イギリスでのホテルマンとしての働き方。
※この記事は2023年5月のブログの投稿をnoteに移行したものです。
イギリスに来るまでは、日本で日系のホテルに6年2ヶ月勤めていました。今はロンドンにある外資系のホテルで勤務しています。
ホテルでの仕事経験しかないのでホテルマンの働き方にはなりますが、日本とイギリスとで感じた働き方の違いをまとめたいと思います。
●チップがボーナス代わり!
私の働く外資系ホテルでは、ボーナスはありません。毎月変動するお客様からのチップが基本給に加算されて振り込まれます。年末の繁忙期と1月の閑散期では£700(約11万円)もお給料が違いました。
チップは部門ごとに計算され、労働時間に応じて割り当てられます。お客様からのチップが自分の給料に直接影響するので、サービスのやりがいを感じますし、繁忙期も気分的に耐えられました。
日本の場合は忙しくても、忙しくなくても残業代は時間単位でのみ給料が支給されます。もちろん売り上げが伸びればその分年2回のボーナスに少し影響はありますが、繁忙期と閑散期の差の激しいサービス業では、成果が見えにくくもあります。
●マネージャーも残業なしで帰宅
さすがヨーロッパなんですが、マネージャーも平社員も、みんな残業無しを目指して帰ります。新卒で日本の会社に入社時代は毎日3〜4時間残業をしていました。日本のホテル業界はそんなの当たり前でしょうが…。
残業は30分単位で打刻されます。残業が多くなると8時間毎に有給として扱われます。
しかも、仕事後の予定や、交通機関を理由に一足先に帰る人もいて、あの上司よりも先に帰っちゃいけない、なんて誰も考えていません。
●「みんな同じ」よりもパーソナリティで勝負
ホテルで働いてると、たくさんの身だしなみ研修、サービス研修が行われますよね。
イギリスでは均質な見た目やサービスよりも、個人の性質を活かしたサービスを重視します。
平社員はもちろん制服が支給されますが、スーパーバイザーやマネージャーは自分でスーツを用意します。スーツの色も形も素材もある程度自由で、ある人は素敵なスカーフをして個性を出したり、ある人は自分の好きな香水で第一印象を演出したり。見た目だけではなくて、サービスの隅々にまでマニュアルがあったりトレーニングがあるわけではなく、個人の実力に委ねられる場面が非常に多いです。
実力のある人はホテルの口コミに名前が上がったり、お客様からのアンケートにいいフィードバックをもらったりして、上司から次なるステップアップの場を与えられ、時には月に一度の表彰を受けたりします。これはイギリスの、いいサービスは評価されるべきというチップの文化の背景があるためと感じています。
逆に仕事ぶりのいまいちな人はどうかというと、特に周りからいじめられたりすることはありません。ゆっくりマイペースにやりたい人にも居場所があります。誰もが仕事を一番に考えることを強要する方が、少し気持ち悪いですよね。
●仕事での成功よりも、リラックスして働くことを重視?
日本では、「仕事で成長したい!昇進してもっと稼げるようになりたい!」と思っていましたし、おそらくそう思って働いている日本人は多いのかなと思います。
今の職場はイギリス人だけでなく、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ハンガリー、ギリシャ、アメリカ、ウクライナ、ウズベキスタン、インド、ネパール、中国、韓国、ケニア、南アフリカ、ガーナ、……などなど、世界中からロンドンへ移住してきた人が集まっています。
言い換えれば世界中の仕事の価値観が集合して職場の雰囲気が出来上がっている訳ですが、みんなとにかく、リラックスして仕事に取り組んでいます。(アジア圏の人たちは若干せかせか気味ですが)
私は日本での仕事を真剣にやりすぎたあまり体調を崩していたので、リラックスして取り組むことを仲間に教えてもらえて本当に勉強になりました。
責任感の強い私は英語も上手ではないのにインチャージを任され、ストレスを感じで険しい顔で仕事をしていたところ、「ミスをしても大丈夫、完璧じゃなくてもやってみよう。」「仕事にそんなに真剣になってどうする?」と仲間がみんな声をかけてくれて、私の価値観とは全く違うところにいるのだと感じました。
仕事は人生の一部ではあるけど、人生そのものじゃない。仕事はある程度でやって、残りの私生活を大事にするというスタンスの人が多いです。
マネージャーも、仕事中ある程度雑談をしたり、暇な時は思い切りエネルギーをセーブしてリラックスしようと提案してきます。
リラックスして仕事に取り組み、仕事を一生懸命にやりすぎないこと、私生活を重視することは、日本に帰っても実行したいです。
以上、イギリスでのホテルマンの働き方をいくつかあげました!
お金を稼いで生きていく以上、働き方については今までも、これからもずっと誰もが考えていくことかと思います。
ヨーロッパの人たちの仕事の価値観に触れることで、仕事の捉え方が大きく変わりました。
仕事でがむしゃらに努力し続けたり、人生の効率ばかりを追求してたり、我慢して嫌なことをやり続けても、ただ疲弊するだけであまり意味が無いように思います。
リラックスして仕事に取り組んで、私生活も精神的に余裕を持って過ごすことで、その仕事が本当に自分のやりたいことなのか考えたり、次の目標に向けて勉強時間を作ったりもできます。
日本食は恋しいですが、ワークライフバランスのことを考えるとヨーロッパを離れるのが惜しいです。
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