CFA回顧録 - Level 1 & 2
皆さま、こんにちは。シンガポール現地採用7年目、じぇがながと申します。
2022年9月にCFAレベル3を合格し、念願のCFA Charterholderとなりました。私は元々、勉強の要領が特段良いタイプではなく、人の数倍の時間をかけて物事を習得していくスタイルで生きてきました。
2回の不合格に加え、2回のコロナ延期によって、結果的にアラサーの殆ど全てをCFAに捧げた4年間を過ごしました。
これからCFA試験を目指す方や、既に勉強中のCandidateの皆さまにとって、少しでもお役に立てればと思い、ここに体験談を残すことにしました。
振り返ってみれば、ほんの数年の期間でも、出題範囲やスタイルが変化し続けてきた試験だったと思います。
また、過去に合格された諸先輩方の勉強方法、得意/苦手分野、時間的制約など、CFA受験は本当に十人十色な印象でした。
以上をふまえて、あくまでサンプルの一個が書いた回顧録、という位置付けで読み流して頂ければ幸いです。
CFA Charterholderまでの道のり
2018年12月: Level 1 合格(PBT)
2019年6月: Level 2 不合格(PBT)
2020年6月: Level 2 コロナ延期
2020年12月: Level 2 コロナ延期(2回目)
2021年5月: Level 2 合格(CBT)
2021年11月: Level 3 不合格(CBT)
2022年9月: Level 3 合格(CBT)
試験勉強スタート時(2018年2月)のスペック
英語
アメリカ留学10ヵ月(学部生時代)
英検準1級(2012年)、TOEIC 885 (2014年)
シンガポール現地採用(2016年~)
金融
メガバンク営業2年(財務分析を触った程度)
簿記2級、FP2級
証券アナリスト1次の1科目を残して放棄(メガバンク退職間際)
デュレーション?先物?スワップ??おるたな??(知識皆無)
その他
私大・経済学部卒(経済学への苦手意識を払拭できないまま卒業)
言語問わず、読み書きへの抵抗感は健在
CFA試験への動機
2016年から2年間、金融業界から離れてしまったため、大きなブランクを何かしらで早急に埋める必要があると感じたこと。
学部卒の自分が、中長期的にシンガポールで金融キャリアを形成する上で、転職市場で戦える武器がないと生き残れない気がしたこと。
シンガポール国内MBAと比較して、受験準備からMBA卒業までの拘束時間と経済的負担を考慮した結果、CFAの方が(当時の)自分のキャパで乗り越えられると思ったこと。
当時、会社の隣の席の、尊敬する女性マネージャー(シンガポール国立大の経済学部卒および金融修士課程修了)がCFA Charterholderだと知り、強烈な憧れを抱いたこと。
Level 1
勉強方法
SchweserのテキストとPractice Exams 2冊のみ使用。
テキストを読む→テキスト章末問題を解く、をとりあえず一周しました。財務分析と統計学以外は事前知識がほぼ皆無だったので、テキストの英単語をググって、日本語で調べて、テキストに書き込んで、という作業にかなりの時間を費やしました。
試験3か月ほど前から、Practice Examsをひたすら回す作業に入りました。
この時期になって、カリキュラムの内容を体系的に全く理解できていないことを認識し始め、絶望しながらも、Practice Examsとテキストを行き来する毎日を過ごしました。
SchweserのPractice Examsは、試験本番の問題より難易度が高めに設計されていたな、と受験後にわかりました。
また、Level 1の勉強開始まで、『英語で』勉強することに慣れておらず、テキストが全く頭に入ってこない時に、
①語学力の欠如のせいで理解できないのか、
②前提知識の欠如のせいで理解できないのか、
その「理解できない原因」を認識するのに時間がかかりました。
反省点
金融論、株式、債券、等の前提知識が無さ過ぎたため、もっと早い段階で日本語の書籍を先にざっと読んでから、Schweserに取り組むべきでした。
当初はあまりに情弱だったため、節約のために前年度用のSchweserを中古で購入した結果、試験当日に未開拓エリアと遭遇しました。試験後に初めて、毎年カリキュラムが少しずつ変化することを知りました。(←遅い)
「英語でインプットとアウトプットができなければダメだ」という謎の呪縛を自分にかけてしまい、Schweserのテキストに英語で書き込む→読み返してもスッと入ってこない、という非効率のサイクルを繰り返していました。数か月経ってから、母国語で理解するステップの重要性に気付きました。(←遅い)
CFA協会のホームページ上でCandidate向けに作られた練習問題を、最後まで無視していました。(今思えば、SchweserのPractice Examsよりも、よっぽど大事だったかもしれません。)
試験結果
2018年12月 Level 1(合格)
Level 2
勉強方法(2019年6月受験 - 不合格)
Level 1と同様、Schweserのテキストを使用しました。
