【TM考察】岡山vs鹿島
どうも、ゼロファジです。
宮崎キャンプで行われるトレーニングマッチ。2本目の相手は鹿島アントラーズ。やっぱりJ1の強いところと試合するってのは特別なもんがありますな。TMとはわかっていても「どうなるんだろう?」とワクワクしておりました。
ファジアーノ公式YouTubeでも長尺で試合の模様が見られますが、他にテレビせとうちさんのこの動画がすごくよかったのでおススメ。カメラの角度が別角度なので、また違った見え方がします。ということで、このTMについていろいろとしゃべっていこうと思います。まずは、いつもどおり両者の立ち位置から。
岡山サイドの思惑
J1に昇格したとはいえ、自分たちの現状がどんな立ち位置なのかはわからない。それを知るためには一回J1の強いところとやってみる必要がある。その中でトライ&エラーやってみて、課題や収穫を浮き彫りにしていきたいというところだったかなと。
そういう意味では鹿島はいわずとしれた強豪ですから、この対戦が組まれたときに「お、いいじゃん!」と思ってました。
鹿島サイドの思惑
いつもどおり対戦相手については情報収集する時間があまりないので、鹿島の現状はよくわかりません!というかね、J2なら「だいたいこうだろうな」とか「こういう戦力がいるよね」とかパッとわかるんですが、J1はさっぱりわからんのですよ。といっても、もちろん、鈴木優磨とか、柴崎岳とか、そのへんはわかるけどね、さすがに(笑)。
この辺はシーズン始まったら対戦相手のサポーターさんのブログとか事前に読んで、可能な範囲で情報入れていかなきゃなーと思っています。Xとかでもおもしろい情報あったらどんどん教えてほしいです。
さて、鹿島アントラーズは監督が鬼木さんに代わっています。鬼木さんといえば川崎フロンターレの黄金時代を作った監督で、鹿島OB。ならば、やはり「止める、蹴る」をベースとした繋いでいくサッカーを模索していくのだろうと。そんな感じのうっすらとしたイメージを持っています。
鹿島としては新しいやり方にフィットしていく段階でしょう。岡山がハイプレス(前プレ)に出てくるチームというのは当然織り込み済みなはず。ならば、そこをどうかいくぐるか?彼らにとっても現状認識したいというところじゃないかなと思います。
スコアとフォーメーション
45分×4本 トータルスコアでは4-3ということで岡山の勝利。
しかし、4本目はユースと練習生がかなり入ったメンバーだったということで、トップチームの現状という意味では参考程度でいいのかなと思います。
重要なのは両者主力級が出場した1・2本目の90分。ここをメインに話を進めていきたいと思います。スコアでいくと4-1と鹿島を相手にかなりの大勝で終わったトレーニングマッチでした。1本目のスタメンはこんな感じだったみたい。
注目はやっぱり右WBにいきなり起用された佐藤龍之介とボランチの藤井海和。2本目以降については公開されている情報がみつからなかったので割愛。
率直な感想「もっと苦しみたかった・・・」
TMの結果を知った率直な感想は正直言うと「いやーー、もっと苦しい展開になりたかったなぁ」というところでした。「勝ったんだから素直によろこんだらいいじゃん!」という意見もわかるんですけど、得点の経過をちょっと見てみてよ。
ということで、最初の1本目に関しては先制・中押し・ダメ押しと3拍子揃った試合展開になっておるわけですよ。これはかなり楽なゲーム展開です。そうすると、先述のとおり「鹿島の質の高さに苦しめられてエラーがでる」という局面になりにくかっただろうということが想定されます。なので、欲を言えば競ったスコアになるとかビハインドになるとかして課題をもうちょい浮き彫りにしたかったかな、と。
なぜ鹿島は苦しんだのか?4つの理由
逆に鹿島としては意義のあるトレーニングマッチになったのかもしれない。スコアを見てびっくりした人も少なくないと思いますが、彼らが苦しんだことは間違いないでしょう。
では、その理由は?というと、
鬼木さんの元で、繋ぐサッカーに着手し始めたばかりだということ。それに対して岡山はすでにかなり出来上がったチームですから、そういうチームのハイプレスをまともに受けると繋ぐに繋げず奪われるサイクルになってしまう。
次に、このトレーニングマッチではロングボールを封じ手にしていたということ。ハイプレスというのはショートパスを繋いでくる相手のアンチ的な守り方で、これを回避するには大まかに言って「パスを繋いでプレスを剥がす」か「ロングボールを使ってプレスを無効化する」という2つの手段があります。
ところが、現地で見ていた人の反応を見るとどうやらこのトレーニングマッチでは「ロングボールは使うな」という指示があったようです。そうなると、鹿島は蹴りたくても蹴れないので繋ぐしかない。しかし、そこを岡山に執拗に狙われてします。結果、ボールをなかなか運べずに奪われて逆襲を受ける。このような試合展開だったのかなと。
