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第二十話

1
00:01:54,840 --> 00:01:55,680
龍おじ上

2
00:01:55,840 --> 00:01:57,080
龍おじ上 龍おじ上

3
00:01:57,600 --> 00:01:58,640
龍おじ上 しばし休息を

4
00:02:01,200 --> 00:02:03,640
答えはこんなに簡単だったのだ

5
00:02:04,640 --> 00:02:06,240
人の親たるもの

6
00:02:07,520 --> 00:02:12,040
当然最高のものを子に与えてやりたい

7
00:02:13,040 --> 00:02:14,200
もし与えないとすれば

8
00:02:14,920 --> 00:02:18,440
当然与えることができぬものなのだ

9
00:02:19,840 --> 00:02:21,320
天意は人を弄ぶ

10
00:02:22,080 --> 00:02:24,080
天意は人を弄ぶのだ

11
00:02:24,840 --> 00:02:25,640
子舒

12
00:02:26,480 --> 00:02:29,280
地図にある竹楼の右端に

13
00:02:30,080 --> 00:02:32,440
単楼がある そこは書庫だ

14
00:02:33,000 --> 00:02:35,240
中に地図が二張ある

15
00:02:35,600 --> 00:02:37,440
一張は龍淵閣の

16
00:02:37,720 --> 00:02:40,440
一張は武器庫の機関図だ

17
00:02:40,920 --> 00:02:46,120
後者をわしの代わりに葉前輩に渡してくれ

18
00:02:47,960 --> 00:02:48,720
それから

19
00:02:49,640 --> 00:02:52,960
龍淵閣は江湖を巡るちょっとした大道芸の腕前だ

20
00:02:54,200 --> 00:02:56,840
わしはずっとそれを捨てるのが惜しかった

21
00:02:57,280 --> 00:02:59,560
二巻の書に集成した

22
00:03:00,200 --> 00:03:01,800
それも中にある

23
00:03:02,080 --> 00:03:05,240
わしの弟子はみな龍孝に殺された

24
00:03:06,000 --> 00:03:09,880
わしとお前の師父の間の少しの香火の情を思って
(*香火情=共に線香を供え神に祈る盟約)

25
00:03:11,680 --> 00:03:13,720
わしの後継者を探してくれ

26
00:03:14,320 --> 00:03:17,240
龍おじ上 まだお伝えしていませんでしたが

27
00:03:18,520 --> 00:03:19,720
私はすでに成嶺を我々四季山荘の

28
00:03:20,240 --> 00:03:22,880
第六代弟子として受け入れました

29
00:03:25,240 --> 00:03:26,200
今まで知りませんでした

30
00:03:26,560 --> 00:03:30,120
彼の父親と恩師にこのような深い縁があったこと

31
00:03:31,080 --> 00:03:34,400
冥々の裡(うち)にある天意と言えます
(*冥冥之中=人が制御できないこと、予測不可能な状況《初刻拍案驚奇》)

32
00:03:35,400 --> 00:03:38,640
龍おじ上 若造の愚鈍を厭わないのでしたら

33
00:03:39,800 --> 00:03:41,600
成嶺を弟子としてお収めください

34
00:03:42,720 --> 00:03:43,520
よかろう

35
00:03:44,000 --> 00:03:45,560
お前は玉森の子であり

36
00:03:46,160 --> 00:03:47,480
懐章の孫弟子だ

37
00:03:48,320 --> 00:03:50,640
重ねてわしの衣鉢を継承する
(*衣钵=奥義)

38
00:03:51,720 --> 00:03:52,720
素晴らしい

39
00:03:54,240 --> 00:03:58,160
来る日にお前は三家の絶学を一身に負うことになる

40
00:03:59,000 --> 00:04:04,040
わしら三兄弟の情は裏切らぬ

41
00:04:09,640 --> 00:04:10,440
おじ上

42
00:04:10,600 --> 00:04:12,320
バカ なんて呼ぶんだ?

43
00:04:14,160 --> 00:04:14,880
龍師父

44
00:04:19,120 --> 00:04:19,920
龍師父

45
00:04:20,240 --> 00:04:21,080
龍おじ上

46
00:04:23,520 --> 00:04:28,480
子舒 白衣剣を持っておるか?

47
00:04:30,480 --> 00:04:34,680
この厄介者をたたき斬ってくれ

48
00:04:36,040 --> 00:04:38,680
龍前輩 この鉄鎖は簡単には外せません

49
00:04:39,200 --> 00:04:40,400
あなたは長く囚われていたので

50
00:04:40,560 --> 00:04:41,680
経脈はすでに枯渇しています

51
00:04:42,000 --> 00:04:44,200
一旦外すと 真気が沸き立って

52
00:04:44,440 --> 00:04:45,880
簡単に砕かれてしまいます
(*摧枯拉朽=枯れ草や朽ち木など脆いものは一撃で砕かれるの意)

53
00:04:46,400 --> 00:04:48,280
それの何が悪いのだ

54
00:04:49,000 --> 00:04:51,440
若者よ 教えてくれ

55
00:04:51,880 --> 00:04:54,400
わしに生き甲斐などまだあるか?

56
00:04:55,000 --> 00:04:56,400
我が友は死に

57
00:04:56,760 --> 00:04:58,000
女房が死に

58
00:04:58,720 --> 00:05:00,480
弟子も死んだ

59
00:05:00,720 --> 00:05:04,960
この世界の借りは全て返した

60
00:05:06,440 --> 00:05:09,640
すっきりさせてくれてもいいはずだ

61
00:05:10,600 --> 00:05:11,320
龍師父

62
00:05:11,840 --> 00:05:13,920
お願いです お願いです死なないで

63
00:05:14,600 --> 00:05:17,840
死は わしにとっては悪い事ではない

64
00:05:18,320 --> 00:05:22,000
むしろ解放である

65
00:05:23,040 --> 00:05:24,120
お前たちは分かるか?

66
00:05:24,640 --> 00:05:28,560
生きていくことこそ とても難しいのだ
(*千难万难=非常に困難であること《簫何月夜追韓信》金仁傑)

67
00:05:33,920 --> 00:05:35,280
子舒 龍師父

68
00:05:35,720 --> 00:05:37,000
子舒 わしはもうダメだ

69
00:05:37,120 --> 00:05:37,920
頼む

70
00:05:38,160 --> 00:05:41,680
この鎖を斬ってくれ

71
00:05:42,640 --> 00:05:44,920
魂になってもこんな物を着けたまま

72
00:05:45,320 --> 00:05:48,600
九泉の下で容兄弟たちに会ったら

73
00:05:50,000 --> 00:05:53,040
わしでも挨拶するのは気が引けるのだ

74
00:05:56,200 --> 00:05:56,680
龍師父

75
00:05:56,840 --> 00:05:58,240
頼む 子舒

76
00:05:58,880 --> 00:05:59,760
子舒

77
00:06:02,200 --> 00:06:03,200
子舒

78
00:06:18,040 --> 00:06:18,880
お前がやれ

79
00:06:47,920 --> 00:06:49,640
龍師父 死なないで

80
00:06:50,280 --> 00:06:51,160
いい子にします

81
00:06:51,680 --> 00:06:53,040
立派な武功をしっかり習得します

82
00:06:53,840 --> 00:06:55,160
四季山荘と龍淵閣の威名を

83
00:06:55,360 --> 00:06:56,600
盛り返します

84
00:06:57,320 --> 00:06:58,080
龍師父

85
00:07:08,440 --> 00:07:12,520
甄衍(ジェン・イェン) お前は
龍おじ上にお前の正体を

86
00:07:13,440 --> 00:07:14,840
本当に告げる気はないのか

87
00:07:48,080 --> 00:07:49,000
師弟

88
00:07:52,400 --> 00:07:54,680
阿絮 誰と混同してるの

89
00:08:00,040 --> 00:08:01,160
今日はどうしたの

90
00:08:01,560 --> 00:08:02,560
おかしくなった?