2018年12月Level 1の合否がわからないうちに、半年後の2019年6月のLevel 2に向けて勉強を開始しました。
2019年6月の試験まで時間も限られていた上に、Level 1よりも遥に難易度の高いLevel 2のSchweserテキストを、想定していたペースで読み進められず、毎日ただ焦燥感に襲われていました。
確定給付型年金(会計)や、通貨スワップ(デリバ)など、あらゆる範囲で根本的に何も理解できていないまま、とりあえずテキストを読み終えてPractice Examsに移行しました。
最終的に、SchweserのPractice Examsも解き直しすらできないまま、時間切れで試験に突入し、奇跡は起こせず不合格でした。
勉強方法(2021年5月受験 - 合格)
2020年6月まで1年弱、基礎からやり直すことを決意し、日本語の関連書籍を片っ端から買いました。債券、デリバ、コーポレートファイナンス、会計、為替、フィンテック、M&A、アセットマネジメント、機械学習など、とにかくLevel 2の土台固めのために、日本語の本を読み漁りました。
一見かなり回り道な行動でしたが、CFA受験のための金融知識が、Level 1の頃から根本的に欠落していた自分にとっては、結果的にこれが正しいアクションだったと確信しています。
一通り日本語のインプットを終えた後に、Schweserテキストをもう一度読み直しました。
その後は、協会Mock(過去3年分程度)、協会HP上の練習問題をひたすらに解く日々を過ごしました。
特にデリバは、経過利息や為替が絡んでくる複雑な計算問題、に対する重度のアレルギーがあったので、とにかく色々なパターンの問題を反復練習しました。試験本番では、デリバで一問も落とさなかったと思います。
5年分や10年分のMockを解く、という熱心なCandidateもたまに見受けられます。
しかし、古すぎるMockを使うと、出題範囲から外れている論点をいちいち選別する羽目になり、その作業だけでエネルギーの浪費になるので、個人的には全くおすすめできません。
その気合とリソースがあれば、(難易度はともかく)最新の論点のみで構成されている協会ホームページの問題を反復するのがベストだと考えます。
計算問題の多いLevel 2対策として、覚えるべき数式をスクリーンショットで画像に保存していきました。
また、会計学(e.g. Temporal Method vs Current-Rate Method)など丸暗記せざるを得ない表なども、同様に画像に落とし込んでいきました。
移動中や休憩時間でも、スマホでそのフォルダからいつでも見れる状態にしていました。
新型コロナによる2回の試験延期
余談になりますが、コロナは人生設計を大きく狂わせました。
2020年6月試験の数か月前、CFA協会から一斉メールが届き、コロナによるLevel 2の半年延期(2020年6月→2020年12月)の発表・・・。
とはいえ、この時は「まぁこれで時間稼ぎができた」、と多少は前向きに受け入れた気がします。
そして、その約半年後、まさかのシンガポール会場で再延期・・・。
さすがに心が折れました。2019年1月頃から全く同じ試験勉強を続けてきて、『Level 2 Candidate』の肩書から2年近く、対外的に何も前進していない現実と、もし次回も不合格だったら、、、という恐怖と向き合う毎日でした。
また、シンガポールでは再延期なのに、日本では2020年12月に試験決行、という事実も、無力感を増幅させた一因となりました。
反省点
試験数か月前に公開される協会Mockが想定外に難しく、あまりの出来なさに数日ほど戦意喪失しました。今思い返せば、あんなに複雑な問題が本番で出題される訳がないので、Mockで時折出現する厄介な難問は、強い心でスルーして、メンタルを正常に維持するべきでした。
Level 2の初回受験の時ですが、本質を理解しないまま、数式の暗記に必死になりすぎました。そもそも前提知識と試験までの日数が足りず、やむを得ないアプローチでしたが、焦って付け焼刃の試験対策をしても何の学びにもならないと痛感しました。
試験結果
2019年6月 Level 2(不合格)
2021年5月 Level 2(合格)
読んで良かったと思う書籍
CFAの日本語の参考書といえば、誰もが一度は見たことがある大野先生のファイナンス講義シリーズです。個人的には株式・債券・デリバティブ編が一番有効で、行き詰った時に何度も参照しました。
デリバは業務で全く触れたことのない領域だったので、初心者の自分にとっては入口として良かったです。私が購入した当時は第2版が最新でしたが、今は第3版が出ています。
Level 2の再受験前に読みました。CFAの教科書ではないので、あくまで金融の概念を捉えるものであり、金融に携わっていない人でも問題なく読めるレベルです。試験の各論点がどうリンクしているのか、そもそもCFAで何を勉強しているのかクリアになり、モチベーションも上がりました。
おわりに
Level 3については、また別の記事でまとめたいと思います。
長文になりましたが、最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。