映画感想『首』
北野武が書きビートたけしが演じる“裏から見た戦国時代”
「これが俺の解釈だ!」と叩きつける様な出来栄えだった。
面白かったのは監督が「いつもとは違う側面が見たい」と配した加瀬亮演じる織田信長の狂気に相対し自ら演じる秀吉と側近である弟の秀長と黒田官兵衛3人のシーンが全編通してアドリブ有りのコント仕立てな真逆さで描かれていた事。
この緩急が無ければ結構一般的にはハード感が倍だったかもしれない。
秀長を演じた大森南朋なんて結構笑いそうになってた感あるよ。
でも黒田官兵衛を演じた浅野忠信の飄々とした雰囲気もこの壮大なコントにかなり加担してたね。
そして何より個人的に最も感心したのは【衆道】と言う世界を表現してくれた事。
戦国時代のドラマを見る度に感じてた物足りなさ、精神だけではなく肉体でも繋がっていただろう男色と言う出世や庇護のための手段。
忠誠心だけでは語れない複雑な“侍の惚れた腫れた”が濁し無しに描かれている。
織田信長と蘭丸の関係は有名だが他武将のベッドならぬ布団シーン・・・いわゆる濡れ場もチラッと見せてくれたのは嬉しい。
と言うか『きのう何食べた?』では全くそういうシーンの無い明智光秀を演じるあの西島秀俊があの強面俳優と!!!!!!!!!?な~んてサービス?もあったりしてちょっと笑っちゃったよん。
まぁ、その2人には全くケミストリーが感じられなかったのでこれは強面ちゃんの一方通行で光秀の策略に嵌ったんだね、お~怖っ!
でもどっちかって言うと明智と勝村政信の斎藤利三の関係の方が気になり過ぎた。
こっちの方がケミストリー生まれそうだけどね( *´艸`)
それより個人的には大森南朋の秀長と浅野忠信の官兵衛が並んでる方がお似合い感と言うかケミストリーを数百倍も感じて「この2人のおやじラブ観たいわ~」とか想いながら鑑賞してたよん。
てかシーン変わっていきなり信長×蘭丸は「来た~~~!!」って思ったけどアタシの好みとしては寛一郎の蘭丸はちょっとゴツかったかな、これはあくまでも好みの問題っすけどね。
あとさ、ちょっと伏線の話だけど獅童演じる難波茂助と津田寛治演じる為三の話も嫌いじゃなかった。これがまさしくブロマンス的要素が強かったね。
そしてラスト!!
百姓あがりのサルならではの一言に思わず「オチ付けたねー」と呟いてしまったよ。
大大的にインパクト大な題字がドドーンとスクリーンいっぱいに掲げられた時からこのラストまで(家康の無数の影武者シーン含め)が大がかりで壮大な新喜劇なんだって感じたのは間違いないんだなって思った。
撥ねるだけ撥ね並べられた首の数々。
一番肝心な明智の首へのあの扱い・・・と言うより仕打ちww
あっぱれ&やっぱり北野“ビート”武だなって唸っちゃったよ。
まぁ絶対に好き嫌いはかなり別れると思う。
でも!この時代を描いてきたどの過去作より個人的には納得したのは確か。
ドロドロで滑稽でカッコ悪い武将たち。
登場人物の年齢設定や時代考証なんてクソ喰らえ!なめちゃくちゃさ。
信長だけが方言で他武将達が標準語なのもなかなか興味深い。
「お国言葉でのお叱り有難き幸せ」みたいな台詞入れちゃってわざとらしさしかないww。
ワタシ的には首チョンパは無数にあるが、バイオレンス度は「思った程では無かったな」な印象。
とにかく北野映画に出たい男優だらけのまさしくホモソーシャルな天下取り事変だった。
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