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第二十五話

1
00:02:53,360 --> 00:02:56,000
どうした よく眠れないのか

2
00:02:58,320 --> 00:03:00,030
悪夢を見たら 寝付けなくなったから

3
00:03:00,320 --> 00:03:01,680
いっそのこと外の空気を吸おうかと

4
00:03:05,280 --> 00:03:06,080
雨だな

5
00:03:07,280 --> 00:03:08,800
どうりで夢の中が寒いわけだ

6
00:03:11,640 --> 00:03:12,370
そうだね

7
00:03:13,170 --> 00:03:14,920
霜降(そうこう)過ぎたれば便ち是れ冬
(*霜降=10月23日頃、二十四節気の18、旧暦9月)

8
00:03:15,010 --> 00:03:16,250
臘八(ろうはち)過ぎたれば便ち是れ年
(*臘八=1月10日頃、釈迦が悟りを開いた日、旧暦12月8日)

9
00:03:16,970 --> 00:03:17,640
阿絮

10
00:03:18,090 --> 00:03:19,560
私たちでこうやって永遠に変わらず
(*天长地久=愛などが永遠に変わらない)

11
00:03:20,280 --> 00:03:22,010
四季山荘に住めたらいいのにね

12
00:03:24,730 --> 00:03:25,760
無理なのか?

13
00:03:33,450 --> 00:03:34,120
私が行くよ

14
00:03:34,120 --> 00:03:35,280
炭の山がどこにあるか知らないでしょ

15
00:03:39,680 --> 00:03:42,450
俺たち眠れないんだし いっそ飲むか

16
00:03:44,970 --> 00:03:45,810
飲もう

17
00:04:08,480 --> 00:04:09,250
ちょっと待って

18
00:04:16,050 --> 00:04:17,360
もったいぶって

19
00:04:26,930 --> 00:04:27,840
分からない?

20
00:04:28,610 --> 00:04:30,330
こいつはお酒を飲むのに一番いいんです

21
00:04:33,960 --> 00:04:34,770
お前が食え

22
00:04:35,330 --> 00:04:36,280
俺は酒があれば十分だ

23
00:04:37,210 --> 00:04:39,210
空腹でお酒を飲むのは胃に悪いよ

24
00:04:39,330 --> 00:04:41,520
この缶には六種の干果が入ってる

25
00:04:41,650 --> 00:04:43,520
それぞれ効能があって 栄養満点

26
00:04:44,050 --> 00:04:44,840
これが大江南北を

27
00:04:44,960 --> 00:04:46,930
一世風靡してる沃隆家です
(*大江南北=揚子江中流から下流域のこと、中国全体のこと《上曹儷笙侍郎書》)

28
00:04:48,080 --> 00:04:50,650
あなたは 毎日もっと沢山食べて

29
00:04:51,490 --> 00:04:54,930
老温 お前は江湖で時間を無駄にせず

30
00:04:55,330 --> 00:04:56,520
その口才で

31
00:04:56,960 --> 00:04:59,680
車を引いて商売すればとっくに成功してただろうな
(*富贾一方=一つの分野で財を成して一番になること)

32
00:05:01,010 --> 00:05:02,240
ほら 食べて

33
00:05:03,120 --> 00:05:04,010
本当にいらない

34
00:05:05,680 --> 00:05:08,050
阿絮や あなたは

35
00:05:08,210 --> 00:05:09,610
こんないい年して

36
00:05:09,840 --> 00:05:11,930
偏食で 夜更かしで

37
00:05:12,330 --> 00:05:14,170
どうやって弟子のお手本になるんです?

38
00:05:14,450 --> 00:05:15,610
夜更かしをしたいとでも?

39
00:05:16,240 --> 00:05:18,360
お前も胸元にでかい釘を打ってみろ

40
00:05:18,520 --> 00:05:20,490
ここ数日はよく眠れてましたよね

41
00:05:21,610 --> 00:05:23,490
それは以前から山荘にあった

42
00:05:24,050 --> 00:05:27,080
酔生夢死を見つけたからだ

43
00:05:30,800 --> 00:05:31,840
確かあの夜

44
00:05:32,490 --> 00:05:34,520
お前が酔生夢死の香にやられた後

45
00:05:35,360 --> 00:05:37,960
初めて周子舒という名を呼んだ

46
00:05:39,770 --> 00:05:41,050
今なら話せるだろ

47
00:05:42,240 --> 00:05:43,730
あの時何を見たのか

48
00:05:54,120 --> 00:05:55,010
私が見た夢では

49
00:05:56,330 --> 00:05:58,210
私はまだ七歳の時の姿で

50
00:05:58,930 --> 00:06:01,840
私たち一家三人で四季山荘に来ました

51
00:06:02,730 --> 00:06:06,170
両親は山の麓にささやかな医館を開いていて

52
00:06:06,650 --> 00:06:09,560
私は昼間は山荘で師父に着いて武術の練功

53
00:06:09,800 --> 00:06:13,010
夜は帰って温かいご飯を食べました

54
00:06:14,240 --> 00:06:16,080
薬人たちは私の夢の中では

55
00:06:16,360 --> 00:06:17,680
野犬の群れでした

56
00:06:18,240 --> 00:06:21,170
わけもなく私を追い掛けて狂ったように引き裂く

57
00:06:22,010 --> 00:06:23,400
あなたは時に周子舒

58
00:06:24,210 --> 00:06:25,450
時に甄一鍋(ジェン・イーグオ)として

59
00:06:26,280 --> 00:06:28,680
私の前に立ちはだかって守ってくれた

60
00:06:29,400 --> 00:06:30,610
甄一鍋?

61
00:06:30,840 --> 00:06:31,560
忘れたの?

62
00:06:32,610 --> 00:06:34,680
あなたの後を追うあの小さな野良犬

63
00:06:35,210 --> 00:06:36,680
この子の名前は?

64
00:06:37,010 --> 00:06:38,080
こいつは一鍋

65
00:06:38,960 --> 00:06:40,080
一鍋?

66
00:06:42,050 --> 00:06:43,360
ちょっと待って

67
00:06:44,770 --> 00:06:45,930
見せてよ

68
00:06:58,730 --> 00:06:59,770
私がそれを飼うことにしたら

69
00:07:00,560 --> 00:07:01,930
煮込んで肉鍋にしてやるって

70
00:07:02,360 --> 00:07:04,490
秦大侠が言ったんじゃないですか

71
00:07:05,080 --> 00:07:07,840
私の両親はいっそのことそれを名前にした

72
00:07:08,930 --> 00:07:09,800
お前は

73
00:07:10,170 --> 00:07:12,490
四季山荘と深い関わりがあると分かっていたが

74
00:07:12,840 --> 00:07:13,840
予想外だった

75
00:07:15,770 --> 00:07:17,400
四季山荘は久しく姿を消していた

76
00:07:18,170 --> 00:07:20,360
私は流雲九宮歩を使う人がいるのを見て

77
00:07:20,520 --> 00:07:21,930
これが手がかりだと思って

78
00:07:22,280 --> 00:07:23,610
着いて行ってみたんだ

79
00:07:29,080 --> 00:07:31,770
あなたが白衣剣を抜くまでは

80
00:07:32,050 --> 00:07:33,330
私も確証が持てなかった

81
00:07:33,930 --> 00:07:34,890
最後に

82
00:07:35,450 --> 00:07:38,080
あなたは周だと名乗った

83
00:07:39,650 --> 00:07:40,680
思った通り

84
00:07:44,840 --> 00:07:47,770
子(なんじ)の手を執りて
座して雲の舒(ゆる)やかなるを看る
(*执子之手=あなたの手をとって《詩経》*坐看云舒=座して雲のたゆたうのを見る《小窓幽記》)

85
00:07:48,840 --> 00:07:50,050
とても良い名です

86
00:07:53,650 --> 00:07:56,450
なら老温 温客行という名は?

