第二十三話
1
00:01:56,120 --> 00:01:58,920
沈おじ上 お見送りします
2
00:02:02,440 --> 00:02:04,160
その前にあの
3
00:02:04,760 --> 00:02:06,200
お怪我は差し障りないですか?
4
00:02:08,960 --> 00:02:09,920
大したことはない
5
00:02:12,000 --> 00:02:13,520
彼ら温家への借りは
6
00:02:15,640 --> 00:02:17,280
あの一掌どころでは返せぬ
7
00:02:18,560 --> 00:02:19,560
では
8
00:02:21,080 --> 00:02:22,560
どちらへ行かれるのですか?
9
00:02:23,320 --> 00:02:25,320
まず先に君の小怜姐を捜す
10
00:02:26,000 --> 00:02:27,320
こんなに長く失踪していると
11
00:02:27,480 --> 00:02:28,520
心配だ
12
00:02:28,960 --> 00:02:29,720
そんなことないです
13
00:02:30,080 --> 00:02:30,880
師父が言ってました
14
00:02:31,600 --> 00:02:34,200
高おじ上が英雄大会であなた方を守るために
15
00:02:34,440 --> 00:02:35,640
琉璃甲を破壊したので
16
00:02:36,240 --> 00:02:37,720
小怜姐を連れ去った人が
17
00:02:37,920 --> 00:02:39,240
彼女の命を傷つけることは絶対にないと
18
00:02:39,560 --> 00:02:40,440
そう願う
19
00:02:40,640 --> 00:02:42,680
大哥の血筋はこれだけだ
20
00:02:42,840 --> 00:02:44,840
彼女さえも守れぬなら
21
00:02:54,760 --> 00:02:55,440
成嶺
22
00:02:56,400 --> 00:02:58,640
君は今や四季山荘の門下だ
23
00:02:59,240 --> 00:03:01,200
おじさんはとても嬉しい
24
00:03:01,640 --> 00:03:02,680
我ら兄弟は
25
00:03:03,520 --> 00:03:05,040
温家への借りがとても深い
26
00:03:05,360 --> 00:03:06,560
しっかり言うことを聞いて
27
00:03:07,120 --> 00:03:08,320
師長に孝を尽くし
28
00:03:08,720 --> 00:03:10,640
我らのためにどうにか少しでも埋め合わせしてくれ
29
00:03:10,840 --> 00:03:12,840
沈おじ上 分かりました
30
00:03:13,280 --> 00:03:14,400
もし小怜を見つけたら
31
00:03:15,400 --> 00:03:18,080
彼女を大孤山派に入るよう手配する
32
00:03:18,560 --> 00:03:19,360
ただ
33
00:03:20,520 --> 00:03:22,360
もしいつか私がいなくなったら
34
00:03:23,080 --> 00:03:23,840
たとえ君と小怜に
35
00:03:24,000 --> 00:03:25,640
夫婦の縁などなかろうと
36
00:03:25,880 --> 00:03:27,520
彼女の面倒を見てやれぬだろうか
37
00:03:28,360 --> 00:03:29,360
できればの話だが
38
00:03:29,600 --> 00:03:31,320
四季山荘で支えてやってくれ
39
00:03:31,480 --> 00:03:33,280
彼女は一人ぼっちで身寄りがない
40
00:03:34,040 --> 00:03:34,880
できるか?
41
00:03:35,160 --> 00:03:37,160
はい おっしゃらずとも
42
00:03:37,320 --> 00:03:38,880
私も小怜姐のお世話をします
43
00:03:39,000 --> 00:03:39,840
良い子だ
44
00:03:41,760 --> 00:03:42,880
もう行く
45
00:03:44,880 --> 00:03:45,680
達者で
46
00:04:14,040 --> 00:04:14,880
まだ目覚めないか
47
00:04:19,360 --> 00:04:20,050
阿湘
48
00:04:20,960 --> 00:04:21,880
老温は以前に
49
00:04:22,520 --> 00:04:24,280
吐血して昏倒する持病があったか?
50
00:04:26,280 --> 00:04:27,120
ないよ
51
00:04:28,000 --> 00:04:29,360
でもあたしが小さい頃は
52
00:04:29,960 --> 00:04:31,800
主人はいつも病で床に臥せってた
53
00:04:32,880 --> 00:04:34,520
大人になってからはなくなったけど
54
00:04:37,400 --> 00:04:38,880
君はいつ老温に付いたんだ?
55
00:04:40,440 --> 00:04:41,840
物心ついた時から
56
00:04:42,080 --> 00:04:43,240
あたしは主人に付いてる
57
00:04:43,800 --> 00:04:44,520
ならば
58
00:04:47,360 --> 00:04:48,840
彼はまたいつそこに来た?
59
00:04:51,880 --> 00:04:52,680
どこに
60
00:04:55,080 --> 00:04:55,960
なんでもない
61
00:04:57,000 --> 00:04:59,680
お嬢ちゃん 一息ついてこい
62
00:04:59,920 --> 00:05:00,800
俺が見てる
63
00:05:02,640 --> 00:05:04,240
いやだ あたしは主人のそばにいたい
64
00:05:05,240 --> 00:05:06,240
なら放っておくのか
65
00:05:06,920 --> 00:05:09,160
あの飲まず食わずで君のそばにいる曹少侠を
66
00:05:11,040 --> 00:05:12,040
あいつが何をしようと構わない
67
00:05:12,640 --> 00:05:13,840
主人の方が大切だよ
68
00:05:14,320 --> 00:05:16,960
良い子だから 一休みしておいで
69
00:05:17,440 --> 00:05:18,440
俺がいるから
70
00:05:22,600 --> 00:05:23,360
分かったよ
71
00:05:23,680 --> 00:05:24,560
じゃあ主人が目覚めたら
72
00:05:24,720 --> 00:05:25,840
真っ先にあたしに教えろよ
73
00:06:08,920 --> 00:06:10,040
阿行が間違えた
74
00:06:10,240 --> 00:06:11,720
谷主もう一度ご教示願います
75
00:06:11,880 --> 00:06:12,680
それが正しい
76
00:06:13,400 --> 00:06:15,960
覚えておけ ここは鬼谷だ
77
00:06:16,120 --> 00:06:17,440
山谷の谷(グ)ではない
78
00:06:18,160 --> 00:06:19,960
蠱虫の蠱(グ)だ
(*蛊=毒虫に殺し合いをさせ生き残った最後の一匹)
79
00:06:20,240 --> 00:06:23,560
一切を飲み込むほど勇猛で無慈悲な蠱王だけが
80
00:06:23,720 --> 00:06:25,240
十万の陰幽の地に
81
00:06:25,400 --> 00:06:27,120
生き残る資格があるのだ
82
00:06:28,040 --> 00:06:31,680
お前が死ぬか わしが生きるか
83
00:06:35,000 --> 00:06:36,960
人は痛みを恐れ お前は恐れぬ
84
00:06:37,280 --> 00:06:39,160
むしろ痛みを享受する
85
00:06:39,400 --> 00:06:41,720
ならばお前は生きて やつらは死ぬ
86
00:06:42,400 --> 00:06:45,280
阿行 お前は幼くして谷に入り
87
00:06:45,480 --> 00:06:47,360
自分の力で今日まで生きた
88
00:06:47,520 --> 00:06:50,560
そしてこのような人材を輩出するのは
実に容易ではない
89
00:06:51,720 --> 00:06:55,640
本座がお前を見込んで 調教してやるのだ
90
00:06:56,200 --> 00:06:59,360
阿行 感恩戴徳 心に銘記致します
91
00:06:59,480 --> 00:07:00,160
よろしい
92
00:07:01,200 --> 00:07:03,920
次代の万蠱の王 万悪の頭に
93
00:07:04,080 --> 00:07:05,400
なれるかどうか
94
00:07:05,880 --> 00:07:07,880
それはおのれ次第だ
95
00:07:30,600 --> 00:07:32,720
老温 目が醒めたか
96
00:07:36,200 --> 00:07:37,240
阿絮
97
00:07:41,920 --> 00:07:43,600
お前は一昼夜昏倒してたんだ
98
00:07:44,160 --> 00:07:45,760
早く内息を巡らせてみろ
99
00:07:46,520 --> 00:07:48,000
脈像が正常なので
100
00:07:48,240 --> 00:07:49,680
むやみに投薬できなかった
101
00:07:51,200 --> 00:07:51,720
構わない
102
00:07:52,760 --> 00:07:55,320
一時的に内息が道を行き違えたのかも
103
00:07:58,720 --> 00:07:59,680
沈慎は?
