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おすまし大阪 ゆるゆる大阪 天満橋

水都大阪を謳う割には、水都の古今を味わえる観光散策コースが「クルーズ船」だけだったりする。
今日は、徒歩ならでは五感で感じる水都大阪リバーサイドを散策しよう。

開始地点は天満橋駅OMMビル。
タワマンや高層ビルかしましい大阪中之島界隈にあって珍しい横長ビル。その名のとおりシカゴのThe Merchandise Martを模した。
元は京阪天満橋駅。阪急梅田や南海なんばや近鉄上本町のような発着ターミナル駅だったため横長地で、このようなビルディングにしたそうだ。

The Merchandise Mart

OMMビル西端へ向かい、上町筋交差点・寝屋川橋・京橋の交差箇所の景色を堪能しよう。
市街地の河川合流地、タテ横斜めと無作為に架けた7本の橋が複雑な橋梁風景を作りだす。

京阪電車ガード下をくぐり線路右手に東へ。明治の豪商・藤田財閥の敷地で「昔の金持ちは 本当に金持ち」をその目で実感しよう。
大阪の人はハイソで閑静な都市環境へ価値を見出さない気質なのか、古い屋舗や庭園をどんどん縮小し取り壊してしまいがちだ。
河岸の静謐なこの一角が残るのもあと40~50年ほどだろう。
旧大阪市公館ザ・ガーデン オリエンタル大阪、旧藤田邸庭園、藤田美術館、すでに創価学会に買われてしまった太閤園の跡地。

国道1号線に当たったら左に見える銀橋を渡り、造幣局・造幣博物館。
国道1号線を横断し、泉布観、旧桜宮公会堂。
この一角だけが明治以来いつまでも気品ある雰囲気を保ち続けているのは、市内で数少ない皇宮由来の地ゆえだとか。

川沿いを北上、OAPカスケードガーデン。
江戸時代は徳川鎮守の川崎宮、明治からは三菱のそれはそれは広い金属製錬所だった箇所。寺町通り正面に立派な正門があり堂々とした工場だったとか。

近畿中国森林管理局「森林(もり)のギャラリー」。ぽつんと森林管理局だけがここにあるのは、かつて貯木場だった頃の名残。
物静かで樹々豊富なハイソおすまし大阪リバーサイド・エリアは、このあたりまで。

川沿いに整えられた遊歩道をさらに北上、源八橋越え環状線をくぐる。
かつての堀川・今は埋め立て高速道路な天満橋筋の長柄・五差路交差点を渡り、ぷららてんまと天満市場。
これまでのゆとりあるハイソなシック空間と打って代わり、お馴染みステレオタイプな大阪ごちゃごちゃ風景が溢れだす。

かつての青物市場・問屋街、今ではあふれかえる飲食ブロックから、人気店『春駒』周辺の寿司屋通り。
いかにも「庶民的アジア風味・昭和レトロ風味」大好きな皆さんにご満足いただけそうな、細い路地を縦横無尽に徘徊し、天満駅まで抜ける。
このテの安普請な屋根を張り巡らせ細路地ごちゃごちゃ雑踏、多くの人が肩をかわしながら行き交う賑やかな場所は、もうここと鶴橋コリアンタウンぐらいしか残っていない。
あと30年もすれば寂れ、再開発され雲散霧消してしまうであろう路地景色だ。

すっかり飲食店街になってしまった天神橋筋商店街、天五・天四・天三と南へ南へ。元は堀川だった高速下の夫婦橋を通り抜ける。

寺町通を横目に南森町、天満天神繁昌亭、鶏嫌いの天満宮。

大川に当たったら左、再び川沿いを東へ。
かつてさきほどの天満駅周辺の様にごちゃごちゃと賑わっていたのだろう、今は川岸に整備公園だけが残る天満青物市場跡から、天満橋へ戻る。
中之島・梅田のビル街を右手に眺めながら天満橋を渡る。
200年前からある船着き場・八軒家浜船着場を横目に、京阪天満橋駅OMMビルに戻って来る。

初老の足で3時間ほど。
おすまし大阪もごちゃごちゃユルユル大阪も五感で味わえ、季節の移り変わりを四季で愛で、チープグルメも堪能できる。
年中いつでもおすすめリバーサイド散策コースだ。
ただし桜開花の時期の休日は花見客で溢れかえるのは、覚悟したほうがいい。





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ガシガシ興戸貝多郎
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