さらに、1本目は岡山の追い風だったこと。いや、地味にこれはデカい。これを知ったとき「あー・・・」ってなりましたもん。風の影響って思いのほかデカくて、パスが長くなったり短くなったりしてかなり気を使うんですね。鹿島は平面でショートパスを繋ぎたいわけですから、ガンガンにプレスに来る岡山の強烈なプレッシャーを受けながら、なおかつ神経使ってパスを蹴らないといけない。しかも、ロングボールで逃げちゃダメって縛りもあると。
そして、4つ目としては疲労の蓄積による体の重さ。これは江坂がインタビューで言っていましたが、鹿島はキャンプ最終日でかなり動きが重そうだったそうです。ですから、岡山とのコンディションに割と差があったのだろうと。
とまあ、こうしたなかなかにキツイ条件の元、「失敗してもいいからやってこい」とチームを送り出すのが鬼木さんのこのトレーニングマッチについての考え方だったのかなと。
まあ、なんぼ鹿島が強いといっても現状の岡山相手にこれだけの条件が揃っちゃうとどうにもならんと思います。スコアが開いたのもうなづける話。
報知の岡島記者のポストが実に簡潔ですばらしいので紹介しとくね。新聞記者ってのはほんとにすげえなあ。最低限の言葉でなるべくたくさんに伝えるためにはどうしたらいいのか。勉強になるなあ。
岡山の収穫ポイント
さて、われらがファジアーノ岡山。こうした試合展開だったので、最終ラインが困るシーンが少なかったようですし、ほとんど前で守備の問題は解決してしまっていたみたいです。本当はスペースに出たボールを3バックやボランチ、WBでどう処理する?みたいなことで悩みたかったところですが、まあ仕方ないでしょう。この試合は大勝となりましたが、収穫もあったんじゃないかなと思います。
・自信が持てた
これまでJ1の強豪クラスと対戦する機会がなかったのでこうして鹿島相手にポジティブな結果を残せたのは自信になったはずです。個々の局面で鹿島の選手とやりあってみて「やれる」「ここは足りない」と感じることもあったでしょうし、自分たちがいい状態のときどうやって相手を圧倒していくか?ひとつシミュレーションができたのではないかと思います。
・【木山ラボ案件】佐藤龍之介の右WB
この試合大きな話題となっているのが右WBでいきなり起用された佐藤龍之介です。いや、びっくりした!(笑)完全にシャドー枠だと思っていたので「そうか・・・木山さんやりやがったな!(笑)」という。
テクニックも走力もある選手なので、「確かにそこで使う手もあるか」という感じなんですが、プレーを見る限りぜんぜんやれそうな感じがしています。FC東京のサポーターからすると「え?そこで使うの?佐藤を?」という感じかもしれませんが、
佐野航大がブレイクしたのは左WBに木山さんがコンバートしたからなんですよね。なのでこの起用は岡山サポからすると「おお・・たしかに!」という感じです。
だけど、この佐藤くんはやべーな。ほとんど違和感なさそうじゃんプレー見てたら。まあ、全部を見てないのでわかりませんが、ふつうもうちょいぎこちなくなるはずなんだけどな。監督からは「初めてだけどやってみて」と軽く言われたそうです。それでこなすのはかしこい子すぎる。佐野航大のフィット感を大きく超えている。
実はその他にも「この選手をここで!?」という起用があるんですが広く公開されてない情報だったりするので伏せておきます。
この佐藤龍之介のWB起用というのはかなり妙手だと思っていて、WBがやや手薄かな?というメンバー構成になっていたんですよ。しかし、シャドーと目されていた選手をWBで起用できるめどが立つというならそれもうなずける。楽しみですね。
また、高卒1年目年代の彼がトップチームの大人に混ざってあれだけやれているという事実は帯同している岡山U18の末宗くん、千田くんはじめ、プレミアを戦うU18の選手たちにも大きな刺激となるはず。ほんといい選手獲ったよ。よく考えてる。
・結果を出した選手が出るということは?
次に、この試合では活躍した選手が多数出ることとなりました。岡山サイドからしても鹿島とのトレーニングマッチでの評価は査定が高いだろうと推察します。すると、同じポジションを争う選手も「このままでは開幕戦に出られない」とさらにハッパがかかることでしょう。
現時点で各ポジションの序列が決まっているわけではないと思います。まだ開幕までしばらく時間もありますからね。コンディション的にこれから上がってくる選手もいるでしょうし、そうなればさらに選択肢も増えるでしょう。昨年もそうでしたが、今年はさらに総力戦です。とにかくケガ人を少なくして高い出力をキープできるように戦っていきたい。
さて、次はロアッソ熊本とのトレーニングマッチ。楽しみです。
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