91
00:08:09,200 --> 00:08:09,960
龍おじ上

92
00:08:11,200 --> 00:08:12,160
ご安心ください

93
00:08:12,960 --> 00:08:16,000
甄家夫婦は早くに名を隠し

94
00:08:16,480 --> 00:08:17,360
顔を変え

95
00:08:18,080 --> 00:08:19,840
田園に隠居し 晩年安らかに過ごしました

96
00:08:21,760 --> 00:08:24,120
彼らの子は美しい年頃になって
(*出落=主に少女が年頃になって美しくなること《醒世恒言》馮夢龍)

97
00:08:28,360 --> 00:08:29,880
時に憎らしいこともありますが

98
00:08:30,920 --> 00:08:33,120
でも結局は悪い奴ではないです

99
00:08:34,320 --> 00:08:36,560
優れた武功を身につけました

100
00:08:36,800 --> 00:08:37,720
まことか?

101
00:08:38,800 --> 00:08:42,360
もしや秦兄弟が

102
00:08:42,520 --> 00:08:43,200
はい

103
00:08:44,360 --> 00:08:47,040
師父は彼らの痕跡を隠すために

104
00:08:47,800 --> 00:08:48,800
顔を変えました

105
00:08:49,520 --> 00:08:52,640
師父は彼らの子を師門に入れ

106
00:08:53,640 --> 00:08:55,160
私の二師弟になりました

107
00:09:01,160 --> 00:09:02,280
よかった

108
00:09:03,560 --> 00:09:05,040
よかった

109
00:09:15,760 --> 00:09:16,600
龍おじ上

110
00:09:19,240 --> 00:09:20,040
龍おじ上

111
00:09:20,200 --> 00:09:20,960
龍師父

112
00:09:53,480 --> 00:09:54,280
師父

113
00:09:56,520 --> 00:09:57,440
温叔は

114
00:10:00,240 --> 00:10:01,560
しばらく一人にしておいてやれ

115
00:10:14,600 --> 00:10:15,440
感謝します

116
00:10:32,280 --> 00:10:33,280
日数的には

117
00:10:33,840 --> 00:10:36,160
主人が蜀に着いてだいぶ経ってる

118
00:10:36,640 --> 00:10:38,240
どうしてその後 音沙汰ないんだ?

119
00:10:39,000 --> 00:10:41,480
あたしだけこのバカと捨て置かれて我慢してる
(*干熬=無駄に強いられる我慢《簫何月夜追韓信》金仁傑)

120
00:10:45,880 --> 00:10:46,840
お前このバカ

121
00:10:52,320 --> 00:10:53,280
誰が牀(しょう)から下ろした
(*床=ベッド、寝床)

122
00:10:53,680 --> 00:10:54,320
ほら

123
00:11:01,480 --> 00:11:02,720
誰が牀から下ろしたの

124
00:11:03,120 --> 00:11:05,360
この傷は静養してこそ治るって医者が言ったんだ

125
00:11:06,400 --> 00:11:07,600
動くな 牀から出るな

126
00:11:08,960 --> 00:11:09,600
阿湘

127
00:11:10,080 --> 00:11:12,400
君山の英雄大会での事を知ったよ

128
00:11:13,000 --> 00:11:14,400
僕は早く体を養生して

129
00:11:14,520 --> 00:11:15,600
清風剣派に帰らないと

130
00:11:16,680 --> 00:11:18,360
華山派のどのおしゃべり野郎が
お前にしゃべったんだ

131
00:11:18,520 --> 00:11:19,800
姑娘がそいつの舌を切ってやる

132
00:11:20,960 --> 00:11:21,840
そんなに怒らないで

133
00:11:22,200 --> 00:11:23,360
僕が彼らを問い詰めたんだ

134
00:11:23,920 --> 00:11:26,200
何だ? あたしが怒るから嫌になったか?

135
00:11:27,600 --> 00:11:28,440
違うよ

136
00:11:28,960 --> 00:11:29,840
君は顔では怒ってるけど

137
00:11:30,480 --> 00:11:32,360
僕は知ってる 君の心の中は

138
00:11:32,480 --> 00:11:33,280
何を知ってんだ

139
00:11:33,520 --> 00:11:35,520
あたしは顔より心の方が怒ってる

140
00:11:35,680 --> 00:11:37,760
また牀から下りるなら姑娘が脚を折ってやる

141
00:11:38,360 --> 00:11:41,320
阿湘 僕は清風剣派に帰る必要がある

142
00:11:41,760 --> 00:11:43,560
一緒に帰ってくれないかな?

143
00:11:46,480 --> 00:11:48,240
あたしがどうしてあんたと一緒に帰るんだ?

144
00:11:48,520 --> 00:11:49,720
行くなら行けばいい

145
00:11:49,960 --> 00:11:51,520
路上で死んでもあたしには関係ない

146
00:11:52,240 --> 00:11:54,480
あたしは主人を探しに行くんだ

147
00:11:54,920 --> 00:11:56,320
じゃあ 阿湘

148
00:11:57,000 --> 00:11:58,280
僕はまず清風剣派に帰るよ

149
00:11:58,520 --> 00:12:00,160
師門に困難があれば帰らないと

150
00:12:00,440 --> 00:12:03,200
用事が片付いたらすぐ戻るよ いいかな?

151
00:12:06,680 --> 00:12:07,280
阿湘

152
00:12:08,280 --> 00:12:08,880
安心して

153
00:12:09,440 --> 00:12:11,560
たとえ海の最果てでも 僕が生きてる限り

154
00:12:12,560 --> 00:12:13,720
僕は君を見つける

155
00:12:15,600 --> 00:12:16,520
あたしを探して何をするんだ

156
00:12:16,800 --> 00:12:18,560
姑娘は物忘れが激しいから

157
00:12:18,800 --> 00:12:20,360
あんたが戻って来ても

158
00:12:20,520 --> 00:12:22,680
どんな顔だったか覚えてないかもね

159
00:12:26,520 --> 00:12:27,880
清風剣派に困難があるって?

160
00:12:28,360 --> 00:12:29,960
どうしたんだ 清風剣派は

161
00:12:30,880 --> 00:12:33,080
僕は前にも変だと思ったんだ

162
00:12:34,040 --> 00:12:37,480
うちの師父は高盟主と莫逆の交わりだったのに

163
00:12:38,360 --> 00:12:40,520
どうしてかのご老人は英雄大会の前に

164
00:12:40,920 --> 00:12:43,400
夜を徹して山に帰ってしまったのか

165
00:12:44,200 --> 00:12:47,360
だから ってことは

166
00:12:47,960 --> 00:12:49,520
あんたの師父が先に琉璃甲を

167
00:12:49,640 --> 00:12:51,160
持って行った可能性が高いということか

168
00:12:51,320 --> 00:12:52,440
恐らくそうだ

169
00:12:53,120 --> 00:12:55,640
君の考え 僕ですらその辺りの考えが浮かんだよ

170
00:12:55,760 --> 00:12:57,160
他の人だって思ってるはずだよ

171
00:12:58,040 --> 00:12:58,960
僕は心配で

172
00:13:00,720 --> 00:13:04,560
そんなお前は是非とも清風剣派に帰らないとだな

173
00:13:04,720 --> 00:13:06,680
そうだよ 絶対帰って見てみないと

174
00:13:06,920 --> 00:13:09,200
もし僕の推測がはずれなら当然それが一番いい

175
00:13:11,240 --> 00:13:12,480
ならどうしようかな

176
00:13:12,840 --> 00:13:14,520
姑娘が一緒に帰るしかないな

177
00:13:14,760 --> 00:13:16,920
あんたは バカで間抜けな上に怪我してる

178
00:13:17,120 --> 00:13:18,200
あたしが守ってやらないと

179
00:13:18,320 --> 00:13:19,880
江湖の波風はこんなに険悪だから

180
00:13:20,000 --> 00:13:21,680
恐らくあんたは一歩も歩けない

181
00:13:23,800 --> 00:13:24,440
薬を飲め

182
00:13:31,800 --> 00:13:34,360
あたしは主人の代わりで琉璃甲を探るために

183
00:13:34,640 --> 00:13:36,400
このバカについて行かないとダメなんだ

184
00:13:37,080 --> 00:13:39,000
これは主人があたしに与えた任務だ

185
00:13:39,160 --> 00:13:40,640
あたしが行きたいわけじゃないからな

186
00:13:54,680 --> 00:13:57,240
君 我に負(そむ)かざれば

187
00:13:59,480 --> 00:14:02,320
我 君に負かず

188
00:14:04,600 --> 00:14:07,600
薄情簿主

189
00:14:09,680 --> 00:14:12,400
白い髪 朱い裙(もすそ)

190
00:14:18,040 --> 00:14:21,560
千巧よ どうしてまだ分からないのだ?

