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映画感想『憐れみの3章』

原題「KINDS OF KINDNESS」

◆あらすじ◆
支配的な上司と彼にすべてをコントロールされる部下、海難事故から奇跡的に生還した妻と彼女を別人と疑い始める夫、愛する家族と別れ、カルト教団のために特別な能力を持つ人物を探し続ける女といったそれぞれに特殊な関係性の中で、次第に運命を狂わされていく登場人物たちが辿る衝撃の顛末を、ユーモアを織り交ぜつつも過激かつダークな筆致でスタイリッシュに描き出していく。


これぞ【ザ・ランティモス!】な原点回帰とも言える難解極まりない作品だった!(嬉)
とにかく既成概念に囚われない演出と展開。
映像に使われる色彩も絶妙!

前2作は脚本が別だった為か非常に分かり易さを感じたが今作はランティモス監督&エフティミス・フィリップ脚本という初期のコンビなのがファンにとっては「来たー!」なのだ。
あの『ロブスター』を観た時の感情が蘇ったわ。


ランティモス監督らしいグロテスクとも思えるシーンやセックス描写がなかなかなレベルと割合で描かれるのも好みが分かれる所だが何処か滑稽さも表現される所が巧いなぁと思える。

結構印象に残ったのは第2章、妻が海難事故で行方不明になり落ち込むダニエルから “あの映像”を観ようと言われ何となくそれを避けようとする友人二人の様子と結局それを観るシーンで流れる“あの映像”の内容にめちゃくちゃ笑えたのはワタシだけじゃないよね?
「あぁ、なるほどそう言う御関係ですか」と心の中でほくそ笑んだよね。
それは気まずいよなぁ・・・ww

ママドゥ・アティエが結構いい味出してたと思う


あと第3章、穢れた身体をサウナ(にしか見えない)の様な蒸し室に入れて意識を失うまで蒸される【小籠包施術】!!
その身体を教祖らしき男(ウィレム・デフォー)のパートナーが腹のあたりを舐めて穢れがあるかどうか確かめる儀式には呆れるくらいに馬鹿馬鹿しくて気持ちとしては「追い出されてよかったじゃん!」だった。


まぁ、ウィレム・デフォーとエマ・ストーンは前作に引き続きのキャストでそれも3章全てで中心人物なんでね若干食傷気味になるのは必至で色々見せられた最後にウィレム・デフォーのビキニパンツはちょっと満腹感が過ぎたかなww

でも中心人物を演じるジェシー・プレモンスが最高にイイのは確か。
彼、確か現在公開中の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』にもご出演中。
かなり個性的な雰囲気も出せるし全く特徴のない周りに溶け込み系もいけそうだし【ダサださ男】も完璧に演じられる俳優さんぽい。

個人的には3章目のアンドリューが好きだったかな。まぁ単純に坊主が好きってだけかもだけどwww


食傷気味とは書いたが「3章」と言うくらいでオムニバス形式だから役者のそれぞれの演じ分けも楽しい一作。

最後まで観ると一周回ってワン!みたいなね。
誰かがロールケーキみたいな作品って言ってたけど・・・
そうか?そうなのか?かもねかもねそうかもね♪・・・ちょっと違うと思う。

原題「Kinds of Kindness」は「さまざまな種類の優しさ」と言う意味だが【善意】や【親切】も見方によっては余計なお世話だったり憐れさや不憫さを感じる事も・・・。
まぁ、全編観終わって原題の【優しさ】的なものは皆無で邦題の【憐れさ】しか感じないと言う結果。

なんでも言われた事を聞けばイイってもんじゃない!

要らぬ思い込みや何かに取り憑かれ依存する事の精神的自由と不自由。
視野の狭さが己や周囲の人生を破壊する事は少なくないはず。



あっそうそう。
エマ・ストーンのクネクネ踊りはいいポイントになったね。

めちゃキモチワルかった(;´Д`)


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