
しばらくぶりに水元・釣れるのになぜかいつも
しばらくぶりに水元へ行ったら
夏はもう過ぎかけていて昼間
でもキャンプ場の夕方のような
匂いがしていた
笹を切りそろえた尖った茎は
少し怖かったが茂みの真ん中に
切られた穂先が押し込まれて
いて剣山が一部斜めにつぶされた
ような光景になっていた
笹はもうしばらく乾かさないと
私の考える用途を成さない
保温ボトルに入れてきた氷入り
麦茶は溶けた細かい氷と一緒に
嚥下され薬粒のようなのど越し
冷たくて胃が縮む感じがした
釣れるのになぜかいつも人の少ない
場所で同じ魚を何匹か釣った後
納竿してからしばらくぼんやり
していたらメタセコイアの並木の
向こうから若い女性が写真を撮り
合いながらこちらの方へ
近づいてきた
一人は黒いノースリーブもうひとり
は落ちかけた金髪でたっぷりした
Tシャツを着て楽し気な蝶々の
様にひらひらしながら私を一瞥し
広場の方へともつれ歩いていった
その一瞥の冷たいこと
遠ざかるのをしばらく目で追った