191
00:14:21,840 --> 00:14:24,360
今は趙敬が五湖盟盟主の後を継いで間もない

192
00:14:24,760 --> 00:14:25,920
まさに正念場

193
00:14:26,160 --> 00:14:28,640
我々はこんな大きな弱みを握ったんだ

194
00:14:28,800 --> 00:14:29,880
無駄にできるものか

195
00:14:31,840 --> 00:14:32,800
弱み?

196
00:14:32,880 --> 00:14:33,640
そうだ

197
00:14:34,200 --> 00:14:36,920
高崇が鬼谷と結託した話はまだ解決していない

198
00:14:37,040 --> 00:14:38,480
もし趙敬のこんな薄情な

199
00:14:38,640 --> 00:14:41,280
醜聞が報じられたら

200
00:14:41,400 --> 00:14:42,560
五湖盟の名声は

201
00:14:42,680 --> 00:14:44,400
完全に地に墜ちるだろう
(*一败涂地=一敗地に塗れる、二度と立ち上がれない敗北《史記・高祖本紀》)

202
00:14:44,560 --> 00:14:46,120
趙敬がそれを恐れぬとは信じられん

203
00:14:46,560 --> 00:14:50,080
烽郎 れっきとした男のくせに
(*须眉男子=ひげと眉が濃い堂々たる男子)

204
00:14:51,160 --> 00:14:53,440
どうしてこんな世間の法則が分からないの

205
00:14:54,280 --> 00:14:55,640
高崇は兄弟を裏切った

206
00:14:55,880 --> 00:14:56,920
それは世間の受け入れがたいところ

207
00:14:58,120 --> 00:15:00,120
もし一人の女が男を裏切れば

208
00:15:00,840 --> 00:15:02,520
誰でも誅していいはず
(*人人得而诛之=極悪人なので誰が殺してもいい《荘子・庚桑楚》)

209
00:15:03,600 --> 00:15:05,680
だけど一人の男が女を裏切るのは

210
00:15:07,600 --> 00:15:08,520
ただ若い頃の恋多き

211
00:15:08,640 --> 00:15:10,520
一面にしか見えない

212
00:15:11,200 --> 00:15:12,600
なんの弱みにもならない

213
00:15:13,320 --> 00:15:14,080
千巧

214
00:15:14,960 --> 00:15:17,440
我ら二人の間の事と彼らとは違う

215
00:15:19,120 --> 00:15:20,520
喜喪鬼は結局のところ

216
00:15:20,520 --> 00:15:22,800
一介の悲運な女子にすぎなかった

217
00:15:23,080 --> 00:15:24,720
彼女が世間の女魔頭になったのは

218
00:15:24,960 --> 00:15:27,080
全部あの負心郎によるものだ
(*负心郎=好色で軽薄な男の総称)

219
00:15:27,520 --> 00:15:28,400
そして天下に

220
00:15:28,600 --> 00:15:30,000
趙敬こそがこの負心郎だと

221
00:15:30,120 --> 00:15:31,440
知っている者がいるか?

222
00:15:33,080 --> 00:15:35,680
喜喪鬼の手をあんな多くの血に染めさせた

223
00:15:35,840 --> 00:15:38,360
趙という者は逃げ切れるか?

224
00:15:40,440 --> 00:15:41,360
それが何?

225
00:15:41,720 --> 00:15:43,080
趙敬が地位も名誉も失って

226
00:15:43,400 --> 00:15:44,640
あなたに何か良いことがある?

227
00:15:45,520 --> 00:15:46,880
五湖盟主が

228
00:15:47,120 --> 00:15:49,720
この華山掌門に回ってくるわけでもない

229
00:15:52,360 --> 00:15:53,160
バカだな

230
00:15:54,680 --> 00:15:57,240
趙敬が地位と名誉を失っても私には無益

231
00:15:57,520 --> 00:15:58,160
だが

232
00:15:58,520 --> 00:16:00,120
私たちはこの大きな弱みを

233
00:16:00,320 --> 00:16:01,400
趙敬と交換すれば

234
00:16:01,600 --> 00:16:03,520
お前にも私にも有益な物になる

235
00:16:04,200 --> 00:16:04,920
何?

236
00:16:06,000 --> 00:16:07,160
時が逆流するの?

237
00:16:08,600 --> 00:16:10,360
琉璃甲の行方だ

238
00:16:12,720 --> 00:16:15,240
高崇は自滅前に琉璃甲を破壊した

239
00:16:15,360 --> 00:16:16,600
そこにはきっと陰謀がある

240
00:16:16,960 --> 00:16:19,280
本物は恐らく趙敬と沈慎の手の中

241
00:16:19,960 --> 00:16:21,280
無名の小卒を

242
00:16:21,440 --> 00:16:23,000
無敵にする天下の武器庫に眠る秘宝に

243
00:16:23,120 --> 00:16:24,040
誰が心惹かれない?

244
00:16:24,520 --> 00:16:27,520
あの五湖盟の琉璃甲は
二十年ものあいだ隠されていた

245
00:16:27,840 --> 00:16:29,880
破壊したいならすでに破壊してる

246
00:16:34,080 --> 00:16:34,880
だが千巧

247
00:16:35,120 --> 00:16:36,720
あの神医谷の陰陽冊は

248
00:16:36,920 --> 00:16:38,800
"死人に医 白骨に肉"
(*起死人 肉白骨、死人を蘇らせること、どんな病も治す比喩《国語・呉語》)

249
00:16:38,960 --> 00:16:40,800
世間の全ての難病を根治させることができる

250
00:16:42,480 --> 00:16:44,880
お前のためにこれを手に入れたいんだ

251
00:16:48,480 --> 00:16:50,440
お前がもう私の話を信じずとも

252
00:16:50,800 --> 00:16:53,040
我ら二人の鴛の盟が最終的に破綻しようとも
(*鸳盟=オシドリのような愛情のある二人の約束、夫婦の契り)

253
00:16:53,720 --> 00:16:54,440
千巧

254
00:16:55,080 --> 00:16:57,800
ただお前の心の中にある
無念を晴らすことができれば

255
00:16:58,120 --> 00:16:59,920
于丘烽は死のうとも

256
00:17:00,720 --> 00:17:01,960
大往生と言える

257
00:17:04,880 --> 00:17:05,720
そうなの

258
00:17:09,400 --> 00:17:10,240
千巧姐

259
00:17:12,640 --> 00:17:14,640
千巧姐 いるの?

260
00:17:15,640 --> 00:17:17,840
千巧姐 いるでしょ?

