読書メモ・日常を眺めるのが楽しい小説「異世界居酒屋のぶ」
一、読んだ本
本名:異世界居酒屋のぶ 7巻
作者:蝉川夏哉
二、感想
今回、読んだのは、文庫版7巻。まったりした世界観に浸れる小説で、今回も良かったです。
私は、この小説「異世界居酒屋のぶ」シリーズが好きです。
今回は、7巻の感想ではなく、このシリーズの感想を書きます。
異世界居酒屋のぶとは
そもそも、異世界居酒屋のぶとは、
という、京都の和食居酒屋が、RPGに出てくるような中世ヨーロッパ風(魔法とか魔物は出てきません。)の世界で店を開くことになったという設定の小説です。いわゆる「異世界もの」です。
アニメ化、実写化、更には、派生作品「異世界居酒屋げん」まである人気作です。
居酒屋メニューの描き方が好き
基本的に、お話しは、居酒屋のぶの店内でいろんな人物が飲食する中で進んでいきます。
居酒屋のぶで提供される料理の全てが、設定上、異世界の料理であるため、お客さんが驚く反応の描き方が面白く、さらに、文章なのに料理がおいしそう、という点が、魅力です。
大人気。トリアエズナマ
舞台となる異世界にも、ビールはあります。
しかし、居酒屋のぶで出される冷えたビールは、この異世界では、高級なガラスの器(ジョッキ)で、きんきんに冷えていること、そしてキレが良いということで、人々に、非常に驚きと感動を与えます。
そして、「トリアエズナマ」という呼称で親しまれ、大人気商品となっています。
他にも、「カラアゲ」、「ユドウフ」、「ナポリタン」、私にとっては、当たり前の居酒屋メニューが、知らない世界の人が見たらこんな感じなんだろうかと、細かく丁寧に描かれています。
この料理の描写の仕方が、当たり前の風景を事細かく因数分解して描いていて、新鮮な感覚が味わえます。
登場人物は居酒屋の常連客
登場人物は、巻を増すごとに、増えていく常連客で、彼ら、彼女らには、様々な人生模様があり、どの登場人物も魅力的です。
短編で読みやすい
この作品、一冊の中に何話か、短い短編のエピソードが入っていて、それぞれが1話完結するので、気軽に読めます。
それぞれ1話は短いのですが、世界観は、前のお話しと繫がっていて、小説の世界全体としては、話が進んでいきます。
ゆったり、まったりな世界観
小説・居酒屋のぶを読んでいると、ハラハラ、ドキドキ、といった展開はほとんどなく、居酒屋のぶやこの舞台の古都の街の、ゆったりとした時間を感じられます。平和な世界観も、好きなポイントです。
でも、世界は流れていく
居酒屋のぶで、飲み食いしてる中で、あの回の老人が、今回の話しと繫がっていて、あんなことになるなんて・・・。
と、居酒屋のぶで、飲食するお客さんが思わぬところで繫がって、物語の舞台である古都アイテーリアや、国家、世界の歴史が流れていきます。
歴史は、日常の積み重ねで、世の中変わっていくといった感じで、
1話単位の日々が積み重なって、一冊読み終えると、世界に変化があり、この世界が次巻に続いていきます。
異世界の日常を眺める楽しみ
この作品、小説全体として、特に悪を倒すとか、異世界で売上を伸ばして繁盛店になるとか特別目的は出てきません。
様々な登場人物が、居酒屋で飲食する日常が描かれているだけなのに、新刊が出るたびに、読みたくなるという、不思議な魅力を持つ作品です。
次巻も、この世界のどんな日常が描かれ、歴史が流れるのか、とても楽しみです。
以上、まとまりませんが、異世界居酒屋のぶの世界観が好きという記事でした。