87
00:08:01,450 --> 00:08:02,680
私の父の旧姓は温でした

88
00:08:03,840 --> 00:08:05,240
だけど彼は孤児で

89
00:08:05,800 --> 00:08:08,210
神医谷の老谷主に付いて姓を改めた

90
00:08:08,450 --> 00:08:09,960
神医谷老谷主が

91
00:08:10,080 --> 00:08:11,520
父を師門から追放したなら

92
00:08:12,330 --> 00:08:13,120
他人の姓をこれ以上

93
00:08:13,210 --> 00:08:15,960
名乗る道理もない でしょ?

94
00:08:18,610 --> 00:08:21,680
私はもとより天涯の孤鴻 根無しの行客
(*孤鸿=はぐれた雁 *无根行客《憶少年・別歴下》晁補之)

95
00:08:22,610 --> 00:08:23,610
この名に改めました

96
00:08:24,770 --> 00:08:26,360
相互作用したとも言えますね
(*相得益彰=二つのものが能力と機能を補い合い良い効果を得る《史記・伯夷列伝》)

97
00:08:27,450 --> 00:08:28,560
だけどお前は今

98
00:08:34,360 --> 00:08:36,010
お前と成嶺に出会う前は

99
00:08:37,920 --> 00:08:39,720
俺も天涯を放浪するつもりだった

100
00:08:40,960 --> 00:08:44,400
酔いて死すれば即ち埋む 了(おわ)りし此の残生

101
00:08:47,010 --> 00:08:49,200
当時自分にはもう帰る家はないと思っていた

102
00:08:50,890 --> 00:08:52,050
だが今は大丈夫だ

103
00:08:53,200 --> 00:08:54,400
俺たちは帰ってこられた

104
00:08:56,690 --> 00:08:57,520
さあ

105
00:08:58,600 --> 00:08:59,450
お前に

106
00:09:00,640 --> 00:09:03,490
天涯の孤鴻 根無しの行客

107
00:09:07,570 --> 00:09:10,600
子の手を執りて 座して雲の舒やかなるを看る

108
00:09:18,450 --> 00:09:21,130
ここにずっと住む準備はできた

109
00:09:22,010 --> 00:09:23,690
葉前輩が俺の病を治してくれれば

110
00:09:23,840 --> 00:09:24,640
俺は成嶺と

111
00:09:24,930 --> 00:09:27,010
ここに天長地久 住み続ける

112
00:09:27,600 --> 00:09:31,050
老温 お前はいつ帰って来てもいい

113
00:09:41,330 --> 00:09:48,570
客行楽しと云うと雖(いえど)も
早く旋帰するに如かず
(*旅は楽しいだろうけど寂しいので早く帰ってきて《明月何皎皎》)

114
00:10:07,400 --> 00:10:07,960
阿湘

115
00:10:08,400 --> 00:10:09,760
水汲みがどうしてこんなに長いんだ

116
00:10:10,010 --> 00:10:10,760
早く行くぞ

117
00:10:11,960 --> 00:10:14,330
阿湘 桃紅緑柳のような人を見かけたんだ

118
00:10:15,130 --> 00:10:16,200
何の紅い花と緑の柳だ

119
00:10:16,370 --> 00:10:17,570
岳陽派で僕たちを襲って

120
00:10:17,690 --> 00:10:19,080
小怜姐を連れ去ったあのお爺さんとお婆さんだよ

121
00:10:38,760 --> 00:10:39,760
はっきり見たのか?

122
00:10:39,960 --> 00:10:40,890
本当に奴らだった?

123
00:10:41,330 --> 00:10:42,010
間違いないよ

124
00:10:42,250 --> 00:10:43,370
確かにあの姑娘は

125
00:10:43,490 --> 00:10:44,930
変装させられた小怜姐だった

126
00:10:45,450 --> 00:10:46,400
さっき水を汲みに行ったら

127
00:10:46,600 --> 00:10:47,840
小怜姐の声が聞こえたんだ

128
00:10:48,160 --> 00:10:51,330
彼女は全身の経穴を塞がれたんだと思う
(*周身大穴=人体の重要なツボ)

129
00:10:51,490 --> 00:10:53,690
食事と水以外 動いたり喋ったりできない

130
00:10:54,640 --> 00:10:56,080
それにあの桃紅緑柳は

131
00:10:56,200 --> 00:10:58,520
前に吊死鬼の纏魂絲に腕を断たれてるんだ

132
00:10:58,840 --> 00:11:00,010
君は離れていてよく見えなかったよね

133
00:11:00,330 --> 00:11:02,080
あのお爺さんお婆さんはそれぞれ断たれた腕を

134
00:11:02,330 --> 00:11:04,400
袖で覆って隠してるんだ

135
00:11:04,640 --> 00:11:05,840
もし本当にあいつらなら

136
00:11:06,640 --> 00:11:08,600
阿湘 僕は彼らだと確信してる

137
00:11:08,840 --> 00:11:09,930
やっと遭遇したんだから

138
00:11:10,050 --> 00:11:10,930
見失ったらダメだよ

139
00:11:11,450 --> 00:11:12,930
早く方法を考えよう

140
00:11:16,330 --> 00:11:18,160
阿湘 どうしたの?

141
00:11:20,200 --> 00:11:21,520
阿湘 心配しないで

142
00:11:21,640 --> 00:11:22,400
この敵がどんなに強くても

143
00:11:22,570 --> 00:11:23,400
僕は命を投げ捨てて

144
00:11:23,490 --> 00:11:24,490
君と小怜姐を守るよ

145
00:11:24,600 --> 00:11:26,490
その程度の腕前で誰を守れるんだよ

146
00:11:29,840 --> 00:11:32,810
曹大哥 できるだけこの泥水には入らないでおこう

147
00:11:32,930 --> 00:11:35,080
この前もう少しで命を無駄にするところだっただろ

148
00:11:36,930 --> 00:11:39,400
阿湘 どうしてそんな事思えるの?

149
00:11:39,690 --> 00:11:41,520
小怜姐を放っておけない

150
00:11:41,960 --> 00:11:43,760
怖いならここにいて 僕が行くよ

151
00:11:44,640 --> 00:11:45,490
殴り殺されるのは大したことじゃない

152
00:11:45,640 --> 00:11:47,840
生にしがみつく臆病者に成り果てるよりましだよ
(*贪生怕死=命を惜しんで死を怖がる《漢書・文三王伝》)

153
00:11:48,010 --> 00:11:48,690
行けよ

154
00:11:48,890 --> 00:11:50,960
無駄に命を落として誰を救えるか見てやる

155
00:11:52,690 --> 00:11:53,450
待って

156
00:11:55,450 --> 00:11:56,450
曹蔚寧

157
00:11:56,960 --> 00:11:58,370
あんたあたしにそんな風にできるのか

158
00:11:59,370 --> 00:12:01,570
あんたあたしの主人に約束しただろ

159
00:12:01,760 --> 00:12:02,720
絶対あたしに背かないって

160
00:12:06,200 --> 00:12:08,810
阿湘 僕は絶対に君を裏切ったりしない

161
00:12:09,760 --> 00:12:11,840
だけど愛の前に 義の文字が先にある

162
00:12:12,490 --> 00:12:13,050
どうして

163
00:12:13,130 --> 00:12:14,370
仲のいい友を見捨てることができるんだ

164
00:12:15,400 --> 00:12:18,490
そんな僕がどうして君にふさわしいの

165
00:12:20,330 --> 00:12:21,760
あたしが行かせないって言った?

166
00:12:21,930 --> 00:12:23,490
ただあんたを無駄死にさせないと言っただけだ

167
00:12:23,810 --> 00:12:25,890
戦っても敵わないのに まだ作戦考えてないだろ?