261
00:17:23,600 --> 00:17:27,160
天狼寨と驚雲堂が本盟に加わります

262
00:17:27,600 --> 00:17:30,440
それはまことに虎に翼を添えるが如し
(*如虎添翼《心書・兵機》諸葛亮)

263
00:17:30,760 --> 00:17:33,120
沙幇主 汴州への旅路ご苦労様でした
(*汴州=現在の河南省開封市一帯、水運の大拠点)

264
00:17:33,360 --> 00:17:35,200
実に大きな功績です

265
00:17:36,200 --> 00:17:37,480
これは何の功績でしょう

266
00:17:37,960 --> 00:17:39,720
わしは使い走りなだけですよ

267
00:17:40,360 --> 00:17:42,160
嘘偽りなく言うと わしは今回行ったんだが

268
00:17:42,320 --> 00:17:43,800
何も喋る必要はなかった

269
00:17:43,960 --> 00:17:45,960
わしらの五湖盟の御旗を

270
00:17:46,160 --> 00:17:47,080
こう手にすれば

271
00:17:47,400 --> 00:17:48,320
おぬしらどう思う?

272
00:17:48,680 --> 00:17:50,920
あの二人の老いぼれはどもりすらせず

273
00:17:51,000 --> 00:17:52,160
承知しおった

274
00:17:53,880 --> 00:17:55,040
これが何を意味するかというと

275
00:17:55,280 --> 00:17:58,800
わしらの盟主の威光が素晴らしいということだ

276
00:17:59,640 --> 00:18:00,480
なんのなんの

277
00:18:01,640 --> 00:18:03,480
趙某の徳行はまだ浅い

278
00:18:03,640 --> 00:18:05,400
ただ盟主の座を借りてるだけです

279
00:18:05,800 --> 00:18:08,040
ですが君山の一件を経て考えるに

280
00:18:08,280 --> 00:18:11,440
本同盟は四分五裂していないだけでなく

281
00:18:11,720 --> 00:18:13,720
かえって名声は高まった

282
00:18:14,040 --> 00:18:17,480
これは大きな奇跡と言わざるを得ませんね

283
00:18:19,880 --> 00:18:21,600
皆さん わしが言いたいのは

284
00:18:21,760 --> 00:18:23,000
このあまねく天の下で

285
00:18:23,200 --> 00:18:24,360
わしらの趙盟主より

286
00:18:24,480 --> 00:18:25,680
他に相応しい人はいない

287
00:18:26,000 --> 00:18:27,000
ということです

288
00:18:27,240 --> 00:18:30,120
誰かが盟主の座に手を付けるなら

289
00:18:30,320 --> 00:18:32,840
老沙が一番に殴り殺してやりますよ

290
00:18:33,520 --> 00:18:35,880
沙幇主 その言はいただけませんね

291
00:18:36,680 --> 00:18:38,880
趙敬は就任して数月の長さにすぎませんが

292
00:18:39,480 --> 00:18:41,720
今日のような成果を得られたのは

293
00:18:42,240 --> 00:18:43,200
私ではなく

294
00:18:43,840 --> 00:18:45,920
ここにいらっしゃる皆さんによるものです

295
00:18:48,760 --> 00:18:49,440
ですが

296
00:18:50,320 --> 00:18:52,320
五湖盟が日増しに強大になることより

297
00:18:52,920 --> 00:18:54,400
私が気になるのは

298
00:18:54,760 --> 00:18:56,880
目下 行方不明の二人の子供

299
00:18:57,400 --> 00:18:58,720
小怜と成嶺です

300
00:19:00,040 --> 00:19:01,880
小怜は私が頭をなでて育った

301
00:19:02,200 --> 00:19:04,200
彼女はか弱い深窓の令嬢です

302
00:19:04,600 --> 00:19:06,800
江湖に半歩すら足を踏み入れたことがない

303
00:19:07,440 --> 00:19:08,200
言わせてもらえば

304
00:19:09,360 --> 00:19:11,680
江湖の恩讐に彼女を巻き込むべきではない

305
00:19:12,640 --> 00:19:14,280
ですが桃紅と緑柳の老いぼれ夫婦は

306
00:19:14,360 --> 00:19:16,320
彼女を人質として連れ去った

307
00:19:16,480 --> 00:19:18,120
実に見下げ果てた行為
(*令人不齿=人々の歯牙にもかけない、軽蔑すること)

308
00:19:20,640 --> 00:19:21,680
成嶺に至っては

309
00:19:23,080 --> 00:19:24,160
武林大会の後

310
00:19:25,120 --> 00:19:26,920
謎めいた人士と共に消えてしまった

311
00:19:27,800 --> 00:19:29,560
福か禍かも分かりません

312
00:19:32,720 --> 00:19:33,520
このとおりです

313
00:19:34,520 --> 00:19:38,320
趙某は二人の子供を見つけ出すために

314
00:19:38,600 --> 00:19:39,600
皆さまの手をお貸しいただきたい

315
00:19:40,800 --> 00:19:42,760
私の全てをなげうっても

316
00:19:43,720 --> 00:19:45,440
惜しくはありません

317
00:19:46,760 --> 00:19:48,880
盟主ご安心を ご安心ください

318
00:19:49,680 --> 00:19:52,600
そうだ 江湖を底からひっくり返してでも

319
00:19:52,800 --> 00:19:55,240
我らがその二人のお子さんを連れ戻して来ます

320
00:19:55,440 --> 00:19:57,320
生きていようと 死んでいようとだ

321
00:19:58,800 --> 00:19:59,480
老沙

322
00:20:01,800 --> 00:20:03,000
老沙はまた間違ったことを言ってしまった

323
00:20:03,200 --> 00:20:04,760
お仕置きだ

324
00:20:08,200 --> 00:20:08,960
阿湘

325
00:20:10,600 --> 00:20:11,720
于丘烽は中にいるのか?

326
00:20:14,120 --> 00:20:16,000
あいつは一体あなたに何のクスリを飲ませたんだ?
(*迷魂药=飛ぶクスリ)

327
00:20:16,120 --> 00:20:17,240
あの負心漢のことは

328
00:20:17,360 --> 00:20:18,920
薄情司の姐妹が教えてくれたよ

329
00:20:19,080 --> 00:20:20,680
どうしてまだ一緒にいるんだ?

330
00:20:21,960 --> 00:20:23,640
阿湘 静かにして

331
00:20:24,640 --> 00:20:26,560
今 岳陽城は情勢が乱れてて

332
00:20:26,680 --> 00:20:28,160
主人はいまだ意識がはっきりしてないし

333
00:20:28,320 --> 00:20:29,560
私とあなたも武功は低いから

334
00:20:29,680 --> 00:20:31,160
彼女を連れて行くことはできない

335
00:20:31,840 --> 00:20:33,640
今のところ私たちにはここが必要よ

336
00:20:33,760 --> 00:20:35,120
あいつが必要?

337
00:20:35,280 --> 00:20:36,640
あなたのあの高度な易容術で

338
00:20:36,800 --> 00:20:38,320
あたしたちを猫でも犬でも好きなのに化けさせたら

339
00:20:38,440 --> 00:20:39,440
街から出られるんじゃないの?

