映画感想『ノイズ』
コレ、好きだわぁ。
第三者的私感を述べれば非常に意地の悪さを含んだ負の連鎖の応酬。
特に捜査で登場する永瀬正敏演じる刑事の描写なんて正義に裏打ちされる悪意とも取れる。
舞台は安泰を絵に描いた様な島、だがその閉塞故に齎されるモラルの崩壊。
島全体が顔見知りで長年の付き合い。
他人だが家族の様でもあり、だがそれ故に見せない、見せづらい人格の背面。
穏やかそうに見えるが張り詰めながら営んで来た彼らの【生態系】が如何に崩れどんな風に澱みが表面化するのか?
2時間強の長尺を感じさせない配役の妙がそれを良質なサスペンスとして昇華させてる。
渡辺大知のサイコぶりも重要点だな。
どの人物に感情移入するかでかなり観る方向性が変わるなぁ。
因みに自分は松ケンから目が離せなかった。
( ✧Д✧) カッ!!
人の心の奥底に眠る黒い闇(病み)が顔を出す瞬間は自分にも図れないのだろう。
【大切なものを守る】と言う大義で自分を惑わせてはイケナイ。
嘘をつき続ける事の労力は想像以上にハードだろう。
私がまだ高校生の頃、父に「浮気した事ある?」と訊いたら彼は「嘘をつき続けなきゃいけない様な面倒な事はしない」と返した。
真意は別としてwwとても父らしい答えが返って来て納得したのだが大人になって益々その意味が実感できる。
一度付いた嘘は他者によってバラされるか己が正直になるか以外永遠に嘘を重ねる事になる。
想像しただけでもウンザリだ。
今作は嘘のレベルが違うがそんな話だ。
一瞬で思いついた目先の誤魔化しなんて良い結果を生む筈がない。尚且つ連鎖を生む。
長い視点で考えればそれを認め受け入れ嫌な事は一瞬で終わらせてしまうのが最善手ではないのか?
統計的に見ても完全犯罪などほぼ成り立たないのだから・・・。
ましてや思い付きなら尚更だ。
隠したい気持ちは解るがね、でも絶対にバレるから。
しかしこの作品、最後の最後まで二転三転と楽しませてくれる。
前述したが個人的に松ケンから目が離せなかったのは幼馴染で親友なはずの三人なのにジュン(松ケン)はケイタにコンプレックスがあり、尚且つケイタ(藤原竜也)とカナ(黒木華)の二人が結婚し幸せになってる時点で「アイツには裏がある!」とコチラが読んでいたからでこの事件に彼の過去や想いがどう絡んで来るのかが楽しみでワクワクしながら鑑賞していたんだが・・・いやぁ、あそこまでだとはなぁ・・・。
犯罪の火種なんてホントに身近にあるもんなのだと思わされるよね。
ホントに色々複雑で難しい世の中になっちまったな。
2022/02/02