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なぜ米の価格は高騰したのか?絶対に知っておきたい本当の理由
異常気象が米の品質を直撃!2023年の猛暑が与えた影響
2023年、日本は記録的な猛暑に見舞われました。この異常気象が、お米の品質に大きな影響を与えました。特に影響を受けたのが 登熟期、つまりお米が実る大事な時期です。本来なら、昼夜の寒暖差によって美味しいお米が育つのですが、2023年の夏は異常な高温が続き、お米がしっかりと実らず、品質が低下してしまいました。
その結果、増えたのが 白未熟粒 という、お米の中がスカスカで白く濁った状態の粒です。白未熟粒が多いと、食感がパサつき、風味が落ちてしまいます。さらに、こうしたお米は 一等米として認められず、品質の低い二等米や三等米として出荷されることになります。そのため、市場に出回る高品質なお米の量が激減し、価格が上昇する要因となったのです。
さらに、猛暑によって 水不足 も深刻化しました。米作りには大量の水が必要ですが、水源となるダムや川の水量が減少し、稲の生育にも悪影響を与えました。特に東北地方や北陸地方では、水不足による影響で収穫量そのものが減少し、供給不足がさらに深刻になったのです。
こうした 異常気象と水不足のダブルパンチ により、高品質なお米の供給が減り、結果として米価の高騰につながりました。
政府の政策ミス?供給抑制と減反政策の影響
米価の高騰には 政府の農業政策 も大きく関係しています。その代表的なものが「減反政策」です。減反政策とは、米の生産量を制限し、価格が下がらないようにするための政策でした。これは1970年から続いていたのですが、日本人の米の消費量が減少したこともあり、 2018年に廃止 されました。
しかし、問題はその後の政策です。減反政策が廃止されたにもかかわらず、政府は 「米以外の作物を作る農家には補助金を支給する」 という制度を続けました。これにより、多くの農家が大豆や麦などの栽培に切り替え、結果として 米の生産量が減少 してしまいました。
また、政府が備蓄しているお米の在庫も 過去最低レベル に減っています。通常なら、政府は市場の需給バランスを調整するために備蓄米を放出するのですが、今回は備蓄量そのものが少ないため、大量に供給することが難しくなっています。
こうした 政策の影響で生産量が減少し、在庫も少ない ため、価格が高騰する結果となったのです。
流通の歪みと「中抜き」問題!なぜ市場に米が流れないのか?
もう一つの大きな問題が 流通の歪み です。本来なら、農家で収穫されたお米は 農協や卸業者を通じて市場に流れ、消費者のもとに届く はずです。しかし、実際には 流通の途中で滞留 してしまうケースが増えています。
例えば、農協が買い取った米を すぐに市場に出さず、倉庫に保管して価格の様子を見る ということもあります。また、卸業者が 米を大量に買い占め、価格が上がるのを待ってから売る ケースもあります。こうした流れの中で、お米が市場に出るまでに時間がかかり、供給不足がさらに深刻化しています。
さらに、中間業者が多く関与することで 流通コストが上がり、結果として消費者が購入する際の価格も高くなってしまいます。最近では 農家と消費者を直接つなぐネット販売 なども増えてきていますが、まだまだ流通の問題は解決していないのが現状です。
中国人による大量買い付けと転売ビジネスの実態
近年、日本の米が 中国人バイヤーによって大量に買い付けられ、転売される という事態が発生しています。特に 富裕層向けの高級米 は、中国市場で非常に高値で取引されており、大量買い付けが行われています。
さらに、転売の手口は SNSを通じて広まり、中国のWeChatや小紅書(シャオホンシュー)などで 「日本の農家から直接買えば儲かる」 という情報が拡散されています。その結果、農家から直接買い付ける中国人バイヤーが増え、日本の市場に流通する米が減少してしまいました。
この背景には 円安 も大きく関係しています。円安によって 日本の米が海外ではさらに割安 になり、転売の利益が大きくなるため、ますます買い付けが進んでいるのです。
需要増加が追い打ち!外食回復とインバウンドの影響
2023年、コロナの影響が収まり、飲食店の営業が本格的に回復しました。これにより、 業務用米の需要が急増 しました。特に 寿司屋、丼物チェーン、ホテルのビュッフェ などでは大量の米を使うため、米の供給が追いつかなくなりました。
さらに、 外国人観光客の増加 も大きく影響しています。観光客が増えれば、外食の需要も増えます。特に寿司や和食が人気で、それに伴い業務用米の消費量が大幅に増加しました。
業務用米が足りなくなったことで、一部の飲食店は家庭用米を仕入れ始め、それが 全体的な米不足につながった のです。
米価は今後どうなる?高騰を抑えるための対策と展望
政府は 備蓄米の放出 などの短期的な対策を取っていますが、根本的な解決には至っていません。今後の対策としては、
高温に強い品種の開発
流通の透明化
転売対策の強化
が求められます。特に 農家と消費者を直接つなぐ流通改革 が進めば、中抜きを減らし、適正な価格でお米が供給されるようになるでしょう。
今後も米価の動向に注目しながら、私たちができることを考えていくことが大切です。