第三十三話
1
00:01:54,000 --> 00:01:54,800
彼は更に
2
00:01:55,400 --> 00:01:57,550
天窗との連盟のためでなくとも
3
00:01:57,800 --> 00:01:59,160
五湖盟の名誉のために
4
00:01:59,440 --> 00:02:01,870
この件は一分の隙もなく片付けますから
(*滴水不漏=水一滴も漏らさない、付け入る隙がない《朱子語類・易三》)
5
00:02:02,120 --> 00:02:02,950
ご安心くださいと
6
00:02:04,120 --> 00:02:04,760
彼は
7
00:02:06,680 --> 00:02:09,640
彼はこの時に躊躇いもせず言ったのか
(*不假思索=じっくり考えもせず即座に行う《黄勉斎文集》黄榦)
8
00:02:11,400 --> 00:02:13,330
それともひとしきり抵抗してからか
9
00:02:13,920 --> 00:02:14,890
この期に及んで
10
00:02:15,370 --> 00:02:16,040
どうして
11
00:02:16,400 --> 00:02:17,920
どうしてこれ以上聞く必要があるんです
12
00:02:18,760 --> 00:02:20,090
千巧が恐れながら申し上げます
13
00:02:20,450 --> 00:02:21,330
あなたのこの試み
14
00:02:21,560 --> 00:02:23,730
徹頭徹尾 余計なことでした
(*彻头彻尾=最初から最後まで《答胡季隋書》朱熹 *多此一举=しなくてもいいことをする《南省策》候方域)
15
00:02:41,370 --> 00:02:42,280
痴れ者よ
16
00:02:44,760 --> 00:02:46,170
大した度胸だ
17
00:02:48,970 --> 00:02:50,330
部下が差し出がましいことを
18
00:02:50,920 --> 00:02:52,200
蝎王お許しください
19
00:02:52,530 --> 00:02:54,170
賭けに負け目を血走らせた者は
20
00:02:56,890 --> 00:02:59,250
永遠にあれこれ口実を探して
21
00:03:00,730 --> 00:03:02,450
逆転勝利を夢見る
22
00:03:03,090 --> 00:03:05,010
本王も俗物を免れ得ぬ
23
00:03:09,890 --> 00:03:15,090
僕はただもう一度彼に機会を与え
24
00:03:18,250 --> 00:03:20,370
自分にも機会を与えたかっただけ
25
00:03:22,370 --> 00:03:23,480
もういい
26
00:03:25,330 --> 00:03:26,330
十分だ
27
00:03:27,120 --> 00:03:28,120
だったら
28
00:03:29,610 --> 00:03:32,400
本王は更にもう一度 余計なことをする
29
00:03:33,450 --> 00:03:34,370
千巧
30
00:03:37,250 --> 00:03:38,090
受け取れ
31
00:03:39,970 --> 00:03:40,730
これは
32
00:03:41,400 --> 00:03:42,280
さあ
33
00:03:46,040 --> 00:03:49,730
これは奴蠱の完全解蠱薬だ
34
00:03:50,090 --> 00:03:51,120
二粒ある
35
00:03:55,970 --> 00:03:59,250
これは一月に一度の解蠱薬の処方箋
36
00:04:01,400 --> 00:04:02,640
まだ分からないか?
37
00:04:03,250 --> 00:04:04,090
前から
38
00:04:04,730 --> 00:04:07,090
ずっと本王に于丘烽の解放を求めてなかったか?
39
00:04:07,560 --> 00:04:08,810
本王は応じることにした
40
00:04:10,090 --> 00:04:13,920
どうせ華山派のこの小卒が残ろうが残るまいが
41
00:04:14,120 --> 00:04:15,250
なんの違いもない
42
00:04:15,730 --> 00:04:17,560
お前のような痴れ者になった方がましだ
43
00:04:18,520 --> 00:04:20,010
彼はもし戻ったら
44
00:04:20,080 --> 00:04:21,960
華山掌門の座を放棄して
45
00:04:22,360 --> 00:04:23,890
お前と高飛びしたいと言っていたので
46
00:04:24,490 --> 00:04:25,560
それならこれらは
47
00:04:26,730 --> 00:04:29,930
本王からの大婚の贈り物としよう
48
00:04:30,080 --> 00:04:30,800
蝎王
49
00:04:31,960 --> 00:04:32,930
ただし
50
00:04:34,050 --> 00:04:35,680
彼に完全解蠱薬をやるか
51
00:04:38,050 --> 00:04:39,170
奴蠱を使って
52
00:04:39,280 --> 00:04:41,680
永遠に裙下の臣として支配するか
(*裙下之臣=女性支配者の下臣)
53
00:04:44,330 --> 00:04:45,890
この選択はお前次第だ
54
00:04:48,560 --> 00:04:49,930
お前は不運すぎる
55
00:04:52,930 --> 00:04:54,400
本王は見ていられない
56
00:04:55,890 --> 00:04:56,840
だから
57
00:04:57,120 --> 00:04:59,490
お前にも一度選択の機会をやろう
58
00:05:01,450 --> 00:05:02,610
大切にするがいい
59
00:05:08,210 --> 00:05:09,050
蝎王
60
00:05:43,520 --> 00:05:44,330
千巧
61
00:05:48,840 --> 00:05:49,770
千巧
62
00:05:52,080 --> 00:05:54,680
自ら来たのかそれとも蝎王が遣わしたのか
63
00:05:56,450 --> 00:05:57,210
烽郎
64
00:05:58,450 --> 00:06:00,080
私と遠くへ高飛びしたいと思わない?
65
00:06:03,560 --> 00:06:04,280
彼は
66
00:06:05,280 --> 00:06:05,960
千巧
67
00:06:06,730 --> 00:06:08,210
明日は英雄大会だ
68
00:06:08,330 --> 00:06:09,610
お前は何を言ってるんだ
69
00:06:11,520 --> 00:06:12,280
千巧
70
00:06:13,240 --> 00:06:14,680
私はきっと千回 万回うなずいて
71
00:06:14,840 --> 00:06:16,170
お前と高飛びしたい
72
00:06:16,890 --> 00:06:18,890
でも我々二人とも蝎王の奴蠱に冒されているのを
73
00:06:18,930 --> 00:06:19,800
忘れたのか?
74
00:06:20,240 --> 00:06:22,210
一月で解蠱薬が切れたら
75
00:06:22,360 --> 00:06:24,330
我ら二人 屍も残らず死ぬのだぞ
76
00:06:24,610 --> 00:06:26,840
ならば一月の夫婦になるのはどう?
