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「核兵器製造企業」に銀行がお金を貸すのは問題アリ?ーー世界のうごきと日本の現状

「核兵器製造企業」への融資が、なぜ核兵器の問題になるのでしょう?

 銀行などの金融機関が、核兵器製造企業への融資をすることの問題とされる理由は、以下のようにまとめられます。

 そもそも、核兵器製造企業とは核兵器を作る会社です。核兵器は非常に危険な爆弾で、一度爆発するとたくさんの人が死んだりけがをしたり家や町が壊れたりなど多くの人々の安全な生活を脅かします。

 核兵器製造企業は、その核兵器を作るために、お金や材料を必要とします。もし銀行などが核兵器製造企業にお金を貸したり、材料を売ったりしたら、その企業は核兵器を作るのに使うことができます。

 核兵器は、世界を危険にさらすものなので、核兵器製造企業への融資や取引は、禁止されていることがあります。

オランダのNGO組織「PAX」とは?

 オランダに本部を置く同国有数のキリスト教系の平和団体のことで、国際非政府組織(NGO)です。人間の尊厳を守ることを主な活動理念としてアフリカ、中南米、中東、東欧、南欧の14か国に展開しているそうです。核兵器の廃絶に向けた活動も積極的に行なっており、公開情報を基にして核兵器製造に関連する会社と金融取引をしている銀行の投資実態を調査しています。ノーベル平和賞を受賞したNGO団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営グループにも加わっています。
関連記事:「滋賀から世界へー11月26日「世界アクションデー」で核兵器廃絶を訴えよう」

地道な活動を続けるオランダのNGO組織「PAX」

 オランダの「PAX」という団体は、世界中の大手金融機関の年次報告書をチェックして、大手銀行が「核兵器製造企業」に融資しないように働きかけ続けています。とても、地道な活動に見えますね。
 そんな地味に思える活動を続ける「PAX」ですが、日本国内でも活動が認知され始め、今年の8月『毎日新聞』が国内の大手金融機関12社に「核兵器製造企業」への融資に関するアンケートを行いました。
 その結果10社が「核兵器・関連製品メーカーへの投融資を禁止するか、一定の制限を設けている」ということがわかりました。
 ただし、核兵器産業への投融資を全面禁止する欧米なみの厳しい方針を採用しているまでには至っておらず、曖昧さが残っています。

日本における核兵器製造企業への融資の現状は?

 日本では、「(核兵器製造企業に融資をしないことは)顧客や株主から評価される」としながらも、企業のプロジェクトごとに投融資を判断するため、丸ごとその企業に投融資をしないとした欧米の金融機関とは違っていました。
 このためオランダの「PAX」によれば、日本の金融機関の評価は低いままです。核兵器製造業界への投融資を包括的に禁止した最高評価の金融機関は、世界でアメリカ、イギリス、オランダなどに55機関ありますが、日本ではゼロです。一定程度評価される「次点」に選ばれた54機関に、日本では「りそなホールディング」が入ったのが最高でした。
 日本では「反核医師の会」を中心に、金融機関が核兵器産業への投融資をしないよう地道に働きかけが続けられています。

 世界で唯一の原爆被曝国である日本が、本来は率先して核兵器製造企業への投融資を批判し、核兵器製造を世界からなくしていくというメッセージを発するべきです。
 日本の金融機関から核兵器製造企業への投融資をこれ以上させないためにも、国内の金融機関の動きを私たちも意識を持っていきたいですね。

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