168
00:12:26,930 --> 00:12:29,330
阿湘 ごめん

169
00:12:29,600 --> 00:12:32,080
僕が誤解してた

170
00:12:32,330 --> 00:12:33,570
無駄口を叩いてる場合か

171
00:12:33,960 --> 00:12:34,930
人を救うのが先だ

172
00:12:35,890 --> 00:12:37,450
まず小怜姐たちの後を追って

173
00:12:37,570 --> 00:12:38,810
尾行の目印を残すんだ

174
00:12:41,690 --> 00:12:43,400
ここは断剣山荘からも遠くない

175
00:12:43,520 --> 00:12:44,600
彼らも五湖盟だから

176
00:12:45,050 --> 00:12:45,760
あたしが助けを求めてくる

177
00:12:45,890 --> 00:12:47,280
そうしたら奴らの行く手を遮って止めるんだ

178
00:12:47,450 --> 00:12:49,050
阿湘 その方法がいい

179
00:12:49,890 --> 00:12:50,930
やっぱり君は聡明だね

180
00:12:51,400 --> 00:12:52,370
無駄口叩いてる場合じゃない

181
00:12:52,490 --> 00:12:53,370
あんたへのこの恨みは覚えておくぞ

182
00:12:53,400 --> 00:12:54,400
後できっちり清算するからな
(*秋后算账=事が一段落してから仕返しする)

183
00:12:55,490 --> 00:12:56,330
早く行けよ

184
00:13:06,280 --> 00:13:09,450
このバカは 全く大バカだ

185
00:13:11,520 --> 00:13:13,810
あたしが去った後一人でどうするんだよ?

186
00:13:14,640 --> 00:13:16,080
あいつが誰かにいじめられることを考えたら

187
00:13:17,330 --> 00:13:18,690
めちゃくちゃ腹が立つ

188
00:13:36,840 --> 00:13:37,640
黄長老

189
00:13:38,690 --> 00:13:39,930
我ら大石鎮の破れ寺で

190
00:13:40,050 --> 00:13:42,200
落ち合おうと約束しなかったか?

191
00:13:42,960 --> 00:13:44,160
どうして先に来なさった

192
00:13:44,570 --> 00:13:46,760
大石鎮で居所を暴かれ

193
00:13:47,600 --> 00:13:49,280
毒蝎に付け狙われておった

194
00:13:49,810 --> 00:13:51,760
先ほど奴らを振り払ったところだ

195
00:13:52,960 --> 00:13:55,760
我々はすっかり趙敬の奴に騙された

196
00:13:56,160 --> 00:13:57,690
黒白両道がわしを付け狙う

197
00:13:57,840 --> 00:14:00,450
白道が追い 黒道が殺すのだ

198
00:14:01,130 --> 00:14:02,570
高の小娘よ

199
00:14:03,200 --> 00:14:06,050
おぬしは趙敬と毒蝎に
どんな関係があるか知っておるか?

200
00:14:07,450 --> 00:14:08,960
私は早くに言ったはずです

201
00:14:09,760 --> 00:14:12,280
趙おじ様は必ず助けに来てくださいます

202
00:14:12,600 --> 00:14:13,370
助けが何だ

203
00:14:14,010 --> 00:14:17,130
わしは早くに人質を交換すると伝えておったが

204
00:14:17,520 --> 00:14:19,010
奴は屁すら出さん

205
00:14:19,200 --> 00:14:21,600
我らにこの持ち札を引き裂いてもらえれば

206
00:14:21,930 --> 00:14:23,720
都合よく死して対証することなし
(*死无对证=死人に口なし《抱粧盒》)

207
00:14:23,920 --> 00:14:24,860
くそったれめ

208
00:14:25,600 --> 00:14:27,810
恐らく高崇を罠に嵌め殺害したのも

209
00:14:28,160 --> 00:14:29,760
あの野郎だ

210
00:14:30,010 --> 00:14:30,840
黄鶴

211
00:14:31,890 --> 00:14:33,280
あんたの言う通りに

212
00:14:33,600 --> 00:14:35,690
私ら夫婦は何十年もの古い付き合いに免じて

213
00:14:35,810 --> 00:14:37,520
手を尽くしてあんたを手伝いこの娘をさらった

214
00:14:38,130 --> 00:14:41,330
風餐露宿の道中で 頭を隠し尾を晒し
(*藏头露尾=言い逃れをして真相を語らない、煮え切らない態度)

215
00:14:41,960 --> 00:14:44,130
堪えて今 無駄になった

216
00:14:45,370 --> 00:14:47,010
人の思惑は天の思惑に及ばぬ

217
00:14:48,010 --> 00:14:51,130
誰がこのように高崇が死ぬと分かる

218
00:14:51,600 --> 00:14:53,810
また誰が彼の遺児の生死を

219
00:14:53,960 --> 00:14:57,160
兄弟が気に掛けずにいると思う

220
00:14:58,050 --> 00:14:59,010
ここに至って

221
00:14:59,250 --> 00:15:02,050
趙敬が琉璃甲とこの娘を
交換することはなかろう

222
00:15:02,600 --> 00:15:03,400
小娘よ

223
00:15:03,840 --> 00:15:06,520
もし銭を出して買う者が見つからねば

224
00:15:07,050 --> 00:15:09,690
お前はたった一文の価値もない役立たずだ

225
00:15:09,840 --> 00:15:10,690
信じようが信じまいが

226
00:15:10,810 --> 00:15:13,130
お前を最も下賤な妓楼に売ってやる

227
00:15:13,370 --> 00:15:14,330
黄鶴

228
00:15:15,810 --> 00:15:18,720
あんたは彼女の祖父になれる歳だろうに

229
00:15:19,370 --> 00:15:21,080
そのような下品な話をするとは

230
00:15:21,810 --> 00:15:23,050
恥知らずだね

231
00:15:23,330 --> 00:15:24,370
桃紅婆さん

232
00:15:24,840 --> 00:15:27,640
こうでもせずに どうして青崖山に報復できるのだ

233
00:15:27,890 --> 00:15:30,450
亡くなった無数の烈士の仇

234
00:15:30,690 --> 00:15:32,840
五湖盟があんなに多くの人を殺害し

235
00:15:33,160 --> 00:15:35,930
高魔王があのような死を遂げたならば
(*一死了之=死んで事を解決する)

236
00:15:36,640 --> 00:15:38,010
我らは決して大魔王の娘を

237
00:15:38,130 --> 00:15:39,760
見逃すことはできんのだ

238
00:15:39,840 --> 00:15:41,250
私の父は魔王ではありません

239
00:15:41,640 --> 00:15:43,050
私の父は人を傷つけません

240
00:15:43,200 --> 00:15:43,960
黙りな

241
00:15:44,690 --> 00:15:45,840
お前に何が分かる

242
00:15:48,280 --> 00:15:51,600
もしやこやつは何も知らぬのでは?

243
00:15:52,720 --> 00:15:54,930
ならば教えてやろう

244
00:15:55,250 --> 00:15:56,330
二十年前

245
00:15:56,690 --> 00:16:00,520
多数の死傷を出した青崖山の役があったのは

246
00:16:00,890 --> 00:16:05,760
五湖盟が天下の群雄を騙したことが発端である

247
00:16:06,490 --> 00:16:08,690
奴らが容炫を包囲討伐したのは

248
00:16:08,930 --> 00:16:11,400
ただ琉璃甲を奪い取るために過ぎぬ

249
00:16:12,080 --> 00:16:14,490
魔を除くという大義名分で

250
00:16:14,600 --> 00:16:17,160
騙して無数の人の命が売られたのだ

251
00:16:17,370 --> 00:16:19,960
桃紅緑柳の一人息子は

252
00:16:20,760 --> 00:16:24,160
他でもなくこの役で重傷を負い惨死した

253
00:16:24,640 --> 00:16:26,250
五湖盟が台頭したのは

254
00:16:26,370 --> 00:16:29,050
正道の群雄がこの役で

255
00:16:29,160 --> 00:16:30,520
犠牲になったお陰なのだ

256
00:16:30,890 --> 00:16:32,160
哀れなり

257
00:16:32,960 --> 00:16:35,640
哀れにもあの青崖山に骨を埋めた者たちは

258
00:16:35,930 --> 00:16:39,130
今となっては愚かな幽霊の群れだ

259
00:16:39,280 --> 00:16:41,010
全部嘘です

260
00:16:42,250 --> 00:16:44,890
黄鶴 すっかり千年の狐だね
(*自分だけがずる賢いく人を騙せると思ったら大間違い)

