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記号創発システム論 読後感想

言語の本質と同様に、2024年9月の購入直後に読了していたのだけど、書きかけの感想が纏まらないまま放置してた。纏まっていないのはそのままだがwこちらも公開してから適宜修正していくことにしようと思う。(2024/11月)

本書は「記号創発システム」と云う概念に関する、学際的・学術融合的なワードマップである。各分野から「記号創発」をキーワードに分野内での論を展開している。
分野としては、哲学的なものとして記号論・言語学・プラグマティズム・発達心理学、ロボット工学や生成AIや機械学習における認知や概念のモデル化、脳科学や神経科学における自由エネルギー原理を初めとする推論の理屈、等々多岐にわたる。
自分の不足している分野、理解したい分野について更に深い考察を行いたい場合は、章毎・内容毎にブックガイドが紹介されリードとなっている。

記号(言語を含む意思疎通の符号)が創発される仕組み・原理について究明する。記号創発により、生身の人間だけでなく人工知能(AI)をも含んだAI共生社会での社会全体としての集合知のシステム論が第Ⅵ部で展開される。

創発(そうはつ、英語:emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなが構成される。

Wikipedia

創発について理解の助けになった動画。2017年作成だが直感的に理解しやすいと思ったのでご紹介。英語だが設定で日本語テロップ表示されるはず。

Emergence – How Stupid Things Become Smart Together

ワードマップについての概要解説(MS Copilot AI)

ワードマップ(Word Map)は、書籍や文章の内容を視覚的に整理し、理解を助けるためのツールです。以下はその概要です。
視覚的整理: キーワードや重要な概念を中心に配置し、それらの関係性を線や矢印で結びます。これにより、内容の全体像を一目で把握できます。
理解の促進: 複雑な情報を整理し、関連性を明確にすることで、理解を深めやすくします。
記憶の補助: 視覚的な要素を取り入れることで、記憶に残りやすくなります。
学習の効率化: 学習者が自分でワードマップを作成することで、能動的に学習内容を整理し、効率的に学ぶことができます。

ワードマップは、特に学習や研究の場で有効に活用されるツールです。どのような書籍やテーマに対しても応用可能です。

MS Copilot AIによる概要解説


第Ⅰ部~第Ⅴ部までは、主に各分野からの研究者からの記号創発に関する概説。既知のもの未知のものに関わらず興味深く刺激を受けて気づきも多かった。
第Ⅰ部 Foundations of Symbol Emergence Systems
第Ⅱ部 Symbol Emergence in Robotics
第Ⅲ部 Cognitive Development in the Environment
第Ⅳ部 Embodiment , Mind and Consciousness
第Ⅴ部 Dynamics of Culture , Norms and Language


第Ⅵ部はⅤ部までを土台としての記号創発システム論の展開。
第Ⅵ部 Symbol Emergence Systems and Beyond

特にⅥ-4・Ⅵ-5に於いて全体的に纏められれており理解しやすい。
Ⅵ-4 社会的知能の三層モデル
機械学習におけるベンジオの基調講演(2019)を引用した、低次認知モデルとしてのシステム1、高次認知モデルのシステム2に加え、個人(ミクロ)レベルのモデルから社会集団(マクロ)レベルに対応するシステム3という3層のレイヤーでの知能を捉える図は直感的に理解しやすい。

直接的な反射や感覚と運動との対応という身体性認知をシステム0
知覚や運動に対応する低次認知能力としてのシステム1
言語や思考に対応する高次認知能力としてのシステム2
社会的・集合的知能としてのシステム3

システム3がマクロベルでの集合体としての知能であると捉えるならば、その構成要素は必ずしも個々の人間に限る必要性はないだろう。集合的知性には発展著しい生成AIによる知性も構成要素となると考える。
それがサブタイトルでもある「来たるべきAI共生社会の意味理解にむけて」の意味するところではないかと感じた。


以下、纏まりきれない個人的な気づき。
人間とAIが共生する社会で必要とされる学問はなにか?という気づきは現在の学問体系に根本的な変化をもたらす可能性あるかな?
今までの人間だけでなく、AIという参加個体の増加による変化

・英語や中国語などの第二言語、人間=機械間の翻訳であるプログラミング言語、古文・ラテン語などの過去文献翻訳のための言語、に対する学習の重要性は薄まる?AIを新皮質のように脳のアウトソーシングとして利用可能
・第一言語(思考や対話の基になるもの)に対する学習の重要性は強まる?
AIを利用するにも利用するためのリテラシー・深度が求められる
・論理学や言語哲学の重要性は高まる。統計や関数的な客観性による深化
・量子論や情報理論、統計学や数学・関数・集合や行列数列などの高等数学の重要性は強まる(基礎知識としての必要性が高まる)
・文学はコンテンツ生成は
・倫理や社会学は
・歴史や考古学は
・医学や生物学は
・化学や薬学は
・経済学は政治学は
AIが意識や意思を持った場合の新しい倫理体系・法学体系等の整備

後半尻切れだけど、時間が出来て、理解が深まり、言語化出来たら追記予定・・出来たら良いなw 2024/11月


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