104
00:08:00,400 --> 00:08:01,640
もう追い出した
105
00:08:03,000 --> 00:08:04,120
どうして
106
00:08:06,000 --> 00:08:06,960
沈慎という人は
107
00:08:07,600 --> 00:08:09,000
愚かで利己的だが
108
00:08:09,800 --> 00:08:11,600
所詮は人に惑わされたにすぎない
109
00:08:11,800 --> 00:08:12,760
死に追いやるほど罪はない
110
00:08:14,320 --> 00:08:15,320
長年
111
00:08:15,640 --> 00:08:18,800
彼ら兄弟たちも良心の呵責に苛まれている
112
00:08:19,000 --> 00:08:19,920
良心?
113
00:08:20,840 --> 00:08:23,720
周子舒 あなたは全ての人に
良心があると思ってるのか?
114
00:08:24,440 --> 00:08:26,680
沈慎が私の父と母の所在を尋ねる顔があるなら
115
00:08:27,120 --> 00:08:29,080
私はあいつを彼らに会わせるべきだ
116
00:08:32,840 --> 00:08:34,360
老温 結局のところ
117
00:08:34,600 --> 00:08:36,080
罪があるのは毒を盛った趙敬だ
118
00:08:36,440 --> 00:08:38,680
その他の何人かは彼らなりの苦しみがある
119
00:08:39,560 --> 00:08:41,840
あなたは今 衆生皆苦しむと言ったのか?
120
00:08:42,160 --> 00:08:43,760
私の両親は苦しまなかったのか?
121
00:08:44,240 --> 00:08:45,880
悪人の苦しみは苦しみで
122
00:08:46,080 --> 00:08:48,000
善人は黙して死を受け入れるべきだと?
123
00:08:48,360 --> 00:08:49,640
菩薩になるならあなたがなって
124
00:08:50,200 --> 00:08:52,320
私はむしろ万悪の頭になって 地獄に落ちる
125
00:08:52,680 --> 00:08:54,200
この謂れのない屈辱には耐えられない
(*肮脏气=表に出せない苛立ち、理由がない屈辱《児女英雄伝》)
126
00:08:55,400 --> 00:08:56,200
老温
127
00:08:58,680 --> 00:08:59,360
すまない
128
00:09:00,680 --> 00:09:02,360
これは結局お前の私憤だ
129
00:09:04,240 --> 00:09:05,960
お前の代わりに勝手に主張するべきじゃなかった
130
00:09:08,920 --> 00:09:09,920
許してくれ
131
00:09:12,760 --> 00:09:15,040
俺はお前の両手が鮮血で汚れるのを見たくない
132
00:09:23,480 --> 00:09:24,120
まあいい
133
00:09:24,800 --> 00:09:26,960
沈慎の奴がもし私の手で死んで
134
00:09:27,640 --> 00:09:29,720
罪を償う機会を得たとしたら
135
00:09:29,960 --> 00:09:31,160
それは彼には安すぎる
136
00:09:32,000 --> 00:09:33,240
ちゃんと生かして
137
00:09:33,960 --> 00:09:35,920
その目で五湖盟の犬どもを見させてやる
138
00:09:36,360 --> 00:09:37,280
お前が快復したら
139
00:09:37,760 --> 00:09:40,560
一緒に趙敬の報復に行くぞ
140
00:09:45,560 --> 00:09:46,640
私はもともと平気です
141
00:09:47,760 --> 00:09:49,040
ちょっと喉が乾いただけだ
142
00:09:50,320 --> 00:09:51,480
早くお世話して
143
00:10:06,840 --> 00:10:08,360
酒に換えてやろうか?
144
00:10:18,400 --> 00:10:21,280
行くにしてもあなたが完治してからです
145
00:10:22,520 --> 00:10:25,400
五湖盟の連中は口では仁義道徳を謳い
146
00:10:26,080 --> 00:10:27,560
実際は背信棄義している
(*背信弃义=信頼を道義にもとる行為で裏切る《北史・周紀》)
147
00:10:28,440 --> 00:10:30,000
よりによって盟主の座は
148
00:10:30,400 --> 00:10:33,400
情義のない悪党の手に落ちた
149
00:10:34,040 --> 00:10:35,200
これはまだ報いじゃない
150
00:10:35,960 --> 00:10:37,800
私は今その犬どもが噛み合う腐った心根を
(*脏心烂肺=比喩的に汚れた心と腐った肺《紅楼夢》)
151
00:10:37,920 --> 00:10:38,760
見ているんだ
(*狗咬狗=悪人同士が内輪もめすること、犬同士のケンカ)
152
00:10:39,720 --> 00:10:41,960
手刃より遥かに爽快だ
153
00:10:43,200 --> 00:10:44,000
主人
154
00:10:47,240 --> 00:10:48,920
主人 脅かさないでよ
155
00:10:49,600 --> 00:10:50,450
うるさい
156
00:10:50,640 --> 00:10:51,480
主人 どうなの?
157
00:10:51,640 --> 00:10:52,960
まだ頭がくらくらする? お腹すいてない?
158
00:10:53,120 --> 00:10:54,360
ご飯作ってあげようか?
159
00:10:54,520 --> 00:10:56,120
今はとてもうるさいと思ってる
160
00:10:56,960 --> 00:10:57,800
ひとまず話しててくれ
161
00:10:58,000 --> 00:10:59,840
俺は成嶺が飯をちゃんと作れてるか見てくる
162
00:11:07,880 --> 00:11:09,520
主人 あなたは
163
00:11:11,640 --> 00:11:12,600
孟婆湯だ
164
00:11:14,000 --> 00:11:15,880
君 我に負かざれば
165
00:11:17,680 --> 00:11:19,440
我 君に負かず
166
00:11:21,120 --> 00:11:22,000
敬郎
167
00:11:23,120 --> 00:11:23,760
主人
168
00:11:23,840 --> 00:11:24,560
敬郎
169
00:11:26,000 --> 00:11:26,720
主人
170
00:11:28,560 --> 00:11:29,480
敬郎
171
00:11:33,160 --> 00:11:35,200
天下に趙敬という名の者は非常に多い
172
00:11:36,000 --> 00:11:37,720
この狂った女が口にする趙敬は
173
00:11:37,840 --> 00:11:38,760
ただの偶然かもしれない
174
00:11:39,880 --> 00:11:41,280
でももし本当に誤解なら
175
00:11:41,840 --> 00:11:43,720
義父さんがわざわざ急色鬼を遣って
176
00:11:43,840 --> 00:11:44,880
口を封じる必要はない
177
00:11:45,400 --> 00:11:46,520
敬郎
178
00:11:48,480 --> 00:11:49,680
敬郎
179
00:11:50,960 --> 00:11:55,280
君 我に負かざれば 我 君に負かず
180
00:11:57,080 --> 00:11:58,080
敬郎
181
00:12:01,960 --> 00:12:03,040
何をするつもりだ
182
00:12:04,320 --> 00:12:05,560
また何ができる?
183
00:12:08,000 --> 00:12:09,680
彼女の脈を取ってやるだけだ
184
00:12:10,360 --> 00:12:11,160
どけ
185
00:12:14,240 --> 00:12:16,760
二人まとめて始末してほしいのか?
186
00:12:32,400 --> 00:12:33,360
彼女がこうなったのは
187
00:12:35,000 --> 00:12:36,680
孟婆湯を服用したからか?