261
00:16:45,160 --> 00:16:47,520
私の前でどんな誤魔化しをしたところで

262
00:16:48,370 --> 00:16:50,640
この小娘は一文の価値もない

263
00:16:51,370 --> 00:16:52,250
ならば結構

264
00:16:53,250 --> 00:16:56,160
我らはこの無実の子供を苦しめはしない

265
00:16:57,200 --> 00:16:58,960
すっきり行かせてやるだけだ

266
00:16:59,130 --> 00:16:59,760
いかん

267
00:16:59,890 --> 00:17:00,640
やめろ

268
00:17:04,010 --> 00:17:04,850
小怜姐

269
00:17:06,159 --> 00:17:07,279
曹蔚寧

270
00:17:07,610 --> 00:17:08,330
黄長老

271
00:17:08,810 --> 00:17:10,640
あなたを腕の立つ先輩だと尊敬しておりました

272
00:17:10,850 --> 00:17:13,400
まさかこのような悪事を働くとは

273
00:17:14,520 --> 00:17:15,690
おぬしの師父は来ておるのか?

274
00:17:15,880 --> 00:17:17,209
羊亡いて牢補う ならば未だ晩しとせず
(*遅くともしないよりまし《戦国策・楚策四》)

275
00:17:17,610 --> 00:17:18,690
あなたは今すぐ改心し

276
00:17:18,930 --> 00:17:20,000
彼らを倒し

277
00:17:20,200 --> 00:17:21,300
高小姐救出に手を貸してください

278
00:17:24,810 --> 00:17:27,090
どこから来たガキだ?

279
00:17:27,690 --> 00:17:29,970
じいさん 聞いたね?

280
00:17:30,280 --> 00:17:33,880
彼は黄さんに改心させるんだと

281
00:17:36,000 --> 00:17:36,930
笑うな

282
00:17:37,160 --> 00:17:39,850
若いの あんたは彼女の情夫かい?

283
00:17:40,210 --> 00:17:42,400
一途に命懸けで彼女を救うとは
死が怖くないのか?

284
00:17:42,520 --> 00:17:43,330
いいえ

285
00:17:43,610 --> 00:17:44,970
義の字を前にして どうして生死を恐れるなど

286
00:17:45,120 --> 00:17:46,280
速やかに彼女を解放すれば

287
00:17:46,690 --> 00:17:47,880
これまでのことは一切咎めません
(*既往不咎=過ぎたことは咎めない《論語・八佾》)

288
00:17:48,450 --> 00:17:49,090
でなければ

289
00:17:49,240 --> 00:17:51,610
今 江湖の武林正派全てが彼女を探しています

290
00:17:51,760 --> 00:17:52,690
何?

291
00:17:53,450 --> 00:17:56,050
黄鶴 馬脚を露わしたな?

292
00:17:56,210 --> 00:17:58,090
お前は私ら夫婦に

293
00:17:58,210 --> 00:18:01,400
高小姐を差し出させるつもりだったんだね
(*拱手让人 恭しく人に譲り渡す《民国通俗演義》)

294
00:18:01,810 --> 00:18:03,570
おいしいところを独占して

295
00:18:03,760 --> 00:18:06,280
この汚い仕事はわしらに全部やらせ

296
00:18:06,730 --> 00:18:09,090
用が済めば 切り捨てる

297
00:18:09,360 --> 00:18:10,810
そんな簡単にはいかない

298
00:18:12,000 --> 00:18:16,050
簡単か簡単ではないかは各々の腕次第だ

299
00:18:20,160 --> 00:18:21,360
小怜姐 行くよ

300
00:18:31,210 --> 00:18:32,000
早く

301
00:18:41,930 --> 00:18:43,210
どこに逃げるんだ

302
00:18:44,480 --> 00:18:46,520
黄長老は私らに討たれた

303
00:18:46,730 --> 00:18:48,610
小娘 一緒に来なさい

304
00:18:49,050 --> 00:18:50,160
小怜姐 早く逃げて

305
00:18:50,240 --> 00:18:50,970
私が引き止めます

306
00:18:51,120 --> 00:18:51,880
一緒に行くのよ

307
00:18:52,050 --> 00:18:52,930
早く逃げて

308
00:19:12,050 --> 00:19:12,850
蔚寧

309
00:19:23,400 --> 00:19:25,240
桃紅緑柳 大した度胸だ

310
00:19:28,360 --> 00:19:29,210
沈おじ様

311
00:19:30,090 --> 00:19:30,970
警告する

312
00:19:32,160 --> 00:19:33,640
私の姪に手を出すんじゃない

313
00:19:33,930 --> 00:19:34,760
立ち去れ

314
00:19:35,050 --> 00:19:35,850
阿湘

315
00:19:40,120 --> 00:19:40,930
曹大哥

316
00:19:43,240 --> 00:19:45,090
曹大哥 大丈夫か?

317
00:19:46,640 --> 00:19:47,520
大丈夫か?

318
00:19:48,120 --> 00:19:49,880
沈慎 煩わせるでない
(*啰唆=まわりくどい、こまごまと煩わしい《紅楼夢》)

319
00:19:50,930 --> 00:19:53,210
このお嬢ちゃんは
今日わしらが落とし前をつけるのだ

320
00:20:13,360 --> 00:20:14,160
じいさん

321
00:20:15,850 --> 00:20:16,810
沈おじ様

322
00:20:17,400 --> 00:20:18,120
じいさん

323
00:20:18,640 --> 00:20:19,450
ばあさん

324
00:20:19,610 --> 00:20:20,210
じいさん

325
00:20:20,330 --> 00:20:21,520
わしのことは気にするな じいさん

326
00:20:22,120 --> 00:20:23,970
"夫婦は本来同じ林の鳥なれど

327
00:20:24,160 --> 00:20:25,930
大難に臨めばそれぞれ自ら飛ぶ"
(*愛情深い夫婦が一方の危機には利己的になる)

328
00:20:26,520 --> 00:20:27,850
逃げなさい

329
00:20:28,000 --> 00:20:29,120
黙っておくれ

330
00:20:30,240 --> 00:20:32,690
沈慎 やりな

331
00:20:33,480 --> 00:20:37,570
沈慎 ばあさんを見逃してくれ

332
00:20:38,240 --> 00:20:39,640
わしは

333
00:20:39,760 --> 00:20:41,050
余計なことを言うな

334
00:20:42,330 --> 00:20:43,210
じいさん

335
00:20:43,930 --> 00:20:47,120
私ら夫婦は死ぬ時は一緒ではないか

336
00:20:49,000 --> 00:20:53,520
次の人生では私があんたのじいさんになって

337
00:20:54,400 --> 00:20:56,610
尻に敷かれてやるわ

338
00:20:57,640 --> 00:20:59,970
いいだろう お前たちの望む通りに

339
00:21:00,160 --> 00:21:01,280
沈おじ様 ちょっと待って

340
00:21:05,330 --> 00:21:07,610
お爺さん お婆さん

341
00:21:08,640 --> 00:21:09,610
黄長老は

342
00:21:10,450 --> 00:21:11,280
その年に

343
00:21:12,000 --> 00:21:14,730
五湖盟が引き起こした青崖山の役で

344
00:21:16,570 --> 00:21:18,450
ご子息が巻き添えになり惨死したと言っていた

345
00:21:19,610 --> 00:21:20,730
これは本当ですか?

346
00:21:21,240 --> 00:21:22,450
我らに聞いてどうする?

