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【戦前考察】ファジアーノ岡山vs清水エスパルス J1第4節
どうも、ゼロファジです。
中3日の3連戦、最後の相手は清水エスパルス。昨年J2では2度敗れた相手だけに「あのときとは一味違うぞ!」というところを証明したいゲームです。清水との対戦は6月30日までさかのぼるので、かなり久しぶりになりますが、双方ともにレベルアップしており非常に楽しみな試合となりそうです。
わからんことは聞いたが早いということで、仲のいい清水サポさんに事前に質問させていただきました。時間がないってのに、思いのほかちゃんとしたプレビューっぽいものになってしまったぜ。その方も「岡山さんとJ1の舞台で対戦できるのは感慨深いです」とおっしゃってました。いい試合にしたいですね!
東京V戦を見た印象
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ここまでの3試合で2勝1分と負けなしの清水。実は前節ホーム広島戦では3421のフォーメーションで戦っていました。しかし、聞いたところによると「対広島を考慮しての策で、基本は4231」なチームであるようです。そして「サンプルとしては東京ヴェルディ戦がよさそう」とのことだったのでこの試合をざっと見てきました。
・清水エスパルスはサウスポー
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基本的なフォーメーションは4231です。トップ下に乾が入る形。そして、このチームは左サイドの攻撃が主体のチームなので、組み立てのときはボールが左サイドを通っていくことがかなり多い。サウスポーのチームかなと思います。
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CBは左右に広がって、さらにSBはその分前に位置を取ります。たまに、ボランチの宇野が最終ラインに降りてくることもある。攻撃でとにかく厄介なのは乾です。トップ下のポジションですが、昨年と同じようにかなりの自由が与えられており、基本は真ん中、左サイドにいることがありますが、ボランチのところまで下りてくることもあってとてもつかまえにくい。
・守備時は442でミドルブロック
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守備時は442でセットして、センターサークルの相手コート側の頂点付近に構える。相手のバックパスをきっかけに前からのプレスに出ていくこともありますが、それ以外ではハイプレスに行くことはあまりないようです。まあ、連戦の最後ということもあるのでそこまで前からはいかないんじゃないかなあと。
・ロングボールは蹴らない
やむを得ないときはスペースや、FWの北川、カピシャーバあたりをめがけて蹴ることもありますが、組み立ては一貫してショートパスが主体。やはり、左サイドを中心に相手のプレッシャーをかいくぐって「運ぶ」をやっていきたい。
・逃げ切るときは541へシフト
リードして最終盤を迎えると、配置を変えて5バックに移行します。541と並びを変えて守備をしっかりと固めてくる。541で引いて構えられるとかなりスペースが埋められてしまうので、なかなか点をとるのが難しい。
東京V戦に出た選手の印象
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・左SB山原の組み立て、プレイスキック
左SBの山原はプレス耐性も高く、組み立てのできる選手です。清水は後ろからつないで組み立てていくので、山原がそのとっかかりの重責を担います。したがって、彼に自由を与えてしまうとパスを蹴るスタンバイ状態になってしまう。そうすると「運ぶ」アクションを起こしやすくなってしまう。完封は無理でもなるべく上手に邪魔して「防ぐ」をやっていきたい。
また、右足のキック精度も高くFK・CKのキッカーも務めます。直接もあるので、ゴール近くのファウルがかさむとやっかい。
・とにかく乾がめんどくさいぞ
清水の左サイドの攻撃を支えるのはやっぱり乾。ポジションに囚われないフリーロールを与えられており、ピッチの中央、左サイドであればどこにでも移動して展開に絡んできます。
そんなに離れてプレーされると、誰が乾を警戒するのか?という分担が難しい。「サッカーの守備は1人に対して1人」が基本ですが、せっかく数的同数で見張っていても、乾がスルスルっと動いてきて、サッとボールを引き取り、ヒョイっと味方につないでしまうと守備網を突破されてしまいます。
・カピシャーバはドリブル・スピード・体の強さがある
