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中国の結婚率が再び低下、2024年の結婚件数は過去最低の610.6万組に減少

中国民政部が2024年の全国婚姻統計を発表し、結婚登録数が610.6万組にとどまったことが明らかになりました。これは2023年の768.0万組と比較して約20.5%(157.4万組)の大幅減少に相当します。一方、離婚登録数は262.1万組で、前年の259.3万組から約1.1%(2.8万組)増加しました。

2000年から2030年の結婚登録数

この結果、2023年に一時的に増加した結婚登録数が再び減少に転じたことが分かりました。これは、近年続いてきた中国の結婚率低下傾向がさらに深刻化していることを示しています。


結婚数の減少傾向は2014年から始まる

統計によれば、全国の結婚登録数は2013年の1346.9万組をピークに、2014年以降毎年減少を続けています。
特に2019年には1000万組を下回り、2021年には800万組、2022年には700万組のラインを突破しました。。
2023年には一時的に768.0万組へ回復しましたが、2024年には再び大きく減少し、記録を取り始めて以来、最も低い水準に達しました。

この減少の背景には、経済的要因や価値観の変化、都市部での生活費上昇など複合的な要因があると考えられます。中国社会では、結婚や家庭を重視する伝統的な価値観が根強い一方、若年層のライフスタイルや結婚観は急速に変化しており、結婚に対する意識が以前と異なってきています。

この本に中国の結婚事情 詳しく書かれてるので 参考なります。

少子化問題との関連性

結婚件数の減少は、中国が直面している少子化問題とも密接に関連しています。結婚は出産の前提条件とされることが多く、結婚率が低下すれば出生率も低下する傾向があります。実際、中国国家統計局のデータによると、出生数はここ数年で急激に減少しており、2022年には人口の自然減少に転じました。

このため、中国政府は少子化対策として結婚・出産支援策を打ち出しており、一部の都市では結婚費用や住宅購入の補助、子育て支援などの政策を導入しています。しかし、こうした政策が若者の結婚意欲を高める効果は現時点で限定的であり、依然として多くの若年層は結婚や出産を避ける傾向があります。


結婚に対する若者の意識変化

結婚率低下の要因として、若者の結婚観の変化が挙げられます。都市部を中心に、経済的負担の増加やキャリア優先の価値観が広がっており、結婚や出産を人生の最優先事項と考える人は減少しています。特に住宅価格の高騰、教育費や医療費の負担、長時間労働などの要因が、若者たちの結婚意欲を削いでいる現状があります。

また、女性の社会進出が進む中で、女性が結婚や家庭に縛られず、キャリアを追求する選択肢が増えていることも影響しています。一方で、男性側にも結婚に対する経済的プレッシャーが存在しており、結婚を先延ばしにするケースが目立っています。

さらに、近年では独身生活を選択する人々も増えており、「丁克族(DINK、共働きで子供を持たない夫婦)」や「ソロエコノミー(単身者市場)」といった新しい社会現象が注目されています。

離婚件数の増加と家族観の変化

一方、2024年には離婚登録数が262.1万組と微増しました。これにより、結婚と離婚の比率は年々縮小しており、家族形態が多様化している現状を反映しています。中国では、近年の社会的・経済的ストレスが家庭内の関係に影響を与えており、価値観の不一致や生活スタイルの違いが離婚の原因として挙げられています。

また、民法改正により2021年から「離婚冷却期(30日間)」制度が導入されましたが、これが離婚件数を一時的に減少させたものの、長期的には影響が薄れてきています。専門家によれば、結婚生活を見直す人々が増えており、個人の幸せを重視する傾向が強まっていると指摘されています。

政府と社会の対応策

このような状況を受け、中国政府は若者の結婚と出産を促進するために様々な施策を講じています。一部の地方政府では、新婚カップルに対する住宅ローンの利子補助や、婚姻手続きにおけるサービス改善などの取り組みが行われています。また、職場環境の改善や子育て支援の充実も求められています。

さらに、伝統的な婚姻儀礼の簡素化を提案する動きもあります。結婚式や贈り物にかかる過剰な費用が若者の負担となっていることを考慮し、政府は文化的な改革も視野に入れているようです。


結論:結婚率低下は中国社会の転換期を示す

中国における結婚率の低下は、単なる数字の変動ではなく、社会全体が大きな転換期を迎えていることを示しています。経済環境、価値観の変化、都市と農村の格差といった複合的な要因が絡み合い、結婚や家庭のあり方が変容しているのです。

今後、政府や社会がどのようにこの課題に対応していくかが注目されます。同時に、個人が自由な選択を尊重される社会を構築しながら、持続可能な人口政策を実現することが求められるでしょう。



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