347
00:21:23,400 --> 00:21:25,050
沈大侠に聞きな

348
00:21:26,520 --> 00:21:29,210
五湖盟はわしら夫婦の

349
00:21:29,570 --> 00:21:32,480
"白髪の人が黒髪の人を送る"
(*子供に先立たれる)

350
00:21:33,450 --> 00:21:35,640
身と心に傷を残した

351
00:21:37,690 --> 00:21:41,850
この恨みに報いぬなど 人とは言えぬ

352
00:21:42,810 --> 00:21:44,330
生きて仇を討てぬなら

353
00:21:45,360 --> 00:21:49,930
死んで鬼になってでも高崇に仕返ししてやる

354
00:21:53,120 --> 00:21:56,760
彼らの言うことは全て本当なのですね

355
00:21:58,160 --> 00:21:59,640
どうりで父はこの数年…

356
00:22:01,090 --> 00:22:02,090
沈おじ様

357
00:22:04,050 --> 00:22:05,240
彼らを見逃してください

358
00:22:05,360 --> 00:22:08,240
小怜 彼らは君をこんなに長く拘束していたんだぞ

359
00:22:08,610 --> 00:22:11,120
全部 黄長老の仕組んだ事です

360
00:22:11,970 --> 00:22:15,120
お爺さんお婆さんも彼に利用されたんです

361
00:22:15,450 --> 00:22:18,690
それにお婆さんは長い間私を捕らえていましたが

362
00:22:19,000 --> 00:22:20,330
本性は悪くありません

363
00:22:21,330 --> 00:22:24,160
黄長老が私を虐げようとするたびに

364
00:22:25,090 --> 00:22:27,000
毎回お婆さんが防いで守ってくれたんです

365
00:22:27,880 --> 00:22:28,690
沈おじ様

366
00:22:29,570 --> 00:22:32,400
仇を討ち合って何になります?

367
00:22:33,360 --> 00:22:34,570
私たちの五湖盟は

368
00:22:34,850 --> 00:22:36,960
彼ら夫婦の命に借りがあります

369
00:22:37,200 --> 00:22:39,680
今日は見逃してあげて

370
00:22:40,280 --> 00:22:43,200
小娘 お前の情けは無用だよ

371
00:22:44,010 --> 00:22:45,320
帳尻合わせにしては

372
00:22:45,560 --> 00:22:47,770
我が子の死は早すぎた

373
00:22:48,680 --> 00:22:50,200
黙ってなさい ばあさん

374
00:22:52,130 --> 00:22:53,040
沈掌門

375
00:22:54,370 --> 00:22:56,920
わしら夫婦 江湖に二十年

376
00:22:57,850 --> 00:23:00,090
善人であったつもりはない

377
00:23:01,440 --> 00:23:03,440
だが嘘を言ったことはない

378
00:23:04,280 --> 00:23:05,040
今日

379
00:23:06,680 --> 00:23:09,730
お前がもしわしら夫婦二人を見逃すなら

380
00:23:11,130 --> 00:23:12,250
これからは

381
00:23:13,800 --> 00:23:15,090
江湖から退く

382
00:23:15,320 --> 00:23:18,320
黙りな あんたの一存で決めるんじゃない

383
00:23:19,970 --> 00:23:20,800
沈慎

384
00:23:21,440 --> 00:23:22,370
彼が恐れをなしても

385
00:23:23,370 --> 00:23:26,680
私は五湖盟への恨みを絶対に晴らしてやる
(*誓不罢休=絶対に後には引かないと誓うこと、確固たる決意)

386
00:23:27,800 --> 00:23:30,920
できるものなら私を殺しな

387
00:23:38,320 --> 00:23:39,560
青崖山の役の時

388
00:23:41,520 --> 00:23:42,800
我が姪はまだ生まれていなかった

389
00:23:43,370 --> 00:23:44,440
上の世代の恩讐に

390
00:23:45,650 --> 00:23:47,440
これ以上子供たちを巻き込むことはできない

391
00:23:48,130 --> 00:23:50,040
我が姪を庇ってくれていたことに免じて

392
00:23:50,920 --> 00:23:52,200
今日はお前たちを逃してやる

393
00:23:53,650 --> 00:23:55,200
まだ五湖盟への報復を考えるなら

394
00:23:56,040 --> 00:23:57,440
私を訪ねて来ればいい

395
00:23:58,440 --> 00:23:59,650
沈某はお待ち申し上げる

396
00:23:59,970 --> 00:24:00,400
行け

397
00:24:00,800 --> 00:24:01,610
おのれ

398
00:24:15,680 --> 00:24:16,490
ちょっと待って

399
00:24:25,160 --> 00:24:25,970
お爺さん

400
00:24:28,680 --> 00:24:29,490
お婆さん

401
00:24:32,680 --> 00:24:36,090
道中お気をつけて

402
00:24:57,040 --> 00:24:58,160
蔚寧は無事なの?

403
00:25:01,370 --> 00:25:03,130
あなたたちずっと一緒だったのね?

404
00:25:07,370 --> 00:25:10,010
沈おじ様はあなたが探してきたの? そうでしょ?

405
00:25:14,560 --> 00:25:15,280
いいよ

406
00:25:16,440 --> 00:25:18,280
みんな無事で安心したよ

407
00:25:19,370 --> 00:25:22,320
沈大侠 殺したけりゃ殺せよ

408
00:25:24,250 --> 00:25:26,440
阿湘 何言ってるの?

409
00:25:27,200 --> 00:25:29,130
沈おじ様がどうしてあなたを殺せるの

410
00:25:29,250 --> 00:25:30,040
温客行は?

411
00:25:31,040 --> 00:25:32,370
あたしは知らないって言ったんだ

412
00:25:32,520 --> 00:25:34,010
何度聞いても知らないよ

413
00:25:34,970 --> 00:25:37,610
"人の将に死なんとする 其の言や善し"

414
00:25:38,010 --> 00:25:38,970
嘘はついてないよ

415
00:25:40,400 --> 00:25:42,850
阿湘 何をふざけてるの?

416
00:25:45,800 --> 00:25:48,490
小怜姐 あたしはあんたに

417
00:25:48,490 --> 00:25:50,440
恩はあっても恨みはない立場になれた

418
00:25:51,400 --> 00:25:52,250
約束して

419
00:25:52,770 --> 00:25:54,650
曹大哥には言わないでくれ あたしが

420
00:25:54,770 --> 00:25:56,650
何の告白? 何を言ってるの 阿湘

421
00:25:56,650 --> 00:25:57,800
小怜 こちらに来なさい

422
00:25:59,010 --> 00:26:00,320
彼女の隣に立ってはいけない

423
00:26:03,280 --> 00:26:04,010
おじ様

424
00:26:04,160 --> 00:26:06,800
あなた方の間にはきっと何か誤解があるんだわ

425
00:26:07,610 --> 00:26:09,280
誤解があるなら 解けばいいじゃない

426
00:26:09,680 --> 00:26:10,650
何の誤解だ?

427
00:26:12,010 --> 00:26:14,160
彼女は鬼谷谷主の侍女で腹心だ

428
00:26:15,160 --> 00:26:15,890
彼女に聞け

429
00:26:16,680 --> 00:26:17,850
阿湘は本名か?

430
00:26:18,770 --> 00:26:19,730
これは本当だよ

431
00:26:20,040 --> 00:26:21,490
行きて名を改めず 座して姓を改めず
(*行不更名 坐不改姓、どんな状況でも決して改名せず正々堂々としていること《盆兒鬼》)

432
00:26:22,320 --> 00:26:23,800
紫煞顧湘なり

433
00:26:24,040 --> 00:26:25,770
どうした あの群鬼冊に

434
00:26:25,920 --> 00:26:27,560
こんな小鬼の名前まであるのか

435
00:26:28,200 --> 00:26:29,320
あたしなかなか有名じゃん

436
00:26:29,490 --> 00:26:30,850
お前はなぜ温客行と別れて

437
00:26:31,520 --> 00:26:33,130
我が甥 曹くんと一緒になってるんだ

438
00:26:33,650 --> 00:26:34,560
正直に話すんだ

439
00:26:35,850 --> 00:26:36,610
話したら

440
00:26:38,200 --> 00:26:39,090
あんたは信じるか?

