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映画感想『メイキング・オブ・モータウン』

原題「HITSVILLE: THE MAKING
             OF MOTOWN」


◆内容◆
自動車の街デトロイトの片隅に建つ一軒家"ヒッツヴィルUSA"を拠点にミラクルズ、テンプテーションズ、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5はじめ新たな才能を次々と輩出し、全米No.1ヒットを連発して世界の音楽シーンを席巻したレコード・レーベル"モータウン"。その創始者であるベリー・ゴーディが、盟友スモーキー・ロビンソンとともに伝説のレーベルの歴史と哲学、ヒット曲制作のノウハウや数々の名曲誕生にまつわる秘話を縦横無尽に語った音楽ドキュメンタリー。 




あの時代、モータウンが人種や性別に囚われない視点を持ったレーベル(会社)だったからこそあの成功を導いた【裏付け】とも言えるドキュメンタリー作品。
1972年にロサンゼルスに移転するまでのデトロイト時代に絞った内容だ。

冒頭から面白かったのは職を転々としたモータウン創業者ベリー・ゴーディが語る「自動車工場で学んだ自動車を作る一つ一つの工程を音楽作りに生かした」と言う言葉。その言葉の背景に自動車工場でパーツを組み立てていく機械的なリズムが流れる・・・もうそこで既にR&Bが始まっているのだ。

その後登場する当時の副社長スモーキー・ロビンソンとゴーディがまるで子供の様に当時を振り返って笑い合う姿が微笑ましい。50年以上の親友だと語る二人の関係性はまさに【ソウルメイト】なのだろう。

スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5、ダイアナ・ロス&シュープリームス、テンプテーションズ、マーヴェレッツ、ミラクルズ・・・

モータウンに所属した数々の著名アーティスト達がどんな風にこのレーベルと関わって来たかが目まぐるしく猛スピードで羅列されるんだが知らないアーティストは一組も居なかった。
むしろ、貴重な映像がどんどん展開されるので嬉しくて堪らんぜ!と言う感じ。

インタヴューも俳優の・ジェイミー・フォックス(『ドリーム・ガールズ』でゴーディがモデルの役を演じた)や短期間だが所属していたニール・ヤングが登場するなど多岐に渡っていて楽しい。

デトロイトが車産業と音楽で潤った時代・・・あまりにも懐かしい(生まれたばっかりだし住んでないけど・・・ww)


ただ、この作品はそんなモータウンの上っ面だけじゃなく彼等と長く関わって来た裏方スタッフの話も聞けるので当時の舞台裏に関する話も貴重だ。


更に、2018年に公開された『グリーンブック』でも描かれてたが1960年代アメリカの北部と南部では黒人(colored)への扱いがかなり違っていた。モータウンは北部のデトロイトで設立されたから南部の状況に関しては無知だった。
この作品の中盤でそれまでヒットメーカーとして順風満帆の様相を呈していた彼等だが全米ツアーの話題になった途端様子が一転する。
南部での酷い差別を目の当たりにする事で彼等の音楽に対する意識はかなり上書きされただろうな。
【モータウン】は【黒人音楽】ではなく【黒人アーティストが(全ての人に向けて)奏でる音楽】だと言うゴーディの言葉が印象的だった。

そういう意味で分断された米国が今この作品を世に送り出した意味はとても深い。
繰り返される『モータウンは家族なんだ』と言う言葉に嘘は感じられない。

エピソードとしては今やアメリカンスタンダードともなっている大ヒット曲マーヴィン・ゲイの『What’s Going On』がその地位に上り詰めるまでの経緯は興味深かった。一曲が様々な歴史を持ってるんだな・・・。

色んな意味で見応えあったわ。

まぁ、とにかく懐かしい大ヒット曲の数々に身体が動かないわけないよな!
♫あ〜びで〜


スティーヴィー12歳映像・・・天才以外の何者でもない!


2020/11/16




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