![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173652329/rectangle_large_type_2_2774d2890cd2407a20ba029e27235121.png?width=1200)
小米、時価総額で歴史的快挙—テスラ、トヨタに次ぐ世界第3位の自動車メーカーへ
2025年2月6日、小米グループは香港株式市場で株価が急上昇し、42.5香港ドルまで到達、時価総額は1.07兆香港ドルとなり、テスラ、トヨタに次ぐ世界第3位の自動車メーカーに浮上。今年に入ってからすでに株価は20%以上の上昇を記録しており、今後もその勢いを持続させることが期待されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1738995519-mUkMYvQjwiqxhEX3bF6tSHVJ.png?width=1200)
小米のこの躍進の背景には、同社が近年注力しているEV事業があります。特に2024年3月に発売したフラッグシップモデル「小米SU7」が、事業全体の成長を大きく牽引しています。
EV市場での勝利—累計販売台数が15.5万台に到達、小米SU7の快進撃
2021年に正式に参入を表明したEV市場。その初の量産モデル「小米SU7」は、デビュー直後から大きな注目を集めました。発売開始時には、わずか数週間で予約注文が5万台を突破し、納車まで数ヶ月待ちの状態が続いたほどです。
念願のシャオミSU7試乗
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) April 15, 2024
テスラ同様高速道路はLV2の自動運転モードがあり、スポーツモードにするとガソリン車のような機械音が鳴ります。動画はトンネルで減速した後一気に120km/hまで加速する様子。乗り心地悪くないのでほしいが7ヶ月待ちなのでテスラにするかも pic.twitter.com/gQH6rzTKEQ
その後も市場での需要は衰えることなく、安定した販売が続きました。2024年末時点で、累計販売台数は13.5万台に達し、2025年1月には1ヶ月あたり2万台以上を4ヶ月連続で達成するなど、同モデルの勢いは止まりません。
最新の統計によれば、現在までに小米SU7の累計販売台数は15.5万台を記録。これは、わずか1年弱での達成という極めて速いペースです。小米の電動車事業は市場から高く評価されており、この成功が小米グループの時価総額を1兆香港ドル超へと押し上げる原動力となりました。
EV事業が同社全体の成長エンジンとして機能し始めたことは疑いの余地がありません。しかし、販売台数が順調に伸びる一方で、小米のEV事業は依然として収益面で課題を抱えています。
黒字化には至らず—現状の財務指標が示す課題
2024年11月に公表された第3四半期決算によると、小米グループ全体の収益は好調で、売上高は925.1億元に達しましたが、その一方で電動車事業は依然として赤字の状態が続いています。
具体的には、EV事業部門の売上高は97億元あり、そのうち95億元がEV関連の収益でした。しかし、同時に事業部門全体で15億元の損失を計上しており、経済的な自立はまだ果たせていません。
販売台数が増加しているにもかかわらず赤字が続く理由は、1台あたりの利益率が依然としてマイナスであるためです。
小米SU7の平均販売価格は23.88万元ですが、1台あたり約3.77万元の損失が発生していることが明らかになっています。この要因としては、製造コストの高さや、研究開発費用、初期の設備投資などが挙げられます。
雷軍CEOの見解—規模拡大によるコスト削減を目指す
このような収益面での課題について、小米グループのル・ウェイビン総裁は次のように説明しています。
「現段階では、電動車事業はまだ初期フェーズにあり、十分な規模効果が発揮されていません。自社工場の建設や自動運転技術の開発といった多額の投資が続いており、現時点での赤字は想定内です」
小米のEV事業は、他の新興電動車メーカーと同様、初期投資によるコスト負担が大きく、短期間での黒字化は難しいとされています。特に小米は自動車の製造プロセス全体において、自社工場を運営し、コア技術を内製化する戦略を採用しているため、前期の財務負担が重くなっているのです。
しかし、雷軍CEOは今後の成長に強い自信を示しており、2025年までに年間販売台数30万台を目指すと公言しています。これにより、規模の拡大によって生産コストを大幅に削減し、収益構造を改善する方針です。
全国的な店舗展開とサービス拠点の整備を加速
