信じて、託す。~民事信託①~
突然ですが、皆さんは「信託」にどんなイメージをお持ちですか?
「正直よくわからない」
「投資するんだっけ? 資産家じゃないから関係ないよ」
「ちょっと怖いな…ギャンブルっぽいというか・・・」
そんな声がたくさん聞こえてきそうです。
勤勉な日本人は、そもそも
「楽してお金を得ようだなんて!!」
という気持ちが強いのかもしれません。
ふむふむ。それで、マイナスイメージを持たれる方が少なくないのでしょうか。
というか、やっぱり「信託」と聞くと「投資信託」を思い浮かべる方が多いのですね。
しかし、私がお話ししたいのは、「投資信託」ではないんです。
(投資信託が良くないと言っているのではなく)
信託は信託でも、
「家族信託」のおはなし。
「信託」と一口に言っても、実は様々な種類があるんです。
「家族信託」を含む「民事信託」は、前述の「投資信託」とは全く別物なのです。
2007年、ついに超高齢社会となった日本。
総務省が発表した推計人口によると、2018年時点で人口の4人に1人が高齢者となり、現在も高齢化は進んでいるとのこと・・・
土地や建物を所有している方が認知症になり売却意思の確認が難しくなってしまった・・・なんてことも、珍しくないのです。
あなたの所有、もしくはあなたの高齢のご家族が所有している土地や建物について、
「草刈りや管理、大変になってきたな・・・」
「今後も税金(固定資産税など)や維持費、かかるんだよな・・・」
とか、
「そろそろ売却したほうがいいかな・・・」
「まだ元気なうちに整理するほうがいいんだよね・・・」
などと漠然と悩んでいたりしませんか?
そのような悩みを解決する一つの手段が、「家族信託」なのです。
読んで字のごとく、家族を信じて託す。
これが家族信託であり、託す側、託される側双方にとってメリットのたくさんある方法と言えます。
何回かにわたって、その仕組みなどを紹介していきたいと思います。
たとえば。
あなたのお父さんが所有している土地があったとします。
お父さんは、「管理も大変になってきたし、高齢になって体の自由が利かなくなってきた自分よりも、信頼できる娘(あなた)にその土地を活用してほしい」と考えました。
そこで、以前から土地の管理の一部を委託していた不動産会社のZさんに相談のうえ、
「信託契約」を結ぶことにします。
信託は親子間であろうとも立派な「契約」。
しっかりと契約書をつくり、その信託が何の目的でなされるのか定めます。
さて、信託契約を結ぶとどうなるか。
一番は、その土地の「所有権が移転する」ことです。
これが、「委任」や「成年後見制度」などと違う、大きなポイントです。
「所有権が移転する? やっぱりちょっと危険な制度なんじゃ・・・」
と思うのも、わかります。
私も初めは「えっ!」と思いました。
・・・第2回へ、つづく。