77
00:06:27,010 --> 00:06:27,610
千巧
78
00:06:28,800 --> 00:06:30,890
烽郎 私を信じて
79
00:06:31,120 --> 00:06:33,650
鬼谷の仕掛けがどんなに凶悪か私は知ってる
80
00:06:34,240 --> 00:06:36,120
蝎王は私たちを尖兵にしたいの
81
00:06:36,280 --> 00:06:38,330
この一戦が私たちにとって
見通しが悪いのは分かりきってる
(*凶多吉少=凶多く吉少なし)
82
00:06:40,050 --> 00:06:41,170
逃げた方がいい
83
00:06:41,330 --> 00:06:43,360
私たち一月の間だけでも寄り添える
84
00:06:45,210 --> 00:06:46,050
千巧
85
00:06:46,650 --> 00:06:48,210
そういうことじゃない
86
00:06:48,730 --> 00:06:50,800
鬼谷の大戦が激戦になるのは必至
87
00:06:51,080 --> 00:06:52,890
だがこれも九死に一生を得るさ
(*九死一生《楚辞・離騒》屈原)
88
00:06:53,210 --> 00:06:54,280
ならば我ら二人が逃げてしまえば
89
00:06:54,360 --> 00:06:55,240
私はもう決意したの
90
00:06:55,560 --> 00:06:56,520
今夜発つわ
91
00:06:57,170 --> 00:06:58,240
私と一緒に来るかどうかは
92
00:07:00,450 --> 00:07:01,680
あなた自身が決めて
93
00:07:03,610 --> 00:07:04,330
千巧
94
00:07:06,450 --> 00:07:07,680
行くんじゃない 千巧
95
00:07:09,450 --> 00:07:12,960
千巧 お前が行ったら蝎王は私を許さない
96
00:07:13,450 --> 00:07:15,490
だからあなたに選ばせるんじゃないの
97
00:07:18,840 --> 00:07:20,840
私 私は
98
00:07:24,680 --> 00:07:27,050
いいよ 言わないで
99
00:07:27,610 --> 00:07:28,560
知りたくない
100
00:07:34,050 --> 00:07:36,210
千巧 これは何だ
101
00:07:37,080 --> 00:07:39,010
それは奴蠱の完全解蠱薬
102
00:07:39,930 --> 00:07:42,680
飲んだら 白鹿鎮を離れて
103
00:07:43,610 --> 00:07:44,930
鬼谷は危険よ
104
00:07:45,240 --> 00:07:46,400
嘘じゃない
105
00:07:54,240 --> 00:07:55,170
この扇子を
106
00:07:56,490 --> 00:07:58,280
私は後生大事にとってた
107
00:08:03,280 --> 00:08:04,210
今
108
00:08:07,050 --> 00:08:08,330
あなたに返す
109
00:08:09,650 --> 00:08:10,520
千巧
110
00:08:11,680 --> 00:08:12,960
この解蠱薬はまだあるのか?
111
00:08:13,960 --> 00:08:15,490
お前は飲んだのか?
112
00:08:34,450 --> 00:08:35,850
あなたのその言葉は
113
00:08:37,560 --> 00:08:39,010
一切に敵うほど価値がある
114
00:08:41,040 --> 00:08:41,880
烽郎
115
00:08:42,560 --> 00:08:43,640
道のりは長い
116
00:08:44,800 --> 00:08:46,270
自分を大事に
117
00:08:47,120 --> 00:08:50,190
あなたと私の縁はこれでお終いよ
118
00:08:50,320 --> 00:08:51,800
千巧 どういう意味だ 千巧
119
00:08:51,960 --> 00:08:52,600
千巧
120
00:08:55,890 --> 00:08:57,450
何するんだ 千巧 ダメだ
121
00:08:59,930 --> 00:09:01,160
あなたをきれいさっぱり忘れるわ
122
00:09:19,250 --> 00:09:23,280
平江に柳の色青し
123
00:09:25,600 --> 00:09:29,600
花月は遥か相い守り
124
00:09:31,930 --> 00:09:34,280
歳々復た年々
125
00:09:34,840 --> 00:09:36,130
此れに逢う
126
00:09:39,690 --> 00:09:41,570
氷の消えたる後に
(*年月を経ても変わらない心、「幾たび滄海ならせども」に続く《生査子》欧陽修)
127
00:09:52,640 --> 00:09:56,200
今日は天下の群雄が一堂に会した
128
00:09:56,690 --> 00:10:00,050
皆の武功の技は大いに隔たりがあり
129
00:10:00,490 --> 00:10:03,370
互いの間もまた理解がない
130
00:10:03,840 --> 00:10:07,050
鬼谷を攻めるために皆を統率する
131
00:10:07,200 --> 00:10:10,520
一人の指導者の選出が必要です
132
00:10:10,960 --> 00:10:11,810
この論拠が徳行ならば
133
00:10:12,450 --> 00:10:15,890
慈穆(ツームー)大師の徳望の高さは 言うまでもない
134
00:10:16,280 --> 00:10:17,130
武で論じるなら
135
00:10:17,720 --> 00:10:19,760
御身は達摩堂首座として
136
00:10:20,080 --> 00:10:21,200
造詣は神に通ずる
137
00:10:21,690 --> 00:10:22,570
威を論じても
138
00:10:23,050 --> 00:10:26,370
少林は元来 武林の中の泰山北斗
(*泰山北斗=一分野において権威がある)
139
00:10:26,690 --> 00:10:28,890
ですから沈某は慈穆大師を推挙します
140
00:10:29,160 --> 00:10:31,690
皆を率いて鬼谷を攻め討ちましょう
141
00:10:33,490 --> 00:10:36,760
阿弥陀佛 沈施主のお心遣いに感謝
142
00:10:36,960 --> 00:10:39,930
ただし拙僧は僧人として
143
00:10:40,520 --> 00:10:44,960
このような殺伐とした事の主導は実に不適である
144
00:10:47,280 --> 00:10:48,400
私からもお一人推挙したい
145
00:10:50,130 --> 00:10:53,280
清風剣派掌門 莫懐陽
146
00:10:54,050 --> 00:10:57,010
彼は二十年前の少年英雄会の首魁
147
00:10:57,520 --> 00:10:59,640
そしてこの二十年彼は閉関し修練している
148
00:10:59,960 --> 00:11:03,570
武学の修習はすでに全てを超越していましょう
(*已臻化境=完全を越えた領域に達する)
149
00:11:04,080 --> 00:11:05,280
我ら武を習う者である以上
150
00:11:05,450 --> 00:11:07,050
武林盟主を選ぶならば
151
00:11:07,370 --> 00:11:10,490
武功の腕を考慮しなければなりません
(*见真章=実際の能力を見ること、功夫のスキルの確認《風雷震九洲》)
152
00:11:10,890 --> 00:11:16,050
ですので 私は莫掌門を推選します
153
00:11:20,080 --> 00:11:20,840
諸兄
154
00:11:21,960 --> 00:11:23,930
今日推挙するのは軍を率いる者
155
00:11:24,960 --> 00:11:27,050
徳行威望を除いて
156
00:11:27,400 --> 00:11:30,450
更に重要なのは指導の能力が必要であるということ
157
00:11:31,200 --> 00:11:34,160
鬼谷は目下 群龍無首である
158
00:11:34,890 --> 00:11:37,200
しかし結局は地の利を占めており
159
00:11:37,330 --> 00:11:38,450
防御は厳重
160
00:11:38,600 --> 00:11:41,400
ですから莫某は
161
00:11:42,600 --> 00:11:47,450
この人選は的確に判断を下し
(*善谋善断=好谋善断、しっかり考え善い判断をする《弁亡論》陸機)
162
00:11:47,640 --> 00:11:49,050
なおかつ大戦争を指導した
163
00:11:49,160 --> 00:11:51,600
経験が備わっている必要があると考える
164
00:11:52,160 --> 00:11:53,130
この点においては
165
00:11:54,130 --> 00:11:58,200
五湖盟盟主より適当な者はない
166
00:11:58,690 --> 00:11:59,520
どうです?
