見出し画像

【SCAM!?】zkSyncのエアドロップは本当に失敗だったのか?

2024年6月17日に上場したzkSyncの$ZKは、配分が決まった際にコミュニティが荒れました。

しかし、我々は$ZKのトークン設計はよく練られており、エアドロップは成功したと考えています。

この記事では$ZKのエアドロップの設計を振り返り、良い設計であったと考える理由を解説します。


zkSyncとは?

出典:zkSync公式HP

本論に入る前に、zkSyncがどのようなものなのかや$ZKについてまとめます。

zkSyncはMatter Labsによって開発されたEthereumのレイヤー2ソリューションです。

スケーリングのテクノロジーとしてzk-Rollupを採用することで、低いガス代や高い処理速度を実現しています。

zkSyncは4.58億ドルと非常に巨額の資金調達に成功しており、ユーザーの注目度が非常に高いプロジェクトです。

出典:@bokujyuumai ポスト

競合プロジェクトとの違い

zk-Rollupを採用している他のプロジェクトと比較すると、Account Abstractionを標準でサポートしているのが競合との大きな違いです。

出典;zkSync公式HP

Account Abstractionにより、以下の2つが可能となります。

  • コントラクト単位でガス代に使用するトークンを選べる

  • googleアカウントなどの情報でログインできる

zk-Rollupについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

$ZK基本情報

$ZKの基本情報は下図の通りとなっており、トークンの発行数数は210億枚で基本的なユーティリティはプロトコルのアップグレードの提案と投票です。

出典:ZK Nation(ZKの基本情報)

エアドロップに対するコミュニティの反応

zkSyncや$ZKの概要を把握できたところで、エアドロップのアロケーションが決定した翌日(2024年6月12日)のコミュニティの反応を見てみましょう。

Xで#zksynのタグが付いたポストを検索(スキャムを除く)し、上から100件がどのような感情なのかを調査した結果が以下です。

ポジティブ6%ネガティブ73%となっており、数値的にはネガティブが大多数を占めています。

しかし、ネガティブなポストのほとんどはフォロワーが少ないアカウントによるもので、

  • 割当てがない

  • アロケーションを再考すべき

といった不平不満の内容です。

逆にポジティブなポストはアロケーションの寡多に関わらずフォロワーが多く、

  • アロケーションに納得感がある

  • よく考えられた設計である

といった内容が目立つ傾向がみられました。

これらの事実から、ネガティブな発言をするユーザーはエアドロップのためだけに活動してきた「本質的でないユーザー」である可能性が高いと考えられます。

次に評価が二分した$ZKがどのような設計であったかを振り返ります。

エアドロップのアロケーション

エアドロップには総発行枚数の17.5%(36.75億枚)が割当てられています。

出典:ZK Nation

下図の数字を比較すると、他の大型L2チェーンより大きなアロケーションがエアドロップに割当てられています。

  •  zkSync:17.5%

  • Arbitrum:11.62%

  • Optimism: 5%

  • Starknet: 7%

  • Taiko: 5%

出典:@Coin98Analytics ポスト

エアドロップの設計

エアドロップのアロケーションをさらに分解すると、下図の通りになります。

出典:ZK Nation

内容を整理すると下記の表のようになり、ZKsync userに対して多く配当が行われていることが分かります。

以降は割合が大きく、コミュニティ内で議論が巻き起こっている「ZKsync User」のアロケーションにフォーカスしていきます。

アロケーション付与に関する計算式

各項目について順に解説します。

①資格

下記表のいずれかも満たさない場合は、オンチェーン活動をどれだけしていても$ZKを受け取れません。

出典:ZK Nation

②割当て

価値スケーリング方式に基づき、アドレスごとの割当てを調整しています。

zkSync Eraチェーン上の保有資産×保有日数をベースとし、DeFiへの流動性提供をしている分は、単にトークンを保有している場合の2倍のポイントが割り当てられます。

トークンの流動性はプロトコルにとって非常に重要なため、流動性提供に重み付けされていることが分かります。

③乗数

下記A〜Eの条件を満たす場合は、1項目ごとに②で計算された割当量に倍数がかかります。

各項目にリストされているものは、zkSyncの成長にとって重要、またはzkSyncの思想と親和性が高いプロトコルが多い特徴があります。

さらに項目DやEはブロックチェーンの特性がうまく活用されており、先見性があり、ダイヤモンドハンドであるユーザーを定義しています。

A.スナップショット時にzkSync上で下記のNFTを保持している
・Dudiez
・Hue
・Moody Mights
・Webears
・ZKPENGZ
・zkSkull
・zkVeggies

