変異し続けるバンド、聖飢魔Ⅱ
昨年の通常ライブが行いにくい状況下で、ライブ映像と生トークを組み合わせて有観客ライブを実現した聖飢魔Ⅱの皆様。
さらに今年はライブ映像+アコースティック形式の生ライブのツアーを実行していらっしゃいます。この記事を書いている2021年11月21日現在全国ツアー中で、既に何公演か中止することなく無事に成功されています。
このご時世を逆手にとってサタンの魔力でライブの形式すら作り変えてしまいました。
次々に新しいアイデアを生み出し続ける彼らですが、本活動期間にも、アルバムごとに音楽性を変化させ続けてこられました。
実は誰一人としてメタルをルーツとした構成員(メンバー)がいらっしゃらないのです。ジャズやファンク、ブルース、プログレ等、メンバー全員が異なる音楽的ルーツをお持ちです。なので、各構成員のバックグラウンドを活かしたジャンルに捉われない柔軟なサウンドを生み出してこられたのです。
ではそんな彼らのオリジナルアルバムを紹介していきたいと存じます。
悪魔が来たりてヘヴィメタる
こちらは第一作目です。ブラックサバスのような重いサウンドにキリスト教をベースとした西洋宗教の世界観を詰め込んだ作品です。私は、中期以降の作品から聴き始めたので、このアルバムからはやや、荒削りな印象を受けました。
しかし、「悪魔組曲 作品666番 ニ短調」や「地獄の皇太子」など、聖飢魔Ⅱのコアとなる部分が詰まっているため、信者(ファン)にとってはマストな作品です。
この中で印象に残る曲はROCK IN THE KINGDOMです。この曲はかなりキーが高く、サビのラストのシャウトが高難度です。これを歌える閣下はやっぱりすごいです。
THE END OF THE CENTURY
こちらが二作目です。世界観は前作を踏襲していますが、より、メロディアスになっています。初めて聴かれる方は、前作よりもこちらから入った方がわかりやすいかもしれません。
バンド名を英訳してそのままタイトルにした、「THE END OF THE CENTURY」、やライブでの定番曲の「JACK THE RIPPER」、「FIRE AFTER FIRE」が収録されています。
私が好きな曲はメロディーラインが美しい「悪魔の讃美歌」そして、まるで演劇を観ているかのような気分になる怪しいナンバーの「怪奇植物」です
地獄より愛をこめて
第三作目のアルバムです。私は初期作品の中では一番好きな作品です。脱退したゾッド星島親分(Ba)に代わりゼノン石川和尚が新たなベーシストとして加入しました。
この作品ではアメリカンな要素が強くなっています。ライブ定番曲の「アダムの林檎」や「EL DORADO」、壮大なバラード曲の「秘密の花園」、そしてサビでの超絶ハイトーンヴォーカルで聴かせるタイトル曲でもある「FROM HELL WITH LOVE」などが収録されています。
私が好きなのはジェイル大橋代官(Gt)らしいアメリカンなハードロックナンバー「APHRODITE」と美旋律で様式的な「魔界舞曲」です。
BIG TIME CHANGES
続いては4作目です。ジェイル代官(Gt)が脱退し代わりにルーク篁参謀が新ギタリストとして加入します。アメリカンな要素は残しつつ、サウンドが再びダークになります。
冒頭の「ROK'N ROLL PRISONER」は例えるなら、Van Halenを暗くしたようなアメリカンなハードロックナンバーです。2曲目の「EARTH EATER」ではなんと、ハードロックにスラップベースを入れるという試みがなされています。ファンクがルーツのゼノン石川和尚(Ba)らしいプレイです。全編、重々しい王道メタルなサウンドで構成されています。
この中で好きな楽曲は、暗くも美しい「NEVER ENDING DARKNESS」とエース清水長官(Gt)がリードヴォーカルを務めたバラード曲の「ANGEL SMILE」です。
THE OUTER MISSION
5作目です。この作品はレベッカのキーボーディスト、土橋安騎夫さんがサウンドプロデュースした作品で、シンセを多用した都会的な作風です。