167
00:11:59,890 --> 00:12:01,640
そうだ 間違いない そうです
168
00:12:01,690 --> 00:12:04,760
そうだ 間違いない その通りだ
169
00:12:04,930 --> 00:12:05,640
莫掌門のおっしゃる通り
170
00:12:05,760 --> 00:12:09,130
その他で論ずるならば
大侠の皆さんに勝算があるやもしれません
171
00:12:09,250 --> 00:12:10,200
ですがこの三点で論ずれば
172
00:12:10,840 --> 00:12:12,840
我らが趙盟主より更に相応しい
173
00:12:12,960 --> 00:12:13,960
者はおるまい
174
00:12:14,280 --> 00:12:15,250
そうでしょう?
175
00:12:15,450 --> 00:12:16,840
その通り その通り
176
00:12:17,490 --> 00:12:19,810
そうだ そうだ
177
00:12:19,810 --> 00:12:21,050
趙盟主を推挙しよう
178
00:12:21,890 --> 00:12:24,490
そして 先ほど趙盟主が
179
00:12:24,600 --> 00:12:25,600
要点を突く発言をされた
180
00:12:25,960 --> 00:12:28,520
この武を習う者が推挙する指導者は
181
00:12:28,690 --> 00:12:31,760
当然武功の能力を考慮すべきである
182
00:12:31,930 --> 00:12:36,570
公認の人選ならば公衆の前で剣技を競い
(*比武论剑=剣を交えて武術を競う、腕比べ)
183
00:12:36,840 --> 00:12:40,370
最終勝者がこの武林盟主となるのが良かろう
184
00:12:40,570 --> 00:12:45,250
簡単で直接的ではないか 違いますか?
185
00:12:45,370 --> 00:12:46,050
その通りだ
186
00:12:46,160 --> 00:12:47,520
間違いない 腕比べだ
187
00:12:47,690 --> 00:12:50,810
剣技を競え 剣技を競え
188
00:12:50,960 --> 00:12:52,960
その通り 腕比べがよい
189
00:12:53,080 --> 00:12:55,130
腕比べに間違いはない これこそ公平だ
190
00:12:55,280 --> 00:12:56,200
筋が通ってる
191
00:12:57,890 --> 00:12:58,810
趙盟主
192
00:13:02,080 --> 00:13:02,960
どうぞ
193
00:13:35,080 --> 00:13:38,010
趙敬 莫掌門のお手前ご教授ください
194
00:13:41,050 --> 00:13:41,960
参ろう
195
00:14:16,080 --> 00:14:17,080
ちょっと 皆さん
196
00:14:17,400 --> 00:14:18,280
今までずっと
197
00:14:18,450 --> 00:14:21,080
この趙盟主は品格を貴び謀略に長けていて
198
00:14:21,250 --> 00:14:22,400
武功の面においては
199
00:14:22,520 --> 00:14:24,080
その長所の本質ではないとだけ
200
00:14:24,200 --> 00:14:26,200
聞いていたが
201
00:14:26,490 --> 00:14:28,570
思いもよらず今日拝見できた
202
00:14:39,130 --> 00:14:40,400
阿弥陀佛
203
00:14:40,520 --> 00:14:41,450
確かにかなりすごい
204
00:14:41,450 --> 00:14:43,640
趙盟主の武功がすでにこの境地に
205
00:14:43,930 --> 00:14:46,130
達してるとは思わなかった
206
00:14:46,640 --> 00:14:49,130
莫掌門の武功には驚くが
207
00:14:49,250 --> 00:14:52,890
趙盟主は彼にこんなに多くの手を繰り出し
208
00:14:53,080 --> 00:14:54,720
勝負がつかぬとは
209
00:14:54,960 --> 00:14:57,640
江湖はやはり人材の宝庫だ
210
00:15:03,200 --> 00:15:04,010
笑わせる
211
00:15:17,810 --> 00:15:21,930
古来 武林盟主は
徳と才能を兼ね備えた者が座するもの
212
00:15:22,570 --> 00:15:25,450
趙敬 お前はこの演武台に立つに相応しいのか
213
00:15:26,450 --> 00:15:29,570
趙敬 本来お前は下男の子
214
00:15:30,330 --> 00:15:34,160
太湖剣派 前任掌門の一人息子は理由なく命を落とし
215
00:15:34,520 --> 00:15:36,490
お前は自ら趙掌門を義父と認めた
216
00:15:36,890 --> 00:15:40,400
これで初めて五湖盟五子に躍り出る機会を得た
217
00:15:41,080 --> 00:15:44,570
その後 五湖盟五子は容炫と交友を結び
218
00:15:44,890 --> 00:15:46,130
共に武庫を建てた
219
00:15:47,080 --> 00:15:48,370
黙らせてやろうか
220
00:15:48,840 --> 00:15:50,050
大した度胸だ
221
00:15:50,280 --> 00:15:51,050
よくもここで
222
00:15:51,130 --> 00:15:52,690
我らの趙盟主を空言で陥れることができたな
223
00:15:53,010 --> 00:15:54,890
来い 捕まえてやる
224
00:16:11,200 --> 00:16:12,280
武庫建造の後
225
00:16:13,960 --> 00:16:17,640
五子と容炫の腕比べの際 お前は悪意を持って
226
00:16:17,960 --> 00:16:20,250
密かに高崇の剣に毒を塗りつけた
227
00:16:21,010 --> 00:16:23,370
高崇は己が容炫を傷つけたと誤解し
228
00:16:23,840 --> 00:16:26,720
容炫もまたこれが原因で狂気に身を落とし
229
00:16:26,890 --> 00:16:27,760
走火入魔した
230
00:16:28,160 --> 00:16:31,520
高崇に弁解の余地なく 終生悔やみ続けた
(*百口莫辩=言葉を尽くしても弁明ができない《建康獄中上呉居父》劉過)
231
00:16:33,130 --> 00:16:35,920
五子もこれによって分裂瓦解し
232
00:16:36,480 --> 00:16:37,760
余生は鬱々としたものになった
233
00:16:38,720 --> 00:16:42,040
これらは皆 お前によるものだ
234
00:16:42,160 --> 00:16:43,960
このような不義不忠の者が
235
00:16:44,440 --> 00:16:46,760
武力で群雄を押さえつけることができたとしても
236
00:16:47,000 --> 00:16:48,610
この武林盟主に就くことを
237
00:16:49,050 --> 00:16:52,200
ここにいる方々も納得の上か?