340
00:20:40,040 --> 00:20:41,320
それからあの老鬼どもと会って

341
00:20:41,440 --> 00:20:44,520
その于とかいう奴を八つ裂きにさせよう

342
00:20:44,760 --> 00:20:46,360
阿湘 分かってないね

343
00:20:46,640 --> 00:20:48,800
十大悪鬼の間は鉤心闘角(こうしんとうかく)で
(*钩心斗角=反り返った屋根の先が隣接したものどうしを威嚇しあってる様から、互いに腹を探り合って暗闘すること《阿房宮賦》杜牧)

344
00:20:49,000 --> 00:20:50,680
勢力を得るために一日だって

345
00:20:50,800 --> 00:20:51,880
殺し合いをしない日はない

346
00:20:52,760 --> 00:20:54,720
特に私たちみたいな女子はね

347
00:20:56,680 --> 00:20:59,720
何年も 主人の優れた武芸に頼って

348
00:20:59,960 --> 00:21:01,640
谷主の加護もあったから
(*庇佑=外患から庇うこと、神の加護《為文相公許州謝上表》司馬光)

349
00:21:02,040 --> 00:21:03,680
私たちは無事なだけ

350
00:21:05,520 --> 00:21:06,880
今は主人の意識が混濁してる

351
00:21:07,920 --> 00:21:08,680
恐らく

352
00:21:08,880 --> 00:21:09,920
何が恐ろしいんだ

353
00:21:10,280 --> 00:21:11,400
あたしが十人分の度胸を貸して
(*借个胆子=相手に何かをする勇気がないので度胸を貸す)

354
00:21:11,640 --> 00:21:12,960
あいつらにあたしたちをいじめる勇気が出たら

355
00:21:13,120 --> 00:21:15,000
主人が切り刻んで犬に食わせるよ

356
00:21:15,680 --> 00:21:17,600
だけど"遠水は近火を救わず"だよ
(*远水救不了近火=遠くに水があっても近くの火はすぐに消せない《韓非子・説林上》)

357
00:21:17,720 --> 00:21:19,800
あなたが谷主を見つけない限りはね

358
00:21:22,480 --> 00:21:23,720
彼があたしを見つけるだけ

359
00:21:24,000 --> 00:21:26,160
あたしはどこに探しに行くんだ

360
00:21:27,280 --> 00:21:28,760
私が薄情司の姐妹たちを

361
00:21:28,840 --> 00:21:30,040
下山して探しに行かせた

362
00:21:30,560 --> 00:21:33,000
彼女たちが 四方に暗号を残してる

363
00:21:33,160 --> 00:21:34,680
谷主がもし気付けば

364
00:21:34,800 --> 00:21:36,080
当然 連絡があるはず

365
00:21:36,320 --> 00:21:37,920
そんなやり方ダメだ

366
00:21:38,200 --> 00:21:39,000
天地は広いんだ

367
00:21:39,160 --> 00:21:40,360
主人がいつ彼女たちに

368
00:21:40,440 --> 00:21:41,520
会えるって誰が分かる?

369
00:21:42,400 --> 00:21:43,640
主人に会えなかったら

370
00:21:43,760 --> 00:21:46,240
もしかしてずっと羅おば様とここにいるの?

371
00:21:46,360 --> 00:21:47,880
それで于丘烽が当てになるのか?

372
00:21:49,840 --> 00:21:51,840
安心して 彼には対策を立ててる

373
00:21:52,760 --> 00:21:54,200
信用できるもんか

374
00:21:54,360 --> 00:21:56,160
あなたはあの悪党に毒されて

375
00:21:56,280 --> 00:21:57,480
あいつから離れたくないんだ

376
00:21:58,000 --> 00:21:58,880
これを先に知ってたら

377
00:21:59,240 --> 00:22:00,320
谷に入った時に

378
00:22:00,440 --> 00:22:01,680
主人と羅おば様に

379
00:22:01,840 --> 00:22:02,840
孟婆湯を飲まされて

380
00:22:03,000 --> 00:22:04,360
この大悪党をすっかり忘れてたはずだよ

381
00:22:04,600 --> 00:22:05,320
でたらめ言わないで

382
00:22:05,800 --> 00:22:07,600
お前みたいな小娘に何が分かるの

383
00:22:09,440 --> 00:22:10,280
もういいよ

384
00:22:10,640 --> 00:22:11,800
あたしは暴き立てたりしないよ

385
00:22:14,200 --> 00:22:15,040
それじゃ今

386
00:22:16,160 --> 00:22:18,200
羅おば様を救う方法は何があるの?

387
00:22:20,560 --> 00:22:21,520
できることはないよ

388
00:22:22,680 --> 00:22:24,160
孟婆湯の薬効は凄まじいの

389
00:22:24,720 --> 00:22:25,600
服用したら

390
00:22:25,720 --> 00:22:26,600
忘れてしまった記憶を

391
00:22:27,000 --> 00:22:29,520
呼び起こそうとするのは
最もやってはいけないことなんだ

392
00:22:30,680 --> 00:22:32,800
主人は前から離魂症を患っている

393
00:22:32,960 --> 00:22:34,120
良い時も悪い時もあって

394
00:22:34,520 --> 00:22:37,560
今も心は常人よりかなり乱れてるわ

395
00:22:38,000 --> 00:22:39,000
じゃあどうするんだ?

396
00:22:41,480 --> 00:22:43,360
主人の病は私がもう少しなんとかする

397
00:22:44,600 --> 00:22:45,480
そうだ 阿湘

398
00:22:45,640 --> 00:22:47,480
私を探しに来たのは何か用があったからよね?

399
00:22:49,520 --> 00:22:51,600
さよならを言いに来たんだ

400
00:22:52,200 --> 00:22:54,280
曹蔚寧が清風剣派に帰るって言うから

401
00:22:54,400 --> 00:22:55,600
あたしも一緒に着いて行くことになった

402
00:22:57,160 --> 00:22:58,600
あいつのためじゃないよ

403
00:22:59,080 --> 00:22:59,880
あたしは

404
00:23:00,360 --> 00:23:01,280
あたしは

405
00:23:01,920 --> 00:23:03,000
主人の任務のためだ

406
00:23:04,040 --> 00:23:05,040
そうね

407
00:23:05,120 --> 00:23:07,640
この小娘は普段は自分勝手なのに

408
00:23:07,800 --> 00:23:09,200
急に大人になったね

409
00:23:09,800 --> 00:23:10,360
もとは

410
00:23:10,480 --> 00:23:11,440
いい加減なこと言うなよ

411
00:23:13,360 --> 00:23:14,640
でも今は

412
00:23:14,880 --> 00:23:16,840
姐さんはこんな有り様で

413
00:23:17,000 --> 00:23:18,800
どうやって心置きなく出て行けるんだよ

414
00:23:20,640 --> 00:23:21,560
大丈夫よ阿湘

415
00:23:22,080 --> 00:23:23,080
安心して行きな

416
00:23:24,040 --> 00:23:25,640
もっと年を重ねれば分かるよ

417
00:23:26,760 --> 00:23:29,240
想い人が目の前にいることほど

418
00:23:29,240 --> 00:23:31,360
貴重な時はないんだよ

419
00:23:34,840 --> 00:23:36,560
一日過ごし日を数え
(*过一天算一天=無為に日々を過ごす、その日暮らしをする)

420
00:23:37,320 --> 00:23:39,160
一日多く日を稼ぎ

421
00:23:40,040 --> 00:23:43,480
他のことはもうどうでもよくなってしまうのよ

422
00:23:53,400 --> 00:23:54,160
蝎儿

423
00:23:54,920 --> 00:23:55,560
待ちくたびれたか?

424
00:23:55,680 --> 00:23:56,200
義父さん

425
00:23:58,080 --> 00:23:59,200
定例会はどうだった?

426
00:24:00,280 --> 00:24:01,200
どうと言うか

427
00:24:05,920 --> 00:24:07,480
天狼寨と驚雲堂は

428
00:24:08,040 --> 00:24:09,680
以前はどれほど尊大で

429
00:24:09,800 --> 00:24:11,160
どれほど飛揚跋扈(ひようばっこ)であったか
(*飞扬跋扈=思うままに振る舞うこと、横柄な態度《北史・斎高祖紀》)

430
00:24:11,400 --> 00:24:14,520
それが今や私の前で尻尾を振って
哀れみを乞うているではないか

431
00:24:15,320 --> 00:24:17,360
それから五湖盟のあの間抜け連中

432
00:24:17,480 --> 00:24:18,760
私が今 東に向かえと言えば

433
00:24:19,680 --> 00:24:21,240
敢えて西に向かえる者がいるか?

