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女性"性"活躍推進|男性"性"中毒が、無自覚に組織を壊滅させる事例

はじめに

前回、男性"性"中毒が起こしていそうな弊害を、以下の観点から書いて見た。

  • 男性"性"中毒の弊害1: 家族での影響

  • 男性"性"中毒の弊害2: 形骸化する職場の1on1

  • 男性"性"中毒の弊害3: 全く進まない権限移譲・部下育成・プレイヤーからの脱却

今回は、その続編の以下について書いて見たい。組織開発の仕事をしていると、この男性"性"中毒が、たくさんの悲劇を生み出している場面に出会う。

今日はその一例について書いて見たい。

  • 男性"性"中毒の弊害4: 良かれと思ってやっていることが、知らず知らずに組織を壊滅に追い込むこともある


男性"性"中毒の弊害4: 壊滅する組織

僕の本業は、組織開発だ。

組織の構成員のインタビューをさせてもらい、組織を外から俯瞰して見て、何が停滞や対立を生んでいるのか?の見立てを立てる。何が語られる必要があるのかに基づき、対話の場の設計とファシリテーションを行い、組織に気づきを与え、その気づきから自ら変容の歩みをはじめることを励まし、支援していく。

この仕事をしていると、以下のような組織に出会うことがたまにある。
※過去の複数社の経験から、一般化した内容

業務成果が出ていない組織。

トラブルが次から次へと勃発していて、顧客対応に奔走している。そんな組織を指揮しているリーダーは、これまで数々の問題を解決してきた百戦錬磨感が雰囲気から滲み出ている。

リーダーに組織がこのような状態になるまでの数年間の話を伺うと、相当苦労されてきたことが浮かび上がる。数年間、トラブルの連続だ。その都度その都度、原因究明して、考えて、悪者になってでも、その時の最善の策を講じている。もちろんそのチームの目的のために良かれと思って取り組んでいる。誠実で、真面目で、忍耐強くて、がんばってきたんだな…と敬意を感じる。

それなのにも関わらず、どういう訳か、問題が繰り返し勃発する。そして解決する。でも、また別の問題が勃発する。問題の連鎖。問題のバーゲンセール。全く悪気はないのに。良かれと思っているのに。報われない辛さもある。

無論、メンバーの残業が嵩む。コミュニケーションの質と量が激減する。仕事が前に進まず、本来の計画から著しくビハインドになる。業務品質の低下。これらがチームにピリピリ感を生み出す。原因分析の末の犯人探し。責任の押し付け合い。不穏な空気の蔓延。絶えない喧嘩や罵り合い。メンタル疾患者続出。退職者が出てくる。外から協力が得られなくなる。度重なる組織変更と役割変更に伴い、現場がどんどん混乱していく。赤字の垂れ流し。

止まらない暴走列車。負のスパイラル。

組織開発をする私たちは、全体を俯瞰した立場から客観的に見る。特に見ているのは、人と人の間に起きているダイナミズムを見ている

このような組織には、以下のような構造によって、沼にハマっているパターンがよくある。

<男性"性"に乗っ取られた、問題解決の虜になっているリーダー>
問題が勃発する度に、男性"性"に乗っ取られているのか、アドレナリンが分泌されたリーダーが、まるで吸い込まれるように、問題を分析して、原因究明して、解決策を考え、いっときのヒーローになる。

これが繰り返し続くと…

<首が回らなくなるリーダー>
リーダーがいつも一杯一杯で時間がない。リーダーがやるべき重要な仕事まで手が回らない。リーダーもいい加減疲れ始める。ピリピリ感が増す。それでも、問題解決の虜になっているリーダーは、相変わらず問題解決に奔走する。

すると…

<大事なことが後回しになる>
リーダーが忙しくしているので、大事なことの検討が後回しになる。加えて、メンバーとの大事なコミュニケーション(例えば、この取り組みの意味や価値やビジョン、個々の役割の話、大事なマターの合意形成)をとる時間がなくなってくる。

更に…

<当事者意識を失っているメンバー>
これまでの過程で、「問題は、すべてリーダーが解決してくれる」というチームの癖が染み付き、メンバーは主体性や当事者意識を失っている。故に、常に問題解決はリーダー任せ。受動性のオンパレード。

更に…

<重要な情報が、正確にタイムリーに流通しなくなる>
リーダーと、大事なコミュニケーションが十分に取られていないが故に、メンバーは「何を問題として捉えるべきなのか?」を考える視点もなければ、それを「どうにかしよう」「どうにかしたい」という当事者意識もないため、必要な報告・連絡・相談も十分にされない。

すると…

<リーダーは筋の悪い意思決定をしてしまう>
重要で正確な情報がタイムリーにリーダーのところに集まらない(リーダーのピリピリ感や忙しさも、それを更に助長させる)ため、リーダーが事態を正確に把握しないまま、筋の悪い意思決定をして進めてしまう。これが次なるトラブルを誘発する。

また…

<リーダーキレる>
トラブルの種になるような報告が、手遅れな状態でリーダーの耳に入ると、「どういうことだ!そんなこと聞いてないぞ!なんで放っておいたんだ!?それくらい考えればわかるだろう!💢」みたいになって、溝が深まり、対立が激化、分断が起き、職場の雰囲気が悪化する。

そして、またトラブルが起きる。

トラブルが起きると、次はどうなるのか?