238
00:17:03,880 --> 00:17:05,680
師父 師父 師兄
239
00:17:06,490 --> 00:17:07,160
師父
240
00:17:07,890 --> 00:17:09,610
師父 師父 師兄
241
00:17:09,680 --> 00:17:10,520
師父 大丈夫ですか?
242
00:17:18,680 --> 00:17:19,440
賊徒め
243
00:17:19,640 --> 00:17:21,880
裏から手を下すとは 卑怯な
(*暗箭伤人=こっそりと陥れる、陰で人を中傷する)
244
00:17:23,960 --> 00:17:26,120
趙敬 まだ何か釈明できるか?
245
00:17:26,240 --> 00:17:27,240
釈明なんてありますか
246
00:17:28,920 --> 00:17:29,840
こやつは
247
00:17:30,080 --> 00:17:31,520
先ほどの私と莫幇主の試合の時に
248
00:17:31,640 --> 00:17:32,520
べらべらと喋って
(*喋喋不休=しつこく喋り続ける、くどくど言う《漢書・張釈之伝》)
249
00:17:32,640 --> 00:17:33,670
私を不義に陥れたのです
250
00:17:34,680 --> 00:17:35,790
皆さんよく見て
251
00:17:36,640 --> 00:17:39,120
奴は鬼谷谷主の共犯者だ
252
00:17:39,440 --> 00:17:41,320
我々が温客行を包囲殲滅した折
253
00:17:41,520 --> 00:17:43,320
奴が命懸けで庇っていたのを
254
00:17:43,800 --> 00:17:47,200
あの時 皆さんもご覧になったはず
255
00:17:47,920 --> 00:17:48,850
ですから
256
00:17:50,280 --> 00:17:52,480
奴が暗器を発射して私を陥れたのです
257
00:18:12,760 --> 00:18:14,080
閣下はすでに勝ちを取った
258
00:18:14,560 --> 00:18:17,560
四季山荘荘主 周子舒
259
00:18:17,920 --> 00:18:20,130
趙盟主のお手前ご教授願う
260
00:18:31,730 --> 00:18:33,650
誰が四季山荘はお終いだと言いました?
261
00:18:34,850 --> 00:18:36,370
誰だ
262
00:18:44,520 --> 00:18:46,440
なぜ彼が 温客行だ
263
00:18:47,560 --> 00:18:49,320
彼はとっくに死んだんじゃなかったか?
264
00:18:52,970 --> 00:18:54,010
なぜ生きてる?
265
00:18:54,730 --> 00:18:56,160
彼は崖から落ちたんじゃなかったか?
266
00:18:58,200 --> 00:18:59,370
どういうことだこれは
267
00:19:01,490 --> 00:19:06,440
師兄 この一戦はやはり私に譲ってくれませんか
268
00:19:18,160 --> 00:19:20,280
鬼谷谷主 温客行じゃないか?
269
00:19:31,770 --> 00:19:33,440
確かに我が姓は温 名は客行
270
00:19:33,800 --> 00:19:36,130
ですが私は四季山荘の温客行
271
00:19:36,400 --> 00:19:37,400
同名なだけです
272
00:19:38,130 --> 00:19:41,090
皆さん 人違いしてませんか
273
00:19:43,320 --> 00:19:44,250
温客行
274
00:19:44,850 --> 00:19:47,200
天下の英雄たちをバカにしているのか
275
00:19:47,800 --> 00:19:49,650
こんなたわ言をよく言えたものだ
276
00:19:51,610 --> 00:19:55,370
英雄諸君 奴の嘘を信じてはなりません
277
00:19:56,610 --> 00:19:58,730
奴こそ鬼谷谷主です
278
00:19:58,920 --> 00:19:59,680
間違いなかろう
279
00:19:59,970 --> 00:20:02,440
これだけ多くの目がはっきり見ておる
280
00:20:02,610 --> 00:20:05,680
この者は明らかに群鬼冊に載っていた鬼主
281
00:20:05,850 --> 00:20:08,170
群鬼冊は趙敬の制作であり
282
00:20:08,450 --> 00:20:10,290
この人がこのように不義不忠であるなら
283
00:20:10,450 --> 00:20:12,810
まさかこの私めごときを
陥れることはないとでも?
284
00:20:12,930 --> 00:20:13,740
バカバカしい
285
00:20:15,900 --> 00:20:18,050
そんな理屈で言い逃れなどできるか
286
00:20:18,290 --> 00:20:21,780
寝返った三名の悪鬼がここにいる
287
00:20:22,380 --> 00:20:24,290
台上の者が鬼主かどうか
288
00:20:24,860 --> 00:20:26,210
尋ねればすぐ分かる
289
00:20:27,810 --> 00:20:28,740
連れて来い
290
00:20:41,620 --> 00:20:44,290
これは悪事から足を洗った無常鬼
291
00:20:44,410 --> 00:20:46,930
黒無常と開心鬼
292
00:20:47,970 --> 00:20:49,800
お前たちはまず台上の方を確認せよ
293
00:20:52,010 --> 00:20:53,970
お前たちの前任の主か?
294
00:21:01,450 --> 00:21:02,810
存じ上げません
295
00:21:06,290 --> 00:21:07,380
周知の通り
296
00:21:07,740 --> 00:21:11,050
鬼谷谷主温客行はすでに白鹿崖で成敗されました
297
00:21:11,210 --> 00:21:12,410
亡骸は五湖盟の拠点に
298
00:21:12,530 --> 00:21:14,100
今でも残っています
299
00:21:14,330 --> 00:21:17,260
もしかして趙敬 趙大侠は
300
00:21:17,410 --> 00:21:20,330
天下の英雄を意図的に欺いたのですか?
301
00:21:20,500 --> 00:21:21,410
蝎儿
302
00:21:23,140 --> 00:21:23,980
貴様
303
00:21:31,380 --> 00:21:33,290
私めが師事するは
304
00:21:33,410 --> 00:21:35,620
四季山荘の師秦懐章 秦大侠である
305
00:21:36,260 --> 00:21:38,570
こちらは私の大師兄
306
00:21:39,100 --> 00:21:40,660
私の父母について申し上げると
307
00:21:46,690 --> 00:21:49,980
阿絮 剣を貸して
308
00:21:54,690 --> 00:21:56,500
後で詳しく話すから
309
00:22:18,260 --> 00:22:19,100
お聞きしますが
310
00:22:19,780 --> 00:22:22,980
皆さんの中に
秋明十八式を覚えている方はいますか?
311
00:22:53,620 --> 00:22:54,530
甄如玉だ
312
00:22:54,930 --> 00:22:56,410
神医谷の甄如玉だ
313
00:22:56,530 --> 00:22:57,780
秋明十八式
314
00:22:58,140 --> 00:23:00,500
聖手甄如玉の秋明剣法だ
315
00:23:00,860 --> 00:23:02,530
あなたは甄大恩公の何なのです
316
00:23:02,690 --> 00:23:04,260
あなた方は彼を忘れていなかったのですね
317
00:23:05,410 --> 00:23:08,020
彼が青崖山で義に身を捧げた時
318
00:23:08,930 --> 00:23:10,810
彼が神医谷で世人に脅され
319
00:23:10,930 --> 00:23:12,210
武功を廃された時
320
00:23:12,980 --> 00:23:15,410
彼が悪鬼に虐殺され死に至った時
321
00:23:15,570 --> 00:23:17,050
あなた方はどこにいた?