434
00:24:25,120 --> 00:24:26,240
この天狼寨主は

435
00:24:26,360 --> 00:24:28,640
噂ではいかにも勇猛で凶悪だったけど

436
00:24:28,800 --> 00:24:30,160
息子が少し策を弄しただけで

437
00:24:31,040 --> 00:24:33,120
彼は泣きながら跪き

438
00:24:33,440 --> 00:24:35,520
僕たちの五湖盟に仕えることを願い出た

439
00:24:35,920 --> 00:24:37,560
いっそ驚雲堂の方がましだよ

440
00:24:39,160 --> 00:24:41,040
始めから時勢を読んでいたしね

441
00:24:41,360 --> 00:24:44,680
良い子だ お前は私を大いに助けてくれる

442
00:24:45,440 --> 00:24:48,520
私が顔を出すのは都合が悪いことが多いので

443
00:24:48,680 --> 00:24:50,520
お前が私の代わりに悩みを解決してくれて

444
00:24:50,840 --> 00:24:52,280
この子がいてくれて

445
00:24:52,960 --> 00:24:54,880
父として大変幸運です

446
00:24:55,640 --> 00:24:57,360
蝎儿のやり方はまだ不十分だよ

447
00:24:57,720 --> 00:24:58,600
そうじゃないなら義父さんは

448
00:24:59,880 --> 00:25:02,440
どうしてなかなか僕を人前に立たせてくれないの

449
00:25:02,920 --> 00:25:04,520
義父さんがこれまで考えなかったとでも?

450
00:25:05,200 --> 00:25:06,080
だが

451
00:25:06,800 --> 00:25:10,800
毒蝎は外面的に評判がよくないし
積もった恨みは浅くはない

452
00:25:11,160 --> 00:25:12,880
まだ一番いい時機ではないのです

453
00:25:14,280 --> 00:25:15,640
もう少し辛抱しなさい

454
00:25:17,080 --> 00:25:18,280
全て義父さんの言う通りだよ

455
00:25:21,560 --> 00:25:23,680
仙霞派掌門 白啓峰(バイ・チーフォン)は

456
00:25:24,200 --> 00:25:26,480
知るべきでない事を沢山知ってしまった

457
00:25:27,400 --> 00:25:29,640
英雄大会を再開する前に

458
00:25:30,880 --> 00:25:32,280
彼の口を永遠に閉じさせるつもりです

459
00:25:33,160 --> 00:25:34,840
お前は幾人か腕利きの助手を伴って

460
00:25:35,120 --> 00:25:37,160
鬼谷を率いて彼らを崩してやりなさい

461
00:25:37,440 --> 00:25:38,600
後腐れなく

462
00:25:39,200 --> 00:25:40,040
仰せのままに

463
00:25:42,800 --> 00:25:44,520
龍孝は 知らせがあったか?

464
00:25:46,320 --> 00:25:47,440
彼も少なからず知っているが

465
00:25:48,080 --> 00:25:48,920
突然失踪した

466
00:25:51,040 --> 00:25:52,520
私の心は落ち着きません

467
00:25:53,320 --> 00:25:54,160
今のところまだないよ

468
00:25:55,120 --> 00:25:55,880
本来なら

469
00:25:56,920 --> 00:25:58,480
龍孝が別れを告げずに去ることはないから

470
00:25:59,240 --> 00:26:00,720
恐らく攫われたんだ

471
00:26:01,240 --> 00:26:02,240
でも義父さん安心して

472
00:26:02,880 --> 00:26:04,440
僕はもう人を調査に向かわせたよ

473
00:26:05,120 --> 00:26:06,000
たぶん

474
00:26:08,440 --> 00:26:09,680
返事が来るころだ

475
00:26:20,840 --> 00:26:21,480
龍孝

476
00:26:22,320 --> 00:26:24,320
英雄大会でお前がついた嘘は

477
00:26:24,640 --> 00:26:25,880
誰の指図だ?

478
00:26:29,160 --> 00:26:30,080
言わないか?

479
00:26:30,320 --> 00:26:32,400
言わないなら蹴落としてやろう

480
00:26:32,760 --> 00:26:33,640
この子供たちはお前を

481
00:26:33,760 --> 00:26:35,360
ちゃんと父親だと認識してるか見てやる

482
00:26:36,240 --> 00:26:37,080
龍孝

483
00:26:37,920 --> 00:26:39,520
あなたは龍前輩の跡継ぎだ

484
00:26:40,120 --> 00:26:41,600
我々はあなたに強制したくない

485
00:26:42,000 --> 00:26:44,680
違う 私は認めない あいつを認めない

486
00:26:45,000 --> 00:26:46,240
あいつを認めない

487
00:26:57,160 --> 00:26:58,960
この体はあいつが与えたのだ

488
00:26:59,760 --> 00:27:01,120
あいつに返すだけだ

489
00:27:01,480 --> 00:27:03,240
私はお前たちに言わない

490
00:27:05,280 --> 00:27:07,640
私は死んでもお前たちには言わない

491
00:27:30,360 --> 00:27:31,200
道理から言えば

492
00:27:31,800 --> 00:27:34,520
このケダモノは百回死んでも償えない

493
00:27:35,240 --> 00:27:37,240
だが彼は龍前輩の唯一の後継者でもある

494
00:28:00,360 --> 00:28:01,360
まず書庫に行こう

495
00:28:02,200 --> 00:28:03,960
地図を見つけて 出口を探すぞ

496
00:28:05,560 --> 00:28:06,400
成嶺

497
00:28:07,600 --> 00:28:09,280
お前はこれからは倍の努力が必要だ

498
00:28:09,440 --> 00:28:11,280
しっかり龍おじ上の機関の術を

499
00:28:11,640 --> 00:28:12,560
発展させるんだ
(*发扬光大=より一層の発展、大きく発揚すること《易経・坤》)

500
00:28:26,760 --> 00:28:28,240
前輩 戻られましたか

501
00:28:38,080 --> 00:28:39,040
俺たちは先に行こう

502
00:28:47,800 --> 00:28:49,880
長明山剣仙の後継者

503
00:28:51,200 --> 00:28:54,160
それから分舵から張成嶺を奪った奴ら

504
00:28:54,720 --> 00:28:55,520
クソめ

505
00:28:56,480 --> 00:28:59,880
こいつらはどうしてぞろぞろと龍淵谷に現れた?

506
00:29:01,200 --> 00:29:02,760
早く戻って蝎王に知らせねば

507
00:29:15,960 --> 00:29:16,800
ちょっとゆっくり

508
00:29:17,640 --> 00:29:19,080
あの老妖怪は何をぶつぶつ念じてるんだ

509
00:29:19,200 --> 00:29:19,920
聞いてやる

510
00:29:20,080 --> 00:29:20,760
やめとけよ

511
00:29:21,960 --> 00:29:23,320
俺たちは辺りを散歩してよう

512
00:29:25,240 --> 00:29:26,360
温叔 行きましょう

513
00:29:26,520 --> 00:29:27,320
私はまだ聞き足りないんだ

514
00:29:31,080 --> 00:29:32,480
師父 温叔

515
00:29:33,280 --> 00:29:34,320
私たち どこに行きましょう

516
00:29:38,320 --> 00:29:39,840
君の湘姐さんもどこに行ったか分かりませんが

517
00:29:40,360 --> 00:29:42,040
だけどあの子は頭が良いので

518
00:29:42,240 --> 00:29:43,440
我らの心配は無用です

519
00:29:43,640 --> 00:29:44,560
君山がこれだけ騒いだので

520
00:29:45,120 --> 00:29:46,960
五湖盟は無論 再起できず
(*一蹶不振=一度の挫折で立ち上がれない)

521
00:29:47,120 --> 00:29:49,440
江湖の好漢どもも皆 意気消沈でしょうから
(*灰头土脸=頭と顔がホコリまみれ、落胆すること《醒世姻縁伝》)

522
00:29:50,040 --> 00:29:51,520
少しは楽しみがあるはずです

523
00:29:56,520 --> 00:29:58,320
薄着すぎるんじゃない? 風邪引いた?

