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『三体』ドラマ、観るならどっち?

 中国の大ヒットSF小説『三体』の連続ドラマは、テンセント版とネットフリックス版があることはご存じですね?はい、その前提から話を進めていきたいと思います!
 そして、どっちも観るにはなかなかハードルが高いのも確か。
 現在(2025年2月時点)日本では、テンセント版はアマゾンプライム、ネトフリ版はネトフリでしか配信されていません!円盤化もされていません!
 限られたお小遣いと時間を使ってどちらを観るべきか、悩む人もいるかもしれません。私はもともと『三体』の小説がめちゃ面白かったので両方観るという選択肢しかありませんでしたが。
 そんなわけで、両方観た私の個人的な感想から、二つのドラマを比較していきたいと思います!

➀テンセント版は長いがネトフリ版は短い
 テンセント版……全30話
 ネトフリ版…………全8話

しかも、ストーリーはネトフリ版の方がテンセント版を追い越しています。それだけネトフリ版は内容が凝縮されており、逆にテンセント版は前半はかったるいなーというぐらいスローテンポで進んでいきます(後ほど書きますが、そこがまた魅力のひとつでもあります)
 大雑排に言えば、手っ取り早くストーリーを知りたいならネトフリ版、原作に忠実な方を観たいならテンセント版、がおすすめです。

②ネトフリ版の改変について
 小説の枝葉を省いて物語をギュッと詰め込んだこと以上に、ネトフリ版は設定の改変が凄いのです。まず主要キャラクターの人種変更に伴い、主な舞台も中国からイギリスに変更されています。しかしそれ以上に私が気になるのは、物語で大きな役割を担う人物が、ほとんど最初から知り合いだということで、「世の中狭っ!」ってびっくりします。

③テンセント版の改変について
 原作に忠実で原作ファンからも絶大な支持を得ているテンセント版ですが、前半10話ぐらいまではかなりのんびりペースです。主に物理学者ワン・ミャオの視点で、不可解な事実が淡々と提示されていきます。ワン・ミャオと妻や娘の交流も丁寧に描かれており、「このペースで大丈夫なのかな?」と心配になるぐらいです。が、原作小説の『三体』は、正直あまり人物描写が上手くありません。極端に言えば、各登場人物は物語を進めるための駒のような存在です。テンセント版は、ドラマの前半を使って人物を丁寧に描くことによって、後半の物語が盛り上がる部分で登場人物に感情移入しやすくなっています。これはドラマの功績です。

④まとめ
 非常にざっくりと、テンセント版とネトフリ版の特色をまとめてみましたので、興味を持たれた方はぜひ各公式サイトで詳しい情報を観てみてください。
 最後に私自身の好みを言えば、テンセント版の方をお勧めしたいです。ネトフリ版はあっという間に「宇宙人が地球を狙っている」ということがわかって、「三体星人VS地球人」という構図が早々に提示されるのに対し、テンセント版は紆余曲折の末に「三体人が地球を侵略しようとしていることが明らかになる」という構成です。ネトフリ版は映画でよくあるパターンですが、テンセント版は時間をかけてその結論に到達することによって「宇宙人が地球を侵略しようとしている」というある意味トンデモナイ設定にリアリティを持たせています。また、科学的な説明も多く「SFっぽさ」を存分に味わえます。また、テンセント版はVRゲーム「三体」の世界が非常に作り込まれていて、俳優さんそっくりの3Dキャラが動いています。これだけでどれだけの予算をかけたんだか……
 ネトフリ版はSFよりも「パニック&ホラー」風味を押し出している感じです。それはそれで面白いです。

 しかし、どちらもクオリティは大変高く、できれば両方観てほしい!
 ということで、「なんか難しそう」と躊躇しているあなた、途中からでもいいし飛ばしながらでもいいので、とにかく観てみてください!!

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