441
00:26:46,370 --> 00:26:50,440
あたしはもう彷徨う鬼の日々は過ごしたくない
(*孤魂野鬼=供養されない彷徨う幽霊、孤独な人《囲城》銭鍾書)

442
00:26:51,560 --> 00:26:54,520
あたしは人の世に戻る道を見つけて

443
00:26:55,490 --> 00:26:58,730
彼と 一生を送りたかった

444
00:27:01,970 --> 00:27:02,850
信じるか?

445
00:27:03,490 --> 00:27:05,370
正体が暴露されたのを知ってなお

446
00:27:06,200 --> 00:27:07,800
なぜ人助けのために私を探した

447
00:27:08,520 --> 00:27:09,850
私がお前を殺すのは怖くないのか?

448
00:27:10,650 --> 00:27:11,610
仕方ないよ

449
00:27:12,920 --> 00:27:17,090
"鶏に嫁げば鶏に従い
犬に嫁げば犬に従う"って言うでしょ

450
00:27:18,010 --> 00:27:19,200
だってあたしが見つけたのは

451
00:27:19,850 --> 00:27:22,370
義気の後ろに命を置く男の

452
00:27:23,800 --> 00:27:25,090
見本だけだったんだもん
(*有样学样=人の振る舞いを学ぶこと、見様見真似)

453
00:27:31,090 --> 00:27:31,920
沈掌門

454
00:27:33,200 --> 00:27:35,200
あたしの小さな親切心に免じて

455
00:27:35,400 --> 00:27:36,280
教えてくれ

456
00:27:37,280 --> 00:27:39,440
群鬼冊にそもそもあたしが載ってるのかどうか

457
00:27:43,890 --> 00:27:44,650
ない

458
00:27:48,730 --> 00:27:50,250
ない ないなら良かった

459
00:27:53,090 --> 00:27:56,730
こんな曹大哥なら永遠に知らないだろうな

460
00:28:00,490 --> 00:28:03,490
沈掌門 小怜姐

461
00:28:04,090 --> 00:28:05,440
一つお願いがあるんだ

462
00:28:06,250 --> 00:28:07,610
あたしを殺した後に

463
00:28:08,970 --> 00:28:10,680
曹大哥に隠しておいてもらえないかな

464
00:28:12,370 --> 00:28:14,010
黄鶴に殺されたって言ったら

465
00:28:15,200 --> 00:28:17,250
こんな彼だからあたしが騙していたって分からない

466
00:28:18,250 --> 00:28:19,320
いいだろ?

467
00:28:19,490 --> 00:28:21,160
ダメ 阿湘ダメだよ

468
00:28:22,130 --> 00:28:24,680
沈おじ様 阿湘は良い姑娘です

469
00:28:25,440 --> 00:28:26,320
殺さないで

470
00:28:26,440 --> 00:28:27,850
彼女を殺さないでくれませんか?

471
00:28:28,010 --> 00:28:28,800
バカな娘だ

472
00:28:29,040 --> 00:28:31,250
私のようなウツケになることはないんだ

473
00:28:32,680 --> 00:28:33,650
半生を生きても

474
00:28:34,130 --> 00:28:35,850
人と鬼さえ見分けられなかった

475
00:28:44,090 --> 00:28:44,920
もう行くぞ

476
00:29:20,610 --> 00:29:22,850
師父 拳法を教えてくれるんですね?

477
00:29:23,320 --> 00:29:24,890
師として武芸を極めてからは

478
00:29:25,250 --> 00:29:27,440
拳法功夫に気を使うことは滅多になかった

479
00:29:29,890 --> 00:29:33,650
お前の師叔がいくつか要点を伝授してくれたら

480
00:29:34,160 --> 00:29:35,890
少しはお前の役に立つんじゃないか?

481
00:29:36,560 --> 00:29:37,370
何の話です?

482
00:29:37,520 --> 00:29:38,730
自分で弟子に教えないで

483
00:29:39,040 --> 00:29:40,560
他人に手を出させる理屈だね

484
00:29:42,650 --> 00:29:43,680
お前は他人か?

485
00:29:44,920 --> 00:29:45,770
もちろん違います

486
00:29:46,370 --> 00:29:49,160
温叔 師叔と呼んでいいですか?

487
00:29:53,250 --> 00:29:55,250
答えないのは 黙認ですね

488
00:29:56,800 --> 00:29:57,730
おバカさん

489
00:29:58,400 --> 00:30:00,440
以前の君はぼんやりしたところが
とても良かったのに

490
00:30:00,610 --> 00:30:02,890
どうして今は猿のように熟(こな)れてしまったのか

491
00:30:03,250 --> 00:30:04,090
ねえ師叔

492
00:30:04,250 --> 00:30:06,490
あなたの功夫はどこから学んだのですか?

493
00:30:11,130 --> 00:30:12,770
小僧 はしゃぐな

494
00:30:14,090 --> 00:30:16,850
弟子がこんなにやんちゃなのは
全部お前が甘やかすからじゃないか

495
00:30:19,730 --> 00:30:20,320
成嶺

496
00:30:21,090 --> 00:30:22,370
お前は武功を習い始めたばかりだ

497
00:30:22,650 --> 00:30:24,040
高度な武功はまだ学べない

498
00:30:24,370 --> 00:30:27,130
今日は師が最も基本的な八卦掌の

499
00:30:27,250 --> 00:30:28,090
一式を教える

500
00:30:28,520 --> 00:30:29,650
当時お前の太師父は

501
00:30:29,800 --> 00:30:32,040
この掌法で私を入門させた

502
00:30:32,560 --> 00:30:33,730
師父 話はここまでに

503
00:30:34,320 --> 00:30:35,520
帰ってきてから結構経ちましたし

504
00:30:35,890 --> 00:30:37,090
部屋もかなり片付きました

505
00:30:38,890 --> 00:30:40,320
私はまだ太師父に拝礼したことがありませんので

506
00:30:40,970 --> 00:30:42,280
今日 武功を教えていただく前に

507
00:30:42,650 --> 00:30:44,090
一度ご老人のお参りに行きましょう

508
00:30:44,610 --> 00:30:45,320
彼にあなたが

509
00:30:45,650 --> 00:30:47,040
この利口な弟子を受け入れ

510
00:30:47,560 --> 00:30:48,680
師叔も連れ帰ったとお伝えすれば

511
00:30:49,200 --> 00:30:51,650
天の霊はきっとお喜びになります

512
00:30:52,200 --> 00:30:54,010
成嶺 私は

513
00:31:00,010 --> 00:31:01,370
私は秦荘主の深い恩を頂いた

514
00:31:02,090 --> 00:31:04,490
本来なら
もっと早くご老人の墓前で拝謝すべきだった

515
00:31:05,890 --> 00:31:08,130
よし 一緒に行こう

516
00:31:30,320 --> 00:31:31,730
太師父 小師叔 いらっしゃいますか

517
00:31:32,200 --> 00:31:34,520
弟子 張成嶺がやっと拝礼できました

518
00:31:34,850 --> 00:31:35,520
ご安心ください

519
00:31:36,240 --> 00:31:37,440
成嶺は必ず沢山努力して

520
00:31:37,960 --> 00:31:39,240
四季山荘の家名を輝かせます

521
00:31:39,840 --> 00:31:40,600
太師父

522
00:31:41,080 --> 00:31:42,050
あなたは今頃

523
00:31:42,240 --> 00:31:44,410
私の父と龍師父にお会いしてるでしょう

524
00:31:45,810 --> 00:31:47,050
この序列は少し混乱しますよね

525
00:31:47,690 --> 00:31:49,650
でも関係ありません 皆家族だと

526
00:31:49,810 --> 00:31:50,690
彼らにお伝えください

527
00:31:51,290 --> 00:31:52,600
成嶺は今頑張って

528
00:31:52,810 --> 00:31:53,840
毎日進歩しています

529
00:31:54,840 --> 00:31:56,690
龍師父が教えてくださった龍淵閣の秘術を

530
00:31:56,810 --> 00:31:57,960
一所懸命勉強しています

531
00:31:58,840 --> 00:32:00,080
ちょっと難しいですが

532
00:32:00,480 --> 00:32:01,290
おバカさん

533
00:32:02,320 --> 00:32:03,720
子供のうちからこんなくどくて

534
00:32:04,130 --> 00:32:05,720
大人になったらどうなるんです?

