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第18回勉強会「すぐにできる、リペア・アップサイクルの話」

ゼロカーボン(脱炭素)に向けて一人ひとりが主役となるための勉強会。

第18回のテーマは、「すぐにできる、リペア・アップサイクルの話」。

毎日身に付けたり使ったりしている衣類や日用品は、どのように作られ、環境にどういった影響を及ぼしているのでしょうか。
日々の暮らしの中で一人ひとりができることを考えるためにも、白馬村内で活動している方のお話も伺いました。
また、後半は着なくなったTシャツをマイバッグにアップサイクルするワークショップを行いました。

日時:2022年9月28日(水)18:30~20:00
場所:白馬ノルウェービレッジ or ZOOM
参加者:20名(会場15名、オンライン5名)

衣類業界の現状と取り組み

パタゴニア 白馬 由井愛さん

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化の原因として人間活動が影響していることに「疑う余地がない」と断定しています。
産業革命前と比べて、世界の平均気温は既に1℃以上上昇し、気温上昇を1.5℃に抑えるためには私たちの生活や消費が大きな鍵を握っています。

衣料品業界は、製造過程における水質汚染や農薬の使用、輸送に伴う排気ガスなど、気候危機の原因となる汚染の最大10%を占めていると言われています。

衣服が作られるまでには、原材料調達、紡績、染色、裁断・縫製など様々な工程を経ています。
原材料として、大量の水や農薬を使ってコットン(綿)が栽培されていたり、石油由来の合成繊維が使われたりしています。
また、それぞれの工場や輸送においても多くのエネルギーが使われています。

原材料調達から店頭に届くまでの間に、桁が多すぎてイメージしにくいくらいの環境負荷が生じています。

服一着あたりに換算すると、ペットボトル255本を製造するのと同等のCO2を排出し、浴槽11杯分の水を消費していると言われています。
また、年間で1.8億着分に相当する端材が捨てられています。
それ以外にも、ダウンやウールなど動物愛護の観点から問題のある製造工程や、低賃金で雇用された人々が縫製工場で働かされるなど人権的な問題も抱えています。

なぜそのような状況が生じてしまうのでしょうか。
国内の市場は減少傾向ですが、供給量は増えていて、低価格化が進んでいます。
「できるだけ安いものを手に入れたい」という消費者の心理が価格競争を生みますが、安く市場に出回るということは、原材料を生産している農家の販売価格や縫製工場の労働者の賃金など、どこかで歪みが生じています。

皆さんは1年間で衣類を何着買いましたか?
捨てたり、中古で販売したり、手放した衣類は何着ありますか?
着用せずにクローゼットにしまったままの衣類は何着ありますか?

日本国内では、1人あたり18枚購入し、12枚手放され、25枚が着用されずにいる状況になっています。
先程の環境負荷を照らし合わせて考えてみてください。
ファッションの低価格化が進み、新しいものを次々購入しては手放すという状況になっています。

手放した服がどうなっているのか見てみると、リユース・リサイクルされているのは34%にとどまり、66%がゴミとして出されて燃やされたり埋め立てられたりしています。燃やすのにもエネルギーが使われCO2が排出されています。
形を変えて新たな製品に生まれ変わる「リサイクル」にもエネルギーが消費されています。

  1. 消費を吟味しよう
    本当に必要なのか考えましょう。
    購入の段階で作られ方(製造工程)をしっかり見ることも大切です。

  2. 今持っている服を長く大切に着よう
    適切なメンテナンスやリペアをして、サイクルを長くましょう。

  3. 資源として活用しよう
    大切に着て、誰かに譲ったり売ったりしてリユースしましょう。
    アップサイクルして新たな形で利用しましょう。
    リサイクル(再生利用)はエネルギーを消費するため最終手段位にしましょう。

適切に修理やメンテナンスすることで、衣類の寿命を9ヶ月延ばせれば、環境負荷を20〜30%抑えることができると考えられます。

私たちが実践できる取り組みとして、衣類や時計やPCなどあらゆるものの修理ガイドを掲載している「IFIXIT」というWebサイトがあります。
様々なものの修理の仕方が掲載されていますので、壊れて捨てる前に一度みてみてください。

