5892 yutori
2023/12/27にグロース市場に上場し、ZOZOTOWNを展開するZOZOが23.96%を保有している。「YZ Store」を運営し、D2Cでアパレルを販売している企業。
代表取締役社長 片石貴展氏(30歳)が27.16%%を保有し筆頭株主。 また、片石氏が代表の株式会社poolが9.46%を保有する。
従業員の21%が20歳以下、54%が21歳から25歳、平均24.7歳という若さの企業。 さらに、HPには従業員56人のうち、アパレル経験者は10人という異色の企業であることが記載されている。
新規公開の内容
上場後の発行済み株式総数は1,565,700株(新株発行85,000株)になった。
株式の募集
新発行株式 85,000株
オーバーアロットメントによる売り出し 85,500株
引受価額 2318.4円
発行価格 2,520円
発行価額 2,057円
発行価額の総額 174百万円 (85,000株×2,057円)
資本組入額の総額 9853万円 (85,000株×2318.4円÷2)
払込金額の総額 197百万円
差引手取概算額 190百万円 用
途:すべての借入金返済に充当する予定(24年期:100百万円、25年期:102百万円)
株式の売出
ZOZOや創業者らによる売出。 売出数 485,000株 売出価額の総額 1,222百万円
オーバーアロットメント
売出数 85,500株 売出価額の総額 215百万円 ※グリーンシューオプションの行使期限及びシンジゲート取引の期間は2024年1月24日
ビジネスモデル
ファブレス企業として商品を発注、オンラインやオフラインを通して販売している。 1ブランドの売上高は数十億円ぐらい、ブランドの集合体が積み重なっていく成長を目指す。現在では22ブランドを展開している。
売上原価は、衣類のサプライヤーに対して支払うコストを中心に構成される。 販管費は、支払手数料、荷造運賃、人件費、償却費、地代家賃、経費から構成される。 支払手数料や荷造運賃は売上高に比例して発生する。
チャネル別売上高では、YZ Storeが51.4%、ZOZOTOWN31.5%、店舗・POPUPが10.3%となっている。店舗数は2023年9月末で13店舗を展開。
YZ Storeは2022年11月から開始しているのにも関わらず、23年3月期末で売上高構成の51.4%を占めると非常に速いスピード。(おそらく自社ECサイト(PAMM、F-LAGSTUF-Fを)含む数字なので0%から5か月で51%を達成したわけではないはず)
また、23年4月にローンチしたアプリ版は既に5.7万ダウンロードを超える。また、自社ECサイトアクセス数は23年7~9月で186.3万と堅調に推移。
成長戦略として、顧客基盤を活かしたアパレル以外への展開も考えているようなので期待。直近では、ブランドの買収と創出が成長戦略であるといえる。
SNSマーケティング
yutoriの特徴の一つでSNSマーケティングが挙げられている。 ブランド公式アカウントや社内運用個人アカウント、インフルエンサーアカウントを利用して、ファンの獲得と継続購入に繋げている。
特にTiKToKでは161.8万人、Instagramでは152.6万人のフォロワーがいる。 月間動画制作本数446本、うち広告動画本数238本、CTR3.5%以上の動画84本など(23年9月の数字)とSNSを利用してリーチしている。
面白い数字としては、2023年9月の例でSNSコンテンツへのリーチ数が1,425万人、プロフィールアクセス数が253万人、自社ECサイト月間訪問者数50.2万人のうちSNS経由が26.7万人、月間購入者数が1.3万人となっていること。
EC訪問者数の53%がSNS経由と非常に重要な役割を担っている。
24年3月期2Q (上場前の6か月間)
売上高 1,751百万円
営業利益 113百万円
純利益 53百万円
3Q以降はコート・アウター等が販売中心になることが考えられ商品単価が上昇することを予想。自己資本比率が16.3%とかなり低め(ZOZO:53%、アダストリア:54%、ユナイテッドアローズ:53%)。
今期の業績は、売上高35億円(前年比+44.4%)、営業利益3.3億円、純利益2.1億円、一株当たり利益143.15円を予想。
新規公開の資料からわかる数字から資金調達後の自己資本比率を調整してみる。 現金を市場から調達して有利子負債を1億円返済、純利益が2,1億円計上されたとすると、おおよそ総資産が20億円の自己資本が7億円程度になり、自己資本比率は35%程度と改善される。
2Qの時点で株主資本2.8億円に対して、有利子負債が9億円であったので、調達した資金を投資ではなく返済に使うのも納得。
今まで商品の在庫と買収に資金が使われたと思われるが、それらの調達は債務とZOZOからの出資に頼ってた感じかなと。
CFも在庫の規模が大きいので、在庫に左右されそうなビジネスモデル。会社の規模が小さいこともあり、売上減ると資本を使いきりそうである。今回の調達した資金で余裕ができた感じ。元々、親にZOZOいたからそういう心配はなかったのかもと考えたり。
コロナ禍の21年3月期に32百万円の利益。22年月3期に149百万円の利益。 コロナ終わって円安に悩まされながら23年3月期は-68百万円の赤字。 それで、24年3月期にはYZ Storeが貢献してか一気に210百万円の利益を予想。
過去の利益率20年度が5.65%、21年度が9.1%、22年度が-2.7%に対して、23年度6%を予想しているので売上高の成長が予想通りであれば達成可能かと。
その先の将来については売上高がSNSマーケティングでどの程度の規模出せるかってのかってことがやっぱ気になる。 TAMはかなり大きいみたいだが、今のところ同じ速度で成長できるっていう確信度は低い。
実際に、売上高5年CAGRが251%と言っても、維持は不可能(今期予想の44%も相当高いが)。
最後に懸念点として、がっつり範囲でも資金でも規模の優位があるSheinがいるってのがネック、棲み分け可能かも含めて注視したい。どこかに買われるってのもあるかもとか。