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親父に教わったこと その1

二十歳をすぎたた頃だろうか

わたし、だんだんと親父のことが好きになってきた。

小さな頃はとにかく恐い存在で、何かというと

ゲンコすっぞ!というが早いかよくブン殴られたものだ。

まあ、悪いことしたから怒られるんだけど。


わたしがふらりと遊びに行ったとき、親父の手料理を

頂いたことがあったのだが、それがべらぼうに美味い!

聞けば近所の料理教室に通っているというではないか!

親父が60歳を少し過ぎころだ。

さらに電子ピアノを買ってきてこれまた教室に通って

来週には発表会があるとかゆう。

オッサンやるな!楽しそうではないか!

まだ片手での演奏だから幼稚園生や小学生にまじってのた

め、本人も気恥ずかしいらしく見学は断わられた。

その頃面白い本があると見せられたのがステレオグラムだ。

幾何学文様の平面画像から立体が浮かび上がってくる、

なんとも不思議なわたしの好奇心が急上昇するものだった!


ワタシ三度の飯よりも不思議なものが大好物です。

このテのものを面白いな〜、誰が考えたんだろうな〜

とたくさん探しては悦にひたっている。

昔から親父の部屋には山のように書物があり、海外の書籍も

多数あった。若い頃相当努力してきたのだろう。

ある時親父に

オッサンは活字中毒だな〜というと、

そのとおりだ!あんたも外国語でもマスターしてみないか?

少し努力して、と笑っていた。


オッサンは好奇心が旺盛だね、なぜそこまでするのかね?

わたしの問に親父はこう言った。


周りの人が話が解らなくてポカーンとしてるところ

あたしらだけ意味がわかって笑えたりしたなら

こりゃ結構なことじゃないかね?


な〜るほど、何か頭の中に稲妻が走ったような気がした。

この言葉が後のわたしの人生に大きな影響を与えたのだ。

分からないことがあったら、自分が解るまでトコトン調べ

るクセをつけたのだ。

そのまた10年後、また別の国の言葉を話せるようになった親

父を誇らしくも思っていた。

くっそ〜!負けてらんねー!頑張っちゃうからな!

出来るならば親父が生きてるうちにその知的好奇心を

満足させてあげられるくらいの

財力を持てるようになりたいものだ。

人に迷惑かけまくったけど、どうにか今日まで生きられたのは

わたしが親父と母ちゃんの子であったからなんだなー。

二人の根性だけは引きついだみたいです。

照れくさくてあんまり言わないけど。ありがとです。感謝。


だからもうちょっとだけ長生きしてはくれまいか。ね?



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