524
00:30:01,080 --> 00:30:03,760
君の師父の身体は本当に美人灯だね
(*美人灯=風が吹くとすぐ消える繊細な装飾の灯籠、傷つきやすい美人の比喩《紅楼夢》)

525
00:30:04,120 --> 00:30:05,240
風が吹いたら消えてしまう

526
00:30:06,560 --> 00:30:08,880
阿絮 事が全部片付いたら

527
00:30:09,520 --> 00:30:12,360
年中常春のような温かい場所を見つけて
(*四季如春=一年中穏やかな気候)

528
00:30:12,800 --> 00:30:14,560
悠々と過ごそうか

529
00:30:15,200 --> 00:30:16,000
成嶺

530
00:30:16,760 --> 00:30:17,640
お前はどこに行きたい?

531
00:30:18,240 --> 00:30:19,680
師父の行くところに私は行きます

532
00:30:21,160 --> 00:30:22,080
片付く前に

533
00:30:26,400 --> 00:30:28,760
共に四季山荘に帰ろう

534
00:30:30,240 --> 00:30:31,240
四季山荘?

535
00:30:35,400 --> 00:30:36,080
どうしたの?

536
00:30:36,880 --> 00:30:39,280
焦って弟子を尊師に会わせたら

537
00:30:39,920 --> 00:30:41,480
こんなバカ弟子を連れて帰ったって

538
00:30:43,560 --> 00:30:45,320
地下にいるあなたの師父が

539
00:30:45,560 --> 00:30:47,360
腹を立てて何度も
焼き大餅をひっくり返すのが怖くない?
(*翻来覆去=寝返りをうつ、何度もひっくり返す、居ても立っても居られない)

540
00:30:47,520 --> 00:30:48,600
俺たちの師父だろ

541
00:30:49,920 --> 00:30:51,480
私とあなたに何の関係が?

542
00:30:51,920 --> 00:30:53,200
俺たちのってどうしてそうなる

543
00:30:54,440 --> 00:30:55,520
お前がこれ以上調子に乗るなら

544
00:30:56,600 --> 00:30:58,120
師兄は師父の代わりに

545
00:30:58,520 --> 00:31:00,160
しっかりお前を躾けるぞ

546
00:31:00,600 --> 00:31:02,160
師父 温叔

547
00:31:02,720 --> 00:31:03,840
何を言い合ってるんですか?

548
00:31:05,280 --> 00:31:08,080
以後は 温叔と呼ぶんじゃない

549
00:31:08,760 --> 00:31:09,960
師叔と呼べ

550
00:31:12,920 --> 00:31:13,640
師叔

551
00:31:14,880 --> 00:31:16,200
誰が君の師叔なの

552
00:31:16,880 --> 00:31:19,400
阿絮 あなたの弟子は
大変なバカなのでからかうな

553
00:31:21,920 --> 00:31:22,680
師弟

554
00:31:23,880 --> 00:31:25,000
まだ俺を認める気はないのか?

555
00:31:26,200 --> 00:31:27,200
何を言ってるんだ

556
00:31:29,080 --> 00:31:30,480
老天は俺の半生を冷遇した

557
00:31:32,280 --> 00:31:34,720
今ようやく慈悲の心を見せたんだ

558
00:31:35,400 --> 00:31:37,880
四季山荘にただ一人だけ残った俺が
(*孤家寡人=大衆から孤立し無力な人《礼記・玉藻》)

559
00:31:41,040 --> 00:31:42,400
思いもよらずこの優れた弟子を得て

560
00:31:44,440 --> 00:31:45,640
更にはお前を連れ戻せた

561
00:31:48,320 --> 00:31:50,200
師父ご老人も九泉の下で

562
00:31:51,400 --> 00:31:52,640
安心できるだろう

563
00:31:59,720 --> 00:32:00,920
母さま 妙妙(ミァオミァオ)

564
00:32:03,240 --> 00:32:03,840
母さま

565
00:32:04,080 --> 00:32:04,760
妙妙

566
00:32:06,480 --> 00:32:07,520
衍儿 心配いらない

567
00:32:21,360 --> 00:32:22,440
白衣剑

568
00:32:38,360 --> 00:32:39,360
秦大哥

569
00:32:40,680 --> 00:32:42,040
もしあなたの到着が間に合わなければ

570
00:32:42,760 --> 00:32:45,680
我が一家三人の末路は考えるだに恐ろしい
(*不堪设想=想像を絶する《復呉南屏書》)

571
00:32:46,920 --> 00:32:49,320
大恩大徳に 甄某は

572
00:32:49,480 --> 00:32:50,080
黙れ

573
00:32:51,040 --> 00:32:53,000
本の虫が 何を言ってる

574
00:32:53,360 --> 00:32:54,600
まだ私を兄弟だと思ってないのか

575
00:32:57,080 --> 00:32:57,840
横になってろ

576
00:33:00,880 --> 00:33:02,280
父さまを傷つけるな

577
00:33:02,480 --> 00:33:04,880
父さまを傷つけるな 騒ぐな 衍儿

578
00:33:05,000 --> 00:33:06,000
父さまを傷つけるな

579
00:33:06,240 --> 00:33:07,080
衍儿 騒がないで

580
00:33:07,440 --> 00:33:09,720
ほら 母さまの言うことを聞いて 行くよ 父さま

581
00:33:10,040 --> 00:33:11,640
父さま いい子だから

582
00:33:13,200 --> 00:33:14,360
父さま

583
00:33:14,880 --> 00:33:19,040
すまない あの子は師父が

584
00:33:20,080 --> 00:33:22,400
私の手脚の筋を断ち切るのをその目で見たのだ

585
00:33:23,120 --> 00:33:24,120
脅えていた

586
00:33:27,240 --> 00:33:29,120
全く馬鹿げてる
(*岂有此理=理不尽なことに対する憤り《南斎書・虞悰伝》)

587
00:33:29,680 --> 00:33:32,720
師父も追い詰められてどうしようもなかった

588
00:33:33,320 --> 00:33:35,120
私一人の愚鈍さのせいで

589
00:33:35,840 --> 00:33:37,320
神医谷全体を潰すことはできない

590
00:33:38,040 --> 00:33:40,400
あの連中はもう気が触れていた

591
00:33:40,920 --> 00:33:43,240
もし師父が私と明確に一線を引かなければ

592
00:33:43,520 --> 00:33:45,080
神医谷の者全てを巻き添えにしていた

593
00:33:45,360 --> 00:33:47,520
ならば甄某は身骨を砕いても
(*粉身碎骨=摧身碎首 目的のために身を犠牲にすること《封鄄城王谢表》曹植)

594
00:33:51,480 --> 00:33:53,800
あの者どもは一体何をしに来たんだ?

595
00:33:54,520 --> 00:33:55,520
容弟一人で

596
00:33:55,840 --> 00:33:57,600
あんなに多くの仇を作るというのもあり得ない

597
00:33:57,920 --> 00:34:00,840
ましてや君らを巻き込んでしまっている

598
00:34:05,320 --> 00:34:07,600
衍儿 母さまはなんて言った?

599
00:34:08,000 --> 00:34:09,840
秦先生は私たち家族の大恩人よ

600
00:34:10,040 --> 00:34:11,200
彼に無礼は許さないわ

601
00:34:12,960 --> 00:34:13,800
ごめんなさい

602
00:34:14,160 --> 00:34:16,840
母さま 怖いのです

603
00:34:20,360 --> 00:34:22,440
心配いらない 母さまがいるからね

604
00:34:26,040 --> 00:34:27,080
君はなぜ泣いてるの?