小米はすでに、全国各地に新たな販売店およびサービス拠点の開設を進めています。2024年には内モンゴル自治区の呼和浩特や洛陽など6都市を含む16店舗が新たにオープンし、これに加えて29のサービスセンターも設立されました。この取り組みによって顧客との接点を増やし、アフターサービスの充実やリピーター獲得を目指しています。
雷軍氏は、これらの施策が成功すれば、2025年以降に黒字化への道筋が開けると考えています。「販売台数が30万台を超える規模になれば、工場の稼働率が向上し、スケールメリットによって製造コストが大幅に削減されるでしょう」と同氏は語っています。
また、生産能力の拡張も急務とされています。現在、小米の第1工場の年間生産能力は15万台に達していますが、これをさらに引き上げるべく、第2工場の建設が進められており、2025年6月には竣工予定です。これにより、生産体制の強化が図られ、さらなる需要拡大にも対応できるようになります。
小米汽車が驚異的な成績を達成!⚡️
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) December 29, 2024
初の量産車「小米SU7」が発売9カ月で13万台を突破。CEO雷軍は「奇跡」とコメント。
この数字は単なる自動車販売の記録ではなく、小米の野心の証です。
続き↓ pic.twitter.com/vk11ux0NpA
新たな展望—次世代モデル「小米YU7」の投入へ
生産能力の拡張に加え、今後の成長戦略の一環として小米は新モデル「小米YU7」の投入を予定しています。雷軍氏によると、SU7の上位モデル「SU7 Ultra」は2025年3月に発売予定であり、YU7は6月から7月に市場投入される見込みです。
YU7は20万〜30万元クラスの車両であり、特に人気の高いテスラModel Yとの競争を視野に入れた戦略車です。中国市場では、2024年に「Model Yキラー」を名乗る新車が多数発表されており、小米YU7もその一角を担うことが期待されています。
2024年9月から10月にかけて、ライバル企業である楽道、極氪、智界などが次々と新型EVを投入しましたが、依然としてModel Yの地位を脅かすには至っていません。しかし、小米はSU7で実績を積んだ経験をYU7に活かし、さらなる市場シェアの拡大を図ります。
シャオミ汽車第二弾のYU7が路上で走行している動画が話題📸
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) December 20, 2024
噂通りフェラーリとよく似ている🤔 pic.twitter.com/yYCiiUpvMq
市場競争の激化—価格戦争が再燃
一方で、2025年の電動車市場は一層熾烈な競争にさらされています。年明けから中国の主要EVメーカー各社が相次いで大規模なキャンペーンを展開。蔚来(NIO)、テスラ、小鵬汽車(XPeng)などが「5年無利息ローン」や保険補助といったプロモーションを次々と打ち出し、激しい価格競争が繰り広げられています。
特にテスラは、Model 3に対して8000元(約15万円)の保険補助を提供し、5年無利息ローンを組み合わせた大幅な割引策を発表。これに対抗して小鵬汽車も「0首付・5年0利息」の独自プランを導入するなど、競争はさらに激化しています。
合資系メーカーも負けじとプロモーションを強化しており、広汽トヨタ(GAC Toyota)は最大4.4万元の値引きを含むキャンペーンを展開中です。
中信証券の評価—「小米は最も魅力的なテック企業の一つ」
中信証券は、小米の株価上昇を「中国で最も魅力的なハードウェア・テクノロジー企業の一つ」と評価しています。同社によると、主な成功要因として以下の4点が挙げられます。
1. EV車事業の成功
中信証券は、小米の電動車事業が市場での予想を上回る成果を収めている点を高く評価しています。小米SU7は短期間で15.5万台を販売し、現在も月間2万台以上という安定した販売ペースを維持しています。これは、新規参入の自動車メーカーとしては驚異的な成果であり、同業他社を大きくリードする要因となっています。
さらに、小米の電動車戦略は単なる販売拡大にとどまらず、技術革新を基盤にした競争力の向上を目指している点が評価されています。同社は電動車の製造から販売、アフターサービスまでを一貫して自社内で管理しており、これが競合他社との差別化につながっています。加えて、車両のソフトウェアアップデートや自動運転技術の強化に注力することで、長期的な成長基盤を築いています。
中信証券は、このような持続可能な技術戦略が、今後も小米の株価を支える主要な要因になると見ています。
2. スマートフォン事業の高価格帯戦略の進展