188
00:12:37,840 --> 00:12:38,760
違います
189
00:12:39,960 --> 00:12:41,640
孟婆湯は心の中の最も執着している事を
190
00:12:41,760 --> 00:12:43,160
忘れさせるだけです
191
00:12:43,960 --> 00:12:45,240
意識を損傷させません
192
00:12:46,520 --> 00:12:48,720
うちの主人はもともと持病を患っていました
193
00:12:49,160 --> 00:12:50,480
誰かが刺激したのか
194
00:12:50,600 --> 00:12:52,320
離魂の発作を起こして
195
00:12:52,520 --> 00:12:53,800
こうなったのです
196
00:13:01,400 --> 00:13:03,320
最も執着している事を忘れる
197
00:13:05,360 --> 00:13:06,600
だから彼女は忘れたんだ
198
00:13:08,360 --> 00:13:09,760
彼女を裏切った人を
199
00:13:11,320 --> 00:13:12,800
これには何か解毒法があるのか?
200
00:13:18,360 --> 00:13:19,280
蝎王お許しを
201
00:13:19,680 --> 00:13:20,920
私は孟婆湯を飲んだことがありません
202
00:13:21,840 --> 00:13:23,400
私は自ら谷に入ったのではなく
203
00:13:24,240 --> 00:13:25,520
追い詰められたのです
(*走投无路=絶望的状況、八方塞がり《瀟湘雨》楊顕之)
204
00:13:27,400 --> 00:13:28,760
自殺しようと思った時
205
00:13:28,880 --> 00:13:30,000
主人が私を救って
206
00:13:30,440 --> 00:13:32,000
私を青崖山に連れ戻りました
207
00:13:32,760 --> 00:13:35,840
それゆえ谷主が異例で恩赦をくださった
208
00:13:37,080 --> 00:13:38,840
お前こそ最も孟婆湯を飲むべき人間だ
209
00:13:39,000 --> 00:13:39,760
何が異例だ
210
00:13:39,880 --> 00:13:41,560
私が覚えている限り同じ轍は
211
00:13:42,280 --> 00:13:43,760
踏まないと思ったからです
212
00:13:45,800 --> 00:13:47,520
お前が望む通り全て覚えているなら
213
00:13:49,760 --> 00:13:51,560
どうして于という者の元に戻った?
214
00:13:52,480 --> 00:13:54,880
蝎王は賭けで目を血走らせた人を
見たことがありますか?
215
00:13:56,320 --> 00:13:59,480
賭けるほど負け 負けるほど賭ける
216
00:14:01,560 --> 00:14:03,200
人一人の心を差し出すことは
217
00:14:04,040 --> 00:14:05,880
最大の大博打です
218
00:14:07,520 --> 00:14:08,760
私は賭け先を間違えました
219
00:14:09,840 --> 00:14:11,160
この命を彼にあっさり引き渡せると
220
00:14:11,320 --> 00:14:12,600
思っていました
221
00:14:12,720 --> 00:14:14,240
ですが主人に救っていただき
222
00:14:14,800 --> 00:14:17,560
人でもなく鬼でもなくまた何年か生きてきました
223
00:14:19,800 --> 00:14:22,320
実は急色鬼が殺しにきたあの時
224
00:14:23,000 --> 00:14:26,000
心では彼のためにこの災難を阻止して
225
00:14:26,280 --> 00:14:27,720
一切捨てて負けるつもりでした
226
00:14:28,560 --> 00:14:30,120
でも誰が知っていたでしょう
227
00:14:31,000 --> 00:14:32,800
老天が私に一勝をくれるなんて
228
00:14:36,080 --> 00:14:37,240
愚かな
229
00:14:41,280 --> 00:14:45,540
あの鬼谷がどうやって
お前のような人を育てることができたのか
230
00:14:47,000 --> 00:14:48,120
薄情司?
231
00:14:49,480 --> 00:14:50,720
どうしてそんな呼び方を?
232
00:14:51,760 --> 00:14:53,080
主人がおっしゃるからです
233
00:14:54,440 --> 00:14:57,800
古来 男は薄情 女は薄命
234
00:14:58,840 --> 00:15:01,590
彼女は薄情な男に傷つけられた女の代わりに
235
00:15:01,760 --> 00:15:02,960
正義を司り
236
00:15:03,520 --> 00:15:05,880
天下の負心漢を殺し尽くす
237
00:15:09,080 --> 00:15:11,640
薄情は人の性だ
238
00:15:12,040 --> 00:15:13,200
男か女かなど関係ない
239
00:15:14,240 --> 00:15:15,360
滑稽だな
240
00:15:18,480 --> 00:15:19,960
誰も裏切らぬなら
241
00:15:22,760 --> 00:15:24,320
また誰も裏切られることはないのでは?
242
00:15:27,040 --> 00:15:28,200
お前の命はあまりに苦しい
243
00:15:30,880 --> 00:15:31,920
私はもう欲しくない
244
00:15:34,880 --> 00:15:35,720
こうしよう
245
00:15:37,000 --> 00:15:39,080
本王はお前に一度選択の機会を与える
246
00:15:44,600 --> 00:15:46,360
お前が私に忠誠を尽くすならば
247
00:15:47,320 --> 00:15:48,560
あの于と言わず
248
00:15:49,120 --> 00:15:52,080
お前のどんな願いでも私は応える
249
00:15:53,080 --> 00:15:54,480
どんな方法でも構わない
250
00:15:55,000 --> 00:15:56,760
孟婆湯の製法を見つけろ
251
00:15:57,360 --> 00:15:58,400
引き換えに
252
00:16:02,200 --> 00:16:03,720
お前を解放する
253
00:16:26,760 --> 00:16:29,440
主人 あなたが谷に入った時って七、八歳だよね
254
00:16:29,760 --> 00:16:31,560
どうしても孟婆湯を飲まないとダメだったの?
255
00:16:35,320 --> 00:16:38,120
私に何かを思い出させたくない者がいるのだ
256
00:16:40,080 --> 00:16:43,200
残念だ 彼らを失望させた
257
00:16:45,800 --> 00:16:49,800
孟婆湯を飲んだのに どうしてまだ覚えてるの?
258
00:16:50,200 --> 00:16:53,080
深い憎しみは 生涯忘れない
(*没齿难忘=年を取り歯がなくなる頃になっても忘れない《為汝南公華州賀赦表》)
259
00:16:54,040 --> 00:16:56,440
たった一碗注がれた孟婆湯は言うまでもなく
260
00:16:56,960 --> 00:16:59,880
私の身体を引き千切ろうと 骨を削り灰になろうと
(*五马分尸=馬に両手足と首をくくりつけて引かせ千切る刑 *挫骨扬灰=骨を砕き灰にして撒かれても憎い《児女英雄伝》)
261
00:17:00,040 --> 00:17:02,280
私は地獄の底から一層一層這い上がって
262
00:17:02,920 --> 00:17:04,960
奴らへ復讐してやる
263
00:17:09,360 --> 00:17:10,360
小さい頃の私は
264
00:17:11,240 --> 00:17:13,720
よく頭痛に襲われ 吐血し昏倒した
265
00:17:14,360 --> 00:17:16,880
それは孟婆湯に強く抵抗する意志の代償だ
266
00:17:17,720 --> 00:17:19,360
この病は久しく発作を起こしていなかった
267
00:17:19,720 --> 00:17:21,520
最近しきりに触れられる過去の出来事が
268
00:17:21,800 --> 00:17:23,400
影響しているのかもしれない
269
00:17:24,960 --> 00:17:25,920
いつの日か
(*有朝一日=将来のいつかある日《博望焼屯》)
270
00:17:27,160 --> 00:17:29,760
私はこの頭痛で狂ってしまうかもしれない
271
00:17:30,800 --> 00:17:32,680
だがその日が来る前に
272
00:17:33,200 --> 00:17:34,120
私の仇は皆
273
00:17:35,040 --> 00:17:37,320
私の目の前で死なねばならない
274
00:17:44,840 --> 00:17:45,720
心配するな
275
00:17:49,040 --> 00:17:50,440
その日が来る前に
276
00:17:52,840 --> 00:17:54,440
お前を然るべきところに預けます
277
00:17:56,040 --> 00:17:58,040
何が心配なもんか あたしは怒ってる
278
00:17:58,400 --> 00:18:00,480
主人 あたしは小さい時からあなたが育てたんだよ
279
00:18:00,640 --> 00:18:01,760
あなたにこんな心配事があるって
280
00:18:01,880 --> 00:18:03,520
どうして早く話してくれなかったんだ
281
00:18:03,640 --> 00:18:05,240
あたしだって命を懸けて助ける
282
00:18:06,320 --> 00:18:07,480
お前の助けはいらない
283
00:18:08,240 --> 00:18:10,240
阿湘 答えろ
284
00:18:14,400 --> 00:18:16,160
お前は本当に曹蔚寧が好きか?
