Coinbaseに上場した「Pirate Nation」が他と異なるチャートメイクをした要因とは?
はじめに
Game-Fi銘柄の上場が少ないCoinBaseに先日久々に上場した「Pirate Nation」について分析します。
最近の上場銘柄とは異なるチャートメイクがされているため、その要因を考えていきたいと思います。
「Pirate Nation」とは?
概要
まずは、「Pirate Nation」の概要です。
海賊の世界がテーマのフルオンチェーンのRPG
チェーン
FT/主要NFT → Ethereum
ゲームプレイ → APEX chain(独自チェーン)
開発:Proof of Play社
https://www.proofofplay.com/
Epic Games、Zynga、EA、Activision、Riot Gamesなどの大手ゲーム会社出身メンバーが所属ゲームローンチ:2022年12月2日
https://piratenation.game/TGE:2024年6月13日
ライトペーパー:https://www.piratenation.foundation/PN%20Foundation%20Litepaper_v1.1.02_June2024.pdf
なぜフルオンチェーンなのか?
Proof of Play社は、オンチェーンでゲームを作った方が、最終的により速く、より効率的になると考えているからです。
より多くの人がオンチェーンゲームをプレイする未来を作るために、Pirate Nationを通して、フルオンチェーンゲームの課題を解決しようとしています。
ゲーム概要
ゲームサイクルは以下になります。
ゲームサイクル:
スタミナを使って、クエストをこなす
クエストをクリアすると、経験値や資源、アイテムが獲得できる
レベルアップで、先頭に使えるカードを獲得したり、資源を使って新しいアイテムをクラフトしたりする
装飾アイテムや生成したアイテムによって島をカスタマイズする
まずは小さな船を建設して、徐々に大きく良くしていく
戦いでは、パイレーツ(船員)と船のタイプによってカードが独自のものになる
戦いに勝利して、コマンドランクを上げていく
ランク10に上げると、アイテムの売買ができる(bot対策)
ランク10になると、ゲーム内のアイテムをNFTとして売買できるようになります。
ゲームを一定プレイしないと、ゲーム内アイテムを売買できない制約となっているため、bot対策になっています。
このことから、一定のゲームをプレイするユーザーを取り入れたいと言った考えが読み取れます。
トークンエコノミクス
アロケーション/ベスティング
TeamとInvestors&Advisorsについて見てみると、TGEでの解除はなく、1年ロック後から24ヶ月かけて直線的なベスティングとなっています。
直近のGame-Fiプロジェクトの中だと比較的ベスティングが長めに設定されていて、Investorsからも長期目線で投資実行されていることが推測されます。
このことから、長期的に価格を上昇させてプロジェクトを発展させていこうといった狙いが考えられます。
実績
豪華なメンバーからの出資
a16z、coinvase CTO、Alchemy CEO、YGG CEOなど、名だたるメンバーからの出資を受けています。
a16zの個々の担当者による見解の記事ですが、以下でフルオンチェーンゲーム領域を注目銘柄としています。
A few of the things we’re excited about in crypto (2023)
a16zをはじめ、強力なVCからの出資を受けていることは、プロジェクトへの期待も大きく、期待がトークンの価格へ表れやすくなります。
TGE後のチャートメイク
Coinbase上場(他、Bybit,Gate.io,Bitgetにも上場)
2024年6月13日の上場後、上場から3倍の価格で、右方あがりのチャートを形成しています
要因は以下が考えられます。Team,Investors&AdvisorsのTGEでの解除がなく、1年ロック後から24ヶ月かけて直線的なベスティング
初期のトークン配布(エアドロップ)の大部分がゲームプレイによってのみの獲得となっているため、コアなホルダーを形成できている
(プレセールの実施なし、ソーシャルファーミングの実施もなし)TGE day1から、stakingのユーティリティを設定(有利な条件つき)
https://x.com/VaderResearch/status/1808878147133157801
エアドロップによって配布したトークンが売られずに保持された割合を調べたデータによると、$PIRATEは、他のトークンと比較して高い割合を示しています。
このことから、コアなホルダーにトークンを配ることができていると見ることができ、現在の価格推移を見せていると考えられます。
また、$PIRATEのステーキングによって「Proof of Playポイント」が獲得できます。
Proof of Playポイントは、初期ユーザーとして認識し、報酬を与える役割があるとされているため、所有している$PIRATEをステーキングしたくなる設計になっている点も、保持率を高めている要因と考えられます。
