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映画感想『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』

原題「SHOPLIFTERS OF THE WORLD」

◆あらすじ◆
1987年、コロラド州デンバー。大好きなザ・スミスの解散というニュースに動揺するクレオ。何よりもショックなのは、町の人々が何事もなかったように普段通りなこと。早速、レコードショップの店員ディーン相手に不満をぶつける。その夜、ディーンは地元のラジオ局に単身乗り込み、銃でDJを脅してザ・スミスの曲をかけるよう要求するのだったが…。


スミスに纏わる【都市伝説】にインスパイアされた物語…


鬱憤、悲観、屈折…そして解放。
大好きだった物や人を突然失う衝撃は痛い程解る。
でも若さは100%可能性なんだよ!
その痛みや憤りを原動力に替えなきゃ前へは進めない!!

この歳でこんなにキュンとさせられるなんて!
個人的にはとても思い入れてしまった一作。
UKロックに明け暮れた当時の自分と重ねちゃってなんだかウルウルが止まらなかったわ。

THE SMITHの解散に嘆く若者が主役だが"ロック愛"ひいては"音楽愛"、更には若者達によるアイデンティティの模索が「人間には"ジャンル"など無く、皆"ただ人として理解し合える世界"が必要なんだ」と謳ってる。
だからスミスファンじゃなくてもポップロックファンなら楽しめるしスミスファンならその数百倍細部で楽しめる!


でも、ヘビメタDJ役のジョー・マンガニエロが良かったのは特筆もの(笑)

当時のファッションも懐かしー!

全編に流れるTHE SMITHのサウンド、モリッシーの声、ジョニー・マーのギター…そして彼等のインタビュー肉声…
凄く当時のリアルさを感じてあの頃に戻った感じがした。
多分、監督ちゃんが同年代…だな。(1969年生まれだったわ)

こー言う作品ホント好きなんだよなぁ❤
ちょっと粗削りでザラザラする感じがまた青春感出ててズキって刺さる。

そして、かなりの比率でセクシャリティに関して描いてる。

ジェームズ・ブルーア演じるパトリックが気になって気になって…

彼が最終的にどうなるのか?目覚めるのか否か?目覚めるならその過程は如何に?の構図はこの物語の重要部分だったよね。
そして彼の性にみんな気付いててもちろん本人も疑ってるけどまだまだ時代的に認められない空気が漂ってる。だから真向から自分を否定しまくって・・・でも彼女のシーラとは一度試してみたけどそれ以降【禁欲】を掲げてセックスレスに持ち込んでるって設定・・・だよね~ってなったわ。
でも、親友のビリーが彼を目覚めさせようとするキスシーンがあったりホントこの映画楽しめる要素があり過ぎ!!

モリッシー自身がジェンダーやセクシャリティについて興味深く歌詞に書いてる様にこの映画のタイトルであるTHE SMITHの曲『Shoplifters of the World unite』のShopliftersはゲイの人達を意味してるのでは?と言う説もある。
「世界中の万引き犯よ、団結しろ!そして乗っ取るんだ」「僕の唯一の弱点は犯罪歴だ」と歌う歌詞には確かにその文面だけの意味では無さそうだと感じる。
ヘテロ以外の性は罪だと言われた時代…

THE SMITHの解散はモリッシーとジョニー・マーの不仲だと噂されてるがどうやら解散の直前までお揃いのピアスを左右で分け合ってしてたと言う話もあるからなぁ…
あの頃から35年経った今でもTHE SMITHの曲はちっとも色褪せないし今再び聴くべきなのかもしれない。

映像内の至る所にポスターが貼られててモリッシー若っ!ってなるよ(笑)


そしてビリーを演じたニック・クラウスがちょっと『トレスポ』のユアン・マクレガーに似てたと思うのはアタシだけなのか?
坊主好きには堪らんぜよ・・・可愛ええビリー。



2021/12/11