605
00:34:29,080 --> 00:34:29,960
弟妹

606
00:34:32,400 --> 00:34:33,560
昨夜は兵荒馬乱で
(*兵荒马乱=戦争で社会が混乱している様)

607
00:34:33,720 --> 00:34:35,160
君に紹介できていなかった

608
00:34:38,680 --> 00:34:40,000
これは我が愛弟子

609
00:34:40,400 --> 00:34:41,520
私のご先祖さん

610
00:34:42,080 --> 00:34:42,960
周子舒だ

611
00:34:43,320 --> 00:34:45,520
師父 ふざけないでください

612
00:34:46,040 --> 00:34:49,000
天地大にして 親師尊びたり
(*親と師は尊ぶべき存在であること《春寒》王西彦)

613
00:34:50,800 --> 00:34:51,800
分かった分かった

614
00:34:52,720 --> 00:34:54,040
こんなに沢山薬草を採ったのか

615
00:34:54,720 --> 00:34:56,600
ご苦労だったね我らが周聖人殿よ

616
00:34:58,680 --> 00:35:00,120
お前は弟弟を遊びに連れていってやりなさい

617
00:35:00,520 --> 00:35:01,800
しっかり世話をしてやって

618
00:35:02,720 --> 00:35:03,800
私は遊べません

619
00:35:05,600 --> 00:35:07,880
遊びもできなくて何ができるんだ?

620
00:35:08,640 --> 00:35:11,480
行け 晩飯までに帰って来るなよ

621
00:35:12,200 --> 00:35:13,880
弟弟 なんて名だい?

622
00:35:14,000 --> 00:35:14,800
私は

623
00:35:15,800 --> 00:35:16,920
甄衍

624
00:35:17,120 --> 00:35:18,320
針の眼の眼?
(*针眼=針穴のこと、ジェンイェンと読む)

625
00:35:20,000 --> 00:35:21,840
漫衍の衍

626
00:35:22,000 --> 00:35:23,680
何にも縛られないという意味
(*无拘无束=何ものにも縛られず全くの自由、自由自在《醉太平・警世》)

627
00:35:23,880 --> 00:35:25,280
そうか 分かったよ

628
00:35:25,440 --> 00:35:26,560
甄衍だね

629
00:35:28,800 --> 00:35:30,440
この子の名前は?

630
00:35:30,640 --> 00:35:31,680
こいつは一鍋(イーグオ)

631
00:35:33,080 --> 00:35:34,160
一鍋?

632
00:36:21,920 --> 00:36:24,320
おバカさん 母さまよ

633
00:36:24,840 --> 00:36:27,960
お前たち 私の易容術はどうだ?

634
00:36:28,440 --> 00:36:29,320
学びたいか?

635
00:36:32,480 --> 00:36:33,760
父さまを見に行っておいで

636
00:36:44,000 --> 00:36:47,000
さあ 秦おじ上に跪け

637
00:36:47,440 --> 00:36:48,480
三回叩頭しなさい

638
00:37:02,600 --> 00:37:03,280
師父

639
00:37:03,560 --> 00:37:05,280
私たちがこの弟弟を連れて帰るんですか?

640
00:37:05,720 --> 00:37:06,600
そうだよ

641
00:37:06,840 --> 00:37:09,120
これからは お前にも連れがいる

642
00:37:09,760 --> 00:37:12,520
以後お前たち二人はお互いに慈しみ合うんだ
(*相亲相爱=お互いの深い愛情のこと《鳴凰記》胡分煥)

643
00:37:13,560 --> 00:37:15,600
お前は彼より大きいから 面倒を見てやりなさい

644
00:37:15,680 --> 00:37:16,400
分かったか?

645
00:37:16,880 --> 00:37:17,640
必ず

646
00:37:20,600 --> 00:37:21,320
弟弟

647
00:37:21,600 --> 00:37:23,360
私たちの家には
面白いもの美味しいもの沢山あるよ

648
00:37:23,760 --> 00:37:24,640
家に帰ったら

649
00:37:24,800 --> 00:37:26,120
私が全部出してきてあげるよ

650
00:37:27,040 --> 00:37:27,960
師弟と呼びなさい

651
00:37:29,600 --> 00:37:30,480
師弟

652
00:37:35,840 --> 00:37:36,680
大丈夫?

653
00:37:38,880 --> 00:37:41,040
愚夫婦は通年外にいて

654
00:37:41,600 --> 00:37:45,360
犬っころは家では我儘放題でどうしようもない

655
00:37:45,680 --> 00:37:49,840
今後また子舒小兄弟が
存分に躾けてやってください

656
00:37:50,680 --> 00:37:53,200
もし間違いがあれば いくらでも罰していい

657
00:37:53,840 --> 00:37:54,600
ただ

658
00:37:55,440 --> 00:37:56,880
この子は可哀想だ

659
00:37:59,160 --> 00:38:00,160
見捨てないでやってください

660
00:38:01,320 --> 00:38:04,440
父さま どういう意味ですか?

661
00:38:04,720 --> 00:38:06,400
私と一緒に行かないのですか?

662
00:38:08,560 --> 00:38:11,360
このすれ違いから二十年も経った

663
00:38:12,840 --> 00:38:15,240
本当に幸運だった

664
00:38:17,400 --> 00:38:19,000
俺の命は長くないと思っていたし

665
00:38:19,960 --> 00:38:22,480
成嶺も俺の武功を何割学べるか分からない

666
00:38:24,920 --> 00:38:26,000
今はお前を連れ戻せた

667
00:38:26,960 --> 00:38:28,400
全てが最高の段取りだ

668
00:38:29,560 --> 00:38:32,520
四季山荘を再興し 成嶺の面倒をみて

669
00:38:33,040 --> 00:38:34,480
師父の遺志を継承する

670
00:38:35,240 --> 00:38:36,520
俺だって安心できる

671
00:38:36,760 --> 00:38:37,480
師父

672
00:38:38,200 --> 00:38:39,280
命が長くないって何ですか?

673
00:38:40,200 --> 00:38:41,680
どうして命が長くないのですか?

674
00:38:42,560 --> 00:38:43,920
あなたのたわ言はもう沢山

675
00:38:44,960 --> 00:38:45,960
無理やり引きずり込むな
(*生拉硬拽=条件に関わらず主観的に物事を行う、牽強付会)

676
00:38:46,440 --> 00:38:47,640
四季山荘を再興するなら

677
00:38:48,080 --> 00:38:49,720
自分で生きて自分で働け

678
00:38:55,200 --> 00:38:56,360
衍の字を二つに分けると

679
00:38:57,000 --> 00:38:58,160
客行じゃないか
(*客路青山外 行舟綠水前=客路青山の外れ 行く舟緑水の前 *衍=行と水から連想するこの詩の1句目2句目の頭文字が客行《次北固山下》王湾)

680
00:38:58,920 --> 00:39:00,080
俺は一葉に目を覆われて
(*一叶障目 不见泰山=木を見て森を見ず)

681
00:39:00,920 --> 00:39:03,240
ずっとお前が容炫前輩の跡継ぎだと思っていた

682
00:39:08,160 --> 00:39:09,560
お前は俺の甄家の弟弟だったんだ

683
00:39:13,640 --> 00:39:14,800
なぜ温に改名したんだ?

684
00:39:24,240 --> 00:39:25,200
私はもともと温だ

685
00:39:26,120 --> 00:39:27,440
師父 師叔

686
00:39:28,120 --> 00:39:29,080
あなたたちは何を言ってるんです?

687
00:39:29,840 --> 00:39:31,800
分かった もう聞かない

688
00:39:32,600 --> 00:39:34,280
この年月の間に一体何が起こったんだ

689
00:39:34,440 --> 00:39:35,120
甄家は

690
00:39:37,080 --> 00:39:37,960
大丈夫か?

691
00:39:40,560 --> 00:39:42,080
師叔 師叔

692
00:39:42,240 --> 00:39:43,280
成嶺 追うな

693
00:39:44,320 --> 00:39:46,240
師父 師叔は

694
00:39:48,560 --> 00:39:49,800
自分で戻ってくるまで待とう

695
00:40:46,440 --> 00:40:47,200
遅すぎる

696
00:40:50,720 --> 00:40:52,120
遅すぎる





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