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優秀な人材の採用による高い質の看護を提供するための仕組みづくり

今回は大分で訪問看護ステーションを運営する、社会福祉法人敬和会様にお話をお伺いました。多くの事業所にとっても優秀な人材の確保は常に課題を抱えていらっしゃることだと思います。その中で、多くの優秀な人材確保、それによる質の高い看護の提供、高い信頼の獲得を実現するための秘訣を伺いました。

私たち株式会社ゼストは、在宅医療・介護のスケジュールを自動作成するクラウドサービスを展開しています。訪問看護における多くの経営課題に向かってきた私たちだからこそ、お伝えできるノウハウをお役立ち記事として配信しています。

Q.敬和会さんの特徴につい教えていただけますか?

機能強化型訪問看護ステーションⅠを取得していることと、医療保険の比率が高いということが大きな特徴かと思います。医療保険と介護保険の比率は、利用者さんベースで5.5:4.5程度、訪問件数ベースだと6.5:3.5程度と医療保険の比率が高いですね。
その背景として、母体となる病院で心血管センターがあるのと、あと消化器センターがあるんですね。なので、心不全の方や消化器に関してはがんの患者さんの依頼が多くなっています。あと在宅支援診療所で緩和ケアクリニックもあり、そこではがんの方が85%となっています。そのため、がん終末期の利用者さんをステーションでも見ており、結果医療保険の利用者さんが多いですね。
所属するスタッフの観点で見てみると、認定看護師とか特定行為研修を修了したナースとか、専門的研修を受けた看護師が複数おり、そしてその看護師たちが外部講師として出向いたりと外部活動もしておりますので、専門性の高いステーションというイメージはとれているんじゃないかと思っています。また、リハ職もPT/OT/ST全ての職種が揃っており、管理栄養、介護職もおりますので、多職種で運営している点も特徴かと思います。

Q.とても優秀な方々が多く在籍し、専門性の高いケアを提供している印象を受けたのですが、採用などに関して何か工夫されているところはございますか?

採用に関しては、力をいれていますね。やはり在宅でのケア提供は基本単独訪問になるからこそ、やっぱり専門性の高い看護師が必要だと思っています。なので、内部での育成にももちろん力を入れていますが、外部から専門性の高い方を採用するということも同じくらい大事になります。
うちではわりと優秀な方々を採用できている方だと思っているのですが、スタッフに入職の理由をきいていると、ホームページを見て「大規模だとわかったから」というのをよく聞きますね。それは、採用したいターゲットを一定以上経験を積んだ方にしているからかもしれません。うちで採用するスタッフの多くは、「病院で自分のケアに自信を持ったから在宅に行きたい」と最低でも5年以上経験をしている方が多いです。どうしても高い質の看護を提供するとなると、経験のあるスタッフを採用することが多くなります。また、ベテランのスタッフが訪問に行くと安心感があり、利用者さんにも求められていると感じますね。
加えて、1法人の中に多職種が在籍していることもメリットに感じていただけているのではないかなと思います。他の会社のスタッフだったら確認するか迷うほど細かいことでも同じ法人内にいることで気軽に相談ができますし、一人の利用者さんに多職種の訪問が必要な場合も、私たちの法人内で完結できるので安心感を感じていただき、結果としてケアマネさんからの依頼にも繫がりやすいと考えています。

Q.ですが優秀な方ほど給与も上がるため、経営上悩まれる事業所さんも多いかと思います。経営上の工夫は何かありますか?