285
00:18:17,800 --> 00:18:19,320
主人 何言ってるの
286
00:18:19,480 --> 00:18:20,760
あたしは真面目に言ってるんだよ 話を逸らさないで
287
00:18:20,880 --> 00:18:23,210
答えろ もし好きでないなら
288
00:18:23,600 --> 00:18:24,640
彼を始末する
289
00:18:24,760 --> 00:18:25,920
主 主
290
00:18:26,520 --> 00:18:27,680
それは好きということだ
291
00:18:33,520 --> 00:18:34,480
好きなら
292
00:18:35,560 --> 00:18:38,160
明日 彼と清風剣派に帰りなさい
293
00:18:40,640 --> 00:18:42,160
あの莫懐陽の武功は優れている
294
00:18:42,800 --> 00:18:43,880
狡猾な老悪党だ
295
00:18:44,320 --> 00:18:46,440
門派を災禍に巻き込むことはないはず
296
00:18:47,720 --> 00:18:49,440
お前はそこにいれば安全だ
297
00:18:52,080 --> 00:18:55,240
主人 あたしがいらなくなった?
298
00:18:57,760 --> 00:19:01,720
おバカさん 私が行くのは黄泉路なんだ
299
00:19:02,160 --> 00:19:03,280
お前はもともと誤って
(*误打误撞=計画的ではないこと《双赴夢》)
300
00:19:03,400 --> 00:19:04,920
魔物の迷路に迷い込んだ
301
00:19:05,120 --> 00:19:06,800
今はまだ陽のもとに生まれ変わる機会があるのに
302
00:19:06,960 --> 00:19:08,240
私に着いてきてどうする
303
00:19:08,880 --> 00:19:09,800
あの曹蔚寧は
304
00:19:10,200 --> 00:19:12,160
百回見たって気に食わないが
305
00:19:12,760 --> 00:19:14,360
幸い容易に掌握できる
306
00:19:15,120 --> 00:19:16,720
お前は彼と人の世に戻って
307
00:19:17,080 --> 00:19:18,160
ささやかに暮らしなさい
308
00:19:18,920 --> 00:19:20,800
彼は大した波風は起こさないでしょう
309
00:19:22,160 --> 00:19:23,120
主人
310
00:19:23,360 --> 00:19:26,560
時間がなくてまだ言えてないことがあるんだ
311
00:19:27,120 --> 00:19:28,400
あたしが曹蔚寧に着いてるのは
312
00:19:28,800 --> 00:19:30,560
実は高崇が持ってた
313
00:19:30,880 --> 00:19:33,720
琉璃甲を清風剣派のやつらに
314
00:19:33,880 --> 00:19:36,360
任せた可能性があるって言ってたからだ
315
00:19:37,280 --> 00:19:39,280
あたしは曹蔚寧と一緒にいたけど
316
00:19:39,850 --> 00:19:41,280
実のところ
317
00:19:41,600 --> 00:19:44,360
主人が琉璃甲の在り処を探るのを手伝うつもりで
318
00:19:44,480 --> 00:19:45,880
あいつと一緒にいただけなんだ
319
00:19:46,960 --> 00:19:47,880
でも
320
00:19:49,240 --> 00:19:50,160
でもあたしは
321
00:19:50,570 --> 00:19:52,240
あたしもどうしてか分からない
322
00:19:54,720 --> 00:19:55,480
あたし
323
00:19:56,040 --> 00:19:58,640
本当にあいつと一緒になることになった
324
00:20:03,360 --> 00:20:05,080
主人 お願いだよ
325
00:20:05,200 --> 00:20:05,760
できれば
326
00:20:05,920 --> 00:20:07,640
清風剣派に手を出さないほしいんだ
327
00:20:11,360 --> 00:20:12,520
ごめんなさい 主人
328
00:20:13,800 --> 00:20:15,480
こんなこと言うべきじゃないって分かってる
329
00:20:18,440 --> 00:20:19,280
だけど
330
00:20:21,520 --> 00:20:23,200
だけどあたしはあいつに恨まれたくない
331
00:20:25,200 --> 00:20:25,920
あいつが
332
00:20:26,320 --> 00:20:28,880
彼があたしと関係がなくても
333
00:20:31,000 --> 00:20:31,920
あたしは
334
00:20:33,200 --> 00:20:36,120
あたしは彼に 彼に何も起こってほしくない
335
00:20:43,560 --> 00:20:44,360
大丈夫だ
336
00:20:45,360 --> 00:20:48,360
これぐらいの事でお前がこんなに泣くことはない
337
00:20:48,880 --> 00:20:49,880
でも主人
338
00:20:52,880 --> 00:20:54,360
あたしは怖いんだ
339
00:21:07,360 --> 00:21:08,560
みんなが言ってる
340
00:21:09,520 --> 00:21:11,880
人と鬼の道は殊なるって
341
00:21:14,520 --> 00:21:16,920
あたしと曹大哥は同じじゃない
342
00:21:17,240 --> 00:21:21,600
あたしはただどうやって人を殺すか
343
00:21:22,200 --> 00:21:24,120
どうやって攻撃を防ぐか知ってるだけだ
344
00:21:25,160 --> 00:21:26,920
あたしが曹大哥に近づいたのも
345
00:21:29,120 --> 00:21:31,250
好意からじゃない
346
00:21:32,720 --> 00:21:34,400
彼が今あたしに優しいのは
347
00:21:36,600 --> 00:21:40,200
ただあたしがうまく隠してるからだ
348
00:21:40,440 --> 00:21:43,000
いつかあたしが誰かを知ったら
349
00:21:43,880 --> 00:21:46,880
情と義があったとしても
350
00:21:47,560 --> 00:21:50,080
刀を抜いて殺すんじゃないかな
351
00:21:50,490 --> 00:21:51,200
させるか
352
00:22:02,280 --> 00:22:04,240
曹蔚寧がもしお前を煩わせるなら
353
00:22:04,680 --> 00:22:06,160
一族郎党 虐殺してやる
354
00:22:06,280 --> 00:22:07,000
主人
355
00:22:08,600 --> 00:22:09,720
あたしは彼を煩わせるけど
356
00:22:09,840 --> 00:22:11,320
彼はあたしを煩わせることはしない
357
00:22:16,640 --> 00:22:18,760
主人 とても怖いんだ
358
00:22:18,920 --> 00:22:19,880
あたしは
359
00:22:21,840 --> 00:22:24,240
彼が今あたしに優しくすればするほど
360
00:22:25,600 --> 00:22:27,840
それは全て偽りだとますます思うんだ
361
00:22:28,640 --> 00:22:30,920
あなたが作ってくれた雪だるまみたいに
362
00:22:32,520 --> 00:22:34,000
太陽が出ると
363
00:22:39,360 --> 00:22:41,120
溶けてしまう
364
00:22:43,360 --> 00:22:45,760
その後また作ってやったじゃないか
365
00:22:46,400 --> 00:22:47,480
泣くな
366
00:22:47,720 --> 00:22:50,400
だけどあたしは最初のが好きだった
367
00:22:52,080 --> 00:22:53,920
後に作ってくれた雪だるまが
368
00:22:54,080 --> 00:22:55,130
いくら大きくて素敵でも
369
00:22:55,520 --> 00:22:56,600
どれも
370
00:22:56,760 --> 00:22:59,360
あなたと初めて一緒に作ったのには及ばない
371
00:22:59,960 --> 00:23:01,120
主人 あなたは
372
00:23:02,120 --> 00:23:03,400
もしある日
373
00:23:03,760 --> 00:23:05,440
周絮があなたの正体を知ったら
374
00:23:05,600 --> 00:23:06,280
彼を殺して
375
00:23:06,360 --> 00:23:08,000
また新しい友人を探すと思う?
