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J1開幕戦での江本一真さんの語りを残しておきたい

どうも、ゼロファジです。

記念すべきファジアーノ岡山のJ1デビュー戦。勝利の余韻をじっくりと味わいながら「最高の1週間」を過ごしております。この先、忘れることのないゲームになったことはいうまでもありません。

このゲームの実況を務めたのは江本一真さん。J2時代にも岡山のゲームを度々担当されており、その語り口はすでに多くのファジサポの心をつかんでいる名実況者です。この試合を担当されるとわかったときの、ファジサポの喜びようときたら。それがなによりの証拠でしょう。


試合開始前、選手が入場してくるタイミングで語られた前口上、とても心を打つ素晴らしいものでした。これが埋もれてしまうのはもったいなさ過ぎる。ということで、書きおこしておきます。

岡山は長らくプロスポーツの空白地でした。

クラブの前身は川崎製鉄水島サッカー部のメンバーを元に結成したリバーフリーキッカーズ。

その後、「プロスポーツ不毛の地に子どもたちに夢を与えるクラブをつくりたい」

2003年に誕生したのがファジアーノ岡山です。

当時のチームは会社員を中心に構成されたアマチュア集団でした。

薄暗い照明、固い土の練習場。全国バス移動が当たり前でした。

2009年、悲願のJ2昇格。初年度は最下位に沈みました。

Jに参入しても専用の練習場はできませんでした。シャワーもありませんでした。

選手たちは倉庫の中で着替えるような環境です。

ファジアーノがJ1。夢のまた夢である。いばらの道でした。

ただ、選手、フロント、サポーター。誰一人夢を諦めませんでした。

史上最も長い、16年もの歳月を経て、J1の舞台にたどりつきました。

親企業を持たない市民クラブ。まぎれもなくファジアーノ岡山はこの街の希望です。

岡山の子どもたちは目を輝かせ、今日の試合を脳裏に焼き付けるはずです。

この先、何十年、何百年と語り継がれる岡山のサッカー界歴史的瞬間。

県民の想いを乗せ、今、雉が羽ばたきます。


一方の、京都サンガFC。

古都がホームタウン。歴史あるクラブです。

創立は1922年。京都紫光クラブ。

J加盟クラブ、前身チームを含め、最も伝統あるクラブが京都です。

JFLを戦い、1996年にJリーグに加盟。

その後、J2、J1、昇格降格を何度も経験しました。

「俺たちはもう、エレベータークラブじゃない」

「2ケタ順位では満足しない」

鳳凰、不死鳥。

J2が発足した1999年以降、クラブ史上初、トップカテゴリー継続。

4年目のシーズンです。


Jリーグ史上最も歴史ある京都。

夢の舞台に初めて足を踏み入れた岡山。

栄えある2025。オープニングマッチです。

解説、加地亮さんです。

これから新たな歴史を作るものと、最も歴史をもつもののコントラスト。岡山と京都のそれぞれの歩みを振り返り、この試合を両者がどのように迎えているのかを伝える。ワンフレーズ、ワンフレーズが、ここまでの苦労、歴史を思い起こさせ、「泣きそうになった」と何人ものファジサポがこぼしていました。

また、試合後GATE10でラインダンスするチームの姿が映し出されるシーンでは、クラブOBでもある加地亮さんとこんなやりとりもありました。

江本さん:
J1初勝利をおさめましたファジアーノ岡山です。OBの関戸健二さんが話をしていたんですけれども、
「僕が入った2012年は専用の練習場、クラブハウスがなくて、大学の方が環境がいいんじゃないか?」と。「正直そう思っていました」と。「シャワーもなかったです」と。「倉庫の中で着替えて、身体はペーパータオルでふいていました」と。ただ、そこで「加地さんであったり岩政さんがチームに懇願してくれた」と。「少しづつ環境が変わりました」と。「加地さん、岩政さん。あの二人が”J1にふさわしいチームとは”。クラブに教えてくれたんです」そんな話もありました。

加地さん:
すごいありがたい話をね、していただいて。ありがとうございますということで(笑)でも、着実にこう、ね。僕らも入ったとき2015年でしたけども、まだまだJ1っていう。目指してる途中だったので。なかなか環境的にそろわない状況で。っていう中で、まあ、こう、フロントスタッフもそうですし。チーム全員がね、ほんとに「変えよう」っていうのは。意識を「変えよう」っていうことはトライしてたので。まあ、その結果がね。今、今年、っていうところでは非常にうれしくおもいますね。

江本さん:
ねえ。加地さんはじめ、いろんな方がいろんなところに尽力をした賜物が

加地さん:
はい
江本さん:
今日という日につながりました。

江本さんの実況、そして解説は加地さんという。個人的に俺得感しかないコンビで最高でした。江本さんが時折振る「細かいサッカーの話」大好物なんです。こういう小さなやり取りをたくさん覚えておくことで、サッカー観るのがもっと楽しくなるんですよね。

江本一真さんはもともと広島の観音高校サッカー部でプレーされ、プレミア・リーグにも出場経験があるそうです。高校の2学年上には元岡山の竹内翼さん、岡崎和也さんがいます。1学年下には塚川孝輝選手も。全員生でプレーを見てきた選手たち。江本さんは彼らと一緒にプレーしていたんだなあ。

なお、主審を務めたのは去年の最優秀主審賞を受賞された御厨貴文さん。この方は元Jリーガーでかつては甲府、草津(現群馬)、富山でプレーし通算159試合に出場しました。2011年からJ2を見ているので、彼のことはよく覚えています。「あのとき見た選手がプロフェッショナルレフェリーになったんだ」という感慨は思いのほか深く。活躍を楽しみにしていました。

こうしてみると、実況:江本一真さん、解説:加地亮さん、主審:御厨貴文さんと、それぞれが選手としてピッチの上で切磋琢磨し、現在はピッチの外でサッカーに携わっている方々だったんだなと。

もちろん、その他にもいろんな方の支えがあってのことではありますが、観戦者にとって実況・解説・主審が誰なのか?はとても重要なことです。この記念すべきゲームをこのお三方が担当してくださって本当によかったなと思いました。すばらしいゲームをありがとうございました。





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