535
00:32:06,840 --> 00:32:07,840
話したいことが沢山あって

536
00:32:08,010 --> 00:32:09,690
太師父と小師叔にお聞かせしたいのです

537
00:32:10,560 --> 00:32:11,360
父が教えてくれました

538
00:32:11,530 --> 00:32:13,170
亡くなった人の魂は消えず

539
00:32:13,320 --> 00:32:15,480
彼の愛する家族のことをずっと見ています

540
00:32:16,290 --> 00:32:17,170
それはない

541
00:32:18,600 --> 00:32:19,720
彼らには見えない

542
00:32:20,410 --> 00:32:21,360
見ておられます

543
00:32:21,560 --> 00:32:24,010
温叔 太師父たちにお話しください

544
00:32:25,320 --> 00:32:26,050
成嶺

545
00:32:26,960 --> 00:32:28,320
魂が消えないなら

546
00:32:28,840 --> 00:32:30,480
言葉にする必要もないんだ

547
00:32:31,050 --> 00:32:32,010
心の中で

548
00:32:32,650 --> 00:32:34,560
念じる方がいい時もある

549
00:32:34,720 --> 00:32:35,360
そうですね

550
00:32:35,480 --> 00:32:36,890
はい 心の中で言います

551
00:32:55,170 --> 00:32:55,890
成嶺

552
00:32:56,840 --> 00:32:57,720
もう終いにしろ

553
00:32:58,290 --> 00:32:59,010
でないと

554
00:32:59,480 --> 00:33:01,690
太師父がやかましくてたまらない

555
00:33:01,960 --> 00:33:02,720
話があるなら

556
00:33:03,530 --> 00:33:04,720
残しておいてまた話せ

557
00:33:05,360 --> 00:33:07,960
今後はしょっちゅう参りに来よう

558
00:33:16,810 --> 00:33:17,650
老温

559
00:33:19,050 --> 00:33:19,810
阿絮

560
00:33:20,840 --> 00:33:22,010
先に行っててくれないか

561
00:33:22,290 --> 00:33:24,560
一人で静かに考えたい

562
00:33:27,170 --> 00:33:27,930
分かった

563
00:33:28,200 --> 00:33:28,960
成嶺

564
00:34:18,080 --> 00:34:18,920
世間の

565
00:34:21,760 --> 00:34:23,000
冥界の話は本当なのでしょうか

566
00:34:25,280 --> 00:34:26,130
師父

567
00:34:28,170 --> 00:34:30,800
いえ 秦おじ上

568
00:34:32,410 --> 00:34:33,360
秦前輩

569
00:34:35,520 --> 00:34:36,520
天にあなたの魂があるなら

570
00:34:39,450 --> 00:34:40,930
私の両親にお会いできたでしょうか

571
00:34:46,890 --> 00:34:48,520
人の死後に魂があることが楽しみでもあり

572
00:34:51,650 --> 00:34:53,280
あなた方に真実を見られるのが怖くもある

573
00:34:56,490 --> 00:34:58,280
私がどのようにこの道を歩んで来たかを

574
00:34:59,560 --> 00:35:00,650
あなた方に見られるのが怖い

575
00:35:03,210 --> 00:35:05,840
四季山荘の門壁を汚した私を嫌悪するでしょう

576
00:35:08,280 --> 00:35:09,280
最初は

577
00:35:11,970 --> 00:35:13,690
どうにも堪えられない時は

578
00:35:15,360 --> 00:35:16,320
ふりをしました

579
00:35:17,970 --> 00:35:20,130
今苦しんでいるのは私じゃないというふりを

580
00:35:21,730 --> 00:35:25,130
甄衍の見ている悪い夢だと

581
00:35:26,520 --> 00:35:27,840
目が醒めたら

582
00:35:30,600 --> 00:35:32,930
自分があの農家の庭にいることに気付く

583
00:35:35,410 --> 00:35:36,320
時間は

584
00:35:39,170 --> 00:35:41,730
あなたが私を弟子にしたあの瞬間で永遠に止まり

585
00:35:43,280 --> 00:35:44,410
いつまでも進まない

586
00:36:01,690 --> 00:36:02,890
でもその後 気付きました

587
00:36:06,520 --> 00:36:08,080
甄衍が悪夢に陥ったのではなく

588
00:36:10,250 --> 00:36:11,130
私が

589
00:36:12,600 --> 00:36:15,080
甄衍としての良い夢を見ていた

590
00:36:20,970 --> 00:36:22,250
蒼天に道はなく

591
00:36:23,450 --> 00:36:24,760
善悪に報いはない

592
00:36:25,650 --> 00:36:26,650
それならば

593
00:36:27,490 --> 00:36:29,170
私は悪鬼となって

594
00:36:29,800 --> 00:36:31,890
老天に正義を返してもらう

595
00:36:34,280 --> 00:36:36,360
この二十年 私の体内を流れるのは血ではなく

596
00:36:38,000 --> 00:36:38,970
恨みです

597
00:36:40,690 --> 00:36:41,930
ただ復讐の念だけが

598
00:36:42,080 --> 00:36:44,760
私を支え地獄の暗闇の中から這い上がらせ

599
00:36:45,520 --> 00:36:46,970
ついに群鬼の主

600
00:36:47,930 --> 00:36:49,490
万蠱の王となった

601
00:36:52,080 --> 00:36:53,650
老鬼は夢にも思わなかっただろう

602
00:36:54,490 --> 00:36:55,080
二十年後

603
00:36:55,250 --> 00:36:57,040
甄衍の生前の呪詛を一つ一つ

604
00:36:57,210 --> 00:36:58,280
私が実現するなんて

605
00:36:58,930 --> 00:37:00,560
奴ら全員を皆殺しに

606
00:37:01,080 --> 00:37:02,490
お前たち全員の命を取る

607
00:37:02,560 --> 00:37:03,650
全員を

608
00:37:15,840 --> 00:37:17,450
だけど奴らを皆殺しにしても

609
00:37:18,690 --> 00:37:21,490
心の中の憎しみがまだ消えない

610
00:37:23,040 --> 00:37:24,560
私たちを裏切り

611
00:37:25,080 --> 00:37:26,130
私たちを捨て

612
00:37:26,250 --> 00:37:27,360
私たちを追い詰めた人たちは

613
00:37:27,690 --> 00:37:30,490
奴らの身は両親の鮮血に塗れている

614
00:37:31,040 --> 00:37:33,600
奴らは皆人間の皮を被った悪鬼なんだ

615
00:37:33,930 --> 00:37:35,560
私は奴らを一人も逃さない

616
00:37:36,840 --> 00:37:38,280
世人全てが私を裏切るなら

617
00:37:39,040 --> 00:37:40,760
世の全ての者を殺していいはず

618
00:37:41,690 --> 00:37:42,890
谷を出る時

619
00:37:44,080 --> 00:37:45,800
私は自らに誓いを立てました

620
00:37:47,040 --> 00:37:49,360
この偽善的な江湖を焼き払って

621
00:37:49,520 --> 00:37:52,250
魑魅魍魉ども全てを地獄に追い返すと

622
00:37:52,970 --> 00:37:54,210
もしこれが罪ならば

623
00:37:54,760 --> 00:37:56,800
屍山血河 滔天の大罪
(*尸山血海=大量殺人のこと《三国志平話》 *滔天大罪=天を衝くほど大きな災いを起こすこと《盾問国民党》)