376
00:23:09,480 --> 00:23:11,360
もういい 顧湘
377
00:23:12,560 --> 00:23:14,280
お前は無心紫煞だと忘れるな
378
00:23:14,680 --> 00:23:16,040
少し気に入られただけで
379
00:23:16,400 --> 00:23:17,920
こんなめそめそして
380
00:23:18,480 --> 00:23:20,160
忘れられる? 忘れていい?
381
00:23:22,720 --> 00:23:24,720
醜い嫁はまだ義理の親に会える
382
00:23:25,720 --> 00:23:26,560
だけど
383
00:23:26,720 --> 00:23:30,120
だけど鬼谷の無心紫煞は会えないよ
384
00:23:32,920 --> 00:23:33,720
分かった
385
00:23:35,250 --> 00:23:36,250
決めた
386
00:23:39,560 --> 00:23:40,560
聞きなさい
387
00:23:41,400 --> 00:23:42,800
お前は幼い頃から鬼谷で育った
388
00:23:43,440 --> 00:23:45,040
江湖を歩いたことがない
389
00:23:45,560 --> 00:23:47,200
彼らがお前の正体を知る術はない
390
00:23:47,320 --> 00:23:48,520
彼に隠し通せばいい
391
00:23:50,520 --> 00:23:51,440
約束する
392
00:23:52,440 --> 00:23:54,010
清風剣派には手を出さない
393
00:23:54,800 --> 00:23:55,920
以後 鬼谷の事に
394
00:23:56,730 --> 00:23:57,890
お前はもう触れるな
395
00:23:58,610 --> 00:23:59,520
私が呼ばない限り
396
00:24:00,040 --> 00:24:01,560
清風山にいなさい
397
00:24:03,520 --> 00:24:05,970
じゃあ
398
00:24:06,090 --> 00:24:07,400
琉璃甲は必要ない?
399
00:24:11,280 --> 00:24:12,280
不要だ
400
00:24:19,970 --> 00:24:20,890
あの琉璃甲は
401
00:24:22,160 --> 00:24:23,730
もともとただの口実だ
402
00:24:45,970 --> 00:24:47,200
温公子 目が醒めたんですね
403
00:24:47,320 --> 00:24:48,130
大丈夫ですか?
404
00:24:52,130 --> 00:24:52,970
平気です
405
00:24:53,650 --> 00:24:55,040
一緒に来てください
406
00:24:55,400 --> 00:24:56,770
あなたに話があります
407
00:25:00,680 --> 00:25:02,400
温叔 曹大哥 行かないでください
408
00:25:02,850 --> 00:25:04,890
私は料理ができません
409
00:25:16,490 --> 00:25:17,250
温公子
410
00:25:17,490 --> 00:25:19,730
急に私を呼び出して何かありましたか?
411
00:25:23,090 --> 00:25:23,800
私は
412
00:25:25,730 --> 00:25:27,770
自分自身まだ半分子供だった頃に
413
00:25:29,730 --> 00:25:31,040
阿湘を拾ってきました
414
00:25:32,970 --> 00:25:34,280
初めてお粥を与えたら
415
00:25:35,650 --> 00:25:37,370
唇をやけどさせてしまった
416
00:25:41,130 --> 00:25:42,560
私たちが子供の頃に住んでいた場所は
417
00:25:43,800 --> 00:25:45,200
あまり人のいない場所でした
418
00:25:46,320 --> 00:25:48,400
自分自身を顧みることもままならず
419
00:25:48,730 --> 00:25:50,770
もともとこんな厄介な荷物は持ちたくなくて
420
00:25:50,920 --> 00:25:52,730
何度も彼女を捨てようとしました
421
00:25:54,440 --> 00:25:55,680
しかしあの子は
422
00:25:56,520 --> 00:25:58,130
言葉も全く話せないのに
423
00:25:58,490 --> 00:26:00,970
しぶとく生き抜く獣のように
424
00:26:01,520 --> 00:26:04,610
私がどこへ行こうと どこでも着いてきて
425
00:26:05,250 --> 00:26:06,440
やけどした唇で
426
00:26:07,400 --> 00:26:09,890
歯をむき出して私に笑いかけた
(*龇牙咧嘴=歯をむき出した恐ろしい形相、苦痛に顔を歪めるさま《西遊記》)
427
00:26:10,800 --> 00:26:12,560
ただ私が置き去りにするのを恐れて
428
00:26:13,800 --> 00:26:15,560
阿湘は私にこの事を話してくれました
429
00:26:15,970 --> 00:26:16,800
分かります
430
00:26:17,040 --> 00:26:19,800
彼女はここまで成長するのに 沢山苦しんだ
431
00:26:23,490 --> 00:26:24,730
私のような者といて
432
00:26:25,730 --> 00:26:29,130
あまり歪まずに育つのは 容易ではありません
433
00:26:33,440 --> 00:26:35,130
阿湘は実は私の侍女ではありません
434
00:26:35,770 --> 00:26:37,160
私が彼女を救ったことで
435
00:26:37,650 --> 00:26:39,200
成長して物心ついた時
436
00:26:39,320 --> 00:26:41,200
奴婢として私に仕えると言い出したので
437
00:26:41,400 --> 00:26:42,800
このような名分ができたのです
438
00:26:45,480 --> 00:26:46,480
実のところ
439
00:26:48,920 --> 00:26:50,600
今になってやっと分かりました
440
00:26:51,520 --> 00:26:52,680
私が彼女を救ったのではなく
441
00:26:54,240 --> 00:26:55,680
彼女が私を救ったのです
442
00:26:57,480 --> 00:26:59,680
もしこの小さいのが側にいて
443
00:27:00,120 --> 00:27:02,920
私の心の中の最後の情を暖めていなかったら
(*热劲=温かい感情、熱気、熱情《在和平的日子里》杜鵬程)
444
00:27:03,200 --> 00:27:04,000
私は…
445
00:27:12,080 --> 00:27:13,120
これだけ話したのは
446
00:27:14,000 --> 00:27:15,160
あなたに伝えたかったからです
447
00:27:15,960 --> 00:27:17,560
阿湘は私の妹同然です
448
00:27:18,560 --> 00:27:20,240
年寄りぶって言うならば
(*倚老卖老=年長者であることをひけらかす、ベテランであることを鼻にかける《謝金吾》)
449
00:27:20,560 --> 00:27:21,650
彼女は私が育てた
450
00:27:22,360 --> 00:27:24,120
私の娘のようなものでしょう
451
00:27:26,240 --> 00:27:27,190
私のこの一生で
452
00:27:28,120 --> 00:27:29,560
私に良くしてくれた人はあまりいません
453
00:27:30,480 --> 00:27:31,720
ほんの幾人かの
454
00:27:32,430 --> 00:27:34,160
私が命を懸けて恩に報いたい
455
00:27:34,800 --> 00:27:36,560
阿湘はその中の一人です
456
00:27:39,000 --> 00:27:39,760
以前は
457
00:27:40,440 --> 00:27:41,400
ある事情で
458
00:27:42,760 --> 00:27:44,000
考えることすら
459
00:27:44,760 --> 00:27:45,720
遠すぎてできなかった
460
00:27:47,520 --> 00:27:48,400
でも今は
461
00:27:50,440 --> 00:27:52,000
そんなに遠くもないようです
462
00:27:57,080 --> 00:27:58,480
私はこの娘に快適に過ごして欲しい
463
00:28:00,960 --> 00:28:02,120
いつの日か
464
00:28:03,480 --> 00:28:06,080
普通の人の平穏な日々を送って欲しい
465
00:28:11,320 --> 00:28:12,120
曹蔚寧
466
00:28:13,520 --> 00:28:15,120
彼女にそんな日々をあげられますか?