Gaming NFT(ETH上)でTOPのNFT時価総額
「Founder's Pirates NFT」が、ETH上の gaming NFTで、時価総額がTOPとなりました
Floor 1.5eth コレクション数9999枚(Coin Market Cap : 2024/7/25時点)
https://x.com/HelikaGaming/status/1810255353940213768
「Founder's Pirates NFT」は、Proof of Play社におけるGenesis的な立ち位置と明言されているため、 プラットフォーム側のトークンへの期待値もあります
stakingによるProof of Playポイントの獲得
Founder's Pirates NFTをステーキングすることでもProof of Playポイントが獲得できるため、NFTの需要が高くなったと考えられます。
特徴
パブリックな開発ロードマップ
Pirate Nationの開発のロードマップは細かく共有され、内容についてdiscord上で議論できるようになっており、ユーザーからの提案や報告も提出できるような体制が整っています。
開発の進捗情報はウィークリーで頻繁に公開されており、ユーザーにとっても、ゲームの進捗状況がタイムリーに把握できるため、信頼性が高まります。
オンチェーン情報は、Helica上で全てのアセット情報をわかりやすくまとめており、ユーザーフレンドリーな透明性の高い情報公開をしています。
オンチェーン分析をユーザーに委ねるのではなく、運営の方で情報をしっかりとまとめて公開することによって、ライトユーザーでもしっかりと情報を把握することができます。
フルオンチェーンのためのインフラ開発
フルオンチェーンゲームに必要なインフラの開発に注力しており、 UI/UX上の多くの課題を解決しています。
インフラストラクチャー
Pirate Nationは、Proof of Playが独自に開発したオンチェーン・インフラ・スタック上で動作します。
マルチチェーン
超高速のブロックチェーンのコンステレーション(通信速度250ms以下)で、インターネット規模の1億人以上のプレイヤーにリーチすることが可能です。
Onchainゲームエンジン
何百ものモジュール式スマートコントラクトで構成されるゲームエンジンで、他のオンチェーンゲームを動かすために設定可能なコアゲームシステムを含みます。
ゲームウォレット
Pirate Nationは、Web3ネイティブでなくとも、スムーズにオンボーディングできるような以下のコンセプトのウォレットの設計をしています。
ガスレス
ポップアップ
サインレス
ユーザーはメインのウォレットを使ってゲームウォレットを一度認証すれば、その後はゲームウォレットを使ってクエストやクラフトなどのゲーム内アクションを行うことができます。
ゲームウォレットはローカルに保存されるウォレットで、資金やユーザーの資産は保存されません。
トークン・ミラーリング
あるチェーン上のアセットが、ブリッジングを必要とせずに別のチェーン上で認識され使用できるようにするソリューションです。
ゲームアイテムやアセットがチェーン間でシームレスに動作することを可能にします。
検証可能ランダム性関数(VRF)
ゲームに最適化されたオンチェーンランダム化ソリューションで、主流の代替品よりも高速かつ安価です。
カスタムフォワーダー
プレイヤーのガス料金をカバーするために構築され、botにガス税を課すオプションもあります。
ECS / エディター
非エンジニアでもゲームデータの追加や編集ができる、ノーコードのエンティティコンポーネントシステムとそれに付随するコンテンツ管理システムです。
PvPプロトコル
リアルタイムのオンチェーンPvPを可能にします。
マーケットプレイス
プレイヤー専用のP2Pマーケットプレイスです。
フィアット(クレジットカードでの支払い)やクリプトを含む複数の支払い方法があり、ゲーム自体に直接組み込むことも可能です。
まとめ
ただの1ゲームだけでなく、このゲームを通して、Proof of Play社としてのフルオンチェーンゲームの開発インフラを作り上げている
フルオンチェーンゲームであるが、UXの導線がわかりやすい
Pirate Nationをさわっていくことで、フルオンチェーンゲームをわかりやすく学んでいける
Game-Fiトークンの時価総額を大きくしていく上で、以下の要素は取り入れるべき
ゲームにおけるトークンユーティリティの拡張性への期待
単一ゲームではなく、プラットフォームとしての拡張性への期待
Airdrop実施後のリテンションレート維持の施策の重要性
配布先の属性
配布後のユーティリティ設計
最後までお読みいただきありがとうございました。
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執筆:0x Consulting Group 二井俊也、阿部匡浩(Xアカウント@kaw3r_8806)
監修:0x Consulting Group Token Economics Director 新谷圭右(Xアカウント:@shinkei_pm)