624
00:37:56,930 --> 00:37:58,490
私一人が全てを引き受けます

625
00:37:58,760 --> 00:38:00,080
もし陪葬が必要なら

626
00:38:00,800 --> 00:38:02,890
この濁世を共に焚いてやる

627
00:38:05,280 --> 00:38:06,130
だけど

628
00:38:07,210 --> 00:38:08,170
だけど

629
00:38:14,560 --> 00:38:16,320
私はもう地獄に身を投じたのに

630
00:38:19,890 --> 00:38:21,000
なぜ私に一筋の

631
00:38:21,170 --> 00:38:22,520
人の世への道を示したのです

632
00:38:58,130 --> 00:38:59,690
温客行の人生は破滅しました

633
00:39:01,650 --> 00:39:02,970
あなたを師父と呼ぶ資格がありません

634
00:39:04,600 --> 00:39:05,600
もし来世があるなら

635
00:39:07,450 --> 00:39:09,600
草を結び咥えた環となり 深い恩に報います
(*结草衔环=草を編んで敵を躓かせる罠と翡翠の指環を咥えて戻ってくる黄雀になって恩を返す)

636
00:39:10,560 --> 00:39:11,600
もし来世がないなら

637
00:39:13,280 --> 00:39:14,450
永久に地獄に堕ちようと感謝します

638
00:39:16,490 --> 00:39:17,970
あなた方がくださった

639
00:39:19,690 --> 00:39:20,890
片時の光明に

640
00:40:00,040 --> 00:40:00,800
阿湘

641
00:40:02,360 --> 00:40:03,600
目が醒めたか 大バカ

642
00:40:05,250 --> 00:40:06,970
阿湘 小怜姐は?

643
00:40:07,730 --> 00:40:08,560
慌てるな

644
00:40:08,760 --> 00:40:09,600
先に水を飲んで

645
00:40:15,930 --> 00:40:16,840
このバカ

646
00:40:17,000 --> 00:40:18,970
言っただろあんたは後を追うだけだって
頭を出すなって

647
00:40:19,170 --> 00:40:20,600
断剣山荘の人を連れて行くのが

648
00:40:20,760 --> 00:40:21,600
間に合ってよかった

649
00:40:21,760 --> 00:40:23,040
でないとあんたの命はもうなかったよ

650
00:40:23,250 --> 00:40:24,360
彼女を救出できたんだね?

651
00:40:24,600 --> 00:40:25,650
彼らは行ったの?

652
00:40:27,000 --> 00:40:29,930
小怜姐は仰天して気を失って

653
00:40:30,080 --> 00:40:31,730
穆荘主が五湖盟に連れ帰った

654
00:40:32,650 --> 00:40:33,730
よかったよかった

655
00:40:37,760 --> 00:40:38,890
無事に上手くいったんだ

656
00:40:39,490 --> 00:40:42,600
あたしは彼に何も言わない方がいい

657
00:40:44,250 --> 00:40:46,080
阿湘 君は本当に聡明だね

658
00:40:47,490 --> 00:40:48,320
聡明?

659
00:40:49,360 --> 00:40:50,210
とんでもない

660
00:40:50,890 --> 00:40:53,650
私は生にしがみついてるって誰が言ったんだっけ

661
00:40:54,410 --> 00:40:55,450
違うんだ 阿湘

662
00:40:56,080 --> 00:40:57,730
お詫びするよ

663
00:40:57,890 --> 00:40:58,760
あの時僕は混乱していて

664
00:40:58,970 --> 00:41:01,210
僕はせっかちで 愚かだ

665
00:41:01,360 --> 00:41:02,520
さもなくば僕を何度か殴って

666
00:41:02,690 --> 00:41:03,600
正気に戻してくれないか

667
00:41:04,250 --> 00:41:04,840
あんた

668
00:41:05,130 --> 00:41:06,080
バカだな

669
00:41:06,490 --> 00:41:07,730
ちゃんと横になってて

670
00:41:07,760 --> 00:41:09,000
誰があんたを殴りたいんだ

671
00:41:10,490 --> 00:41:11,890
姑娘の手が汚れる

672
00:41:20,320 --> 00:41:21,130
阿湘

673
00:41:31,800 --> 00:41:32,560
ねえ

674
00:41:33,690 --> 00:41:36,600
あたしたち八字犯冲じゃないのかな?
(*五行の十干と十二支による相反の相性)

675
00:41:37,520 --> 00:41:38,840
あんたは私に出会ってから

676
00:41:39,600 --> 00:41:41,600
いつも三日のうちに怪我してる

677
00:41:41,840 --> 00:41:42,890
これは君とは関係ないよ

678
00:41:43,520 --> 00:41:44,730
全部僕の功夫が至らないから

679
00:41:45,170 --> 00:41:47,450
三日のうちに這いつくばるんだ

680
00:41:48,650 --> 00:41:49,600
だけど安心して

681
00:41:49,760 --> 00:41:50,840
清風山に帰ったら

682
00:41:51,040 --> 00:41:52,210
僕はきっと武功を練習して

683
00:41:52,360 --> 00:41:53,210
君を守るよ

684
00:41:53,360 --> 00:41:54,650
絶対誰かにいじめさせたりしない

685
00:41:55,520 --> 00:41:57,890
誰があたしをいじめるんだよ
強いていうならあんただよ

686
00:41:58,040 --> 00:41:59,450
僕はできない 絶対にできない

687
00:42:00,170 --> 00:42:03,040
それに 師叔は一番に女子を可愛がってる

688
00:42:03,280 --> 00:42:04,250
他の門派の

689
00:42:04,490 --> 00:42:06,040
師姐妹が僕たちのところに来たら

690
00:42:06,210 --> 00:42:07,280
宝物みたいに扱うんだ

691
00:42:07,840 --> 00:42:10,360
師叔がもし君をいじめてるなんて知ったら

692
00:42:10,890 --> 00:42:13,490
僕の脚を折ってしまうよ

693
00:42:14,450 --> 00:42:15,450
それに温兄も

694
00:42:20,730 --> 00:42:21,730
違うよ 阿湘

695
00:42:21,890 --> 00:42:22,930
どうして君をいじめられるの

696
00:42:23,450 --> 00:42:24,520
話を脱線させてしまった

697
00:42:31,690 --> 00:42:34,490
万が一あたしたちが本当に八字犯冲だったら

698
00:42:34,650 --> 00:42:35,410
どうする?

699
00:42:37,130 --> 00:42:38,360
何言ってるの 阿湘

700
00:42:39,080 --> 00:42:40,130
あり得ない事だよ

701
00:42:41,890 --> 00:42:42,970
本当に

702
00:42:43,130 --> 00:42:45,170
万一本当に八字犯冲だったらどうするんだよ

703
00:42:46,040 --> 00:42:47,210
それなら僕の命を君にあげる

704
00:42:55,410 --> 00:42:56,210
阿湘

705
00:42:56,690 --> 00:42:58,450
だけど僕が死ぬ前に

706
00:43:00,130 --> 00:43:02,600
ちょっと何か食べさせてくれないかな

707
00:43:02,930 --> 00:43:03,890
もう餓死しそうだよ

708
00:43:08,560 --> 00:43:09,560
ほら 食べろ

709
00:43:09,730 --> 00:43:10,560
熱いよ気をつけて

710
00:43:13,410 --> 00:43:14,450
あげる 先に食べて

711
00:43:15,360 --> 00:43:16,450
食べるのを見てるよ

712
00:43:20,930 --> 00:43:21,930
大きい方あげる

713
00:43:30,450 --> 00:43:32,490
阿湘が焼いた饅頭はとても美味しいよ

714
00:43:33,040 --> 00:43:34,880
全天下で一番美味しいんだ





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