『デトロイト』
原題「Detroit」
◆あらすじ◆
1967年夏、デトロイトでアメリカ史上最大級の暴動が勃発した。抗争が続く中、若い黒人客で賑わうモーテルに銃声が響き、警官と州兵が詰めかける。彼らは暴力的な不当尋問を強行。事態は異常な様相を呈し始める。
ビグロー監督ならではの緊迫感に満ちたドキュメントタッチの演出。
人権の闇と光の見事な構成。
演者の辛かったであろう現場再現の演技の濃さ。
この手の作品は出来得る限り観て来て事件の結末はそうなるだろうと予測は出来てもやはり憤りが治まらない。
数十年かけて寝かせ付けた子を起こす様な大統領選を経て監督はこの事件を【今】公にするべきと思ったのかもしれない。
白人至上主義者の前ではどんな人種も差別対象であり、それは今現在でも米国に根深く蔓延る闇である事を認識するには充分過ぎる程の非道さと差別そのものの愚劣さを今作はしっかりと表現している。
しかし何故、誰もあの状況を回避出来なかったのか?
非差別を口にする者も居たのに…。