467
00:28:15,760 --> 00:28:17,160
はい もちろんです
468
00:28:17,600 --> 00:28:19,600
富貴な家柄はあげられませんが
(*大富大贵=非常に裕福で高貴であること《隋唐演義》)
469
00:28:19,880 --> 00:28:20,320
ですが
470
00:28:20,440 --> 00:28:22,480
富や地位を与えろとは言わない
471
00:28:23,560 --> 00:28:25,400
明日 彼女を清風剣派に連れて帰るのです
472
00:28:25,880 --> 00:28:27,160
でも約束してください
473
00:28:28,200 --> 00:28:30,400
永遠に阿湘の心を裏切ってはいけない
474
00:28:30,680 --> 00:28:32,040
今後たとえ何が起ころうと
475
00:28:32,320 --> 00:28:34,640
彼女を守り 彼女の前に立ちはだかり
476
00:28:34,840 --> 00:28:37,360
彼女の平和と幸せを保証して 一生不安にさせるな
477
00:28:38,560 --> 00:28:39,520
できますか?
478
00:28:41,320 --> 00:28:43,080
温公子 分かりました
479
00:28:43,280 --> 00:28:44,160
安心してください
480
00:28:45,040 --> 00:28:48,480
今日あなたの前で天に誓います
481
00:28:50,400 --> 00:28:52,640
皇天后土 実所共に鑑みる
(*天地の神々はお見通し、天地神明に証明するの意《陳情表》*天皇后土=道教の天皇大帝と地母神のこと)
482
00:28:53,240 --> 00:28:54,680
この曹蔚寧のこの一生
483
00:28:54,800 --> 00:28:55,800
今より死に至るまで
484
00:28:55,960 --> 00:28:57,480
いつ何時であろうと
485
00:28:57,680 --> 00:29:00,160
片時も阿湘を裏切ることは絶対ありません
486
00:29:00,800 --> 00:29:03,200
反悔あらば 鬼神共に棄つ
(*約束を反古にするなら鬼神どちらからも見捨てられる)
487
00:29:04,080 --> 00:29:05,320
そこまで言うことはない
488
00:29:06,200 --> 00:29:07,840
あなたたちは知り合ってまだ短い
489
00:29:08,520 --> 00:29:10,560
彼女も必ずしも
あなたの思うような姿ではないかもしれない
490
00:29:12,400 --> 00:29:14,480
誓わなければ 強制はしなかったが
491
00:29:15,240 --> 00:29:17,280
今日この約束をしたからには
492
00:29:17,880 --> 00:29:20,200
鬼神の話に根拠がないと思わぬこと
493
00:29:20,600 --> 00:29:22,240
今後もしあなたが阿湘を裏切ったら
494
00:29:23,040 --> 00:29:24,840
私が真っ先にあなたを引き裂きます
495
00:29:26,480 --> 00:29:27,280
分かってます
496
00:29:27,600 --> 00:29:28,760
彼女のことはもちろん理解してます
497
00:29:29,640 --> 00:29:30,440
人を見るのは
498
00:29:30,680 --> 00:29:32,280
知り合った時間の長さじゃありません
499
00:29:33,240 --> 00:29:35,080
私は初めて阿湘を見た時から
500
00:29:35,760 --> 00:29:37,480
生涯 彼女に良くすると決めていました
501
00:29:38,240 --> 00:29:41,000
今日は望みが叶ったので
502
00:29:41,640 --> 00:29:42,960
嬉しくてなりません
503
00:29:44,560 --> 00:29:46,760
もし私が今後彼女を裏切るならば
504
00:29:47,320 --> 00:29:48,400
あなたがおっしゃらずとも
505
00:29:48,800 --> 00:29:50,800
私は自ら首を切って謝罪します
506
00:29:52,720 --> 00:29:55,200
よろしい これはあなたの言ったことです
507
00:29:55,920 --> 00:29:56,840
できなければ
508
00:29:57,880 --> 00:29:59,600
私は鬼になってもあなたを許さない
509
00:30:02,120 --> 00:30:02,960
約束します
(*一言为定=はっきり約束する、決定する、二言はない《趙氏孤児》)
510
00:30:04,800 --> 00:30:05,760
約束です
511
00:30:10,080 --> 00:30:12,600
そんな物騒な老泰山がどこにいるんだ
(*喊打喊杀=暴力で解決すること *老泰山=義理の父親のこと)
512
00:30:12,760 --> 00:30:14,600
娘婿からの返品が怖くないのか
513
00:30:15,200 --> 00:30:16,480
盗み聞きですか
514
00:30:16,640 --> 00:30:17,520
どこが盗み聞きだ
515
00:30:17,720 --> 00:30:19,520
俺は公明正大に聞いたんだ
516
00:30:20,000 --> 00:30:22,200
蔚寧 この老泰山が
517
00:30:22,680 --> 00:30:23,680
君を虐めたら
518
00:30:24,040 --> 00:30:25,040
俺が代わりに躾けてやる
519
00:30:25,480 --> 00:30:27,160
君は阿湘にだけ良くしてやればいい
520
00:30:27,280 --> 00:30:28,760
はい 明日の出立のため
521
00:30:28,880 --> 00:30:29,800
準備に行ってきます
522
00:30:35,160 --> 00:30:36,880
お前のこの娘婿は間違いないが
523
00:30:37,560 --> 00:30:39,440
お前は何のためにバタバタ急いで
524
00:30:39,760 --> 00:30:41,600
阿湘を送り出すんだ?
525
00:30:41,920 --> 00:30:43,600
嫁ぎ先に冷遇されるのが怖くないのか?
526
00:30:43,880 --> 00:30:44,840
誰が
527
00:30:49,480 --> 00:30:50,160
老温
528
00:30:50,840 --> 00:30:52,040
なぜそんなに焦って
529
00:30:52,680 --> 00:30:54,080
阿湘を人に託す?
530
00:30:56,160 --> 00:30:57,480
私には寄る辺があるからね
(*终身有托=生涯を依託すること、主に女性の結婚のこと《初刻拍案驚奇》)
531
00:30:58,400 --> 00:30:59,640
だから仲人したくなった
532
00:31:00,080 --> 00:31:01,440
阿湘をちゃんと落ち着かせて
533
00:31:02,240 --> 00:31:03,640
あなたと山林に隠居し
534
00:31:04,160 --> 00:31:05,640
神仙のような日々を送りたい
535
00:31:08,560 --> 00:31:09,600
なら温大善人は
536
00:31:10,440 --> 00:31:13,240
うまく行ったら 俺にも仲人してくれるんだよな
537
00:31:16,680 --> 00:31:17,400
温叔
538
00:31:17,600 --> 00:31:19,200
曹大哥をあまり長くよそへ行かせないでくださいよ
539
00:31:19,360 --> 00:31:20,520
私はご飯が作れません
540
00:31:20,680 --> 00:31:23,560
お鍋が焦げてるみたいだし どうすればいいんですか
541
00:31:24,680 --> 00:31:26,400
彼は山を下りて美味いものを買いに行ったので
542
00:31:26,560 --> 00:31:27,440
飯炊きは不要です
543
00:31:29,360 --> 00:31:30,200
見ました?
