不知所言ーーだましだまし命を伸ばす為だけの、私の「生きる言い訳」
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【不知所言】
ピンイン:bù zhī suǒ yán
意味:話した言葉が混乱していて、どう理解したら良いか分からない様。
『だましだまし命を伸ばす為だけの、私の「生きる言い訳」』
「夢は何ですか」
そう聞かれたら、私はいつも迷わずに
「強く、頼りある人になって誰かの支えになりたい」
と答えている。
そして同時に、小さくざわめく感情をグッとおさえ込みながら、
「まあ、ただのこじつけだが」
と胸の奥でポツリとつぶやいてもいる。
一人寂しく、悲しく。
産み落とされたくなかった。
父親に「お前なんか生まなきゃ良かった」と怒鳴られた日も、本当にその通りだったらどんなに素敵だろうと思っていた。
生を享けた理由が分からなかった。
無駄にたくさんの苦労で、自分がこの世に存在するのを許されたのは、一体何故だろうとばかり考えてきた。
自ら命を絶とうと試みたこともあった。
だが、「時期ではない」というお告げなのか。
危機一髪のところで必ず助け船が現れ、結局私は生き続けてきた。
私はどうも、易々と死ぬようには出来ていないらしい。
そこでようやく諦めがついたのか、「こうなったら与えられた寿命の限り、精一杯最後まであがいてやろうじゃないの」と吹っ切れてしまった。
とは言え、そう決めたところで別に虚しさが解消されることもなく。
見よう見まねで「成功」だの「豊かさ」だのを探り当てる日々にも飽き、つまらなさだけがますますと募っていった。
気付けば、心にはぽっかりと空いた穴が。
覗いても真っ暗そのもので、果てしなく深くて。
時折ぬらりと黒い両手が中から現れ、静かに私の首を絞めようとしていた。
ダメだ、押し潰されてしまうーー
「徒労感」というのは、これ程にも人を狂わせるのか。
そうだ、「言い訳」だ。
何か「言い訳」が必要だ。
こじつけでも良い。
こんな人生だとしても、無意味ではないと私自身に言い聞かせられる。
そんなだましだまし自分の命を伸ばす為の「言い訳」が欲しいーー
だから私は、
「強く、頼りある人になって誰かの支えになりたい」
という「生きる口実」を作った。
これだけの辛さを経てきたんだ。
作り笑いに隠された涙ぐらい見えるだろう。
苦しみを語る声に耳を傾けることぐらい出来るだろう。
笑い話に変えられる失敗談だってたくさん持っているだろう。
まだ自分自身の闇でさえ解決出来なくとも、戦い続けている。
この「逃げない姿勢」だけでも、誰かの励みになれるだろう。
だから、お前の人生は無駄ではないんだ。
だから、お前が生きているだけで「意味」を持つんだ。
私の毎日は言い訳ばかり、こじつけばかりだ。
どんな綺麗事を述べたとしても、それは「もう一日生き延びる為」だけのものに過ぎない。
それでいいのか。
分からない。
でもこんな毎日が続くことで、絶望の中にいる誰かが踏み止まって、私と一緒にもう一日、もう一日と生き延びてくれたら嬉しい。
ーーなんて、考えてみたりする。
📚人生の意味は「探し出すもの」ではなく、「作り出すもの」だ
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