刻んでいること
以前読んだ本に『活け造りは「魚のストリップ」だ』という表現があり天才かよとなりました。
その本の終盤で女体盛りのシーンもあり上手いなぁともなりました。
どうも、あなたの勇者ぜろ子でございます。
今回の話はフィクションです。
はじめに、皆さんには「誰かに話したいわけでもないけど自分の中に留めておきたくない話」はありますでしょうか?会社の備品を壊した、友達を殴って泣かした、ペットが死んだ等なんでもいいです。多分あると思います。僕の場合は「祖母の金を盗んだ」です。
僕の祖母はかなりのお嬢様で躾がかなり厳しかった記憶があります。それはもうギチギチのミチミチに躾けられてきました。言葉遣いがおかしいとひっぱたかれる、テストで悪い点を取ると母親をねちねち叱る、当然そのあとは僕が叱られる。もっと過酷な環境で育った人から見たら甘いだろうけど、僕は家が嫌いになりました。
こんな感じだからゲームなんてもってのほか、持ってるのは手伝いはして貯めた金で買ったハナクソみたいなパチモンたまごっちでした。周りはポケモン、僕はパチモン、話なんて通じません。ここは異国か?
そんな生活に嫌気がさして、祖母が庭の手入れをしているときに財布から三万を盗みました。人のものを盗るのはいけないと散々言われてきたのに。犬の散歩とウソをつき、そのまま近所のゲーム屋さんに行き、念願のゲーム機を購入。有頂天。やっとみんなと遊べる!とそのときは果てしなく喜んだ記憶があります。
数日間は楽しかったです。バレないようにゲームを隠す以外は。楽しかったのかな。
子どものやることだからこんなことすぐにバレます。子どものウソなんて大人から見たらカスです。両親からこの世の終わりみたいに怒られ、唯一会話できた姉からも距離を取られ、そして、祖母は今まで見た事がない悲しい顔をしていました。その時の祖母の顔を見て、本当に飛んでもないことをしてしまったんだなと初めて気づく。己の愚かさ。
子どもにとって家は世界です。その世界から誰もいなくなり、隣人のような関係になりました。とはいえ、まだ自分で稼ぐ能力もないからしばらくは養ってもらい続けることにもなります。
3年後に祖母は亡くなりました。たまたま祖母が亡くなる間際に病室についた僕は、他の家族を退室させ、盗んだことをもう一度謝りました。何度謝っても許されないと考えていた僕に、祖母は優しく笑い返してくれました。いや、もう死ぬ間際で笑っているように見えただけなのかもしれません。その二時間後に亡くなりました。悲しいとか、後悔とかより人間の最後はいきなり電池がなくなったようにあっけなく死ぬんだなと思いました。書いてて最低だと思いますが、本当にあっけないです。
遺体を見ても涙が出なかったのに、火葬するとなったときに自分でどうしようもないぐらい泣いてしまって、わけわからんくなりました。
あの事は許されないことだと思います。自分勝手だけど許されたいと強く願ってしまいます。
Twitterだとどうにも話せないけど、誰でも見てるし誰も見ていないここなら話せると思い、書きました。
今夜は祖母が愛煙していたキャスターと共に夜を過ごします。
良い夜を
I / スーパーカー
https://music.apple.com/jp/album/i/571985241?i=571985394
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