322
00:23:21,260 --> 00:23:22,450
貧尼に答えよ
323
00:23:22,570 --> 00:23:24,780
聖手甄如玉はあなたの何なのだ
324
00:23:26,930 --> 00:23:28,450
我が先父だ
325
00:23:28,570 --> 00:23:29,380
でたらめを
326
00:23:29,930 --> 00:23:32,140
先ほどあなたは姓を温と名乗られた
327
00:23:32,690 --> 00:23:34,410
先父の姓はもともと温
328
00:23:34,980 --> 00:23:37,020
神医谷 甄老谷主より姓を賜り
329
00:23:37,170 --> 00:23:38,170
甄と改名した
330
00:23:39,140 --> 00:23:41,330
ならば先父が師門に棄てられたことを鑑み
331
00:23:41,620 --> 00:23:43,140
私めは人の子として
332
00:23:43,260 --> 00:23:44,930
先父の思いに従い
333
00:23:45,050 --> 00:23:46,140
自ら本姓に改めた
334
00:23:46,380 --> 00:23:47,930
温客行と
335
00:23:48,050 --> 00:23:48,980
全くでたらめだ
336
00:23:49,500 --> 00:23:51,930
あなたはあえて甄大侠の死後の令名を侮辱するのか
337
00:23:52,810 --> 00:23:54,860
閣下は峨眉派掌門ですよね
338
00:23:56,500 --> 00:23:57,810
若輩の満月の折
(*满月=満一ヶ月の祝)
339
00:23:58,050 --> 00:24:01,410
峨眉女侠が手を取り合い百家衣を制作し
(*百家衣=生後百日の祝いに贈られる小布を繋ぎ合わせた衣服)
340
00:24:01,570 --> 00:24:03,380
神医谷に祝賀の品として贈られた
341
00:24:03,660 --> 00:24:04,660
若輩は不才で
342
00:24:05,050 --> 00:24:06,500
今なおこの時のご慈悲とご厚意に
343
00:24:06,660 --> 00:24:08,740
登門し拝謝していない
344
00:24:10,050 --> 00:24:11,140
あなたは本当に
345
00:24:12,100 --> 00:24:13,100
智音(ジイン)師太
346
00:24:13,410 --> 00:24:15,290
惑わされてはなりません
347
00:24:16,020 --> 00:24:17,930
甄兄弟は生涯 光明磊落としていました
(*光明磊落=潔く公明正大でおおらか《朱子語類》)
348
00:24:18,450 --> 00:24:20,660
どうして彼のような
罰当たりな魔の子が生まれるのか
349
00:24:21,330 --> 00:24:22,210
温客行
350
00:24:22,660 --> 00:24:24,050
先ほどのあの三人の悪鬼は
351
00:24:24,170 --> 00:24:25,450
明らかにお前の走狗
352
00:24:26,100 --> 00:24:27,810
お前は上辺だけで奴らを私に降服させ
353
00:24:27,980 --> 00:24:29,330
今また出し抜けに寝返らせた
354
00:24:30,170 --> 00:24:32,170
これこそお前が見たかったことだな?
355
00:24:32,810 --> 00:24:33,860
教えてやる
356
00:24:34,570 --> 00:24:36,170
お前のこのような下策で
357
00:24:36,380 --> 00:24:38,290
天下の英雄を騙せるものか
358
00:24:41,020 --> 00:24:43,380
英雄の皆さん お聞きください
359
00:24:44,330 --> 00:24:46,140
鬼谷はかねてより離間策で唆し
(*挑拨离间=仲を裂くために双方をけしかけたり中傷したりする《官場現形記》李宝嘉)
360
00:24:47,020 --> 00:24:50,100
我が大哥高崇を奴らの道に引きずり込んだ
361
00:24:50,450 --> 00:24:52,450
今に至っても冤罪は雪がれていない
362
00:24:53,530 --> 00:24:56,170
我が五湖盟には五つの琉璃甲があった
363
00:24:56,780 --> 00:24:58,900
四つはお前の手中に落ちた
364
00:24:59,450 --> 00:25:01,860
今また私のこの一つを狙い始めた
365
00:25:02,100 --> 00:25:05,050
英雄の皆さん 奴の計略に嵌ってはいけない
366
00:25:05,170 --> 00:25:06,020
黙れ
367
00:25:07,780 --> 00:25:09,900
大哥の名をお前が持ち出すのか
368
00:25:11,050 --> 00:25:12,210
許さない
369
00:25:12,620 --> 00:25:13,530
五弟
370
00:25:25,900 --> 00:25:26,900
分かったぞ
371
00:25:27,570 --> 00:25:28,690
沈慎
372
00:25:30,050 --> 00:25:32,860
お前が鬼谷と結託し大哥を殺害したのだ
373
00:25:35,530 --> 00:25:37,740
私は早くに五湖盟の中に鬼がいると疑っていた
374
00:25:38,050 --> 00:25:40,330
しかしお前だとは思わなかった
375
00:25:41,810 --> 00:25:44,170
お前が琉璃甲の秘密を漏らし
376
00:25:44,500 --> 00:25:46,530
お前が泰山派掌門を殺害し
377
00:25:46,780 --> 00:25:48,570
お前が示し合わせて高小怜を連れ去り
378
00:25:48,690 --> 00:25:50,410
高小怜の命を盾に大哥を脅しつけ
379
00:25:50,530 --> 00:25:51,930
彼に屈辱と重責を負わせ
(*忍辱负重《三国志・呉書・陸遜伝》)
380
00:25:52,100 --> 00:25:54,260
最後には衆目のもと自殺させた
381
00:25:54,500 --> 00:25:56,860
お前こそがその悪鬼の頭だ
382
00:26:03,380 --> 00:26:04,380
全くのでたらめです
383
00:26:17,500 --> 00:26:18,570
三十年前
384
00:26:19,260 --> 00:26:21,100
太湖掌門 趙聞達(ジャオ・ウェンダー)は
385
00:26:21,380 --> 00:26:23,660
子を喪った痛みで病に臥せった
(*一病不起=病で寝たきりになり日々悪化する《夷堅乙志・光禄寺》)
386
00:26:24,810 --> 00:26:26,930
趙敬は誠意をもって世話をした
387
00:26:28,100 --> 00:26:30,900
これに感銘を受けた趙掌門は彼を義子として収め
388
00:26:31,660 --> 00:26:34,530
彼は出世の道を駆け上がった
(*飞黄腾达=トントン拍子に出世する《符読書城南詩》)
389
00:26:36,660 --> 00:26:38,210
小娘のくせに
390
00:26:38,570 --> 00:26:40,780
ここに来て妖言で衆人を惑わせるとは
391
00:26:42,210 --> 00:26:44,900
何ゆえに小怜がこの古い出来事を持ち出すのか
392
00:26:45,500 --> 00:26:47,740
ただ天下の英雄の面前で
393
00:26:48,100 --> 00:26:50,260
小怜は趙盟主に一つお聞きしたいからです
394
00:26:51,100 --> 00:26:53,900
あなたは一体どうしてそんなに私の父を恨むのです
395
00:26:54,780 --> 00:26:56,780
父の命だけでなく
396
00:26:57,260 --> 00:26:58,980
彼の盟主の座まで要求し
397
00:26:59,170 --> 00:27:00,930
彼の地位も名誉も奪い
398
00:27:01,100 --> 00:27:02,530
一生を痛恨に悩ませ
399
00:27:02,690 --> 00:27:04,380
死に至っても冤罪は晴れない
400
00:27:04,930 --> 00:27:06,980
もしや三十年前に
401
00:27:07,660 --> 00:27:10,980
父はあなたのみすぼらしい卑賤の姿を
見ていたからですか?
