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映画感想『2分の1の魔法』 吹替

原題「ONWARD」

◆あらすじ◆
魔法が消えかけた世界に暮らす少年イアン。引っ込み思案で何事にも自信を持てずにいた彼は、16歳の誕生日にあるプレゼントを受け取る。それは、イアンが生まれる前に他界した父が、16歳になったら渡してくれと母に託した魔法の杖だった。さっそくイアンは一目会いたいと願っていた父を復活させようとするが、魔法は半分しか成功せず、甦ったのは父の両足だけだった。そこでイアンは陽気な魔法オタクの兄バーリーとともに、復活の魔法を完成させるための大冒険へと旅立つのだったが…。




原題の「ONWARD」ってのがまさしくピッタリの内容。

神話や伝説上の生き物が共存する平和だが効率ばかりを追求した世界。だが嘗ては限られた者達が徐々に魔法を習得しそこに便利さを生み出していた…この世界観の設定がピクサーらしいなぁと感じながら鑑賞。

現代の利便性だけを追求した生活様式に警鐘を鳴らすべく描かれた冒頭から【古き良き不便さ】ってのを【丁寧に暮らす生き方推奨】と言う風にも捉えられる。

この物語は鍵である【魔法を使える素質】を持つ弟イアンが主人公で彼の能力無くして父を蘇らせる事は出来ないのだが、実はちょっと何処かネジが飛んでて神話ゲームばっかりやってる兄バーリーがもっと大きなカギになってるってのが裏アカみたいでオモシロイ。

自信を持てない主人公イアンが父親を蘇らせる兄との冒険の過程で何を求め、そして得るのか?
その過程で弟をいつもいつも支えて元気づけるバーリー兄ちゃんの弟愛がスンゴク泣けるのよねぇ。

それと・・・浦嶋りんこさんのマンティコワ良かったぁ!ピッタリだったよ~~!

一歩一歩、自分の身体を使って何かを成し遂げるってのはホントにイイもんだよ。
文明の利器に頼ってばかりだと脳も退化するしね。考えて行動して失敗してまた考えてまた失敗して・・・そして何かを手にする。昔は嫌でもそうして来たんだけどね。
いつの間にか日本は競争させないとか危ない事は全て排除して【安全圏】にしか子供の居場所は無いかの様に振る舞う人達が増えてる。やれ抗菌だのなんだのって今に無菌室じゃないと生活出来ない子供ばっかりになるぞ!トラボルタの『プラスチックの中の青春』を見た方がいいね。ホント切ないよ・・・。

そういう意味でこの作品は色々考えさせられるテーマではあった。


⚠️ここからネタバレ

最後の最後、イアンは自分は父親の事を知らなくて記憶も無いから寂しくて哀しくてひと目会いたいと思ってたんだけど実は父親を幼い頃に亡くし思い出や温もりを知っていた兄の方が自分よりもっと数段に辛くて哀しくて寂しくてもう一度会いたい気持ちが強いって事に気付くシーン・・・スンゴク大好きだった。

自分だけが父親を知らないヒガミみたいなものが彼のココロを束縛してたんだね。
それが解放された時、周りを見つめる視線に変化が生じて彼の本来の優しさや強さが現れたんだな。


2020/09/11


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