映画感想『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
原題「EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE」
◆あらすじ◆
アメリカで頼りない夫とコインランドリーを営む中国移民のエヴリン。仕事ではただでさえ経営が厳しいのに、国税局から納税申告の不備を指摘され、家では頑固な父親の介護に追われる中、反抗的な一人娘ジョイが女性の恋人というやっかいな問題を持ち込もうとしていて、すっかり疲れ果てていた。そんな中、突然夫に“別の宇宙の夫”が乗り移り、強大な悪の存在によって危機に直面した全宇宙を救ってほしいと語り、いきなり世界の命運を託されてしまうエヴリン。しかも巨悪の正体は娘のジョイとのこと。困惑しながらも、平行宇宙へジャンプする技術によってカンフーの達人となった“別の宇宙のエヴリン”の力を得て、ジョイの暴走を止めるための過酷な戦いへと身を投じていくエヴリンだったが…。
タイトル通りいっぺんにドワッと来てとにかく目まぐるしい。
もし自分にマルチバースが同時混在したら・・・みたいな世界観。
スクリーン上がコインランドリー(このストーリーの元々の舞台)の洗濯機内みたいにぐ~るぐるだ。
でもそれに巻き込まれても全然大丈夫!
観終わった後には自然と心の中が洗濯されて浄化してるから!ww
ミシェル・ヨー演じるエヴリン母さんが相棒(夫)のウェイモンドと共に全マルチバースの強敵とガンガン戦って家族の絆を取り戻すんだけどその戦いの中に色んな要素が描かれてて凄い情報量が脳を埋め尽くす。
でも基本のストーリーが物凄くシンプルだから結構物語的な部分ではすんなり入って来るんだよね。
アメリカに生きるアジア系移民家族の背景、母の期待通りにならない同性愛の娘…って言うのが基本テーマ。
それを主体に描き出されるマルチバース世界の設定がメチャクチャ風変わりだけどなかなかに興味深さがあるのが良い。
例えば、手の指がソーセージなんてグロ優しい世界…手が上手く使えない分、足はとっても発達してる。
生物(人間)の可能性と言う言及も感じる貴重シークエンス。
エヴリンの強敵として登場するジェイミー・リー・カーティスがこの指ソーセージ世界では彼女のパートナーとして生きてる。
この一見ガチャガチャに見えるが緻密に計算された展開で“世界が違えばそんな生き方も在る”と言うメッセージがスッと入って来るの上手い!
そんな様々な価値観が行ったり来たりの#エブエブ。
家族だろうが他人だろうがひとりの人間同士だからお互いを否定せず少しずつでも認め合いながら世界を作っていきたいよなって改めて思った。
多重の心や世界がなぜ生まれてしまうのか?と問う作品だね。
ちっともカオスとかじゃないし規模が大きい様に見せかけて実はパーソナル。
そしてヒッチャカメッチャカに見せ
てホントはその意味が凄くわかる的なの上手いし好きだわ。
さすがあの名作『スイス・アーミー・マン』を生み出したクワン&シャイナートの“ダニエルズ監督”。
そして嘗てあの子役だったキー・ホイ・クァンが凄く良かった。
実はもともとジャッキー・チェンのために書かれた脚本だったそうで彼の存在がこの映画をカンフー映画としても楽しませてくれる。「えっ?ジャッキー?」なんて思ったり思わなかったり(笑)
そして、間違い無く主演ミシェル・ヨーの集大成的な作品ではある。
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