パタゴニアでは、衣類を長く着用してもらうために、「WornWear」という取り組みを進め、自社のリペアセンターで修理を請け負っています。

WornWearカーでアウトドアフィールドや大学に出かけて、、修理することの大切さを知ってもらう取り組みもしています。

地域の事例紹介 - 4R市場

4R市場 主催者 菊本蒼志さん、菊本紋子さん、ディビス咲子さん

4R市場は、Refuse/Reduce/Reuse/Rrcycleをテーマにしたイベントで、2021年7月、11月、2022年7月の3回開催してきました。

廃材で作ったキャンドルホルダーや鳥の巣箱、シーグラス(海辺に流れ着いたガラス片)で作ったアクセサリーや小物が販売されていたり、子どもたちが廃材で自由に創作したり、着なくなった洋服や本・レコードの回収や交換、裾上げやプリリメイク、リユースペイント、包丁研ぎ、鉄物を直す鍛冶屋さん、おもちゃお医者さん、小学生によるアルミ缶回収など、4Rをテーマにした様々なブースが並んでいます。

SDGsなど世界的な問題が騒がれる中、自分たちにできることがわからない状況でしたが、着なくなった服を回収してリサイクルして服を作るBRINGという会社のことを知り、国内の工場で再生産されることや、着心地も良かったため、白馬の皆さんにも知ってほしいと思い、今あるものや資源を大切に使ったり自然を守るイベントを開催してみようと4R市場が始まりました。

金属や刃物、洋服など、どこに行けばリペアやメンテナンス直せるのかわからないし、白馬村内でできるのかどうかもわかりませんでしたが、ここに来れば大体のものが直せたり、イベントを楽しみながらリユースやリサイクルにつながることが重要なポイントです。

難しい知識や情報を持っている人たちだけが集まるのではなく、たくさんの人に気軽に参加してもらえるように、飲食や音楽なども含めて楽しさを大切にしています。
幅広い年代の方に参加していただいています。
出展者は、自分たちから声をかけることもありますが、申し出を受けることもあります。

おもちゃのお医者さんは、2回目の時に参加者から「子どものおもちゃを直してほしい」という声があり、長野市で活動されている方に3回目の時に来ていただきました。その場で直せなかったおもちゃも、直し方を調べて後日対応してくれたという話もありました。

2回目の時に南米パタゴニア地方の映像を流して自然の貴重さを感じてもらう機会を創ったりしましたが、今後トークショーなど環境問題を考えるきっかけになるようなコンテンツも増やしていければと思っています。

次回は11月13日(日)に開催予定です。
お気軽にお越しください。

カエルのキャラクターが素敵!
4R市場で直したものにカエルのステッカーを貼るようにしたら面白いのではないでしょうか。
様々なものにイラストを描いてくれるデザイナーさんなので、皆さんも何かあれば頼んでみてください。

ワークショップ - すぐにできる、リペア・アップサイクル

リペアパッチ - 破れたウェアの直し方

穴が空いた箇所の周辺の汚れをきれいに拭き取り、生地をピンと張ってリペアパッチを貼るだけ、簡単です。
放っておくとやぶれが広がってしまいますので、早めに対応しましょう。
リペアパッチは丸いものだけでなく、動物の形のものなどもあります。
アウトドアショップなどで販売されていますので、見てみてください。

Tシャツをマイバッグにアップサイクル

着なくなったTシャツをマイバッグに生まれ変わらせるワークショップを行いました。

②Tシャツを裏返して、裾に幅2cm、長さ7〜10cmの切り込みを入れます。

③切り込みを入れた部分を、キツすぎず緩すぎないくらいに2回ずつ結び、表に返します。

④柄の位置も気にしながら、襟と肩の部分を切ります。肩の幅は太すぎると物が入れにくかったり肩にかけにくかったりするので、5cmくらい残すようにしてください。

お知らせ

白馬南小学校PTA

白馬南小学校PTAでは、リサイクルやアップサイクルをテーマに活動しています。イベントなどで余ってしまったグッズをアップサイクルしたり、アルミ缶を集めて資金化して裏山ゲレンデの維持費に充てています。学用品などもできるだけ譲りあったり学校の備品にしたりする取り組みも行い、子どもたちにも物を大切に使う意識を持ってもらいたいと思っています。
4R市場でも様々なものを回収したいと思いますので、ご協力をお願いします。

コンポストづくりワークショップ

10月8日(土)に木流公園・子育て支援ルームで開催される「はくばあそびまなびフェス」の中で、ゼロカーボン勉強会として木枠のコンポストを作ってみるワークショップを開催します。無料ですのでお気軽にご参加ください。
また、木流公園にある自然素材を使ってメモスタンドなどを作るワークショップも行います。

次回のお知らせ

次回は10月19日(水)に「リジェネラティブ農業」をテーマに開催します。

今回もご参加いただき、ありがとうございました!


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