左SHに入っているカピシャーバはドリブルでゴリゴリ運べるし、スピードもあるし、身体がごつくて相手の守備者を背負ってプレーできる選手です。自分ひとりで仕掛けてもいいし、自分がボールを預かって相手を背負い、味方を使うといったプレーもできる。非常に厄介な選手です。また、守備意識、献身性も高く、持ち前のスピードを生かしてプレスに出たり、戻る時もしっかり戻ってくる。
・北川はなんでもできるぞ
元日本代表のFW、北川航也は典型的な万能FWです。自分でドリブルもできる。パスも通せる。味方も使える。背負ってポストプレーもできる。空中戦で戦える。逆に何ができないのか教えてくれ!という選手ですが、こんなんJ2に持ち込んだら駄目です。不法所持で捕まりますよ。
【観戦メモ】ポジションを移動する選手のつかまえにくい
こちらのマガジンで解説していることをベースに、サッカー観るのがもっとうまくなる知識を記憶していこう!という【観戦メモ】のコーナー。
今回のテーマは”ポジションを移動する選手はつかまえにくい”です。
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清水が後方から組み立てていくのを3421のチームが「防ぐ」アクションで妨害しようとするところを図にしてみました。清水はサウスポーなので、左サイドから運んでいきたいわけですが、ボーっとしていたら運ばれてしまいます。なので、清水のボールの受け手に対してしっかりと寄せて自由を与えたくない。
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誰が誰に寄せていけそうか?を線を使って視覚化してみました。もし、このように警戒されているとパスの「受け手」になれる選手が見張られているので、全く運べないとはいいませんが、難易度が高くなるのは間違いないでしょう。ミスれば相手にボールを奪われますからね。ここで、厄介なのが再三話題にしている乾の存在です。
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乾は自由を与えられているのでトップ下の位置にじっとしていません。このように左サイドの低い位置や、ボランチの近くまで移動してきます。そうすると、もともと乾を監視していた選手と、移動した後の乾はこのように距離が開いてしまいます。もし乾を追いかければ真ん中にデカいスペースを空けてしまいますから出るに出られない。
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誰が見るのかはっきりしないまま乾がボールを受けて前向きを作ると、相手の選手は「え?乾はどうしたらいいの?」という状態になることもしばしば。この図ではまだサイドでフリーなのでマシですが、ラインとラインの間で受けられるとちょっとどうにもできない。
このように、ポジションを移動されると非常に捕まえづらいです。これはいろんな試合でちょくちょくみかけるので、ぜひ探してみてください。よく選手の立ち位置を見ておかないと気づけないですが、見つけると「おっ!?」っとなっておもしろいです。
vs岡山はどうなる?
・スタメン予想(よしゃあいいのに)
3連戦の最後なので、ここ2連戦のプレータイムを調べてみました。
立田:180
田上:180
鈴木:90
柳(貴):157
藤田:154
田部井:75
加藤:180
木村:94
ルカオ:110
江坂:150
嵯峨:15
神谷:83
竹内:26
一美:108
ノア:28
藤井(海):22
岩渕:60
これをもとにしたスタメン予想がこちら。
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最終ラインは1試合スキップした鈴木喜丈。田上、立田はそのまま。運動量の求められるWBは加藤が3試合全部行く。若いので。しかし、右WBの柳(貴)は前節足を攣っていたこともあり、嵯峨の先発もあり得るのかな?と。
ボランチも絶大な信頼を置く藤田息吹がそのまま。去年も出まくっていましたしね。田部井も1試合スキップしたのでここは元気でしょう。
1トップにはルカオ。江坂は現状代わりになれる選手がいないので、プレータイム長めですが3つとも先発。右シャドーには消耗度の少ない木村太哉が死ぬほど走る。
ということで、第2節のアウェイ横浜FC戦のメンバー構成に近い形になるんじゃないか?と予想してみました。
なお、新加入の松本昌也がベンチ入りする可能性も高いと思います。チーム合流して間もないですが、FWとCB以外ならどこでもできるなんてありがたすぎて拝みたいくらいです。出番があれば楽しみですね!