544
00:31:30,840 --> 00:31:32,560
神仙のような日々にだって
545
00:31:33,000 --> 00:31:34,240
この坊ちゃんがいる
546
00:31:34,440 --> 00:31:36,920
今後我らにはてんやわんやの日々があるだけです
(*鸡飞狗跳=鶏が飛び犬が跳ねる大混乱の大騒ぎ《鍛煉》茅盾)
547
00:31:44,760 --> 00:31:47,440
阿絮 これは酢なの酒なの
548
00:31:47,600 --> 00:31:49,080
こんな不味いのによく飲めるね
549
00:31:55,880 --> 00:31:59,640
この辺鄙な片田舎に良い酒なんてあるか
(*穷乡僻壤=辺鄙で荒れ果てた土地《北京賦》)
550
00:31:59,840 --> 00:32:01,040
ちょっとぐらい我慢しろ
551
00:32:01,400 --> 00:32:02,640
四季山荘に着けば
552
00:32:03,200 --> 00:32:05,720
以前梅林に埋めた良い酒を
553
00:32:05,880 --> 00:32:07,240
掘り出して飲ませてやる
554
00:32:07,400 --> 00:32:10,200
師父 私たちの山荘には梅林があるのですか
555
00:32:11,560 --> 00:32:12,880
梅林だけじゃない
556
00:32:13,480 --> 00:32:16,960
江湖の者は我らの山荘に賞賛の一句を送る
557
00:32:17,120 --> 00:32:21,040
四季 花は常に在り 九州の事尽く知る
558
00:32:28,200 --> 00:32:28,880
義父さん
559
00:32:29,840 --> 00:32:31,760
蝎儿 よく来ました
560
00:32:32,640 --> 00:32:35,240
仙霞派の件は綺麗に処理できましたね
561
00:32:35,680 --> 00:32:37,640
俏羅漢がわざと逃した人たちは
562
00:32:37,800 --> 00:32:39,400
遠路はるばる嵩山まで逃走し
563
00:32:39,720 --> 00:32:40,960
少林寺山の門前で
564
00:32:41,120 --> 00:32:42,600
膝を突くこと三日三晩
565
00:32:42,720 --> 00:32:45,040
彼らは正義を主張するために
大和尚のお出ましを願った
566
00:32:45,320 --> 00:32:48,360
慈穆(ツームー)の老いぼれはどうしたと思いますか
567
00:32:49,440 --> 00:32:50,480
じっとしていられなかった
568
00:32:52,120 --> 00:32:54,880
今は各門派に
共同での鬼谷討伐を呼びかけています
569
00:32:55,040 --> 00:32:57,240
"その際はどうぞ貴盟 趙盟主にご参加いただけますと
570
00:32:57,520 --> 00:32:59,400
恐悦至極に存じます"
571
00:33:01,200 --> 00:33:02,080
義父さんは何と?
572
00:33:03,400 --> 00:33:05,560
もちろん何も言うことはない
573
00:33:05,960 --> 00:33:08,120
こんな偽善ばかりの各門派が
574
00:33:08,400 --> 00:33:09,160
当初
575
00:33:09,280 --> 00:33:11,400
鬼谷が我らの五湖盟を挑発した時は
576
00:33:11,600 --> 00:33:13,400
それぞれが対岸の火事を見るようだった
(*隔岸观火=対岸の火事、無関係を装うこと《投謁齋己》乾康)
577
00:33:13,640 --> 00:33:14,640
今になって
578
00:33:14,880 --> 00:33:17,320
刃がおのれの首にあれば痛いということを知り
579
00:33:17,480 --> 00:33:19,400
我が五湖盟に出山を願おうと
580
00:33:19,600 --> 00:33:20,840
そんなに容易ではない
581
00:33:21,000 --> 00:33:22,560
趙敬に登場させたいなら
582
00:33:22,720 --> 00:33:25,720
いいでしょう
ならばあなたたちの誠意を見せなさい
583
00:33:28,560 --> 00:33:31,000
義父さん 僕は分からない
584
00:33:32,840 --> 00:33:33,800
息子よ
585
00:33:34,360 --> 00:33:36,440
お前は 世に出てまだ経験が浅い
586
00:33:37,240 --> 00:33:39,040
高崇の当時もそう
587
00:33:39,680 --> 00:33:41,880
死ぬまでこの道理が分からなかった
588
00:33:42,000 --> 00:33:42,720
考えてみなさい
589
00:33:43,040 --> 00:33:44,680
鬼谷が山を出て働いた悪事は
590
00:33:44,800 --> 00:33:46,440
些細な怨恨を除いて
591
00:33:46,600 --> 00:33:48,960
大事は全て我ら五湖盟に向けられていた
592
00:33:49,440 --> 00:33:51,280
しかし高崇はよりによってこんな時に
593
00:33:51,440 --> 00:33:53,320
どんな狗熊大会を開催した?
594
00:33:53,440 --> 00:33:55,000
来たのも雑魚の将兵ばかりで
(*虾兵蟹将=役立たずの将兵)
595
00:33:55,160 --> 00:33:56,640
賑やかに騒いだだけです
596
00:33:56,920 --> 00:33:59,520
正真正銘の大門大派は
597
00:34:00,080 --> 00:34:01,120
誰が来ました?
598
00:34:04,080 --> 00:34:04,880
そうだ
599
00:34:07,640 --> 00:34:11,520
八大門派の掌門は誰一人来なかった
600
00:34:13,680 --> 00:34:15,840
長明山の古の剣仙でさえ
601
00:34:17,040 --> 00:34:18,840
弟子をたった一人派遣しただけだ
602
00:34:19,240 --> 00:34:21,200
つまり 我が子よ
603
00:34:21,640 --> 00:34:24,000
江湖で言うところのいわゆる名門正派は
604
00:34:24,360 --> 00:34:26,320
皆それぞれ名利を求めるか
(*利欲熏心=名誉と利益に目がくらむこと)
605
00:34:26,520 --> 00:34:28,120
売名への野心だけなのです
(*沽名钓誉=売名して名声を高めること《盛世危言》)
606
00:34:28,360 --> 00:34:30,720
その損得勘定がどれもこれも当たれば
607
00:34:30,950 --> 00:34:33,000
彼らを共同で鬼谷討伐に行かせられる
608
00:34:33,640 --> 00:34:36,840
ただ大義ありて 利益なし はダメです
609
00:34:37,240 --> 00:34:39,880
ただ利益ありて 名目なし もダメです
610
00:34:40,240 --> 00:34:41,880
だから大餅を描くしかない
(*画大饼=美辞麗句で人を信じ込ませ奉仕させること)
611
00:34:42,040 --> 00:34:44,000
名目と利益を全部放り込んでこそ
612
00:34:44,640 --> 00:34:46,240
彼らをおびき出せるのです
613
00:34:48,120 --> 00:34:50,080
良い子だね しっかり食べて
614
00:34:50,280 --> 00:34:51,600
うちの阿湘をしっかり乗せてね
615
00:34:52,120 --> 00:34:53,880
わがまましないで 言うこと聞いてね
616
00:34:54,280 --> 00:34:55,960
だれがお前んとこのなんだ
617
00:34:58,280 --> 00:34:59,680
小紅(シャオホン)と大紅(ダーホン)
618
00:34:59,880 --> 00:35:01,360
どっちか選んで行け
619
00:35:01,560 --> 00:35:03,240
食料と水をお前のために準備しておいたから
620
00:35:03,400 --> 00:35:05,400
これでお別れだ
621
00:35:05,560 --> 00:35:07,680
阿湘 どうしてまだ怒ってるの?
622
00:35:08,000 --> 00:35:09,240
何を怒ることがある?
623
00:35:09,440 --> 00:35:11,000
あたしは主人の端女だよ
624
00:35:11,160 --> 00:35:12,880
当然 主人に着いていく
625
00:35:13,160 --> 00:35:14,800
お前はお前の清風剣派に帰れ
626
00:35:15,000 --> 00:35:16,720
阿湘 僕が間違ってたよ
627
00:35:16,840 --> 00:35:18,080
怒らないでくれないかな
628
00:35:18,200 --> 00:35:19,240
誰が間違ってるって言った?
629
00:35:19,360 --> 00:35:21,840
お前は 名門の少侠だろ
630
00:35:22,000 --> 00:35:23,600
あたしはただの野娘
631
00:35:23,840 --> 00:35:25,240
あたしらは仲間じゃないんだ
(*一路人=旅の仲間、同じ道の人《三国演義》羅貫中)
632
00:35:25,600 --> 00:35:27,160
お前が野娘だと誰が言った?
633
00:35:28,320 --> 00:35:29,160
温兄
634
00:35:29,280 --> 00:35:30,040
主人
635
00:35:32,240 --> 00:35:33,760
お前は私の侍女ではなかったの?
636
00:35:34,120 --> 00:35:35,800
それなら私は野人じゃないか
637
00:35:38,360 --> 00:35:40,800
曹蔚寧 荷包は持ってますか?
638
00:35:41,800 --> 00:35:43,160
持ってます
639
00:35:46,840 --> 00:35:48,280
この侍女はもう不要です
640
00:35:48,520 --> 00:35:50,400
三銭銀子であなたに売りましょう どうです?