タイトル曲のプログレ感が漂う、「THE OUTER MISSION」や閣下の美声で彩られた爽快でポップなナンバー、「 WINNER」そして、ハードロックとジャズが交互に切り替わる「RATSBANE」などが収録されています。
私がこのアルバムではダンサブルな全編英語のナンバー「LOVE FLIGHT」、そして閣下のシャウトが吠える「THE EARTH IS PAIN」が好きです。
有害
6作目となるこのアルバムは「性」をテーマとした世界観です。全体的にはVAN HALENのような踊れる楽曲が多いです。
タイトル曲の「有害ロック」はライブの定番曲です。また、「嵐の予感」のような、プログレ感のある楽曲、デーモン閣下とエース長官のツインヴォーカルの「精神の黒幕」などが収録されています。また、「ピンクの恐竜」はサビがどことなくVAN HALENの「beautiful Girls」に似ています。リンクを貼り付けておくので聴き比べて下さい。
私が個人的に好きなのは、ダンサブルな「THUNDER STORM」と演劇調の歌い出しで始まる「ROSA」です。
恐怖のレストラン
こちらが7作目です。何故かこの作品のジャケ写がyoutubeにアップロードされていませんでした。かといって私の持っているCDのジャケットの写真を撮ってをネットで使用すると引用ではなく無断使用とみなされ、権利面での問題が発生するため、こちらの映像を引用致します。予めご了承下さい。
このアルバムは原点回帰して、宗教色を強めて、王道メタルサウンドで構成されています。「鬼」や「人間狩り」などのおどろおどろしい歌詞が特徴です。
私が好きなのは「満月の夜」と「緑色の雨」です。
PONK!!
8作目です。このアルバムはいろんな要素を取り入れたアルバムで賛否両論があります。いきなりポルカ曲の「千年香妃花」で始まる衝撃的な作品です。ちなみに正確な読み方はないそうです。構成員の皆様もこのタイトルを声に出して読んだことがないそうです。
他にもアメリカのロックンロール調の「KING OF THE STRIKE」などが収録されています。
私はこのアルバムはあまりピンとこなかったのですが、フォーク曲の「ロマンス」だけは好きな曲です。
メフィストフェレスの肖像
この曲は初期に寄せていますが、モダンなメタルとなっています。バンド創始者のダミアン浜田陛下や元メンバーのジェイル大橋代官が楽曲提供で参加しているのも特徴です。
タイトル曲の「メフィストフェレスの肖像」はダミアン陛下らしい宗教的な世界観です。
私はライデン湯沢殿下の重いバスドラが炸裂する「Great devotion」と閣下らしくない暗い歌詞が特徴の「PAINT ME BLACK」が好きです。
NEWS
10作目です。後期作品の第一作目といっても過言ではありません。ここからいきなりサウンドがポップになります。「デジタリアン・ラプソディ」、「SAVE YOUR SOUL ~美しきクリシェに背を向けて」などのきれいな曲が多いのが特徴です。
この中ではライブの定番曲でもある「BRAND NEW SONG」と「虚空の迷宮」が好きです。虚空の迷宮はショートバージョンしか見つかりませんでした。本当は私の持っているアルバムの音源を聴いていただきたいのですが、これも権利関係がややこしいのでご了承下さい。興味のある方はアルバムを買ってお聴きください。
MOVE
11作目です。こちらもジャケ写がないので、収録曲の一つである「サクラちってサクラ咲いて」の動画を引用しました。いい曲です。おすすめです。前作よりもさらに洗練されて、社会的なメッセージが強くなっています。
私が好きな曲は前向きなナンバーの「空の雫」とライブで盛り上がる「MASQUERADE」です。
LIVING LEGEND
こちらが12作目でこの作品をリリース後いったん解散します。こちらは前作とは一転してゴリゴリのメタル作品で攻めてきます。ただ重いだけでなく聖飢魔Ⅱらしいメロディアスな曲も多いです。
個人的に好きなのは皮肉にも今の時代を表している「戦慄のドナドナ」と現代人の病的な心理を描いた「GLORIA GLORIA」です。「戦慄のドナドナ」がどうしても見つからなかったので、下記のURLからご視聴下さい。
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。