私たちのやりたい看護を実現するために、必要となる経常利益をいかに生み出すかを常に考えています。そもそも医療比率が高いことは高い売上の確保に繫がっていると思っていますが、終末期の利用者さんも多いことから機能強化型訪問看護ステーションⅠを取得しておりますので、その加算が取れるということも大きいと考えています。このように高い質の看護によって加算を狙い、売上の最大化を図っています。
また、合わせて生産性を上げるというところも重要ですね。ここに関しては業務の効率化、人の適切な配置を強く意識し、数値目標の進捗を常に確認しています。病棟でもそうなんですが、直接的なケアじゃなくって周辺業務ってとても多いんですね。訪問看護に関しては病棟よりも車の運転などがありもっと多いんです。それら周辺業務がかなりのウエイトになるので、いかに効率的に削減できるかっていうところは、かなり肝になると思っています。
私たちは医療保険の患者さんやがん末期の患者さんなども多いので、類似複数回の訪問だったり、時間の変更も多いですし、緊急の対応も多かったりします。そのためスケジュールの変更ってとても多く発生するんですが、その効率化を図るためにZESTさんを導入しているっていうのもありますね。その結果、ルートが効率的になったり、スケジュール調整のための残業が削減されたり、印刷する必要がなくなるので紙代もなくなったり、小さなことでも積み重ねると大きな影響をもたらすことって多いので、それらをなるべく数字で見て、削減できるところは全て削減していくという心がけをしています。

Q.目指す看護を実現するために、生み出された利益は何に投資していくべきとお考えですか?

私たちの場合、その利益はスタッフの採用・環境整備・教育・事業拡大に投資したいと考えています。
採用に関しては先ほども述べた通り、当然ではあると思いますが、それを実現するための体制づくりに投資することを心がけていますね。特に研修の受講と資格取得を勧めています。在籍しているスタッフのスキルが高いと自然と優秀な人材が集まると思いますので、現在いるスタッフのスキルを上げ、資格取得も促しています。研修は外部へも行きますが、自分たちで研修の企画、実施をしているのと、人数が多いためeラーニングを活用し参加率を上げていますね。
また、法人としてダイバーシティ推進・DX委員会を取り入れることにも注力しています。ダイバーシティ推進は大きく6つぐらいの活動に分かれています。働き方改革、女性活躍推進や福利厚生をサポートするように改革を進める部門、働き方改革などのキャリア支援として、メンター制度を設けて運用していく部門、あと障害者と外国籍の方の雇用の推進やアクセシビリティですね。施設でどのような障害を持っていても安心して過ごすことができるような環境づくり、LGBTQに配慮をするような風土作りを推進していることも採用に影響していると思います。
上記の体制をしっかり整えることに投資をし、次に事業拡大に投資していきたいという考えですね。私たちは社会医療法人なので、常に地域貢献とか社会課題の解決が、大きな目標・目的です。地域で不足しているサービスがあれば、それを私たちで構築し、訪問看護師、訪問リハスタッフを増やしていくことで、地域の終末期の利用者さんを支えることができると思っています。そのことを考えると事業を拡大し、多機能にしていくことが必要だと思います。訪問看護、訪問リハビリだけにとどまらず、私たちが現在行っている看護小規模多機能という事業に付随して、地域で求められていることを新たな事業として増やしていければなと思っています。

Q.今後目指す姿や目標はございますか?

私たちが地域で活動するに当たって課題と感じていることが、他法人、事業所とのシームレスでタイムリーな連携です。利用者さんのWell-being(ウェルビーイング)を考えたときには、支援する側の情報連携がデータで行えるようになると、より良くなるのではないかと考えています。現在は紙での管理が主流なので、近い将来業界全体で着手しなければならないと思いますが、少しずつ私たちも改善をしていきたいと思っています。
また私たちが常に提供している在宅ケアは利用者さん、その家族を支えることだと思うので患者さんを中心に据えて、いろんな職種、機関がまるっとサポートしているっていう体制構築が重要だと思います。常に利用者さんが「どう生きたいか」を実現することが大切だと思いますので、他法人とか他事業所と適切に連携し、「常に利用者さんの幸せを追求する」というのが私たちのミッションであり、そこを目指していきたいと思います。

本日は貴重なお話をお聞きすることができました。本当にありがとうございました。

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