映画感想『NOPE/ノープ』
原題「NOPE」
これはネタバレしたくないので取り敢えず簡単な感想を書きます。その後エリアを分けて軽い考察に突入!!
『ゲットアウト』でその名を馳せたジョーダン・ピール監督の新作は完全に私のツボに嵌る傑作。
これは…
未確認飛行物体西部劇!
前作までのホラー味は影を潜め完全なUFOものの体だ。
シャマラン化?と思われるかも知れないがピール監督のセンスの外連味が違う!
【見る】と言うキーワードやインパクトあるエピソードに何を思うか?
私には人間が生み出して来た"社会汚染"へのアンチテーゼにも思えたが・・・。
そして人間は戦いを決意したら勝つ事に従事する。
驚異の伏線回収と恐怖と笑いの共存に監督独自の映画愛を感じた。
色んな感情が揺さぶれる怪作!
面白かった!!!!( ✧Д✧) キラーン
❖考察(ネタバレ)
まぁ、大枠は何となく解るが詳細部分の理解に苦しむ映画なんで鑑賞して数日結構考えてはみたよ。
監督が『空のジョーズ』はまだ誰も描いてないと発言していた様に蓋を開けて閉じてみればまさしくただのUFOものでは無く恐怖パニックものに近い。
やはりホラーを描いて来た監督ならではなのかもな。
気になるのは映画の冒頭に表示される「わたしはあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物にする」という旧約聖書のナホム書第3章6節からの引用。
多くの日本人には???だ。
これがどうやら前述した『人間が生み出して来た"社会汚染"へのアンチテーゼ』に繋がるのではないかと思うのである。
「力によって支配する者は逆にいつか滅ぼされる」という警句では?と。
西部劇と言う白人至上の設定にしたのも未だ脈々と続けられる人種差別を意味している様に思える。この辺はタランティーノの『ジャンゴ』にも繋がるな。
確かにOJが亡き父の代わりに撮影スタジオに馬を連れて言ったシーンでも無下にされ結局仕事を奪われるしな。
ピール監督は本作に影響を与えた作品として、『キング・コング』『オズの魔法使』『未知との遭遇』『ジュラシック・パーク』『サイン』の名前を挙げているようだが、その中でも特に『キング・コング』と『ジュラシック・パーク』は確かに"人類が他生物を支配しようとして失敗に終わる"ストーリーだ。
まぁ、ワタシもその点は散々感想にも書いて来たわけだから人類の思い上がりは今こうしてコロナなんて言うウィルスで世界が汚染され、大分人口も減らされたわけだ。
「ほら見た事か」と神か見知らぬ生物が宇宙からほくそ笑んでるのかもしれない。
そしてもう一つ、かなり印象的に登場する『ゴーディ 家に帰る』と言うシチュエーション・コメディの中で起こった出演中のチンパンジーが他出演者(人間)を襲い殺すと言う凄惨な映像だ。
その出演者の中で唯一生還したジュープが大人になり自分の運営するテーマパークでUFOと遭遇する見世物をショーとして披露する。
彼が唯一あの凄惨劇から生還したと言う"アンブレイカブル"な自負が【最悪な状態も自分なら支配出来る幸運を持っている】と勘違いさせたのではないだろうか?
あの凄惨さを目撃しながら記念の様に"奇跡的につま先立ちした靴"を飾ったりするだろうか? その現場に在ったものなど持ち帰りたくも無いのが通常では?
でも、確かにあの特別感満載にスポットを浴びたシューズと自分を照らし合わせてしまったら【選ばれた存在】と勘違いしてもおかしくないのかもしれない。
子供だからこそそんな風に感じたとも言える。
だが、個人的に凄く気になったのはジュープが奇跡的に助かったのは決してゴーディの興奮が落ち着いたからでは無くあの透明なテーブルクロスが視線を合わさせなかったからなのでは?と思うのだ。
この作品には【見る】と言うキーワードが終始描かれている。
彼等が行き着く【目を合わせなければ襲われない】と言う設定。
あの映像が流されるタイミングが結構後半で【見ない事】を導き出してからなのが鍵だとすれば単にテーブルクロスが二人を遮る事でゴーディの視界からジュープは消え、助かっただけじゃないのか?と想像出来る・・・そう、偶然にね。
あの時あの手が触れていたらどうなっていたか・・・決してこの作品は『E.T.』ではないのだ。
で結局ジュープはそんな自負を覆されて捕食される・・・驕りは命取りだな。
どうやら一部のファンはこのタイトルを「Not of Planet Earth(地球以外の生命体)の略語である」という説を唱えてるらしいぞ。
面白いじゃないか。
あと、個人的にはあの電気屋のパツキン兄ちゃんが鉄条網を身体に巻き付けて助かるの好き!
(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ! って思ったよ!
ピール監督こんな『ゴーディ 家に帰る』のオープニング映像まで作ってた。
今作の敵のまとめ映像。これは凄い
2022/09/06