641
00:35:51,080 --> 00:35:52,790
一方は代金を渡し 一方は品物を渡す
(*代金と引き換えに商品を渡す古来のシステム《水滸伝》)
642
00:35:52,920 --> 00:35:55,160
即時決済 また返品不可です
643
00:35:56,120 --> 00:35:57,880
主人 あんた バカ野郎
644
00:35:58,040 --> 00:36:00,800
見ました? この悪どい奴婢はまだ主を虐めます
645
00:36:00,960 --> 00:36:01,200
あたし
646
00:36:01,360 --> 00:36:02,120
これはまだ必要ですね
647
00:36:02,320 --> 00:36:04,360
こうしましょう 半値にしてあげます
648
00:36:04,480 --> 00:36:06,840
一銭半の銀子 これ以上負からない
649
00:36:07,000 --> 00:36:08,160
うちの阿絮はこんなに有能でも
650
00:36:08,760 --> 00:36:10,120
たった三銭の銀子です
651
00:36:12,480 --> 00:36:13,560
何笑ってんだ
652
00:36:15,320 --> 00:36:16,960
周絮 まだ彼を放っておくのか
653
00:36:19,720 --> 00:36:21,120
俺がどうこうできるか?
654
00:36:21,600 --> 00:36:22,880
あんたができないなら誰がするんだよ
655
00:36:24,280 --> 00:36:25,040
まだこんなに凶暴なので
656
00:36:26,680 --> 00:36:28,680
無料であなたに差し上げます 不要です
657
00:36:28,840 --> 00:36:29,520
早く持っていって
658
00:36:34,120 --> 00:36:34,880
温兄
659
00:36:36,440 --> 00:36:37,360
皇天上に在り
(*皇天在上 后土在下、天と地に誓って)
660
00:36:37,800 --> 00:36:38,920
私はこれまで阿湘を
661
00:36:39,400 --> 00:36:40,680
侍女として扱ったことはありません
662
00:36:41,680 --> 00:36:43,920
あなたは青眼で 私に彼女を託してくださった
(*青眼=好意的な眼差し、青は黒のこと)
663
00:36:44,280 --> 00:36:45,450
師父に稟告したら
664
00:36:45,640 --> 00:36:47,000
必ず三媒六礼して
(*三媒六聘=婚約結納など結婚までの取り計らい)
665
00:36:47,120 --> 00:36:48,360
十里の紅化粧で彼女を娶ります
666
00:36:48,840 --> 00:36:51,560
少しも疎かにしません
667
00:36:54,560 --> 00:36:55,520
十里の紅化粧は
668
00:36:56,080 --> 00:36:57,600
花嫁の実家の方じゃないですか?
669
00:36:58,440 --> 00:36:59,440
お前に何が分かるんだ
670
00:37:00,600 --> 00:37:01,400
阿湘
671
00:37:10,560 --> 00:37:13,040
蝎儿 群鬼冊の制作を手伝ってください
672
00:37:13,400 --> 00:37:14,440
武林に公開します
673
00:37:15,640 --> 00:37:17,040
でも今はもう同盟を結んでる
674
00:37:17,200 --> 00:37:18,360
どうして反故にするの?
675
00:37:19,280 --> 00:37:21,440
義父さん もし群鬼冊を
676
00:37:21,600 --> 00:37:22,480
天下に公示したら
677
00:37:22,680 --> 00:37:24,520
それは彼らの退路を断つことにならない?
678
00:37:24,680 --> 00:37:25,480
なら
679
00:37:25,640 --> 00:37:27,720
なら僕はこの後どうやって彼らを仕事に使うの
680
00:37:27,840 --> 00:37:28,600
蝎儿や
681
00:37:28,760 --> 00:37:30,680
今は少林寺も顔を出している
682
00:37:30,840 --> 00:37:33,320
この鍋の湯はすでに良い火加減です
683
00:37:33,520 --> 00:37:34,440
それに
684
00:37:34,640 --> 00:37:36,880
あの鬼連中を何に使うんです?
685
00:37:38,200 --> 00:37:39,520
網はもう張った
686
00:37:39,840 --> 00:37:43,000
獲物を駆り立て網に入るのを待つのです
687
00:37:45,200 --> 00:37:46,360
まだ分かりませんか?
688
00:37:57,040 --> 00:37:58,360
鬼谷を滅ぼそうとしているのに
689
00:37:58,640 --> 00:38:00,240
鬼連中は皆 外にいる
690
00:38:00,400 --> 00:38:01,600
彼らは誰を討伐するのです?
691
00:38:02,000 --> 00:38:04,200
一旦 趙敬の庇護を失えば
692
00:38:04,520 --> 00:38:06,480
江湖では寸歩も先へは進めまい
(*寸步难行=全く身動きが取れない、環境が苦しい《九日寄峯参》)
693
00:38:07,080 --> 00:38:08,600
どこに行けるというのです?
694
00:38:08,880 --> 00:38:10,120
義父さんの言いたいのは
695
00:38:11,160 --> 00:38:12,800
彼らは他に行き場がなくなり
696
00:38:13,560 --> 00:38:15,120
鬼谷に戻るしかないということだね
697
00:38:15,520 --> 00:38:16,400
だけど義父さん
698
00:38:16,800 --> 00:38:19,560
もし彼らが出てきてでたらめなことを言ったら?
699
00:38:19,760 --> 00:38:21,720
誰が彼らのたわ言を聞くというのだ
700
00:38:21,920 --> 00:38:22,800
それに
701
00:38:23,000 --> 00:38:24,280
高崇が鬼谷と結託してた件は
702
00:38:24,400 --> 00:38:25,920
もともと懸案だったのです
703
00:38:26,040 --> 00:38:27,600
今も未解決のままです
704
00:38:28,360 --> 00:38:29,800
棚上げされていますが
705
00:38:29,960 --> 00:38:31,720
多かれ少なかれ我々の五湖盟には
706
00:38:31,840 --> 00:38:33,160
悪い影響を与えています
707
00:38:33,840 --> 00:38:35,080
だからこの時に
708
00:38:35,960 --> 00:38:39,920
悪鬼どもがあちこち噛み付くことを期待しています
709
00:38:40,280 --> 00:38:41,920
我々はこの機会を利用して証言してくれる
710
00:38:42,080 --> 00:38:43,000
悪鬼を見つけます
711
00:38:43,280 --> 00:38:45,320
"鬼谷は五湖盟を貶めて
712
00:38:45,480 --> 00:38:48,360
江湖を分裂させようとしていた
713
00:38:48,520 --> 00:38:51,240
我ら五湖盟は晴らせぬ冤罪を蒙った"
(*不白之冤=不当な冤罪、無実の罪)
714
00:38:51,400 --> 00:38:53,120
一旦白く洗えば その時
(*洗白=ホワイトウォッシング、ロンダリング、悪事などを美化する)
715
00:38:53,280 --> 00:38:55,560
高崇大哥は見えなくなります
716
00:38:56,400 --> 00:38:58,240
あの江湖の各派は
717
00:38:58,480 --> 00:39:00,960
趙敬が各派を率いて鬼谷を一掃する時
718
00:39:01,440 --> 00:39:05,360
とてもきまりが悪くないですか?
719
00:39:05,560 --> 00:39:08,120
威厳があり また徳がある
720
00:39:08,800 --> 00:39:11,960
各派は私に遺憾の意を示します
721
00:39:12,240 --> 00:39:14,680
この時に選ばれる武林盟主は
722
00:39:16,600 --> 00:39:18,040
私を置いて誰がなるのだ?
723
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義父さん
724
00:39:20,520 --> 00:39:22,400
あなたはどうしてそんなに聡明なの
725
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諸葛先生が再び世に現れたとしても
726
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あなたの智謀にただ恥じ入る他ない
727
00:39:32,000 --> 00:39:34,880
この小南蛮は 軽やかに舌が回りますね
(*巧舌如簧=舌がよく回る、弁舌が得意《詩経・小雅・巧言》)
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私の機嫌の取り方を知っている
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私のこの彫虫の小技など
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先賢と比べられるものか
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ただ急色鬼から音沙汰が今に至ってもまだない
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本来なら
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于丘烽は決して彼の相手ではない
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あやつはただならぬ雲行きを嗅ぎつけ
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この機会に隠れたのだ
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構わぬ
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今や全天下の武林門派が
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お前たちを探してくれる
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どこまで隠れていられるか見てやる
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