Vol.4 ステップ③「脚の鞭化」によって腱の弾性エネルギーを高める
「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。
ここでは、このスキルにはじめて触れる初心者ランナーでも習得が可能なように、体系立てていくことを目的とします。
ステップ③では、腱の弾性エネルギーを有効活用するための「脚の鞭化」についてお話ししていきます。
それでははじめましょう。
出力の「オン・オフ」を巧みに切り替える
前回、腱の弾性エネルギーは、筋腱複合体のスティッフネスに影響を受けるということをお話ししました。
ですので、いかに筋腱複合体のスティッフネスを適切に高めることができるか?が、弾性エネルギーの利活用を促進するために重要な要素となります。
では、筋腱複合体のスティッフネスは、いかにして高まるんでしょうか?
それが今日のテーマである「脚の『鞭化』」です。
鞭化。つまり、鞭のようにしならせる、ということです。
もしかしたら「バトルロープ」というトレーニングをやったことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
このトレーニングは、ロープを上手にしならせることで体幹の使い方を学習することを目的とするわけですが、この「ロープを上手にしならせ続ける」ためには、腕をはじめとする全身の筋出力の「オン・オフ」を巧みに切り替える必要があります。
ロープに力を伝える瞬間にだけ筋の出力をオンにすることで、筋腱複合体のスティッフネスを高めることができます。そうすると、腱の弾性エネルギーによってロープには大きな力が伝わり、大きなしなりを作り出し続けることができます。
これは脚に関しても同様で、筋出力のオン・オフが巧みに切り替わることで脚の筋腱複合体もスティッフネスが高まります。
イメージとしては、出力のオン・オフのメリハリがついていることで、いざ出力した時の出力先への力の伝達を集約する感じですね。逆にいうと、メリハリがついてないと力の伝達が散らかってしまう。そういう感覚です。
ここぞ!というときに瞬間的にスティッフネスを高め、力を伝えたらすぐに抜く、そんな感じです。
今日は、その感覚を掴むためのトレーニングをご紹介します。こちらをご覧ください。
ここから先は
¥ 150
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員