小米は、スマートフォン市場においても、これまでの「コストパフォーマンス」重視のイメージを刷新し、高価格帯モデルの市場シェア拡大に成功しています。特にフラッグシップモデルである「小米13シリーズ」や「MIX Fold」などは、洗練されたデザインと高性能を兼ね備え、消費者の間で高い人気を博しています。
シャオミの薄型軽量折りたたみスマホMIX FOLD4触ってきたので皆さんにシェアです🐼 pic.twitter.com/ptjhkAhcoY
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) July 27, 2024
中信証券のレポートでは、スマートフォン事業におけるこの高価格帯戦略の進展が、収益性の向上に大きく寄与していると指摘されています。これにより、小米は価格競争に巻き込まれるリスクを軽減し、ブランド力を高めることに成功しています。また、プレミアムモデルの投入によって、新たな顧客層を獲得し、既存顧客のロイヤリティを向上させることができました。
さらに、5Gスマートフォン市場の成長を見据えた研究開発投資が、技術競争力の強化に貢献していることも評価されています。中信証券は、今後もスマートフォン事業が小米の収益構造の柱の一つであり続けると予測しています。
3. IoT製品の成長
小米は、IoT製品分野においても業界をリードしており、スマート家電やウェアラブルデバイスの販売が大きく拡大しています。同社のIoTエコシステムは、単一の製品にとどまらず、スマートホーム全体を包括する形で進化を遂げています。これにより、消費者は小米製品を組み合わせて使用することで、より便利で快適な生活を実現できるようになっています。
中信証券は、小米が「IoT大単品戦略」を推進している点に注目しています。これは、消費者にとってニーズの高い製品を集中的に開発・販売することで、IoT製品群全体の売上と利益率を同時に向上させる戦略です。具体的には、スマートスピーカー、空気清浄機、スマートライト、スマートドアベルなどが販売好調で、特に中国国内市場だけでなく海外市場でも大きなシェアを獲得しています。
また、IoT製品の成長は、スマートフォン事業とのシナジー効果を生み出しており、小米のエコシステム全体の競争力を高めています。中信証券は、IoT分野の成長が小米の中長期的な事業拡大を支える要因になると予測しています。
4. 新小売(ニューリテール)戦略の進化
小米は、従来の店舗販売やオンラインショッピングに加え、新小売(ニューリテール)と呼ばれるハイブリッド型の販売戦略を推進しています。この戦略は、実店舗とオンラインショップをシームレスに連携させ、顧客体験を最大限に向上させることを目指しています。
中国深センのシャオミの店舗
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) January 21, 2025
スマホやパソコン以外に、スマート家電やバッテリー、日用品などの商品がたくさん並んでおり、新しいプロダクトが登場したんじゃないかと思って入るのがいつも楽しみです。日本のシャオミのストアもいずれこうなるといいですね🙆 pic.twitter.com/3xrBq2ffyg
具体的には、実店舗で商品を体験した後にオンラインで購入する、またはオンラインで注文した商品を近隣の店舗で受け取るといった形で、消費者の利便性を高める仕組みが整備されています。また、小米は独自の販売データを活用し、地域ごとの需要に応じた製品ラインナップやキャンペーンを展開するなど、データドリブンなマーケティング戦略を実践しています。
中信証券は、この新小売戦略によって小米が競合他社との差別化を図り、顧客満足度の向上と売上増加を同時に実現していると評価しています。
未来への挑戦—持続可能な成長へ
現在、小米グループの株価は急速に上昇していますが、このトレンドが長期的に持続するためには、さらなる事業成長が必要不可欠です。特に雷軍CEOが掲げる「2025年30万台販売」の目標が達成されるかどうかが、今後の市場競争を制する上での重要なポイントとなります。
中信証券は、今後も小米が電動車、スマートフォン、IoT、そして新小売という4つの柱を軸に、持続可能な成長を続けると見込んでいます。小米の挑戦は、まさにこれからが本番です。
最後に…
1日1noteチャレンジをしており、中国テック関連の情報を発信しておりますので応援してください。そしてフォローもお願いします。
また中国での現地での調査をご希望の方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。