402
00:27:11,500 --> 00:27:15,900
あなたの貧しい時に知り合った人は皆
尽く惨死しました
(*微时=卑しく下賤の身の時、日銭を稼いでる時分《史記・呂太后本紀》)
403
00:27:16,980 --> 00:27:19,930
この一切が偶然だというのですか
404
00:27:21,050 --> 00:27:22,810
まさかこの一切をお前は見たのですか?
405
00:27:23,810 --> 00:27:25,500
まさかこれが偶然ではないとでも?
406
00:27:30,450 --> 00:27:31,500
若輩 張成嶺は
407
00:27:31,930 --> 00:27:34,290
鏡湖剣派掌門 張玉森の子である
408
00:27:39,290 --> 00:27:41,690
この文は我が父が死の間際に
409
00:27:41,930 --> 00:27:43,410
葉前輩に渡すように託されたもの
410
00:27:43,980 --> 00:27:46,210
文には二十年前
411
00:27:46,380 --> 00:27:49,020
容炫 容前輩が突然気が触れたのは
412
00:27:49,260 --> 00:27:51,020
まさに趙敬のせいだと書かれている
413
00:27:51,410 --> 00:27:53,450
彼は五兄弟が腕比べをして
414
00:27:53,570 --> 00:27:54,980
負傷を免れないと見越して
415
00:27:55,170 --> 00:27:57,500
そこで高崇高盟主の剣に
416
00:27:57,620 --> 00:27:58,570
密かに劇毒を塗りつけた
417
00:27:59,410 --> 00:28:02,810
その後 彼の奸計は思い通り運び
418
00:28:03,530 --> 00:28:05,170
容前輩は毒に中って発狂
419
00:28:05,780 --> 00:28:07,860
後の様々な悲劇を招いた
420
00:28:08,780 --> 00:28:10,020
突き詰めれば
421
00:28:10,260 --> 00:28:12,660
青崖山の役の千万の彷徨う魂は
422
00:28:13,100 --> 00:28:14,810
趙という者に報復するべきなのだ
423
00:28:19,500 --> 00:28:20,780
成嶺や 成嶺
424
00:28:21,660 --> 00:28:23,410
あんなにお前を可愛がったのに無駄だった
425
00:28:24,170 --> 00:28:26,620
お前まで全くのでたらめを言う
426
00:28:26,810 --> 00:28:27,980
全くのでたらめを
427
00:28:29,450 --> 00:28:30,410
趙敬
428
00:28:31,140 --> 00:28:35,050
返す言葉もないのが気に障るのでは?
(*有口难言=言いたくても口に出して言い難い、言いづらい立場《酔睡者》蘇軾)
429
00:28:40,290 --> 00:28:42,290
あなたたちは当初 父を中傷し
430
00:28:42,450 --> 00:28:44,050
一方的な言い分で陥れました
(*一面之词=対立した一方だけの主張のこと《三国演義》)
431
00:28:51,900 --> 00:28:52,980
皆様ご覧ください
432
00:28:53,810 --> 00:28:55,450
彼は岳陽派の大弟子ではないか
433
00:28:57,100 --> 00:28:58,740
彼は自殺したんじゃ?
434
00:29:03,410 --> 00:29:06,740
そうです こちらは我が岳陽派の弟子筆頭
435
00:29:06,900 --> 00:29:09,290
私の大師兄 鄧寛です
436
00:29:10,380 --> 00:29:11,410
ご周知の通り
437
00:29:12,020 --> 00:29:13,500
君山英雄会で
438
00:29:13,660 --> 00:29:15,900
私の大師兄が父を告発しました
439
00:29:16,050 --> 00:29:17,690
父には弁解の余地がなく
440
00:29:17,980 --> 00:29:19,780
ただ死を以て志を明らかにするだけでした
441
00:29:20,780 --> 00:29:23,810
ですがその後大師兄は失踪しました
442
00:29:24,100 --> 00:29:26,260
あなた方は誰も妙だとは思いませんでしたか?
443
00:29:26,620 --> 00:29:27,500
失踪?
