エアドロが240倍になる?今注目されている「Pendle」とは?
2024年3月頃から急激にトークン価格が上昇したPendleは、2021年から存在していたDeFi です。
これまであまり注目されていなかったPendleが今になってなぜこれほどの価格上昇を見せ、注目されているのか。
その理由について、Pendleの概要を踏まえて詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
Pendle概要
Pendleは、金利を持つ資産を原資産と金利に分離し、トークン化することで売買を可能にしたDeFi です。
原資産と金利のトークンはそれぞれ下記のように分類されます。
原資産のトークン:PT(Principal Token)
金利のトークン:YT(Yield Token)
下図は100DAIを預けた時の一般的なDeFiとPendleを比較した図です。
CompoundのようなDeFi単体では、100DAIを預けると3ヶ月後に、原資産の100DAIと金利として、1DAIと0.5COMPを受け取れました。
Pendleを活用すると、100DAIが下記のトークンに分離されます。
100PT cDAI
100YT cDAI
一般的なDeFi と同様に、3ヶ月後にPTは100DAIと、YTは1DAIと0.5COMPに交換することができますが、満期を迎える前にPT及びYTを売却することも可能です。
イールドトークナイゼーションとは
Pendleを理解する上で重要な概念がイールドトークナイゼーションです。
金利を持つ資産を原資産と金利に分けることを、イールドトークナイゼーションと呼びます。
イールドトークナイゼーションを行うことによって、原資産と金利の売買の自由度が広がり、ユーザーはより効率的に高い収益を得ることが可能になります。
PTとYTの特徴は下記の通りです。
PT(Principal Token):
原資産にあたるトークン
満期後に原資産を償還することができる
PTは原資産よりも安い値段で購入することができる
PTの価値は時間とともに上昇し、満期時には元の資産と1:1で償還できる
PTを購入し保有することで、固定利回りを得ることができる(購入時と償還時の価格の差額が固定利回りとなる)
YT(Yield Token):
原資産の金利の部分のみ
満期まで原資産の金利をリアルタイムで受け取ることができる
資産あたりの金利獲得の効率を最大化できる
YT自体の価値は満期時に0になる
また、PTとYTの価値の合計は、それらが全原資産の個々の部分であるため、原資産と等しくなります。
つまり、金利付き資産は下の関係式で示されます。
金利付き資産=PT+YT
PTの価格が下がると、YTの価格が上がり、PTの価格が下がると、YTの価格が上がるという関係になります。
Pendleが注目された理由
ここ最近でPendleが注目されたのは、Pendle経由でLRT(リキッドステーキングトークン)をStakeすると、通常よりも多くのポイントがLRTプロジェクトからもらえるPPP(Pendle Point Party)を構築したことがきっかけとなります。
これまで金利のトークンとしていたYTを、ポイントに置き換えることによって、「LRTのStake報酬+LRTのポイント+Eigen Layerのポイント」を受け取れるようになりました。
下図の例だとPendleでYTを購入すると1eEHT単純保有に比べて30倍のEther.Fiポイントと10倍のEigenLayerポイントをもらうことができます。
LRTプロジェクトが通常より多くのポイントをYT保有者に配布するメリットは下記の通りです。
ポイント目的でYTを購入する人が増える⇨金利目当てでPTを購入する人も増える⇨LRTの発行額が増える
満期にならないとMintされたPTとYTが償還されないため、LRTの売り圧抑制になる
このようなポイントブースト機能により、Pendleは急成長させることに成功しました。
後半は、Pendleでエアドロ活動を効率化できるプロジェクトについて、解説します。
EigenLayer
プロジェクト概要
Eigen Layerとは、Ethereumのセキュリティを指定したミドルウェアに提供することができるプロトコルです。
セキュリティでは「桶の理論」と考え方にある通り、基本的にセキュリティレベルが最も低い部分に全体のセキュリティレベルが依存すると考えられています。
EVM上で動いているコントラクトはEthereumのEconomic Securityが働くのでセキュリティが高く担保されています。
しかし、OracleなどのEVM上で動いていないミドルウェアはEthereumのEconomic Securityが機能しないためそこを突かれてハッキングが発生してしまうという課題があります。
そこで、EigenLayerでは、ミドルウェア(AVS)が構築できる環境を用意しました。
このEigenLayerに対して、トークンをステーキングさせ、不審な挙動があればSlashするというEthereumのPoSと同じ仕組みを導入することで、EigenLayerではEVM上で動いていないミドルウェアにEconomic Securityを機能させることを可能としました。
EigenLayerについてより詳細に知りたいという方は詳しく解説されている動画があるのでこちらを参照ください。
■動画(やさしいDeFi)
■スライド(やさしいDeFi)
NLRP(=ネイティブリキッドリステーキングプロトコル)
概要
NLRPとは、「LRT(リキッドリステーキングトークン)」の発行業者です。
「LST(リキッドステーキングトークン)」をステーキングした際にその預かり証として「LRT」を発行します。
ステーキングされたトークンを再度ステーキングするため、「リステーク」と呼ばれています。
NLRPにリステーキングすると、自動でEigenLayerにDepositして報酬を獲得、分配してくれます。
また、NLRPの同時トークンを発行の期待もあり執筆時点(2024年5月1日)では直接EigenLayerにリステーキングするのではなく、NLRPにリステーキングさせる手法が主流となっています。
代表的なプロジェクト例
Ether.Fi
Renzo
Puffer
Kelp
Swell
NLRP以外のプロジェクト
Ethena
Ethena(エテナ)は、イーサリアムチェーンを基盤とした ステーブルコイン「USDe」 の発行プロトコルです。
USDCやUSDTとは異なりUSDeは法定通貨にペッグされておらず、裏付け資産をデルタニュートラル組んで運用することによってUSDとのペグを保っています。
USDeをステーキングするとsUSDe(staked USDe)を受け取ることができ、これは売買やPendleでPT/YTに分割したりすることができます。
Zircuit
ゼロ知識証明のロールアップ(ZK-Rollup)を採用したEVM互換のL2ソリューションです。
Zircuitはセキュリティを重視した設計となっているのが特徴的です。
悪意のあるトランザクションがないかメモリプールを監視し、それらがブロックに含まれるのを防ぐことで、高いセキュリティレベルの実現を目指しています。
まとめ
本記事では、最近注目を浴びているPendleとPendleを使ってエアドロを効率化できるEigenLayerについて解説しました。
Pendleの仕組みがEigenLayer周りのエアドロと見事にマッチし、Pendleが注目を浴びることとなりました。
Pendleに採用されているプロジェクトはEigenLayer周りで有望なものが多いため、ぜひ触ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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執筆:0x Consulting Group 山角(Xアカウント@yamashin_web3)、阿部(Xアカウント@kaw3r_8806)
監修:0x Consulting Group CTEO 中田翔平(Xアカウント@nanin678)