僕たちの嘘と真実
「欅坂46」のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実」を見た。
コロナ禍の中で映画館は営業休止していたから、なかなか見られなかった。
本当は4月3日(なんと僕の誕生日!)公開予定だったはず。
何年か前、たまたま見ていたワイドショーで、「サイレントマジョリティー」が話題になっているという内容を放送していた。
センターの「平手友梨奈」を見た時のあの衝撃を忘れられない。
それまでは、アイドルなんて全く興味がなかった。大昔にキャンディーズや南沙織とかは良く見ていたけれど、最近のいわゆるアイドルはテレビに出ているのを見ても名前も覚えられなかった。
平手友梨奈。
可愛いとか綺麗とかいうことではない。
「オーラ」がある?うまく表現できないな。
15歳?嘘だろ?
映画を見終わってみて、これは「平手友梨奈の嘘と真実(と孤独)」ではないかというのが正直な感想。
高橋監督は、本当はこのタイトルにしたかったんじゃないかな。
見ていくうちに、胸が痛くなってくる。
平手の心が少しづつ壊れて行くのを見せられているような感覚。
音響効果がものすごく良いので、コンサート場面で平手の苦しげな吐息まで聞こえてくる。歌えば歌うほど踊れば踊るほど身を削っていく感じ。2度もステージから転落する。歌い終わって裏に行く時にフラフラで今にも倒れそう。そんな場面ばかり。
メンバーと距離を置いた片隅で一人で座り込んでいる。
圧倒的な「孤独」。悲しくて見ていられない。
「サイレントマジョリティー」のMVのメイキング映像のあの柔らかな笑顔がちらついて、また胸が痛くなる。
映画のパンフレットを30年ぶりくらいに購入した。
メンバーが50音順に紹介されている。原田葵と守屋茜の間にいるはずの平手友梨奈はいない。
10月に「欅坂46」は「櫻坂46」に改名するらしい。
そのことに僕は特に興味はない。
「欅坂46」は平手友梨奈そのものだったから、平手のいない欅坂は成立しないし、存在理由もない……と僕は思う。秋元康は解散も考えていたと思うな。
平手友梨奈にも欅坂にも興味のない人にとっては、何の意味もないし理解もできないことだろう。
しかしながら。
「不協和音」を歌うステージ上で、「僕は嫌だ」と鬼のような形相で叫ぶ平手友梨奈の姿は、僕の脳裏から永遠に消えない。