444
00:29:29,140 --> 00:29:30,210
趙敬が
445
00:29:32,050 --> 00:29:33,740
趙敬が私を陥れた
446
00:29:34,380 --> 00:29:35,500
師父
447
00:29:36,660 --> 00:29:39,860
私は師父に申し訳が立たない
448
00:29:41,330 --> 00:29:42,410
大師兄
449
00:29:46,170 --> 00:29:47,660
皆さんお聞きになりましたよね
450
00:29:48,290 --> 00:29:51,620
当初大師兄は趙敬に拘束され
451
00:29:52,290 --> 00:29:55,450
この悪党に秘術で心を惑わされたからこそ
452
00:29:55,620 --> 00:29:58,100
英雄大会で父を誣告(ぶこく)し得たのです
453
00:29:58,860 --> 00:30:02,330
その後 私たちはあらゆる手を尽くして彼を救出し
454
00:30:02,690 --> 00:30:04,210
心を尽くして治療にあたりましたが
455
00:30:04,530 --> 00:30:06,450
今に至ってもなお快復していません
456
00:30:08,860 --> 00:30:11,900
一切が趙敬の陰謀なのです
457
00:30:12,860 --> 00:30:14,530
この趙敬はまったく武林の恥だ
458
00:30:20,100 --> 00:30:21,450
人の子として
459
00:30:22,410 --> 00:30:24,810
父母の雪辱を果たすことができなければ
460
00:30:25,100 --> 00:30:26,690
鳥獣と何が異なりましょう
461
00:30:27,690 --> 00:30:29,410
小怜は一介のか弱い女子です
462
00:30:30,050 --> 00:30:33,050
ここに死を覚悟で趙敬の正体を暴きました
463
00:30:33,620 --> 00:30:39,100
天下の英雄にお願い致します
小怜のために正義をお示しくださることを
464
00:30:44,660 --> 00:30:55,660
彼を殺せ 彼を殺せ 彼を殺せ
465
00:30:55,660 --> 00:30:57,290
阿弥陀佛
466
00:30:57,290 --> 00:31:09,330
彼を殺せ 彼を殺せ 彼を殺せ
467
00:31:12,020 --> 00:31:18,410
彼を殺せ 彼を殺せ 彼を殺せ
468
00:31:21,260 --> 00:31:23,450
彼を殺せ 彼を殺せ 彼を殺せ
469
00:31:23,450 --> 00:31:26,450
この武林の恥を殺せ クズめ
470
00:31:57,260 --> 00:31:58,330
小手先だけだ
(*雕虫小技=余計な技能、取るに足らない小細工《北史・李渾伝》)
471
00:31:58,900 --> 00:32:02,020
温客行 お前に私を殺す腕があるのか
472
00:32:37,260 --> 00:32:39,380
返す言葉なく
473
00:32:40,900 --> 00:32:43,140
誰もが見放し
(*众叛亲离=誰からも見放される《春秋左氏伝・隠公四年》)
474
00:32:53,570 --> 00:32:54,980
孤立無援
475
00:33:26,100 --> 00:33:27,530
奸賊趙敬よ
476
00:33:28,570 --> 00:33:29,860
罪を認めよ
477
00:33:30,740 --> 00:33:34,020
温客行 お前は周密な計画で
478
00:33:35,020 --> 00:33:37,210
私に濡れ衣を着せ陥れた
(*栽赃陷害=盗品や禁制品を他人の所に忍ばせ濡れ衣を着せ最終的に自分の目的を達成する)
479
00:33:37,330 --> 00:33:38,210
受け入れよう
480
00:33:39,050 --> 00:33:40,290
殺すなら殺せ
481
00:33:41,290 --> 00:33:42,330
だがもしお前が
482
00:33:43,860 --> 00:33:46,260
捏造した罪を私に認めさせるつもりなら
483
00:33:50,620 --> 00:33:53,020
痴心妄想だ
(*痴心妄想=非現実的な妄想《平妖伝》羅貫中)
484
00:33:59,410 --> 00:34:01,020
鬼谷谷主よ
485
00:34:03,260 --> 00:34:05,500
お前は黒白(こくびゃく)を顛倒した
(*颠倒黑白=事実を歪曲する、正邪をひっくり返す《楚辞・九章》屈原)
486
00:34:06,810 --> 00:34:08,290
私は黒白顛倒していません
487
00:34:09,220 --> 00:34:11,330
私は顛倒した一切を
488
00:34:12,180 --> 00:34:13,700
正そうとしているのです
489
00:34:18,700 --> 00:34:19,810
頑迷固陋な
490
00:34:28,620 --> 00:34:30,570
先ほど高さんが言った通り
491
00:34:31,380 --> 00:34:32,810
人の子として
492
00:34:33,290 --> 00:34:35,860
父母のために冤罪を晴らすことができぬなら
493
00:34:36,140 --> 00:34:37,420
鳥獣と異ならない
494
00:34:37,900 --> 00:34:39,290
天下の英雄にあえてお聞きする
495
00:34:39,940 --> 00:34:42,770
"歯には歯を 血には血を"は
496
00:34:42,940 --> 00:34:44,290
天経地義ですよね?
(*天经地义=疑う余地のない道理《春秋左氏伝》)
497
00:34:44,730 --> 00:34:47,530
そうだ そうだ
498
00:34:47,810 --> 00:34:51,460
奴を殺せ 奴を殺せ 奴を殺せ
499
00:34:51,660 --> 00:34:54,810
我が父母 聖手夫婦は
一生を懸壺済世(けんこさいせい)し
(*悬壶济世=命を救い負傷者を癒やす医者の志、医者への賞賛)
500
00:34:54,970 --> 00:34:55,860
無数に人を救った
501
00:34:56,290 --> 00:34:57,970
趙敬に売り渡されたため
502
00:34:58,100 --> 00:35:00,050
二人は共に苦痛を受け死に至った
503
00:35:00,570 --> 00:35:03,220
黄天上に在り 厚土下に在り
(*黄天在上,厚土在下=道教の宣誓の句)
504
00:35:03,730 --> 00:35:05,810
温客行 人の子として
505
00:35:06,010 --> 00:35:07,420
今日こそ我が父母が
506
00:35:07,530 --> 00:35:09,250
受けた苦難を
507
00:35:09,570 --> 00:35:11,620
一つ一つ彼の身にお返しする
508
00:35:11,730 --> 00:35:18,010
奴を殺せ 奴を殺せ 奴を殺せ
509
00:35:18,140 --> 00:35:20,050
趙敬の棋は一手足りぬ
510
00:35:21,050 --> 00:35:22,730
だが負けではない
511
00:35:23,180 --> 00:35:25,100
最大の失敗をしたのはお前たちだ
512
00:35:26,380 --> 00:35:28,570
お前たちは私に二十年以上翻弄されてきた
513
00:35:29,460 --> 00:35:32,330
江湖全体が私によって
天地が覆るほど撹乱されたのだ
(*天翻地覆=天地を覆すような大騒ぎ、重大な変化《胡笳十八拍》蔡琰)
514
00:35:32,940 --> 00:35:34,180
私は損じておらぬ
515
00:35:35,010 --> 00:35:36,620
瀟瀟洒洒と生きて
(*瀟瀟洒洒=自然で寛大で洒脱な生き様《封神演義》許仲琳)
516
00:35:37,660 --> 00:35:39,530
轟轟烈烈と死ぬ
(*轟轟烈烈=大胆で力強い様)
517
00:35:42,770 --> 00:35:44,700
一切が始まったばかりだ
518
00:35:45,490 --> 00:35:46,620
私を殺せ
519
00:35:49,180 --> 00:35:52,900
お前たちは趙敬の暗き陰の下で生かされるのだ
520
00:35:54,420 --> 00:35:58,850
奴を殺せ 奴を殺せ 奴を殺せ
521
00:35:59,050 --> 00:35:59,850
いいでしょう
522
00:36:00,460 --> 00:36:02,460
死に及ばぬ生を差し上げよう
(*生不如死=生きるより死んだ方がまし《小五義》)
523
00:36:25,740 --> 00:36:27,220
父さま 母さま
524
00:36:27,460 --> 00:36:28,260
師父
525
00:36:28,610 --> 00:36:29,460
高盟主
526
00:36:29,740 --> 00:36:30,610
阿絮
527
00:36:32,420 --> 00:36:34,700
これが私に選んで欲しかった道でしょう
528
00:37:09,220 --> 00:37:10,420
自業自得だ
529
00:38:05,140 --> 00:38:06,010
義父さん
530
00:38:06,660 --> 00:38:07,700
これを飲んで
531
00:38:10,140 --> 00:38:11,220
良いものだよ
532
00:38:26,570 --> 00:38:27,460
義父さん
533
00:38:29,220 --> 00:38:31,460
蝎儿はあなたが一番弁が立つことを知ってる
534
00:38:32,530 --> 00:38:33,530
あなたが口を開くと
535
00:38:34,850 --> 00:38:36,570
僕はどうしても絆されてしまう
536
00:38:37,530 --> 00:38:38,810
だからこれからは
537
00:38:39,810 --> 00:38:41,420
何もおっしゃらずに
538
00:38:51,050 --> 00:38:53,810
ゆっくり休んで ゆっくり休んで
539
00:39:03,940 --> 00:39:04,770
阿絮
540
00:39:05,370 --> 00:39:07,260
剣を返すよ 家に帰ろう
541
00:39:13,570 --> 00:39:14,850
先に家に帰らない?
