映画感想『オートクチュール』
原題「HAUTE COUTURE」
貧困層の団地に鬱病の母と住むジャド、ヒョンな事からあのDiorのアトリエに身を置くことになる。
汚い言葉が飛び交い犯罪が日常の彼女にとってあまりの別世界に初めは戸惑うが次第に価値観を変化させてゆく。
パリは確かにスリが多くて地下鉄は要注意!
ワタシも友人がスリの手口に合いそうになりなんとかかわした経験がある。
大抵グループで行動するがこの主人公のジャドも親友と組んで実行するクチだ。
でも、興味深いのはDiorのアトリエチーフを務めるベテランのお針子エステルが手を見ただけでその才能を見抜くって所。
それはきっと誰もがベテランだったら見抜けるってもんでも無い気がするんだな。
だからジャドの仲間がエステルのバッグをひったくったのはやっぱり必然だったんじゃ?と思わす感じがユラリユラリと感じられて楽しい。
ジャドは色々問題を起こすけどそれでのお針子仕事を諦めないのが凄い!
スリやひったくり以外に自分の指や手が何かを覚えて行く楽しさが止められない感じが若さだなって思ったりしてね。
そういうのイイよね。
それにしてもオートクチュールのアトリエの厳しさ・・・雰囲気とかじゃなく決まり事に対する厳守とその真剣さにこっちの身もピリッとする。
背筋が伸びる・・・一瞬ねww。
Diorの香水をアトリエ中に撒くんだけど正直個人的にはちょっと無理って思った。
あんなにシュッシュシュッシュやったら鼻もげそう・・・ww
Diorの香水なんて嗅いだ事無いけどね。
でも仕上がって行く高級仕立服とそれに携わるメゾンのアトリエの様子は凄く楽しい。
同じ業界に居た末端の人間としてはホントその点は楽しめたな。
注目のリナ・クードリがどんどんアップデートされて行くジャドを好演してるんだけど彼女『フレンチ・ディスパッチ』の時可愛いなって思ったから活躍してて嬉しい。
ナタリー・バイ演じるエステルがとてもニュートラルな人間なのが素敵。
普通ひったくり犯を自分のアトリエには誘わないよね。
でも彼女のその偏見の無さが1人の女性の将来に色彩を放つと言う展開はとても重要なんだよね。
その対比としてアトリエで起こるいざこざが描かれてるんだけど
そこはやっぱり外せないテーマだったね。
偏見や差別だけじゃなく人間同士の間には好き嫌いが生じるからね。
その辺の描写が結構キッパリと描かれてるのはオモシロイ。
いわゆるサクセスストーリーだが移民の多いパリ郊外と言う背景もしっかり織り込みつつ母と娘、人生、仕事、スキル、仲間、恋愛と人間模様も見応えあった。
じんわりと胸を打つ作品に仕上がってる。
2022/04/10