もちろん、これまで通りのチームに根付いている文化、癖に則って…

男性"性"に乗っ取られた、問題解決の虜になるリーダーが解決に奔走する。

その傍らで、メンバーは、問題解決をリーダーに任せっきりで、受け身で指示待ち。

…と歴史がラットレースのように、繰り返される。無自覚に。

そして事態は、どんどん悪化していく。

そしてある時、リーダーは思う。

何が問題なんだろう?

…と、また問題解決に奔走する。

自分自身が、不本意な問題を作り出している

産科医イグナーツ・センメルヴァイスという方をご存知だろうか?

この方、実は凄い大発見をした方。

今となっては、外科手術する際に、消毒をしたり、マスクと手袋をするのは当たり前なことである。しかし150年前までは、それが当たり前じゃなかった。むしろ、そんなもの必要ない!と考えられていた。

1845年の手術中の写真。みんな素手。

でも、この人が、消毒の必要性を発見して、それを医学会に唱え続けた人。当時の人は、「医者の手が汚れているはずがない」という見方をしていて、なかなか広まらなかったらしい。消毒の必要性が広く普及し始めたのは、彼が亡くなってから10年後の話らしく、手洗いの普及に人生をかけた医師とも言える人。

ところで、彼はどうやって消毒の必要性を発見したのか?

ざっくりいうと…

1840年代、産褥熱で10%以上もの妊産婦が命を落としていたそうなんです。で、妊産婦の命を守りたい!と思った彼は、「分娩に立ち会う」合間に、時間を見つけては「産褥熱で亡くなった妊産婦の死体の解剖」を行っていたそうなんです。「原因を突き止めよう突き止めよう!」と頑張っていた。

そして、この日常を繰り返せば繰り返すほど、産褥熱で妊産婦が命を落とす確率がどんどん上がっていく。

「なんでだ?どうしてだ?」

…と発狂する訳ですが、あることをきっかけに、いろいろ事実関係を整理していったら気づいちゃった。

「あ、原因は、俺じゃね?」

…って。消毒せずに「分娩に立ち会う行為」と「死体の解剖」を交互にやっていたからだった。

何が言いたいかというと、私たちって自分が与えている影響に無自覚なんです。とても複雑すぎて、自分の立ち居振る舞いが普段、どこにどんな影響を与えているか、想像の範疇を超えてる。

だから無自覚にも…

自分が、なんとかしたい!と思って、良かれと思って取り組んでいる問題を生み出しているのは、自分自身だったりする

…ことが、とてつもなく多いです。

そんなリーダーに伝えたいこと

ここまで、がんばってきたよね。
あなたがいたから、ここまで来れたんだよ。
あなたによって救われた人もきっといたよ。
必死だったよね。
あなたには情熱があった。
真剣さがあった。
責任感があった。
夢があった。
あなたは本当によく頑張ってきた。

でもね、だからなのかな。
ちょっと空回ってしまったのかもしれないね。
やることやること全てが裏目に出てしまったのかもしれないね。
知らないうちに、こんがらがった釣り糸みたいになっちゃったのかもしれない。

こんなことを願っていた訳じゃないよね。
よかれと思ってやったんだよね。

でもそうなってしまった。

今ならまだ引き返せるよ。やり直せるよ。
あなたは、社員を不幸にしたい訳じゃない。
あなたは、赤字を垂れ流したい訳じゃない。
あなたは、喧嘩したい訳じゃない。

ただ自分の役割を全うして、その取り組みを成功させたいだけ。

だからこそ、ここは一旦、立ち止まって、ちょっと事態を冷静に整理しようぜ。

女性"性"が癒しをもたらす

組織をここまで複雑にさせてしまった大元を辿っていくと、この男性"性"に乗っ取られたリーダーが、問題解決に飛びつかないようにすると解消されていくことのように思うが、そんなに簡単ではない。

日頃から問題が勃発している。リーダーが手を止めると、業務が止まる。メンバーはこれまで受け身過ぎだったため、知識・スキルがおっついていない。それに、そもそもメンバーの方に主体的に問題解決をしていこうとする当事者意識もない冷え冷えの状態で、なんだったら業務に対して興醒めだったり、場合によってはリーダーに対して恨みつらみの感情塗れで、立ちあがろうとする気概もなかったりする。

この時に、男性"性"をちょっと止めてみて、女性"性"を開花させていくことが解決の糸口になったりする。僕が設計する対話の場の中では…

  • 第三者が介入することで、心理的安全性の高い場を整え

  • 各々が感じていることを吐露し、受け止め合う

  • 本当は何を目指したいのかを吐露し、受け止め合う

  • そのためにお互いにどう関わり合いたいのかを吐露し、受け止め合う

  • 問題を引き起こしている複雑に絡んだチームダイナミズムを明らかにして、自分自身が問題の原因の一人であることを受け止め合う

繰り返すうちに、徐々にチーム内の一人ひとりに、当事者意識が芽生え始め、みんなでこの事態に終止符を打ち、新しい未来に向けて何が必要なのか?を問うようになり、新しい習慣・文化・関わり方が形成されていく。

これが狂ってしまった歯車が再び円滑に動き出すきっかけになる。
過去の歴史を閉じて、新しい物語を紡ぎ出す。

最後に: 家族3人でオーストラリアにいって、コアラを抱っこするために、仕事募集中!

男性"性"から少し距離を置いて、男性"性"と女性"性をうまく扱えるような組織やチームになるサポートをしています。チームにもっと有機的な繋がり(=女性"性"?)を取り戻していくと、チームに活力と爆発力が湧いてきます。

そんなサービスにご興味ある方は、ぜひご相談ください!

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