・清水の左サイドを封鎖せよ
先述の通り、清水はサウスポーなチームなので左サイドの攻撃が主軸です。特に山原、乾、カピシャーバ、この3人に自由を与えたくない。岡山は前からある程度邪魔しに行くと思いますが、ここで右シャドーないし右WBが山原の自由を奪えるかどうか?はとても重要です。
・乾はがんばってなんとかして・・・
東京V戦とちょろっとだけ広島戦を見ましたが、乾貴士がマジでとめらんない。なんであんな狭いところで受けて、いなして、さばいていけるのか。いや、昔から知ってましたけどベテランになってもなおこのレベルなのか?と呆れてしまうくらいです。彼から自由を奪うのはとても難しいですが、ボールを受けられてもとにかくなんとか・・・
・岡山も左サイドから右へが得意
清水と同様岡山もサウスポーのチームです。鈴木喜丈、田部井あたりがスタメン復帰してくるとよりその傾向は強まると思いますが(うまうまカルテット)、左サイドから運んで、江坂がアクセントをつけ、右がボックスに突っ込む。これが上手くいっていたのが京都戦でした。
おそらく清水は442で守りつつ、左右のCBがボールを持ったらSHを上げて「防ぐ」をやろうとしてくるはずなので、清水の右SHがどのくらい出てくるか?は結構注目ポイント。しかし、鈴木喜丈はかなり上手いのでたぶん大丈夫。
もし、出てこないなら左WBの加藤が空いてくるはずなのでそれでもかまわない。加藤とか鈴木喜丈に気を取られていると江坂も空いてくるので、向こうが乾で殴るならこちらは江坂で殴り返そう。
・ルカオは「あの日(6月30)のルカオ」ではない
清水サポからすると「ウチとやったとき高木践に完封されてたけどなんでルカオそんなにブレイクしたんだろう?」と思うかもしれません。
実際に最後の対戦となった6月30日のアウェイ清水戦を見直してみましたが、正直今とは相当違っているなと感じました。チームもルカオもね。
チームはまずグレイソンにぶつけるようなボールをルカオに入れていましたし、ルカオはヘディングは結構苦手。これではボールは落とせないです。ルカオは落下地点を読むのがうまくないのかもしれない。今はすこし改善傾向ですけども。
また、右サイドに流れるプレーについても後ろから差し込むパスの質が低く、高木践の対応がしやすいボールが多かった。スペースに流してヨーイドン!ならかなり行けますが、そういうシーンをうまく作れていない。
今のルカオは相手を背負ったり、最初から体をくっつけてヨーイドン!ができるので、スピードと体のデカさ・重さにねじ伏せられるようになっています。そこはJ1でも十分やれると証明済みなので、今度こそポテンシャルを発揮して驚かせていきたい。
・素晴らしい雰囲気でホーム連勝を継続しよう
前節のガンバ戦の勝利でホームの連勝記録が7になりました。まあ記録どうこうというより、ホームで勝つことの重要性が例年よりも何倍も大きいのが今年だと思います。チームの状態もいいですし、満員のスタジアムの雰囲気もいい。あれをまた味わいたい。
清水はJ2でも対戦して2度負けている相手です。しかし、秋冬にチームの形が出来上がり、進歩を重ねてきた木山ファジは清水に敗れたころとはかなり別物だと思っています。清水も昇格組なのでチームの熟練度は高い。序盤戦最初のボスキャラだと思っています。京都戦、ガンバ戦のようにうまくいかないかもですが、ぜひとも、清水を下して最高の形で3連戦を締めくくってほしいなと思います。
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