B.スナップショット時にzkSync上で下記のFTを50ドル以上保持している
・$AAI
・$HOLD
・$KOI
・$MEOW
・$MUTE
・$RF
・$ZF
・$ZORRO

C.zkSync EraネイティブAccount Abstractionを介して作成されたスマートコントラクトウォレットであること

D.$ARB/$OP/ENSのエアドロップの50%以上を90日以上保持している

E.トランザクション手数料として100 ETH以上が費やされているコントラクトと2回以上取引をした最初の1,000アドレス

④シビル検出

下記ABの要件を組み合わせてることで1エンティティが管理しているEOA(Externally Owned Account)をリスト化し、リストが20を超えたアドレスには$ZKが配布されません。

A.CEXデポジットアドレスの再利用
CEXの一つの入金アドレスに対して複数のアドレスが送金している場合、それら全てのアドレスを同じエンティティが管理していると判断する

B.同じ資金源
ガス代であるETHの資金源が同じであった場合、同じエンティティが管理していると判断する

ボットの使用含むエアドロップの受け取りのみを目的とした本質的でないアドレスを排除し、エアドロップ直後の売り圧を防ぐ観点からも、非常に重要な項目です。

優れたシビル判定ロジックが組めるかどうかは、良いプロトコルを判断する指標の1つです。

結局$ZKのエアドロップは良い設計だったのか?

我々は$ZKのエアドロップは良い設計であると考えます。

なぜなら、前章で解説したアロケーション計算式から下記を重視していることが読み取れ、本質的なユーザーへのアロケーションを大きくできているためです。

  • 公平/公正である

  • zkSyncの思想に共感しているファンである

  • 古くから積極的にEVM経済圏に触れている

  • ダイヤモンドハンドである

  • Botや複垢を許容しない

また、FUD抑制のために再アロケーション検討のポストが投稿されましたが、結局再アロケーションを行わない判断をした点も評価できます。

もしここで本質的でないユーザーへのアロケーションを増やしたとしても、エアドロップ直後に売り圧になり、経済圏を崩す要因になり得ることは想像に難くありません。

zkSyncの事例を通じ、プロジェクトの思想を数値設計で表現し、貫き通すことの重要性を学ぶことができました。

まとめ

本記事では$ZKのエアドロップを題材に解説しました。

一部のユーザーからは不満が出ているものの、設計が良く練られており、成功事例であると我々は考えています。

本記事をご覧になったご担当者様の中には「炎上は絶対にさせたくない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実質お金に近い特性を持つFTやNFTを扱っているため、どのような設計にしようとネガティブな発言をする人を生まないことはできません。

0xCではトークン設計は当然のことながら、コミュニティ側で炎上を最小限に抑えるご提案も行っておりますので、Web3事業をご検討の企業様はぜひお気軽にお問合せください。


最後までお読みいただきありがとうございました。
記事の内容に関することなど、何かございましたら以下のフォームよりお気軽にご連絡いただければと思います。

弊社では、Web3事業に参入を検討されている企業様を一気通貫で全面的にサポートさせていただいています。

また、専門知識を持つスタッフも多く在籍しており、常にWeb3業界の最新トレンドを追っております。

  • Web3事業開発に関するご相談は、こちらからお問い合わせください。

https://zero-x.com/contact/

  • 市場に関わる最新情報や、新たな動向、最前線での取り組みついては、公式Xで発信していますので、ぜひこちらもご覧ください。https://twitter.com/0xC_Web3

  • 弊社が運営するWeb3事業開発向けリサーチメディア『LGG Research』では、「最新参入事例集」や注目のプロジェクトにおけるマネタイズ方法やトークン設計、マーケティング施策などを調査分析した「プロジェクト別調査レポート」も掲載中です。まずは無料登録でご覧ください。

https://research.lca-game-guild.com/

執筆:0x Consulting Group 山角(Xアカウント@yamashin_web3)、田島
監修:0x Consulting Group CTEO 中田翔平(Xアカウント@nanin678