アラサーと算数の戦い
数学が苦手だった。
そもそも数学以前の算数から苦手だった。
幼稚園のとき通っていたそろばん教室で、先生に「才能がある」と褒められたと母が言っていたが、いくら才能があっても活かせなければ意味がない。
才能を活かせなかったのか、そもそも才能がなかったのかは定かではないが、人生において可能な限り算数やら数学といった「数」と名のつくものを避けて生きてきた。
私の横にいる誰かさんに言わせると、身の回りにあるものは全て「数」で成り立っているから「数」を避けて生きていくのは、不可能らしい。
なぜなら、私の目の前にあるこのパソコンもテーブルも全部「数」を使った計算で出来ているから。
でも、そんなのは出来る人に任せたらいい。
私は、「数」を避けて生きていきたい。
だから高校2年の終わりに、数学からおさらば出来るチャンスを与えられた私は、迷わず別れを告げた。
(そして、人生最後の数学のテストはどう見ても赤点だったが、数学教師だった担任の恩赦により無事進級出来た。)
大学受験でも数学が必要な国立大学は眼中にも入れず、私大を受けた。
就活のときにも、数学を避けるため某リクルート社が開発したSPIテストを採用している企業は受けなかった。
選考が進んで初めてSPIが必要だと明かされた企業が1社だけあり、しぶしぶSPIを受けた。もちろん、その企業は落ちた。
就職先も決まり、「数」とも二度と会うことはないと思っていたが、それは大きな間違いだった。
現在仕事を辞め新しい就職先を探している最中なのだが、選考が進む中で本命の企業が隠し玉を出してきた。
そう、SPIだ!!!
指定された受験期間の中から一番遅い日を予約したが、後1週間しかない。
急いで「1週間で出来る!」と書かれた対策本を買い、開いてみたもののこれまで「数」を避けてきたことが災いし、全く分からない。
回答・解説を見ても、分からない。
「解説」は、数学の基礎がある人向けに書かれているのだろう。
1行目の式が何故2行目で回答になるのだ。
1行目と2行目の間が、知りたいんだよ!
それでも、解説にある式を真似しながら、解こうとしてみた。
2,500+2,500×10÷3
(割り算部分は分数表記)
2,500+2,500=5,000で、10をかけて50,000になる。それを3で割るから、答えは16,666.6667!!
自信満々に回答を見るが、違う。
何回計算しても同じ数字が出てくる。なぜ?
そこでふと考えた。
もしかして、計算の仕方が違うのでは?
早速Google先生に「計算 順番」を尋ねると、式の中にかけ算(×)か割り算(÷)がある場合、それを先に計算するのだと言う!なんと!!
つまり2,500×10÷3を計算した後、2,500を足すということなのだ。
答えは、3,250!YES!
と喜んでいる場合ではない。
基本的な+-×÷も出来ないのだ。
(四則演算というらしい)
「○○才なのに〜」みたいな考えは普段好まないが、アラサーなのにこんなことも知らなかったなんて由々しき事態ではないだろうか。
ああ恥ずかしい。
小学校を卒業しているから算数は出来るとお墨付きを貰っているはずなのに、こんなことも出来ないだなんて。今までの学歴全部返上して小学1年生からやり直せと言われてもおかしくない。
「こんなことを長文でダラダラ書いている暇があるなら、勉強をしろ!」とのツッコミが入ること間違いなしだが、分からなすぎて進まない。
ちなみに「1週間で出来る!」はずの対策本は、1日分を終えるのに3日かかっている。やれやれ。
まず算数との戦いに勝つ必要がある私には、SPIは20年早そうだ。
だが、そこに敵がいる以上戦うしかない。
戦いはつづく。
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