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映画感想『Pearl パール』

原題「PEARL」

◆あらすじ◆
1918年、テキサスの貧しい農場に暮らす純真無垢な娘パール。映画の中の華やかな踊り子に憧れる彼女だったが、現実は厳格な母に支配され、父の介護と家畜の世話に追われる鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、町で若い映写技師と出会い、これをきっかけに、外の世界への憧れがますます強まっていくパール。やがて、旅一座のオーディションがあると知り、参加したいという気持ちが抑えられなくなっていくパールだったが…。

※アマプラ配信鑑賞

ミア・ゴス無双!


いやぁ、今作の彼女は見事に演技が炸裂してた。

今作が前日譚となる同監督作『Ⅹエックス』は観てないがちょっと観たくなるくらいの傑作。

ホラーと言うカテゴリーでなかなか賞レースに上ってこなかったがいやぁ構成も映像も主演もかなり来てるわ。

要素としては・・・

第一次世界大戦
スペイン風邪のパンデミック
田舎農場暮らしの閉塞感
清教徒的母親から成る不自由
全身不随な父親の介護

まるで抱えてる問題が現代と変わらないんですけど~。
いやいや。1918年のお話どすえぇぇ。
100年以上経っても同じかよっ!!

この設定は主人公パールの現実への絶望や不全さを描くにはまさに効果的!
彼女の境遇に共感しか湧かないわ。

ただ、タイ・ウェスト監督の手腕はその映像が総天然色である亊。
パールの絶望が深化するほどその色彩が皮肉にも美しく輝く。

ミア・ゴス演じるパールのストレスは映画の中のダンサーへの憧れが儘ならない事。
町に出かけたいが不遇な環境によって制限される。

その不満が徐々に溢れ出す過程の描き方は常軌を逸してはいるが人の精神が崩壊していくのはちょっとした衝動なんだなって、そのスイッチは自分でも容易には判断出来ないのでは?と思わされる。

だってパールが悪い子だって思えないんだも~~~ん(● ˃˂ )⁾⁾

鬱屈していく彼女の心情を鑑みたらあのラストは当たり前のようにも思えて現代のヤングケアラー問題が脳裏を過ったりするよね。

で、その感情がエスカレートする段階と【玄関先の豚の丸焼き蛆虫湧く湧く案件】がパラレル進行していく演出・・・人間の精神が蝕まれる描写としてはこれ以上無い気持ち悪さだ。
あの豚で気分害される人多発じゃない?
確かR15+だったもんね。

『A Free Ride』(1915年制作)と言う実在のハードコアポルノを差し込んだりスラッシャーホラー要素をぶち込んで来たりと内容もなかなか多岐に渡って楽しめる。

とにかくクライマックスのミア・ゴス最強なノーカット一人語りとラスト、エンドクレジット間の彼女の表情の微妙な変化は圧巻!
あの長回しで一瞬たりとも目が離せない。
映画史に残ると言っても過言ではない気迫あるシーン。
これを観るだけでも価値ありと言える。

ワニが友達ですけど何か?(そんな事を訴えるシーンではないよ)

いやぁ、ミア・ゴス凄いわ。


「今あるものを大事にするわ」
自分を不自由にする要素を排除し既に全てを失った彼女の口から発せられる言葉…

それが【究極の自由】なのかもしれない。



ヒグチユウコ氏のポスター置いておこう。

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