守られるべき権利について『あきらめるしかない』と無力感を感じておられる場面に出くわします。
でも、佐藤弁護士の話では、「活動の内容によっては俳優やアーティストは労働者として認められる場合もある」とのお話がありました。

また厚生労働省は現在、フリーランス(多くのパフォーマーさんが現在している働き方)を保護するガイドラインを策定しているようです。
今後の動きに注目していきたいです。


■パフォーマーさんも知識をつけるべき!


勉強会に参加して、パフォーマーさんの権利を守るために色々動いてくださっている方がいることを実感しました。
そして「困ったらプロの方にご相談できるのがベスト!」と思いました。

芸能関係者の方が、法律(権利)に関する学びを得られる以下のような団体もできました。

また、厚生労働省が運営している『フリーランス・トラブル110番』という、電話やメールで弁護士に相談できる窓口も出来たようです。


またパフォーマーさんも『自分の権利』について最低限の知識をつけておく必要があると思います。
『おかしいこと』『おかしくないこと』の違いに気づけることはとても大事ですよね。

権利に関するおかしいこと』が原因で、「パフォーマンスを続けるモチベーション」や「メンタルヘルス」に悪影響を及ぼす場合もあるかもしれません。
「自分が弱いのかな?」と思っていたことが、実は「権利の問題だった」ということもあるのかも。


パフォーマーの皆さん、知識を付けましょう(*^-^*)
私も勉強します!


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