542
00:39:15,010 --> 00:39:17,370
帰ったら全部白状するよ
543
00:39:17,660 --> 00:39:18,530
その時に
544
00:39:18,850 --> 00:39:19,980
罰を受けるから
545
00:39:21,370 --> 00:39:22,330
好きにして
546
00:39:28,810 --> 00:39:29,740
阿絮
547
00:39:30,090 --> 00:39:31,010
私のこの人生
548
00:39:31,740 --> 00:39:33,370
一番楽しかったのはこの瞬間なんだ
549
00:39:33,810 --> 00:39:35,140
ここで殴らないで
550
00:39:38,090 --> 00:39:38,900
いいだろう
551
00:39:40,220 --> 00:39:43,290
今回は滅多打ちにするから覚えておけよ
552
00:39:43,740 --> 00:39:45,570
師父 いいよ 師叔
553
00:39:45,770 --> 00:39:48,420
おバカさん 行くよ 家に帰ろう
554
00:39:52,260 --> 00:39:53,220
晩は何が食べたい?
555
00:39:55,530 --> 00:39:56,420
鬼主
556
00:39:57,610 --> 00:39:58,660
どこへ行くのだ
557
00:40:01,940 --> 00:40:03,570
私の師弟を何と呼びましたか
558
00:40:05,290 --> 00:40:07,260
趙敬は悪運が尽きた
559
00:40:08,370 --> 00:40:10,290
それも彼の身から出た錆
560
00:40:11,460 --> 00:40:13,220
今日皆がここに集まったのは
561
00:40:14,220 --> 00:40:16,010
趙敬を裁くのではなく
562
00:40:17,460 --> 00:40:20,090
この鬼主を討つためだ
563
00:40:23,500 --> 00:40:26,050
温客行 お前が私憤を晴らしたなら
564
00:40:26,220 --> 00:40:27,810
公憤も晴らすべきではないか?
565
00:40:27,980 --> 00:40:30,460
莫懐陽 あなたは気が触れたのですか
566
00:40:30,700 --> 00:40:32,770
この子は甄大侠の跡継ぎ
567
00:40:32,900 --> 00:40:34,050
鬼主などではない
568
00:40:37,140 --> 00:40:38,500
そうとは限らぬ
569
00:40:38,660 --> 00:40:39,700
たとえそうであっても
570
00:40:40,290 --> 00:40:42,900
甄如玉はあなたの峨眉に恩があり
571
00:40:43,050 --> 00:40:44,500
私の清風剣派には
572
00:40:45,050 --> 00:40:46,500
また何の関わりが?
573
00:40:47,900 --> 00:40:48,900
温客行
574
00:40:49,050 --> 00:40:52,370
お前は白鹿崖で一体どんな小細工をした
575
00:40:53,260 --> 00:40:54,850
お前は堂々たる鬼主だろう
576
00:40:55,290 --> 00:40:57,770
自分の身分すら認められぬとは
577
00:40:58,090 --> 00:40:59,570
恥を知らぬのか?
578
00:41:03,810 --> 00:41:05,770
いいでしょう 認めます
579
00:41:06,290 --> 00:41:08,370
私めは確かに鬼谷谷主です
580
00:41:08,850 --> 00:41:12,090
先ほどはあなた方をからかいました
581
00:41:13,980 --> 00:41:16,980
温客行 老いぼれを騙すとは
582
00:41:17,090 --> 00:41:17,980
大師ご諒察ください
583
00:41:18,260 --> 00:41:19,740
私がこの嘘をつかなければ
584
00:41:19,850 --> 00:41:22,140
趙敬を人前で裁く機会もなかったのでは?
585
00:41:22,460 --> 00:41:24,140
あなたは結局 甄家の跡継ぎなのか?
586
00:41:24,460 --> 00:41:26,090
あなたはなぜ鬼谷に入ったのだ
587
00:41:26,220 --> 00:41:29,420
私が鬼谷に入ったのは全て皆さまのご配意の賜物
588
00:41:29,530 --> 00:41:30,500
でたらめを
589
00:41:30,770 --> 00:41:31,420
甄恩公は
590
00:41:31,460 --> 00:41:32,570
もういいでしょう智音師太
591
00:41:33,770 --> 00:41:35,330
あなたが何度も恩公と呼ぶなんて
592
00:41:35,500 --> 00:41:36,500
皮肉ではありませんか?
593
00:41:37,140 --> 00:41:38,500
あなたの恩公が地位も名誉も失い
594
00:41:38,610 --> 00:41:39,850
廃人となった際
595
00:41:40,010 --> 00:41:41,290
峨眉派はどこにいましたか?
596
00:41:42,010 --> 00:41:43,460
私は今でも分かりません
597
00:41:43,610 --> 00:41:45,530
父は当時これだけ多くの友人知人
598
00:41:45,700 --> 00:41:46,700
親戚旧知がありながら
599
00:41:46,850 --> 00:41:48,850
我が家族が大難に直面した時に
600
00:41:49,140 --> 00:41:50,460
あなたたちはどこにいたのか
601
00:41:55,940 --> 00:41:58,610
令尊令堂にこのような末路があったのは
602
00:41:58,940 --> 00:42:00,610
迫害に遭ったからではなく
603
00:42:00,810 --> 00:42:04,090
武庫の秘密を隠していた魔王 容炫を
604
00:42:04,290 --> 00:42:06,290
彼が庇ったからだ
605
00:42:06,740 --> 00:42:09,660
それゆえ今日 私は清算のためにお前に会いに来た
606
00:42:14,220 --> 00:42:16,330
誰かが私の師弟に精算を求めるなら
607
00:42:16,980 --> 00:42:18,740
先に私のこの関門を越えよ
608
00:42:22,980 --> 00:42:24,810
清算にもお前たちの出る幕はない
609
00:42:27,850 --> 00:42:29,420
葉上仙 葉上仙
610
00:42:33,570 --> 00:42:34,900
葉上仙 葉上仙
611
00:42:35,050 --> 00:42:35,900
葉前輩
612
00:42:36,610 --> 00:42:39,500
葉前輩 良いところに来られた
613
00:42:39,610 --> 00:42:42,090
今日あなた様には皆を率いて
鬼谷を滅ぼしていただきたい
614
00:42:42,260 --> 00:42:43,050
そうだ
615
00:42:43,810 --> 00:42:45,660
鬼谷は俺が必ず潰す
616
00:42:46,290 --> 00:42:49,240
鬼谷の上下全ての者どもが死なねばならん