24-派遣会社に登録、そして大学院へ!
【前回のお話】
(871字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
後になって知ったのだが、私が応募したのは派遣会社だった。
所謂「面接」というのも、実は派遣会社への登録説明会。
会社案内やら派遣システムやらについて延々と聞かされた後、名前や住所、連絡先を記入するよう登録用紙を渡された。
記入済み登録用紙と引き替えにログインIDとパスワードが付与され、最後にシフトサイトの使用説明を受け、「面接」は終わった。
そう、ここの派遣会社のシフトは、全て登録サイトを通しての自己申告制。
ログイン後、カレンダーから希望の勤務日と希望現場を選択し、予約ボタンをクリック。
これだけでシフトが決まるのだ。
余程のことが無い限り、日程調整が入ることもない。
当日は、集合時間内に派遣会社に向かえば、後は送迎バスが勤務先まで送り迎えしてくれる。
しかも給料はその日のうちに、現金で手渡しされるのだとか。
まさに気が向いたら「パッと働いて、パッと稼げる」アルバイトスタイル!
後日大学院の授業やら資格テスト対策やらでスケジュールが不安定になりがちな私にとって、実に最適なシフト制度だった。
またしても、ラッキーな出来事に巡り会えたのである。
ほくほくとした気分で、お次は大学院へ向かう。
海辺の町にある、広々とした立派な校舎だ。
ほんのりと吹いてくる潮風。
胸いっぱいに吸い込んで、心躍る気分で校庭を駆け、研究棟へ。
両手でガラスの扉を押し開けると、静寂な空間が広がっていた。
しんとした空気を壊さないよう、おそるおそる階段を登る。
長い廊下。
左右の壁に等間隔で研究室のドアが並んでいて、時折個々の部屋から、真剣に何かについて討論している声がひそひそと流れ出てくる。
心地よい紙とインクの匂い。
廊下の所々に掲示板があって、イベントポスターやら、学会のお知らせやらがポツポツ貼り出されていた。
(なんか、すごく落ち着く......)
大学時代はあんなに勉強が嫌いだったのに、今は「学問に囲まれている」、この雰囲気に安心感を覚えている。
(えっと……S教授の研究室は……あった!)
コンコンと扉をノックすると、奥から「はぁい」と柔らかい男性の声が聞こえてきた。
「そのまま、入って来ても良いですよ」
(つづく)